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  • 2016年7月25日 · · · 社長が「腐ったミカン」ではどうしようもない
  • 2016年7月19日 · · · 虚偽だったのか、それとも正直だったのか
  • 2016年7月11日 · · · 立入検査の忌避で事業の全部停止30日間の行政処分(東京都)
  • 2016年7月7日 · · · 言うだけなら無料
  • 2016年7月5日 · · · 不法投棄のやり逃げ
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    社長が「腐ったミカン」ではどうしようもない

    リサイクルやコンプライアンスといった理念を語るのは簡単ですが、社長自身が違法行為に手を染めると、どんなリスク対策も役に立たなくなります。

    2016年7月17日付 岐阜新聞 「従業員は手伝わせず 廃棄カツ事件

     岡田容疑者らは部外者に知られないよう、偽装工作を図ったとみられる。岐阜、愛知両県警の捜査本部は転売にいたる経緯の解明を急いでいる。

     関係者によると、みのりの元従業員は「倉庫で壱番屋の箱は見たことがある」と話すが、それ以上は知らなかったとみられる。岡田、木村の両容疑者は、みのりの倉庫で岡田容疑者のイニシャルを使った「OM」というシールを白い段ボール箱に貼り、製造元を偽装したという。

    「Okada Masao」で「OM」という中学生レベルの創作センスが涙を誘います。

    しかしながら、その貧弱な創作センスでも、「排出事業者責任に無関心な排出事業者」や「○×の採点をすることのみにご執心の行政担当者」を長年だまし続けることに成功しました。

    初歩的ながらも効果的だった転売偽装を最初に見抜いた、壱番屋のパート従業員の方の冷静さは大いに称賛すべきと思います。

    その方の発見で、壱番屋は自主公表に踏み切った結果、数々の重篤な廃棄物処理法違反にもかかわらず、最高益という果報まで享受できたのも事実です。

    処理状況確認の際に、ダイコーのような企業の危険性を見抜くためには、「○×の採点」だけでは不可能と思います。

    ○か×を付けるということは、その質問の前提条件を二者択一しかない状態に設定することになるからです。

    多くの場合、このようなチェックシートでは、○と評価するしかないような設問になりがちです。

    現実世界は二者択一の単純な構造ではなく、様々な二者択一問題が複雑に絡み合う構造ですので、不正を見抜いた壱番屋従業員の方のように、目の前の○×のみならず、自分の感じた違和感を立体的に検証評価する姿勢が不可欠なのは間違いありません。

    さて、先週木曜日に、食品衛生法担当の行政官の講演を聞く機会がありましたが、「食品表示が無い食品を販売すること自体が有り得ない」とのことでした。

    そうなると、今回逮捕された関係者のみならず、スーパーの仕入れ担当や陳列担当にも、廃棄品を食品として流通させた責任の一端があることになります。

    それらの人達に法律上の刑罰がかかることはなさそうですが、食品販売事業者として当然の注意義務を怠っていた点においては、重大な職務怠慢があったと言えます。

    また、自分の身を自分で守るという観点からは、消費者としても食品表示に関する知識は国民全員が知っておく必要がありますね。

    しかしながら、肝心の消費者庁のHPは非常に難解です。これを丹念に読み込む努力を続けられる人はほとんど無さそうです。

    food

    この構成を見ると、果たして本当に国民に閲覧をしてほしいと思っているのか疑問に思います。

    リンク先を開かないと一切の情報を入手できないというのは、HP制作者としては怠慢と言えます(苦笑)。

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    2016年7月25日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    虚偽だったのか、それとも正直だったのか

    最近のマスメディアは自信が無いのか、すぐにネット上の報道を消去します。

    先週は急な仕事の発生でブログの更新がままならず、旬なネタへのツッコミができませんでしたが、わずかに保存していたキャプチャー画像を元に、メディアリテラシーの妥当性を検証したいと思います。

    さて、今日取り上げるのは、7月13日付の中日テレビの報道です。

    記事が消去されているため、ネット上に所々残る情報の残骸から見出しと報道内容の一部を抜粋します。

    まずタイトルですが、「ダイコーから壱番屋への報告書に誤記載」というものでした。

    おそらく、マニフェストのことかと思いますが、たしか壱番屋とダイコーは電子マニフェストを運用していたはず。

    ここは「報告書」ではなく、「処理終了の報告」等と記載すべきでした。

    また、「誤記載」という表現にも違和感があります。

    この表現だと、ダイコー側に悪意は無く、単なる過失で報告内容を間違えたかのような印象を与えてしまいます。

    次に、報道内容のほんの一部分ですが、

    産廃業者のダイコーが、壱番屋に廃棄物処理の結果などを報告した文書に過去5年間にわたって誤った記載があったことが分かった。

    とあり、これもタイトルと同様に、過失で誤記載をしていたような表現となっています。

    さて、肝心の誤記載の内容についてですが、報道では次のような電子マニフェスト管理画面の画像が掲載されていました。

    daiko

    処分量ではなく、「有価物拾集量」に数値が記載されていることをもって、誤記載と定義しているようです。

    壱番屋が委託をしていた量がわかりませんので、一部のみを有価物として報告していたのか、それとも受託量の全量を有価物として報告していたのかはわかりませんが、ダイコーは愛知県知事から積替え保管許可を取得していたため、電子マニフェストでこのような記載をすること自体は違法ではありません。

    もし、受託量の全量を有価物として拾集していた(転売)と報告していたのであれば、誤記載どころか、ダイコーはたぐいまれなる正直者ということになります。
    (一般的には、排出事業者から怒られるのが確実となる、そのような報告をわざわざしない)

    廃棄物処理法上、食品廃棄物を転売してはいけないとは規定されていませんので、積替え保管の一環で転売すること自体は法律違反ではないからです。

    もちろん、普通は廃棄品を食品として買い取る仲買人はいないでしょうし(実際はいたけど…)、転売を認める排出事業者も皆無と思いますが、電子マニフェストで有価物拾集量が報告されている以上、排出事業者は「転売されていたなんて知りませんでした」とは決して言えません。

    一切有価物拾集量を報告せず、全量を処理したかのように報告していたのであれば、ダイコーは電子マニフェストの虚偽報告をしていたことになりますが、
    こうして正直に(?)、有価物拾集量を報告している以上、虚偽報告は成立しない可能性が高くなります。

    そのため、廃棄物処理法違反ではなく、「詐欺」という犯罪での立件となったのかもしれません。

    このように、現行のマニフェスト制度には、致命的な欠陥があることがわかりました。

    その欠陥を(環境省が)容易にふさぐ方法が一つあるのですが、ブログで公開するのはもったいないので、今後の講演等でのみお話しする予定です(笑)。

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    立入検査の忌避で事業の全部停止30日間の行政処分(東京都)

    「立入検査の忌避」という滅多に見られない理由に基づく行政処分事例が出ました。

    2016年7月5日付 東京都発表 「産業廃棄物処理業者に対する行政処分について

     次の産業廃棄物処理業者は、処理を受託した産業廃棄物について、処分を終了させずに自ら保管していたにもかかわらず、産業廃棄物管理票の写しの処分終了日欄に日付を入れて処理を委託した者に送付しました。また、廃棄物処理法第18条に基づく東京都知事からの報告の求めに対し、著しい報告漏れのある報告をするとともに、同法第19条に基づく立入検査を妨げ、忌避しました。
     このことは、同法第12条の4第3項の産業廃棄物管理票の取扱いを定めた規定に違反し、また、同法第30条第6号及び第7号の違反に該当するため、事業の全部停止及び施設の使用停止を命ずる行政処分を行いました。

    名称
     株式会社長岡商店(ながおかしょうてん)
    代表者氏名 (略)
    住所 (略)
    処分内容
     産業廃棄物収集運搬業(許可番号:第13-10-039004号)、産業廃棄物処分業(許可番号:第13-20-039004号)及び特別管理産業廃棄物収集運搬業(許可番号:第13-51-039004号)の事業の全部停止30日間並びに産業廃棄物処理施設(許可番号:第51013号)の使用停止30日間
    事業停止期間
     平成28年7月14日から同年8月12日まで

    罰則としては、立入検査の忌避は廃棄物処理法第30条の「30万円以下の罰金」という罰則の対象となります。

    ちなみに、報告徴収に対して虚偽の報告をした場合も、同条の罰則の対象となります。

    マニフェストの虚偽記載は、法第29条の「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則の対象となっています。

    今回の命令の対象者は、上記3つの罰則に抵触する違反があったようです。

    020895さて、実際の現場においては、立入検査を忌避する事業者はほとんどいないのが現実です。

    少なくとも、筆者の公務員時代の経験では皆無でした。

    殊勝というべきか、不法投棄実行者であっても、立入検査を忌避した人はいませんでした。

    暴力団とのつながりが噂されるような強面の人ほど、正式な権限を持つ行政職員に対し、「敷地に入るな。帰れ!」というわかりやすい拒絶をしない傾向にもありました。

    そのため、具体的にどうやって「立入検査を妨げ、忌避したのか」想像もつきません。

    敷地入口に鍵をかけ、何人も立ち入れないようにしたのでしょうか?

    「帰れ」と言われただけで、すごすごと東京都職員が帰るとも思えないので、事業場をロックアウトした可能性の方が高いのではないかと勝手に勘ぐっております。

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    2016年7月11日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:行政処分

    言うだけなら無料

    単なる指針ですので、具体的に取引内容が規制されるわけではありませんが、かねてから環境省が表明していたとおり、「食品廃棄物の処分委託をする際には、排出事業者側で一手間加えてから依頼をするのが望ましい」という指針案がまとまったようです。

    2016年7月6日付 時事通信 「食品廃棄物、破砕後に引き渡し=不正転売防止で指針案-環境・農水両省

     環境、農林水産両省は6日、廃棄した冷凍カツが食用に横流しされた事件を受け、食品廃棄物の不正転売を防ぐ事業者向けの指針案をまとめた。食品事業者は、廃棄する食品を転売できないよう破砕や刻印などの対策を取ってから産廃処理業者に引き渡す必要があると明記。意見公募などを経て年内に正式決定する。
     指針案は、食品廃棄物の転売防止と飼料などへの再利用促進の両立を目指している。食品廃棄物の排出事業者には他に、委託時に産廃処理業者の収集・運搬能力の確認や、適正な料金での契約などを要請。処理終了後に食品廃棄物が再生利用されているか飼料業者に確かめることも求めた。

    食料・農業・農村政策審議会食料産業部会第16回食品リサイクル小委員会 中央環境審議会循環型社会部会第14回食品リサイクル専門委員会 第14回合同会合」という恐ろしく長いタイトルの部会が2016年7月6日に開催されましたが、そこで議題として指針案が検討されていたようです。

    2016年7月7日10時の時点では、環境省及び農林水産省のHPにその案が掲載されていないため、内容の詳細を検討することはできませんが、時事通信の報道から判断すると、2016年3月14日付で環境省が公表した再発防止策よりも踏み込んだ表現をしています。
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    上の画像に引き続き、同防止策では、
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    「食品廃棄物の廃棄に係るガイドライン(仮称)をできるだけ速やかに取りまとめ」とあるので、「環境省単独の意見ではなく、農林水産省と連名なのでより強く意見を言った」というところでしょうか?

    「中小企業等、事業の規模に応じて活用できるよう、内容を検討」と書かれていますが、中小企業ならずとも、大企業でも活用できなさそうな提案に見えますが、一体、どのような「意識高い系」企業にインタビューされたのでしょうか??

    “無償の善意”にどこまで期待するのか

    ガイドラインの目的は、「食品廃棄物の転売防止」であることは誰の目にも明らかですが、目的達成のための手段が、「羹に懲りてなますを吹く」を地で行く、無意味に厳格な物にしか見えません。

    日常的に廃棄処分する物に対して、誰が喜んでさらなる手間とコストをかけるのでしょうか?

    食品廃棄物自体は、危険性や有害性があるものではないため、ここまでの対策をやる意味は本来ありません。

    排出事業者に必要なことは、委託先処理業者が転売という良からぬ行為を起こしかねない経営状況か否かを見極めることです。

    廃棄する物にわざわざ刻印する様子を想像すると、非常にシニカルな光景が目に浮かびます。
    ※ただし、換価価値が高い商品や製品を廃棄する場合なら、排出事業者の自ら破砕や刻印等にも一定の合理性があります。

    排出事業者の“無償の善意”に期待をするよりは、食品衛生法を改正し、廃棄品を転売することを禁止する方がよほど効率的かと思います。

    タイトルに書いたとおり、「言うだけなら無料」ですので、国としては「これで仕事が終わったぁ~」という自己満足を得られたものと思われます。

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    2016年7月7日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    不法投棄のやり逃げ

    「ない袖は振れない」と申しますが、不法投棄の後片付けについてもそれが当てはまります。

    法制度上は「破産」という手続きが存在するため、不法投棄という重大な廃棄物処理法違反を起こしても、残念ながら合法的に廃棄物の撤去責任を免れてしまう現状があります。

    もちろん、不法投棄自体が直罰の対象ですので、刑事被告人になる確率は非常に高く、実際に刑事罰が科されることになりますが、いかんせん、初犯の場合、ほとんどのケースで執行猶予付きの懲役刑と罰金刑の併科というのが相場です。

    今回、その不幸な実例がまた一つ増えることになりました。

    2016年6月30日付 滋賀県発表 「有限会社甲賀建設等に対する措置命令の発出について

     有限会社甲賀建設が行った不法な産業廃棄物の埋立てに関与していた下記の者に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第19条の5第1項の規定による措置命令を発出しましたのでお知らせします。

    1 措置命令の対象者
    shiga

    2 措置対象地
    滋賀県甲賀市水口町嶬峨字西山2533番、2534番、2538番、2539番、2555番(位置図(PDF:227KB)参照)

    3 措置を命じる事項
    (1) 措置対象地に不法に埋め立てた産業廃棄物を、あらかじめ、県の承認を得た計画に基づき、全て撤去し、適正に処理すること。
    (2) (1)の措置の履行完了までの間、あらかじめ、県の承認を得た計画に基づき、定期的に周辺環境への影響を把握するための監視調査を実施すること。

    4 着手期限および履行期限
    (1) 着手期限 平成28年7月29日(金曜日)
    (2) 履行期限 平成31年7月1日(月曜日) (3(1)の措置に限る。)

    5 措置命令を発出する理由
    有限会社甲賀建設により、措置対象地に不法に埋め立てられた産業廃棄物約112,000トン(建設混合廃棄物100,217トン、汚泥12,333トン)については、同社の破産手続開始により、昨年7月に同社に発出した改善命令の履行が見込めない状況となっており、このままでは措置対象地に産業廃棄物が残置され続けることとなりかねないことから、当該行為に関わった関係者についても責任を追及するため、措置命令を発出するもの。

    この不法投棄事件については、
    当ブログ2015年7月29日付記事「滋賀県が不法投棄に対し改善命令を発出!?」で問題点を書いたところですが、現認した不法投棄に対し、滋賀県が改善命令を発出するという、行政手続きとしては極めて稀な(失当と言える)対応をした時点から齟齬が生じていました。

    もっとも、昨年の時点で措置命令を発出していたとしても、行為者による自発的な撤去はやはり望めなかったとは思いますが、改善命令でお茶を濁す(=1年間を棒に振る)必要性はまったくありませんでした。

    さて、ぼやきはこれくらいにして、破産手続き中の人間に対して措置命令を発出する理由は、主に2つしかありません。

    1つ目は、「県民等から不作為と言われないように、法的な命令をした実績を残す」ということです。

    2つ目は、「行政代執行を行うための必要条件」という理由です。

    愛知県のように、事務管理と称して、措置命令無しに行政主体の廃棄物撤去を行う方法も無くはありませんが、行政としては非常にリスキーな方法です。

    行政代執行を行うためには、「代執行を行う緊急性」が無くてはいけませんが、その「緊急性が高い」ことを担保するのが、措置命令の存在となります。

    そのため、措置命令を発出すると、行政はほぼ確実に代執行を行うことになりますが、順序としては、措置命令で行為者に自発的な行動を命令するのが基本です。

    今回のケースでは、この順序が逆で、代執行を行うがために発出した措置命令となっているように思えます。

    もちろん、順序が逆だからと言って違法ということにはなりませんが、これが企業の場合なら、株主から株主代表訴訟を起こされてもおかしくありません。

    滋賀県民及び事業者から預かった大切な税金を、不法業者の尻拭いに充てざるを得なくなったわけですから。

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    2016年7月5日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:行政処分

    廃棄物処理制度専門委員会(第3回)の傍聴記

    日本一早い速報を標榜しておりましたが、PCのWindows絡みのトラブル発生のため、7月1日(金)の更新は断念いたしました。

    皆様もWindows10へのアップグレードには十分お気を付け下さい(苦笑)。

    「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)」の第3回目は、6月30日(木)に東京で開催されました。

    ※配布資料は、「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第3回)の開催について」に掲載されています。

    今回も前回に引き続き、関係者からの課題や意見のヒアリングでした。

    今回のヒアリング先は
    ・一般社団法人 日本経済団体連合会
    ・公益社団法人 全国都市清掃会議
    ・愛知県
    の3者でした。

    以下、各関係者の意見主旨と、それに対する筆者の感想を記します。

    一般社団法人日本経済団体連合会

    経団連の意見主旨は、
    「手続きの効率化」「広域的、効率的な処理の推進」、「優良産廃処理業者認定制度の改善」、「企業が分社化した場合の取扱い」の4点でした。

    いずれも、経団連の規制改革要望や規制改革会議への提言で言及されている内容であり、初見の目新しいテーマはありませんでした。

    良く言えば安定感のある、率直に申し上げるならば事務手続きに関する些末な要望が多いという印象でした。

    一例として、
    「広域的、効率的な処理の推進」の中で、「広域認定の申請手続きの効率化」として、「環境省側の審査の迅速化」が要望されていました。

    これ、事実そのとおりで、地方環境事務所と環境省本省で同じ申請書を二度審査しますので、大変に時間が掛かる手続きとなっています。

    国民や事業者の立場としては、「もっと早く審査せよ」と言いたくなるのは山々ですが、
    その一方で、近年広域認定の申請が増えているという現状もあります。

    申請が増えているからと言って、それだけの理由で役人の数を増やすわけにもいきませんので、必然的に担当官の事務負担量が年々増えていくことになります。

    申請が増える一方で、それを処理する担当官の余裕はどんどん減っていく以上、審査期間がそれだけ長くなっていくのも無理ありません。

    申請書の同じ部分を二回審査をするのは無駄であるのは間違いありませんが、
    広域認定の権限が環境省本省にある以上、本省もゼロベースで審査をせざるを得ないようです。

    要望ベースで改善できるとは思えない、役人の全体配置バランスという構造的な問題です。

    あと、「企業が分社化した場合の取扱い」については、専門委の各委員から異論というか、鋭いツッコミが入れられておりました。

    「業許可を取るのが大変だから、企業グループ全体を自ら処理とみなしてくれというのは本末転倒ではないか?業許可の取得可否を検討した上で分社化するのが筋なのでは?」という至極まっとうな指摘です。

    それに対する経団連の事務方の答弁は、
    「分社化は総合的な経営判断ですので、業許可の特例としてみなしてほしい」というものでした。

    議論がかみ合ってない気もしますが、経団連としては、規制を緩和して欲しいという一念につきますので、要望の正当性を主張させるのは酷なのかもしれません。

    しかしながら、たしか昨年度の規制改革会議では、「環境省と経団連で詳細を検討」となっていたはずですが、今回のヒアリング資料を見る限り、検討した様子がうかがえませんでした。

    水面下で検討を進めながら、専門委の報告書にヌルッと盛り込む予定なのでしょうか?

    公益社団法人全国都市清掃会議

    全市町村の約半分が加入する公益社団法人です。

    惜しむらくは、資料を45pを作ってしまった結果、15分間という説明時間内ですべてを語り尽くせていないという印象です。

    要望という面はほとんどなく、現状の課題を整理したというところでしょうか。

    ただし、実務者としての、なかなかに渋い指摘が随所にまとめられています。

    一例として、
    p20の「環境保全、適正処理の観点から、支障を生ずる恐れがある場合などは、当然規制が必要であり、場合によっては規制を強化していくことも必要」や、
    p26の「市町村の災害廃棄物処理計画の課題」等に、個人的関心が湧きました。

    最後に、大塚部会長から「一般廃棄物処理業の業団体にもヒアリングをしてはどうか?」という提言があり、次回以降の専門委でその機会が設けられることになりました。

    愛知県

    愛知県にヒアリングする理由としては、ダイコー事件しかありません(苦笑)。

    専門委員として参加している東京都の方には、同じ地方自治体職員として鋭いツッコミを入れていただきたかったのですが、公開処刑をするのは忍びないと思ったのか、「ダイコーの排出事業者にはどのような指導をしたのか」という、当たり障りのない質問しかされませんでした。

    その代わりに、他の委員から「改善命令を履行させられなくなるからといって許可取消を躊躇するのは、市民感覚からすると理解しがたい」という、極めて厳しい指摘がされていました。

    具体的には、愛知県の資料のこの部分へのツッコミです。
    aichi

    (4)法に基づく指導
    取消し処分を行うと、処理業者に対して発出した改善命令が無効となるとともに、処理業者が通知する「処理困難通知」が発出できなくなる。

    の部分についてですが、

    筆者も、「これは本当にそうなのか?」と、傍聴中に数度顔をしかめながら頭を傾げる仕儀となりました。

    例えが極端かもしれませんが、自動車の運転中に人を死なせた人に対し、「被害者への賠償金を払わせねばならないので、その支払いが終わるまでは逮捕しない」と警察が言うでしょうか?

    ペナルティはペナルティとして厳正に実行しなければ、罰則や行政処分が存在する意義も意味も無いことになります。

    これは非常に興味深いテーマですので、機会があれば、改めて記事として取り上げたいと思います。

    その他、意見陳述の際、「ダイコーに騙された」という被害者然とした発言をされていましたが、むしろそこは騙された不明を恥じるべきではないのかと思いました。

    組織の保身や不作為の言い訳の作法を見ることができたという意味では、愛知県の意見陳述がもっとも血沸き肉躍るエンターテイメントでありました。

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    2016年7月4日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:2016年改正

    環境に影響が無いわけがない不法投棄

    最近ブログが炎上気味の某教育評論家なら「言語道断の犯罪ですっ!」と評論してくれそうな、言語道断の不法投棄事件が起こりました。

    2016年6月23日付 産経ニュース 「水路に泡、泡、泡…消防職員が消火剤860リットル不法投棄

     秋田市消防本部は23日、男性職員2人が市内にある解体予定の消防分署で、液状の消火剤約860リットルを不法投棄していたと発表した。この影響で、22日に分署付近を流れる雄物川右岸の水路に大量の泡が発生し、秋田市上下水道局が取水を約3時間停止した。水質の安全性に問題はないという。

     秋田県警東署は廃棄物処理法違反の疑いで2人から事情を聴いている。

     市消防本部によると、2人は21日、秋田市雄和妙法上大部にある消防分署の敷地内に穴を掘り、産業廃棄物として処理する予定だった消火剤約860リットルを流し込んだ。消火剤は土壌を浸透し、約3メートル離れた側溝を通して水路に流れ込んだ。

     2人は「環境に影響がないと思い込み、安易な気持ちで埋めてしまった」と話しているという。

     市消防本部の佐藤好幸消防長は「市民の皆様にご迷惑をお掛けして申し訳ない」と謝罪した。

    消火剤には界面活性剤が含まれているため、通常は「廃アルカリ」として、焼却や中和処理を委託することになります。

    幼稚園児ではないのですから、液状の廃棄物を土中にまけば地下浸透することくらいは理解できなかったのでしょうか。

    気になるのは、公務員でありながら、わざわざ860リットルもの大量の廃液を不法投棄した理由です。

    個人の独断でコスト削減(?)を図ったとは思えないのですが、自分が逮捕されるリスクを冒してでも、廃液の処理費を削減したかったのでしょうか?

    860リットルの廃液を運んで土にぶちまけるよりも、予算に則って専門の処理業者に委託をする方が簡単だと思うのですが、エクセサイズ代わりに廃液を動かしたくて仕方がなかったのでしょうか?

    犯行動機がこうした個人的なおバカなものの可能性もありますが、現場責任者がコスト削減のために不法投棄を指示していたのであれば、大問題です。

    誰が不法投棄を思いつき、それを実行に移した(あるいは、移させた)のかまでを、しっかりと捜査していただきたいものです。

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    2016年6月28日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    許可失効目前の必死のパッチ

    「必死のパッチ」というタイトルを付けましたが、どうやら関西地域でしか使われていないスラングのようですので、念のため用語の意味の解説URLを張り付けておきます。

    謎の関西弁「必死のパッチ」の正しい意味と使い方

    さて、誰が必死なのかについてですが、愛知県(知事?)が必死のパッチの模様です。

    2016年6月26日付 CBC NEWS 「ダイコーの産廃処理業許可取消へ

     廃棄カツなどを不正に転売していた愛知県稲沢市のダイコーについて、愛知県は週明けに産廃処理業の許可を取り消す方針をかためました。

     稲沢市の産廃処理業者・ダイコーは壱番屋の廃棄カツなどを不正に転売していたことがわかっています。

     また、県に届け出ていない倉庫を稲沢市や一宮市に持ち、大量の廃棄物を違法に保管していたことも明らかになっています。

     これらの法令違反を受け、愛知県はダイコーが産廃処理業の許可更新の期限を今月28日に迎えるのを前に、産廃処理業の許可を週明けに取り消す方針をかためました。

     今月8日から県はおよそ4000万円を負担してダイコーの本社や無届けの倉庫に残る廃棄物の回収を進めていますが、許可取り消し後も引き続き行うということです。

    当ブログ2016年4月25日付記事「愛知県はダイコーの許可をいつ取消すのか?」でも指摘していたとおり、少なくとも、岐阜県と三重県がダイコーの許可を取消した3月下旬の直後である4月上旬には、愛知県はダイコーの許可を取消すべきでした。

    大部分の善良な愛知県職員の方は先般そんな理屈はご存知のはずですが、愛知県知事のプレス対応を見る限り、「ダイコーの許可を取消すと、廃棄物の撤去が進まない」と思っていらっしゃる節がありました。

    以上はすべて筆者の勝手な憶測と推量でしかありませんが、このタイミングで許可取消を行う意義は「許可取消をしたという実績を作る」こと以外にありませんので、良い線を突いているのではないでしょうか?(笑)

    行政官は全員知っている周知のことと思いますが、
    「行政が許可を取消さないでいてくれる」という理由で、不法投棄物を自主的に撤去し、撤去後に更生(?)する不適正処理業者というものは存在しません。

    実際、「許可取消をしない」という愛知県の恩情(?)に対するダイコーの唯一の反応は、「何もしない(≒できない)」でした。

    また、不法投棄物を撤去させる上で、その業者の許可内容が制約になることもありません。

    愛知県の場合は改善命令でしたが、措置命令の対象になった場合、その対象者の責任において生活環境保全上の支障を除去する責務が発生し、命令対象者には速やかに命令された内容を実行する義務が生じるからです。

    許可を取消されたからと言って、不法投棄した廃棄物を撤去しなくても良いという理由にはならないのです。

    不法投棄物に関しては、不法投棄を行った張本人が排出事業者と同様の責任を負って、撤去をするのが当然でありましょう。

    ただし、廃棄物処理法上は、このあたりの権利関係を明文化していないのも事実です。
    具体的には、産業廃棄物処理業の許可取得不要とされる者の類型に、「措置命令対象者」が列挙されていません。

    環境省は「行政処分の指針」の「第8 措置命令(法第19条の5)」の中で、

    措置命令の被命令者が、当該命令の履行として実施する廃棄物の処理については、たとえその者が廃棄物処理業の許可を有しない場合であっても、無許可営業罪に該当するものではないと解されること。したがって、措置命令を効率的に履行させる必要があるなどやむを得ない場合には、業の許可が取り消された被命令者につき、当該命令の内容に従って自ら廃棄物の処理を行わせることも許容されるものであること。

    と、解釈指針を示しています。

    現在は、法律の隙間を解釈で埋めている状態ですので、次の廃棄物処理法改正では、ここを是非クリアにしていただきたいものです。

    もっとも、明文化されたとしても、資力のない不法投棄実行者の自主的な撤去を期待することが困難であることに違いはありませんが。

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    2016年6月27日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    廃棄物処理制度専門委員会(第2回)の傍聴記

    2016年6月15日に東京で開催された、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)(第2回)を傍聴してきました。

    ※配布資料は、「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第2回)の開催について」に掲載されています。

    今回の専門委は、「関係者からのヒアリング」として、
    ・一般社団法人日本建設業連合会
    ・東京都
    ・公益社団法人全国産業廃棄物連合会
    の3者から、現状と改善が必要と思われる点の開陳後、各委員が質問を行うという順序で進められました。

    そのため、環境省サイドは今回はほぼ無言というか裏方に徹しており、会合の最後で、前回(第1回)に委員から寄せられた質問に対する回答集の説明をしただけです。

    環境省の説明や発言が無いだけに、各委員の力量や識見の差が質問内容によく現れていたという印象です。

    非常にわかりやすく言い換えるならば、「ボケ役不在のため、ツッコミ一辺倒の漫才を見せられた」というのが正直な感想です。

    もちろん、専門委はエンターテイメントではありませんので、「漫才に例えるお前がおかしい!」という批判は甘受いたします(笑)。

    note個々の委員の方の個人的な識見は非常に高いのは間違いありませんが、廃棄物処理法の規制内容や委託実務に関しては素人レベルの識見しかない人が大半を占めているということがわかりました。

    名指しはいたしませんが、「優良認定の振興策」に関し、とんでもない暴論を吐いていた学者の方がいたようないないような・・・

    B5ノートの4pをせっせと議事録のメモに費やしましたが、先述したとおり、ほとんどの委員の質問が、本質とは無関係の個人的な疑問に過ぎないレベルでしたので、個別の質疑内容は取り上げないことにします。

    以下、各関係者の意見に対する、筆者の個人的感想を記しておきます。

    一般社団法人日本建設業連合会

    ・良かった点

    1. 「要望事項」が現実的、かつ抑制的
    2. 「電子マニフェスト制度の強化はこの問題(筆者注:「不適正処理」を指す)の解決には寄与しないと考える。」と、遠慮なしに直言
    3. 建設現場における「自ら利用」を進める際の支障(ボトルネック)を数多く列挙

    トップバッターということもあり、大塚部会長から「説明を早めに切り上げてください」と、話の腰をバシッと折られる不幸にもめげず、説明をやり遂げられました。
    ※説明者は竹中工務店の方。

    ただ、先述しましたが、委員の方の大半はこの分野の識見が無い人だけに、説明で使った用語が若干高度すぎたかもしれません。

    資料作成の際には相手の顔や力量がわからない状態ですので、それも致し方ない部分がありますが、「中学生でも理解できる」程度の表現に統一する必要がありそうです。

    東京都

    資料には「廃棄物処理制度の課題」が数点挙げられていますが、説明時間としては、そこよりも東京都の独自制度の紹介が多い印象でした。

    勝手な個人的印象としては、「ずいぶん弾力的に法律解釈しているのだなあ」と思いましたが、東京都の窓口レベルでは硬直的な指導をしているケースも聞きますので、説明をした部長さんの理念や個人的見解が混じっているのかもしれません。

    公益社団法人全国産業廃棄物連合会

    ・良かった点

    1. 要望項目が現実的、かつ多岐に渡る
    2. 「特定不利益処分を受けた優良認定業者に対してはその認定を速やかに取り消す措置を創設」等、自業界にとって不利になりかねない内容を自ら挙げている

    ただし、要望の中には、地方公共団体独自の規制に対するものが多く含まれていますので、環境省に言っても仕方が無い面があります。

    もっとも、苦情を言う相手が他に無いのも事実ですが(苦笑)。

    その他若干の苦言を呈させていただくならば、
    「優良認定のメリットを増やしてほしい」「委託基準の強化をしてほしい」「研修・講習への公的支援を検討してほしい」等は、国へ「乳母日傘(おんばひがさ)」のおねだりをしているように見えました。

    今回は詳しくは書きませんが、「優良認定」という用語を作ってしまったことが、環境省最大の失敗だったかもしれません。

    税金の滞納が無いと優良なのでしょうか?
    行政処分を受けていない業者はすべて優良なのでしょうか?

    いずれも、法治国家では当然の嗜みであり、優良性とは無関係な結果です。

    どうも、業団体のみならず、環境省、そして排出事業者も、優良という言葉で思考停止に陥っている感じがいたします。

    次回の専門委は、6月30日(木)に開催されるとのことです。

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    2016年6月16日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:2016年改正

    適正な保管期間の判断基準(平成4年8月31日付環水企183号・衛環246号より)

    問5 改正後の廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「改正規則」という。)第7条の2の「適正な処分又は再生を行うためにやむをえないと認められる期間」についての判断基準如何。
    答 具体的な期間については、施設の種類や保管する産業廃棄物の種類、保管の状況により異なるものと考えられることから、一律に定めることは困難である。通常予定される産業廃棄物の保管は、例えば産業廃棄物処理施設に投入する産業廃棄物の質を均一にするために必要な保管を、当該施設の処理能力に見合って行う場合などであるが、保管する目的が不明確である、保管している産業廃棄物の処分の目処が立っていない、又は目処が立っているにもかかわらずその保管期間が相当長期間に及ぶなどの不適正な事例につき、個別具体的に判断されたい

    ※解説
    一律には定義しにくい「適正な保管期間」ですが、通知の表現を取り入れると、
    ・保管する目的が不明確
    ・保管中の産業廃棄物の処分の目途なし
    ・保管期間が相当長期間に及ぶ
    場合は、適正な保管とみなせる要素が少なくなる、と考えられます。

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    2016年6月15日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:疑義解釈

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