最新情報

  • 2017年1月19日 · · · 管理会社に「できること」
  • 2017年1月18日 · · · 管理会社に「できないこと」
  • 2017年1月17日 · · · 「地中にある空間」の定義(平成4年8月31日付環水企183号・衛環246号より)
  • 2017年1月16日 · · · 「危機をことさらに煽る」という商売
  • 2017年1月13日 · · · 青森市における無料セミナーのご案内
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    管理会社に「できること」

    管理会社に「できないこと」 の続きになります。

    管理会社に「できないこと」を先に定義しましたので、「できること」を説明するのも簡単となりました。

    それは、「できないこと以外の行為」となります。

    当たり前な結論で恐縮です。

    「一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のすべての廃棄物をいう」と同じ論理構造ですね。

    逆に言うと、「できないこと」を理解することが、それだけ重要ということになります。

    前回書いた「できないこと」は、「廃棄物処理の受託と再委託」「非弁行為」の2つでした。

    この2つ以外の、「処理業者の紹介」や「請求処理の代理」といった、商行為としては一般的なものについては、廃棄物処理法は禁止していません。

    そもそも、廃棄物処理法は生活環境の保全を目的とした法律ですので、商取引行為自体はほとんど規制していないのです。

    「事前承諾なしの再委託の禁止」や「委託契約書の法定記載事項」等は、廃棄物処理法で明確に規定された例外的な存在と言えます。

    仲介に関する業許可の要否については、当ブログ2009年10月16日付記事 「廃棄物処理の仲介に許可は必要?」で、厚生省(旧)の通知を引用しながら解説をしております。

    連載のまとめに入りますが、
    「管理会社」という存在自体が悪ではなく、節度を保って、法律の範囲内で一方の当事者のアウトソーシングを担う限りにおいては、意味ある存在とも言えます。

    間違ってはいけないのは、全国清掃事業連合会も指摘しているとおり、「管理会社を使えば、排出事業者責任が軽減される」わけではないことです。

    管理会社が介在したとしても、依然として排出事業者責任は排出事業者のみにあり、契約書やマニフェストの運用・保存の責任は、排出事業者のみに存続します。

    「現地確認の代行サービス」をうたう会社が増えていますが、第三者が現地確認に行ったからといって、処理業者選定の責任はその第三者に移転することはなく、委託者である排出事業者のリスクとして残り続けることにも留意しないといけません。

    結局のところ、
    廃棄物処理実務を熟知した排出企業ほど管理会社を介在させず、
    排出事業者責任に無関心な排出企業が積極的に管理会社に頼る、
    という構造になっています。

    やるべきことは、管理会社等をあげつらった糾弾ではなく、排出事業者自身に自社の責任を認識させることではないでしょうか。

    環境省や件のジャーナリスト氏の書きぶりですと、ブローカーの存在が法律の抜け穴であるかのような印象を与えますので、周知啓発とは真逆の効果しか生んでいません。

    管理会社を使うのであれば、荷物を宅配便で送ること以上に、排出事業者自身がより賢く、より謙虚になる必要があります。

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    管理会社に「できないこと」

    「危機をことさらに煽る」という商売」の続きです。

    排出事業者ではなく、処理業者でもない第三者の呼称はブローカーでも良いのですが、今回はより一般的な表現と思われる「管理会社」に統一いたします。

    まずは「できないこと」から先に明確にしておきましょう。

    これは2点あります。

    前回の記事でも書きましたが、第1は、「廃棄物処理の受託と再委託」です。

    廃棄物処理の受託は、産業廃棄物処理業者その他の法令で認められた者しかできない行為です。

    そのため、産業廃棄物処理業の許可を持たずに、排出事業者に「ウチ(管理会社)が一括して産業廃棄物を処理してあげますよ」と言えないわけです。

    また、仮に産業廃棄物処理業の許可を持った管理会社であっても、管理会社が受けた収集運搬業務を、排出事業者の事前の承諾なく、他の収集運搬業者にやらせることもできません。

    と、ここまでは廃棄物処理法だけの話です。

    第2は、「非弁行為」です。

    昨今よく聞く管理会社の横暴な行動のパターンとして、
    「来月から廃棄物処理費を20%減額せよ。さもなければ、契約を解除する。なお、本件に関する交渉は当社(管理会社)が行うので、排出事業者に連絡することは認めない」というお達しを急に送り付けてくるものがあります。

    このような管理会社による要求は、弁護士法で禁止されている法律事務の代理に該当します。

    弁護士法第72条

    (非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
     弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

    非弁行為の詳細は、弁護士の方が解説したサイトがたくさんありますので、そちらをご参照いただくとして、プロ野球選手の年俸交渉代理人に弁護士が就任していることを思い出していただくと、上記の減額要求や交渉業務の受任が非弁行為になることを容易に理解いただけると思います。

    当記事執筆の際に、わかりやすい非弁行為の実例はないかと検索したところ、
    2017年1月17日付 産経WESTに「不正駐車の違約金回収で非弁活動 弁護士法違反で4人逮捕 京都」という記事がありました。

     逮捕容疑は昨年3月18日、別の会社が運営する同市南区のコインパーキングで、利用規約に反して48時間以上にわたり駐車した軽乗用車に「10万円の違約金を徴収する」などと記した通告書を張り出し、車の所有者の同市の30代男性に支払い交渉し、和解金名目で2万4千円を振り込ませたなどとしている。

     府警によると、同社は京都市内のコインパーキング運営会社から管理業務を受託。これまでに少なくとも毎月約20件の違約金請求を行い、平成27年12月から約半年間に違約金とみられる約170万円の入金が確認されているという。

    管理会社も報酬を得る目的で交渉代理を行うわけですから、上記のニュースと同様の結論になることがおわかりいただけると思います。

    以上2つの禁止事項だけでも、管理会社等の営業活動はかなり制限されていることがわかります。

    自治体の規制権限が及ばないアウトローではないわけですね(苦笑)。

    ただし、法律はそれを知っている者しか守ってくれないのも事実です。

    あとは、管理会社その他のブローカーと向き合う側の意欲次第です。

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    「地中にある空間」の定義(平成4年8月31日付環水企183号・衛環246号より)

    問11 「地中にある空間」を利用する埋立処分とは具体的にどのようなものか。

    答 地中にある空間とは、具体的には廃坑、採石後の地下空間等の地中に存在する空洞を想定しており、このような場所においては遮水工の施工・維持管理、地下水汚染の有無の確認及び汚染時の対策の施工が難しいことから、地下水汚染を生じるおそれがある廃棄物の埋立処分を禁止することとしたものである。

    ※解説 平成4年の施行令改正に伴い、地方自治体から寄せられた疑義に対する厚生省(当時)の回答です。

    「地中の空間」を利用した埋立とは、安定型最終処分場のみに認められている処分です。

    上記の答にあるとおり、地中の空間を利用した埋立では、腐敗するおそれがある廃棄物を埋めてしまうと、地下水汚染を防ぐ術がありませんので、腐敗しないとされている安定型5品目しか埋められないということになります。

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    2017年1月17日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:疑義解釈

    「危機をことさらに煽る」という商売

    一つの分野に10年も取り組んでいると、その分野に関する他人の言動のレベルが容易に判別できるようになります。

    しかし、それは特定の専門分野のみに限定される話ではなく、世の中で発信される情報ソースには2種類しかないとも言えます。

    すなわち、「事実に基づく真実性の高い情報」か「憶測や想像に基づく曖昧な情報」の2つということになります。

    そして、世の中の大部分の人は、その情報が事実に基づくものかについてはあまり頭を働かせず、「自分が信じたいと思う話を『真実』ととらえる」ものでもあります。

    それがたとえ自分にとっては望ましくはない話であっても、場合によっては、疑うこと無くそれを積極的に受け入れてしまうこともよくあります。

    今回ご紹介する記事は、実態は曖昧な伝聞情報でありながらも、多くの人を驚かせることには成功したと思われる一品です。

    2017年1月14日付 Business Journal 「ココイチ事件で重大な問題浮上

    まとめの部分を抜粋します。

    「ブローカー問題」は、食品廃棄物処理と一体化して進められる食品リサイクルシステムの根幹を揺るがせにしかねず、その意味でこれはまさに“新たな闇の世界”であり、その今後の動きを注視したい。

    「新たな闇の世界」という、怪奇小説顔負けの煽情的な表現に参りました。

    暴力団その他の反社会的勢力が跳梁跋扈する様子を強く印象づける表現です。

    しかしながら、この記事で言うところの“新たな闇の世界”とは、なんのことはない、ただの「ブローカー」や「管理会社」のことです。

    ジャーナリストの仕事は、人をむやみに扇動することではなく、社会が見落としがちな盲点に光を当てることではないでしょうか?

    洋の東西を問わず、近年の自称ジャーナリストが物する作品には、この手の煽情的な表現が非常に多く現れるようになっています。

    上記の記事は、「環境省中央環境審議会循環型社会部会の議事録」から発言者のコメントを抜粋しただけであり、発言者に直接取材をして得られたコメントは皆無です。

    一般公開されている議事録だけで、多くの人の気持ちを揺り動かす文章を作文する力量は見事と言わざるを得ませんが、いやしくもジャーナリストを自称する以上は、少なくとも発言者に直接電話かメールで取材をするべきではないでしょうか。

    ただし、実際の状況を知らないジャーナリスト氏が、ブローカーの存在を「闇」と感じたことには、環境省にも責任の一端があります(苦笑)。

    再度、上掲の記事から抜粋します。

     その重大な問題とは、何か。関連の審議会の動きを知るために、たまたま環境省中央環境審議会循環型社会部会(第15回、16年9月14日)の議事録を見ていて、次のような同部会事務局担当者(環境省大臣官房廃棄物・リサイクル部企画課リサイクル推進室の田中良典室長)の説明が気になった。

    「廃掃法(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の略称。廃棄物処理法は通称)のもとでの地方公共団体の許認可の及ばない第三者、いわゆるブローカーが排出事業者と処理業者との間の契約に介在して、あっせん・仲介・代理等を行っているケースが議論となりました」

    議事録という公的な文書で、環境省の室長がこのように発言した部分を見て、
    感受性豊かな方が、「国が認めた法律の欠陥があったのか!」と思いこんでしまったとしても、誰が彼を責められようか。いや責められない。

    当ブログ読者の方は既にご存知かと思いますが、この「地方公共団体の許認可の及ばない第三者、いわゆるブローカー」という表現は、環境省ではなく、全国清掃事業連合会が、廃棄物処理制度専門委員会でのヒアリングの際に使い始めたものです。

    情けないことに、環境省はその表現を正確なものとして丸呑みし、「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」でも使用しています。
    そちらでは、「(自治体の)規制権限が及ばない第三者」という表現になっていますが。

    全国清掃事業連合会は業界団体ですので、多少煽情的な表現を使ってでも、問題としてアピールしたいという事情は理解できます。

    しかしながら、公文書に、行政が煽情的な表現をそのまま使うという無神経さには呆れるばかりです。

    ついに環境省職員は日本語も理解できなくなったのかと・・・

    法律的には、「規制権限が及ばない第三者」という表現は正確ではありません。

    ブローカーを名乗ろうが、管理会社として登場しようが、「無許可で排出事業者から廃棄物処理を受託」することはできません。

    これすなわち、廃棄物処理法第25条第13号の罰則

    第十四条第十五項又は第十四条の四第十五項の規定に違反して、産業廃棄物の処理を受託した者

    に該当するからです。

    罰則の適用対象となるということは、法律の規制を受けるということに他なりません。

    あえて言うならば、「廃棄物処理法の適用外となる場合もある第三者」が、法律的に正しい表現かと思います。

    また、管理会社等の第三者は、ダイコー事件以後に現れた「新たな闇」ではなく、大昔から存在する登場人物の一人に過ぎません。

    昔とは異なり、通信技術が大幅に発展した現代では通信コストが非常に安価になったため、大都市に事務所を置く管理会社でも全国津々浦々にお達しを送ることが可能となり、それまでは相対が中心の地場の管理会社しか相手にしたことが無かった各地の廃棄物処理業者に弊害が発生しているだけ、とも言えます。

    と、ここまでで比較的長めの文章となりましたので、
    「ブローカーの正確な定義」や「委託者と受託者以外の第三者に『できること』と『できないこと』」については、次回の記事で解説します。

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    青森市における無料セミナーのご案内

    2017年2月2日に、青森市において青森県主催の「産業廃棄物適正処理推進セミナー」で講演をします。

    参加費は無料ですので、お近くの方は是非ご参加ください。

    以下、青森県庁のHPから告知概要を抜粋します。

    ~ 建設系廃棄物の 「適正処理」 と 「コンプライアンス」 を考える ~

     青森県では、産業廃棄物の不法投棄の多くが 「建設系廃棄物」 によるものとなっており、適正処理対策の強化が喫緊の課題になっています。

    ○ 本セミナーでは、発注・施工・廃棄物処理などに関わる 各主体が守るべき基本ルール を学びます。
    ○ また、建設系廃棄物を切り口として、不適正処理に伴う 「企業リスク」 を正しく認識し、 コンプライアンス意識の重要性 について理解を深めるための契機とします。

    * 本セミナーは 【CPDS認定セミナー】 です。(2ユニット)
    * 事業者の皆様はもちろん、どなたでもご参加いただけます。(参加無料・定員200名)

    日時・場所
    <日時> 平成29年2月2日(木) 13時00分~15時15分
    <場所> 青森国際ホテル 3F 萬葉の間 (青森市新町1‐6‐18)

    プログラム
    【第1部】 特別講演
     “見えないブランドづくり” で産業廃棄物業界の変革!
     ~ 「自然と地域が共生」する五感経営とは ~
     <講師>  石坂産業株式会社 専務取締役   石坂 知子  氏
    (講師プロフィール)
     1995年4月、石坂産業株式会社に入社、2004年1月、専務取締役に就任。
     ISO管理責任者として「経営の見える化」に取り組み、コンプライアンスの遵守・業界先駆の「ISO 7種統合マネジメントシステム」の認証を推進。ワークライフバランスを早くから導入し、職場環境の改善にも取り組む。
     建設系廃棄物の処理を手掛ける同社では、独自の技術開発による「ごみにしない技術」で減量化・再資源率95%を達成。室礼(しつらい)を重んじる、おもてなしの心で経営に取り組んでいる。

    【第2部】 基本セミナー
     建設系廃棄物を切り口とした 「他人事ではない廃棄物処理法リスク」
     <講師> 行政書士エース環境法務事務所 代表  尾上 雅典  氏

    参加申込み
     「参加申込書」 により、1月27日(金)までにFAX又はメールでお申し込みください。
     * 定員(200名)になり次第、締切とさせていただきます。
     * 申込期限後でも参加可能な場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。

    青森県には3年前に弘前城と根城の見学に行きましたが、講演で行くのは初めてです。

    真冬に雪国を訪れるのも初めての経験ですので、大変楽しみにしております。

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    目的と手段の違い

    「無許可営業」の取締りであることは事実なのですが、記事をよく読むと、それは目的達成のための「手段」であり、そのこと自体が「目的」ではないことがわかります。

    種明かしは、徳島新聞の記事をお読みいただいた後で(笑)。

    2017年1月10日付 徳島新聞 「県内でヤード初摘発 廃棄物違法処理 中国人5人逮捕

     徳島県警と高松入国管理局は10日、「ヤード」と呼ばれる機械類の解体作業場を使って無許可で廃棄物の収集や処理をしたとして、廃棄物処理法違反の疑いで、株式会社日昇商事(石井町浦庄)社長の同町石井、于振南容疑者(33)ら中国人5人を逮捕した。県内でのヤードの摘発は初めて。全国ではヤードを舞台にした外国人犯罪が相次いでおり、県警は県内でも警戒していた。

     逮捕容疑は2016年4月27日から10月7日までの間、知事や市町村長の許可を受けずに同社ヤードなどで8回にわたり、リサイクル業者や一般人から産業廃棄物のほか、一般廃棄物の洗濯機やテレビ、冷蔵庫など17台を収集し、破砕して処分したとしている。

     県警は各容疑者の認否を明らかにしていない。

     県警によると、日昇商事は14年に大阪市内から石井町に移転してきた。数千円程度の回収料をもらったり無償で引き取ったりした家電や農機具、自転車などを解体した後、金属くずにして販売していたとみられる。同社は古物営業の許可は取っていたが、廃棄物の収集・運搬や処分の許可は持っていなかった。

     県警は今月4日に捜査本部を立ち上げ、10日午前に55人態勢で石井町のヤードや吉野川市鴨島町上浦の同社倉庫など数カ所の家宅捜索に入った。ヤードには鉄くずや草刈り機、自転車などが山積みされており、捜査員は帳簿類を押収するなどして販売ルートなどの実態解明を進める。

    筆者の着眼ポイント

    徳島新聞の記事中のキーワードを赤字で強調しておきましたので、いきなり種明かしをしていたのですが(笑)、「入国管理局」が主体だったことに注意が必要です。

    最初から廃棄物処理法違反の取締りが目的であったならば、徳島県や地方環境事務所が警察と一緒に動いていたはずですが、記事を読む限り、徳島県警の他には入国管理局の名称しか挙がっていませんので、おそらく、逮捕の主眼は「出入国管理及び難民認定法」違反容疑と思われます。

    もちろん、無許可営業自体が、廃棄物処理法第25条違反の重罪であり、それ単独で取締りの対象となる犯罪なのですが、今回の一事をもって、ヤードでの営業規制が全国的に進むと考えるのは早計と思われます。

    事件として立件する際に問題になるのが、
    容疑者が扱っていた品物が「廃棄物」だったのか、それとも「有価物」あるいは「専ら物」だったのかという点になります。

    スクラップではありませんが、昨年末に大同特殊鋼のスラグ売買偽装が、地検から「廃棄物として立証できない」という理由で不起訴処分になったことが記憶に新しいところですが、このあたりの立証は非常にデリケートなものとなりそうです。

    曲がりなりにも鉄鋼原料として売却できる品質の物であったのならば、「専ら物なので業許可不要だ」と容易に反論されてしまうからです。

    もっとも、そうした反論を事前にふさぐために、徳島県警は55人態勢で家宅捜索に入ったわけですから、事前の内偵等で廃棄物処理法違反の事実があるという確証を得ていたものと思われます。

    と、ここまで書いたところで改めて思いましたが、
    入国管理局が告発したのであれば、ほぼ確実に「外国人の不法滞在」容疑での逮捕が最終目的と考えられます。

    そうなると、記事にあるように、警察は本当にスクラップの販売ルート解明を狙っているのかどうか疑問です。

    経営者自身が不法滞在だったのか、あるいは不法滞在者を雇用していたのか等の証拠収集が狙いだったのではとも思います。

    いずれにせよ、不法滞在の外国人が就労する場所としてスクラップヤードが多いことは周知の事実ですので、廃棄物処理法違反の取締りが主目的ではないものの、スクラップヤードへの捜査が増えていきそうです。

    くしくも、これまた無許可営業規制というよりは、火災等の事故発生防止が主眼ではありますが、廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)でも、スクラップヤードの届出制度の創設が今後必要な対策として挙げられているところでもあります。

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    2017年1月12日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成27年度)について

    2016年12月27日に、環境省から「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成27年度)について」が発表されました。

    環境省の発表内容によると、

    1.平成27年度に新たに判明したと都道府県等から報告のあった不法投棄事案の件数は143件(前年度165件、-22件)、
    不法投棄量は16.6万トン(前年度2.9万トン、+13.7万トン)

    2.平成27年度に新たに判明したと都道府県等から報告のあった不適正処理事案の件数は261件(前年度146件、+115件)、
    不適正処理量は40.7万トン(前年度6.0万トン、+34.7万トン)

    3.平成27年度末における不法投棄等の残存事案として都道府県等から報告のあった件数は2,646件(前年度2,583件、+63件)、
    残存量の合計は1,609.7万トン(同1,594.2万トン、+15.5万トン)  でした。

    不法投棄量と不適正処理量の両方が前年度よりも増加しています。

    不法投棄の前段階とも言える、不適正処理事案の発見が増えたことを喜ぶべきかどうかが問題となります。

    行政が関知していない不適正処理事案が相当数存在するであろうことを考えると、平成27年度は不適正処理が社会的に増え始めた年と位置づけられそうです。

    おそらく、この背景には、経済情勢の悪化とともに、行政の監視体制の弱体化という問題がありそうです。

    環境省と地方自治体が共同して「産廃アカデミー」を開催し、監視を担う行政職員の資質向上に多大な努力をしているところですが、「一職員の知見や資質」が重要なことは当然ですが、組織として不適正処理事案に対処していくためには、それだけでは不足と言わざるを得ません。

    首長の政治理念やバランス感覚、首長の政策を実行する部局長の胆力といった、むしろ組織の頭脳に相当する部分の意識改革が不可欠なのだろうと思います。

    このように考えると、統計を恣意的に操作しない限り、今後も不適正処理事案の件数は徐々に増加していくのではないかと考えています。

    touki27

    不法投棄実行者の内訳

    kensuu27

    平成27年度は、「投棄件数」の過半数は「排出事業者」が実行者でしたが、「投棄量」で見ると、「許可業者」が約14万トンで8割超と、許可業者が悪の権化であるような印象を受けてしまいますが、これはおそらく平成27年度に見つかった新規事案の実行者が許可業者であったためと思われます。

    そのため、平成27年度の投棄量については、特殊事例と言える結果ですので、このような内訳になるのは平成27年度のみと思います。

    また、引き続き投棄量の約8割は建設廃棄物となっていますので、建設廃棄物の適正処理確保が今後も重要な課題となっています。
    utiwake27

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    2017年1月11日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:統計・資料

    産業廃棄物の排出および処理状況(平成26年度分)

    2017年のブログ初投稿記事になります。

    遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます(笑)。

    2016年12月22日付で、環境省から、産業廃棄物の排出及び処理状況(平成26年度実績)が発表されました。 

    産業廃棄物の排出・処理状況(平成26年度実績)
    (1)全国の産業廃棄物の総排出量:前年度に比べ、約8百万トン(約2.1%)増加。
     ・平成26年度総排出量約3億9,284万トン(前年度約3億8,464万トン)

    (2)業種別排出量:前年度と同様、上位5業種で総排出量の8割以上。
     1 電気・ガス・熱供給・水道業  約1億103万トン(25.7%)(前年度 約9,794万トン 25.5%)
     2 農業・林業          約8,190万トン(20.8%)(前年度 約8,296万トン 21.6%)
     3 建設業            約8,161万トン(20.8%)(前年度 約8,035万トン 20.9%)
     4 パルプ・紙・紙加工品製造業  約3,261万トン( 8.3%)(前年度 約3.044万トン  7.9%)
     5 鉄鋼業   約2,864万トン( 7.3%)(前年度 約3,076万トン  8.0%)

    (3)種類別排出量:前年度と同様、上位3品目で総排出量の8割以上。
     1 汚泥     約1億6,882万トン(43.0%)(前年度 約1億6,412万トン 42.7%)
     2 動物のふん尿 約 8,142万トン(20.7%)  (前年度 約 8,263万トン 21.5%)
     3 がれき類   約 6,439万トン(16.4%)  (前年度 約 6,323万トン 16.4%)

    (4)産業廃棄物の処理状況:前年度に比べ、最終処分量が約11%減少。
     ・再生利用量 約2億 968万トン(53.3%) (前年度 約2億 541万トン 53.4%)
     ・減量化量  約1億7,276万トン (44.0%) (前年度 約1億6,751万トン 43.5%)
     ・最終処分量 約  1,040万トン( 2.6%) (前年度 約 1,172万トン  3.0%)

    平成24(2012)年で約3億7,900万トンと底を打っていた排出量が、2年連続で増加に転じています。
    h26haisyutsu

    最終処分量が前年度よりも132万トン減少と、減少傾向が鮮明になっています。この分で行くと、次の平成27年度実績統計では、最終処分量は初の1千万トン未満となるかもしれません。
    h26haisyutsu2

    最後に、日本全体での産業廃棄物処理フローをまとめておきます。

            産業廃棄物 392,840千トン
                    |
                    |
                    |
           __________|_____________   
          ↓         ↓            ↓
       直接埋立する分   中間処理(焼却・    再生利用される分
                 破砕他)される分
       5,350千トン 310,973千トン   76,517千トン
         (1%)     (79%)        (19%)
          |         |
          |         |
          |         ↓
          |     中間処理後に残るもの
          |     138,209千トン     
          |       (35%)
          |         |
          |         |
          |         |---→再生利用される分
          |         |    133,160千トン
          |         |      (34%)
          |         ↓
          |       埋め立てる分
          |       5,049千トン
          |        (1%)
          |         |
          |_________|
               |
               |
               ↓
          埋め立てられる分の合計
            10,399千トン
             (3%)

     ※各項目は、四捨五入してありますので、収支が合わない場合があります。

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    2017年1月10日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:統計・資料

    「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」へのパブリックコメント募集開始

    一国民の立場で意見を述べる以上、パブリックではなく、プライベートなコメントにしかならないのではないかと常々疑問に思っていますが、いよいよ募集が始まりました。
    (※筆者注 パブリックというのは意見の性質ではなく、「公から広く意見を聞いた」という機会を提供したか否かだけですね。)

    2016年12月20日付環境省発表 「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について

    報告書案の中身については、既に当ブログ記事「廃棄物処理制度専門委員会(第7回)の傍聴記」で紹介した内容とほぼ同様の文章となっています。

    詳細は、「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」をご覧いただくとして、各回の傍聴記で書くのを忘れていた点について書き残しておきます。

    それは、営業の本質にも通じる話だと思いますが、
    「いきなり、今困っていることを聞いてはいけない」です(笑)。

    営業に行った際、「相手の困っていることを聞き出せ」というのは、薄っぺらいビジネス本によく書かれている内容です。

    一見すると有効なテクニックに見えますが、その聞き方によって、引き出せる情報の質は大きく異なります。

    最も悪いのは、ただ単に「困っていることはないですか?」と質問をし、相手に自由に悩みをしゃべらせること。

    それだけで最適な営業提案ができるのであれば、誰も営業活動で苦労することはありません。

    今回の専門委員会の大部分は、ヒアリングと称しながら、ヒアリング先に自由に話させるという、問題抽出の手法としてはやってはいけないことをやってしまいました。
    ※精神的に不健康な状態にある人へのカウンセリングやセラピーとしては、そのような手法も有り得ます。言うまでも無く、専門委員会のヒアリングは、カウンセリングではなく、具体的な論点抽出の場ですね(苦笑)。

    逆に、唯一関係者にヒアリングしていない論点は、環境省は本質的な問題点をえぐり出すことに成功し、また素人の意見を求めることなく、迅速に別の場での専門的な議論を開始していたりします。

    その論点とは、「(5)の廃棄物処理における有害物質管理の在り方」です。

    正確には、このテーマについては、全国産業廃棄物連合会から「WDSの作成を委託基準として義務化してほしい」という要望がヒアリングの際に出されていましたが、報告書案の中にはそれが反映されていませんので、この部分については環境省のみの意思と考えて良さそうです。

    ヒアリングするのは良いのですが、好きなことを話させるのではなく、まずは環境省が論点を提示し、その論点に関して「実際に困っている点」や「その問題を解消する方法」等を引き出していくことが必要だったと思います。

    皆様の今後の営業や会議のヒントになれば幸いです(笑)。

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    2016年12月21日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:2016年改正

    廃棄物処理制度専門委員会(第7回)の傍聴記

    2016年12月15日に東京で開催された、「第7回中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)」を傍聴してきました。

    ※配布資料は、「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第7回)の開催について」に掲載されています。

    今回の会合の目的は、パブリックコメント募集の対象となる「報告書(案)」の審議でした。

    そのため、今さら実質的な議論が起こるはずもなく、大部分が表現上の修辞といった各委員の個人的志向が空しく発露しただけでした。

    肝心の報告書(案)ですが、前回(第6回)及び前々回(第5回)で提示された個別論点をそのまま転載しただけのものでした。

    その個別論点の出所に遡ると、そのほとんどがヒアリング先の意見です。

    ヒアリング先の意見や主張をそのまま載せるだけなのであれば、忙しい学識者や市民運動家の方から有難いご高説を拝聴する必要は無かったですね(苦笑)。

    論点の出所が出所だけに、廃棄物処理法制度の問題を抜本的に解決できるような斬新な視点は皆無でありました。

    さて、識見高い委員の方々の主要関心事は、「電子マニフェストの普及、あるいは義務化」、「太陽電池モジュールの安定型処分場での処分禁止」、「雑品と称されるスクラップヤードの規制」の3点でした。

    面白かったのは、「紙マニフェストの交付状況報告は無意味なので廃止してほしい」という委員の方からの発言に対し、
    環境省は、「電子マニフェストを運用していただくと、交付状況報告書を提出する必要は無くなる」と、論点を若干すり替えた答弁をしていたことです。

    この発言により、環境省に
    交付状況報告を廃止するつもりが無いことがわかりましたし、
    電子マニフェストの普及促進のためにも、(嫌がらせのように)(無意味な)交付状況報告手続きを残し続けるつもりだとわかりました。

    電子マニフェストを運用した場合、事業者には書類の保管スペースが不要となるメリットその他ありますが、環境省がそれを進めたい最大の理由は、
    「行政による廃棄物処理状況の把握が格段に容易になる」ためです。

    行政の理想としては、電子マニフェストの完全義務化です。

    その手始めとして、報告書案p7に

    より適切な管理が求められる一定規模以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者に対し、マニフェスト制度の運用状況に係る総点検も踏まえつつ、電子マニフェストの使用の義務化を検討するとともに、特別管理産業廃棄物の処理を受託する産業廃棄物処理業者に対し、電子マニフェストの使用の義務化を検討すべきである。

    と、珍しくなかなか強い調子で改善案を提示しています。

    これを実務的に考えると、なかなか難しい側面があります。

    即ち、「一定規模以上」とは「特別管理産業廃棄物自体の量」なのか、それとも、「特定の有害物質を含んだ特別管理産業廃棄物の量」なのかによって、定義の仕方が大きく変わります。

    「特別管理産業廃棄物自体の量」としても、年毎に排出量が変わることもあるため、「ある年は電子マニフェストが義務」「その翌年は電子マニフェスト運用の義務無し」となる可能性があります。

    いずれにせよ、電子マニフェスト導入や運用コスト自体はそれほど巨額になるわけではないため、実際の区切り方はわかりませんが、義務化されたとしても、多くの事業者にとってはそれほど支障は無いものと思います。

    その他、さらっと書かれていますが、報告書案5pの「(マニフェスト虚偽記載への)罰則の強化」には、処理業者の方は注意する必要があるでしょう。

    非意図的にマニフェストの虚偽記載をしてしまっている処理業者は非常に多いのが現状ですので、罰則強化により、業界内で犯罪者が激増することのないように、正しい運用方法の周知啓発が不可欠と言えます。

    もちろん、現時点においても、マニフェストの虚偽記載は犯罪となりますので、今すぐ正しい運用を維持する必要があります。

    また、新たな法規制の創設をうかがわせる内容として、報告書案14pに、

    そのような生活環境に係る被害が生じるおそれがある性状を有する物の保管や処分をしようとする者について、都道府県等の行政機関登録を受けるなど、都道府県等による一定の規制にかからしめるべきである。

    と、雑品等のスクラップヤード規制の可能性が示されています。

    「単なる届出だから行政の事務負担は少ない」の考えるのは早計です。

    現状でも人手が十分とは言えない地方自治体の現場に対し、さらに煩雑な事務作業を押し付け、他のより重要な規制や監視がおざなりにならないことだけを祈ります。

    最後に、筆者個人の最大の関心事は、報告書案18pの「親子会社間における自ら処理の拡大」でしたが、
    「この特例の対象は、これから起こる分社化のみを対象として欲しい」という意見しか出ず、実質的な質疑は行われていない状況です。

    少しだけ安心したのは、環境省が
    「自ら処理の拡大については、廃棄物処理法の重要な部分に関係する内容なので、法制度面からも慎重に検討したい」と発言していたことです。

    法律の条文でこのような特例を定義するのは非常に難しいと思いますので、「ひょっとすると、通知で解釈基準の変更を匂わせて終わりになるのではないか!?」という疑念を抱いていました。

    実際には通知の発出だけで終わってしまう可能性もありますが、法律の根幹に関わる内容については法律の条文で規定するのが筋というものですので、環境省には慎重な検討を期待しております。

    以上が主要な論点に関するまとめですが、
    遅くとも来週中にはパブリックコメントの募集が始まり、年明け1月30日(月)の10時半に第8回の専門委が開催され、そこで報告書の中身が固まる予定となっています。

    その後、(法改正が必要であれば)国会審議を経た後、改正法の公布という段取りとなります。

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    2016年12月16日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:2016年改正

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