廃棄物管理の基本のアーカイブ

保管基準違反で業許可取消→委託者への影響は?

毎日新聞  行政ファイル:産業廃棄物をため込みすぎた業者の処分業許可取り消し /広島

 県は1日、認められた量以上に産業廃棄物をため込んだとして、三次市三良坂町皆瀬の産業廃棄物処分業「三次アクア」に対し、処分業許可の取り消し処分をした。

 産業廃棄物対策課によると、同社は廃プラスチックや木くずなどを破砕する事業の許可を持っており、1日4・9トンの処分が可能だった。しかし同社は、廃棄物処理法に定められた、能力の14日分(約69トン)の上限を大幅に上回る約960トンの廃棄物を昨年5月からため込んでいた。

 県は昨年8月と11月に改善命令を出したが、廃棄物は処理されなかった。同課によると、同社は「破砕した廃棄物の引き取り先が見つからなかった」と話しているという。

改善命令違反で業許可が取消されたわけですが、これから問題となるのが、「残った廃棄物の処理」です。

本来なら、三次アクアが処分をするのが筋なのですが、
「(中間処理残さの)引き取り先が見つからなかった」というのは、「安価な処理先が見つからなかった」ということですので、
三次アクア社には廃棄物処理を完遂するための資力がないものと思われます。

そうなってくると、三次アクア社と契約をしている排出事業者に対し、
「自主撤去のお願い」から始まり、最悪の場合は「措置命令」の対象とされることが考えられます。

これだけ大量に廃棄物を集めても、安価な引き取り先を見つけられなかったということは、
三次アクア社自体が相当安価で処理を受託していたものと考えられます。

そのため、排出事業者側も、「他の業者と比べて著しく安価な料金だと知りながら委託していた」
とみなされれば、措置命令の対象になり得るからです。

こうした事態に陥るのを防ぐためには、やはり現地確認を励行するのが一番です。

廃棄物の大量保管などは、誰でもわかるチェックポイントですが、現地に行かないことにはわからない情報でもあります。

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昨日の講演後にいただいた質問2題

昨日浜松市内で開催された、株式会社ミダックさんの顧客排出事業者をご招待した「新春会」は、大盛況でした。

去年に引き続き基調講演をさせていただきましたが、皆さん非常に熱心に聞いていただきましたので、大変気持ちよくお話を終えることができました。

講演終了後に、参加者の皆さんからご質問をお受けしました。

質問を2ついただきましたが、両方ともシンプルでありながら、奥が深い質問でしたので、今日はその内容をご紹介したいと思います。

Q1:廃棄物の保管場所の届出義務は、排出事業者全般ではなく、建設廃棄物のみにかかる規制という解釈でよろしいか?
A1:そのとおりです。建設業以外には関係してこない届出義務です。

と、その場では、時間がほとんどなかったため、一問一答的にお答えしただけで終わったのですが、
実はこのご質問、今後の法律改正の動きにもからんできそうな深いテーマです。

現時点での廃棄物処理法では、「A1」でお答えした内容のとおりなのですが、
2010年改正内容の検討過程においては、届出義務の対象は建設廃棄物に限定されていませんでした。

パブコメの募集を経て、建設廃棄物限定に落ち着いたわけですが、
万が一、建設廃棄物以外にも不適正処理が目立つようになった場合は、
環境省は、「建設廃棄物以外も事前届出の対象にする可能性がある」と、パブコメへの回答で明言しております。

そのため、建設業者以外の排出事業者も、今後はいっそう適正処理を心掛け、新たな規制を加えられないように注意することが必要ですね。

講演時には触れなかった重要なポイントの補足です。

Q2:マニフェストの交付実績報告を怠った場合、どのようなペナルティがあるのか?
A2:交付実績報告を怠ったとしても、それだけでは直罰の対象にはなりません。
 ただし、現実的にはあまり考えられないケースになりますが、
「マニフェストの交付実績を報告せよ」という行政からの勧告を無視し続けると、措置命令の対象になる可能性はあります。
 措置命令違反は刑事罰の適用対象になりますので、まったく報告しなくても良いとは言えません。

マニフェストの交付実績報告をすること自体は、排出事業者の義務です。
直罰の対象にはなっていませんが、義務である以上は、やはり自ら報告しておきたいところです。

非常にまれなケースであるとは思いますが、
マニフェストが返送されていないにもかかわらず、その状態を漫然と放置した排出事業に対して措置命令が発令された実例があります。

何事も「そんなことあるわけない」と思わず、
まずは義務を果たした上で、自分や自社を守る記録化を励行していただきたいと思っております。

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廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみる Vol.2

12/28 9:36 筆者追記
 記事の全体をお読みいただけば、廃棄物のピックアップを推奨するものではないことをご理解いただけると思いますが、一部分のみを抜粋して解釈されてしまうと、誤解を生む可能性がありますので、追記しておきます。

 下記はあくまでも筆者の個人的見解であり、筆者の想定していない方法や場所で廃棄物のピックアップなどをした場合、窃盗罪や占有離脱物横領罪に問われる可能性がありますので、短絡的に解釈するのではなく、無料回収事業との対比として考えるための材料としていただければ幸いです。

昨日の、廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみるの続きです。

昨日は、

廃棄物処理業の許可を持たずに、廃棄物を有料回収するのは違法。
無料であったとしても、廃棄物の拠出を不特定多数に呼びかけ、回収をするには、やはり廃棄物処理業の許可が必要。

という2点を中心に解説しました。

今日の主題は、昨日使ったチラシに書かれていない内容ではありますが、
最近各地で出没している、駐車場などを利用した廃品の無料回収事業(以降、便宜上「無人回収」と呼びます)は合法か否か、について解説したいと思います。

結論から先に述べると、私は「廃棄物処理業の許可なしに無人回収をするのは違法」と考えています。

昨日の記事では、無人回収と対比させる意味で、「粗大ごみ置き場から有用と思われる廃棄品を回収するのは合法」と書きました。
以降の記事では、このような回収を「ピックアップ」と呼びます。

無人回収とピックアップを対比させると、問題点がわかりやすくなります。

回収方法 回収対象 占有権の状況
ピックアップ 有用物(と思われる物) 無主物先占
無人回収 有価物と無価物が混在 元所有者からの占有移転

このように、無人回収とピックアップでは、物の占有権の状況が大きく異なります。

ピックアップの場合は、廃棄するため(所有権放棄)に一般廃棄物の回収場所に置かれた後の物品(無主物)を占有する行為です。
他方、無人回収の場合は、廃棄前提で廃棄物を回収事業者に引き渡す(占有移転)させる行為です。

ピックアップと無人回収のもっとも大きな違いは、「占有移転が生じるか」どうかです。

ピックアップする対象物は、粗大ごみ(あるいは不燃ごみ)の回収場所という、外形的に廃棄物であることがわかる場所に置かれた物ですので、誰も所有権や占有権を持っていないことが明らかです。

12/28 12:50 追記
 「粗大ごみの回収場所は自治体が管理するものなので、そこから有用物をピックアップするということは、自治体の占有権を侵害するのでは?」というご指摘をいただきました。
 筆者としては、このあたりの明確な判例や、具体的に言及した学説は現在存在しないと思っております。
 ただし、どちらの見解を取るかによって、刑事罰が適用されるかどうかが明確に分かれますので、筆者とは違う見解も成り立ちうることを併記しておきます。

「駅前に自転車が長期間放置されていたので、ごみと思って自転車を頂戴したら、占有離脱物横領罪になった」
というのとはわけが違います。

ごみ置き場に置かれた物品の占有権を問題にしていたら、廃棄物回収が一切できなくなります(笑)。

もっとも、最近では、各地方自治体の条例によって、
資源ごみについては、回収場所に置かれた時点から抜き取りを禁止しているところがあります。

自治体指定の場所に置かれた古紙やくず鉄を抜き取る行為と、上記のピックアップ行為は別物として考える必要があります。

現在のところ、法的には、条例によって資源ごみのみの持ち去りが禁止されているだけで、粗大ごみや不燃ごみのピックアップは禁止されていません。
もちろん、有用品の選別のために、回収場所をごみで散らかす行為までが認められているわけではありません。

廃棄物の処理委託をする場合は、産業廃棄物を例とすると、本来は排出事業者に処理責任があるところを、処理業者に委託をして処理をしてもらうわけですので、廃棄物の引渡しと占有権の移転が同時に発生しています。

無人回収は、名目上の処理費を徴収していないだけで、元所有者が廃棄物の厄介ばらいをするために、自発的に回収事業者に占有移転をする行為ですので、やはり廃棄物の引渡しと占有権の移転が同時に発生しています。

ピックアップの際には、「廃棄物の引渡し」や「占有権の移転」が生じないことがポイントです。
回収される前に、廃棄物置き場に置かれた段階で、所有権が放棄された無主物となっているからですね。

こうして考えると、無償だからと言って、廃棄物処理法の適用を受けないとは言えないことがご理解いただけると思います。

「無償の引渡し(占有権の移転)」と「無主物先占」では、まったく意味が異なることに留意することが必要と考えています。

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廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみる

本日は、とれとれのチラシをネタに、廃品無料回収事業の違法性を解説します。

今日のネタは、昨日私の事務所があるテナントビルのポストに投函されていたチラシです。(電話番号や屋号、住所は一部モザイク処理しました)

近頃環境省でも話題の、家電の無料回収者です。

このチラシの違法性を解説する前に、完全に合法な無料回収事業とはどんなものかを先にお示ししておきます。

完全に合法な無料回収とは、古式ゆかしい(?)、粗大ごみの置き場から有用品のみをピックアップする回収事業です。

この場合は、明確に所有権が放棄された物品(無主物)を、回収者自身の意思と行動で回収し、回収者の占有物とする行為ですので、廃棄物処理には該当しないと考えられます。
このようなケースでは、売れないもの(不用物)が回収されることはありませんので、民法の無主物先占の問題だけになるからです。

仕入れが無料なので、昔はこのような回収方法でもかなり儲かっていたようです。

では、最近流行のガレージなどを流用した、無料回収スペースはどうなのか?

こちらも解説しようと思いましたが、記事が長くなりすぎるので、明日のブログで解説します。

本題の、チラシの違法性に話を戻します。

まずは、もっともわかりやすいところから
チラシ中段の「一部有料の物もあります。」から下は完全に違法です。

「有料で廃棄物処理をしてやる」と言いたいのなら、廃棄物処理業の許可を受けなければいけないからですね。

ひょっとすると、チラシには書いていないだけで、廃棄物処理業の許可を持っている可能性がありますが、それも少し考えにくいですね。

では、上段の「無料回収品目一例(何点でもOK!)」の部分はどうでしょうか。

「無料なら廃棄物じゃないので合法」でしょうか?

どうもこのあたり、上記の「無主物先占」と「廃棄物の無価性」が混同されているような気がします。

排出者に対して働きかけ、廃棄物を拠出させている時点で、「無主物先占」ではなく、
廃棄物処理を前提とした「占有移転」と考える方が合理的です。

「元々の所有者が所有権を放棄した後に回収するのは合法と言ったじゃないか」と指摘をされそうですが、それへの反論は明日のブログで。

今日のところは、「無料で処理してやるから、ドンドン廃棄物を持って来いよ」という行為には、やはり廃棄物処理業の許可が必要という点に納得していただければ十分です。

繰り返しになりますが、その理由は、他人に売れない不用物の処理を、反復継続する業として請け負う行為だからです。

最後に、最下段の「古物商許可」について言及しておきます。

結論から言うと、このチラシでうたっている事業だと、古物商の許可は一切必要ありません。

古物営業とは
古物の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」を行う営業であり、
無償で廃棄物を回収する行為は、この範疇にあてはまらないからです。

廃棄物を有用品として買い付ける場合は、品物によっては、古物営業に該当することがありますが、
チラシでうたっているとおりに、「無料」または「廃棄物処理費の徴収」ということであれば、古物営業には該当しません。

古物営業法は、盗品の売買や流通を規制する法律ですので、
「盗品を無償で譲渡する気前のイイ奴なんていないよ」ということで、無償譲渡は古物営業の範疇に入らないのです。

というわけで、今回ご紹介したチラシは、上から下まで「真っ黒クロスケ」なのでした。

しかし、モグリ業者ながら、「遺品整理」や「店舗整理」に目を付けているところなどは、今後の需要増にマッチしていますので、目が高いと思います。

「ビジネスネタはモグリ業者に学べ」ですね(笑)。

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保健所長名でなぜ処理業の許可ができるのか

先日出席したある飲み会で、「知事名ではなく、保健所長名で収集運搬業の許可証を出せるのか」という議論になりました。

行政手続きが話題になるなんて、どんな飲み会なんだ?(笑)

結論を先に書くと、「出せます」。

その根拠は、地方自治法に次のとおり定められているからです。

地方自治法
第153条  普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し、又はこれに臨時に代理させることができる。

たしかに、廃棄物処理法では、都道府県知事に許可権限が付与されていますが、
地方自治法でこの規定があるために、収集運搬業の許可権限を、知事から保健所長に委任することが可能となっているのです。

保健所長などに委任された権限は、知事ではなく、保健所長が自己の名において行使することになります。

委任するかしないかは、各自治体の長の任意ですので、
都道府県知事名で許可証が出るところもあり、保健所長名で出るところもあるのです。

私が所属していた兵庫県では、
収集運搬業の許可は知事
廃棄物処理施設の設置許可については、知事から県民局長に委任がされていました。
即ち、県民局長名で、廃棄物処理施設の設置許可証が発行されるのです。

その他、本来は都道府県知事の権限である「報告徴収」も、県民局長に委任されていますので、
県民局長名で報告徴収を実際にしたことがあります。

ちなみに、知事から職員への権限委任は、
条例ではなく、「規則」や「告示」でなされていることが多いです。

条例で定めてしまうと、新たな事務を委任したい場合に、改めて議会で議決を得る必要があり、機動的に事務が執行できないからです。
規則や告示の場合は、行政に認められた権限の範囲で、自由に改定が行えます。
とはいえ、規則改正だけでも大変な事務手続きが必要なのですが(笑)。

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産業廃棄物処理場で火災が起こったら

今回の記事は、火災が発生した処理企業に関する考察ではなく、
処理困難通知に関する一般的な解説です。

具体的な状況を思い浮かべていただくために、念のために火災に関する事件報道をリンクしておきます。
asahi.com 東京・国立の工場で火災 延焼続く

このような火災事故が起こった場合、
「当該処理業者は処理困難通知の対象となるのか」というご質問を受けました。

結論から先に書くと、
1.事故の発生により、未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達した場合
2.施設の休止届を出した場合

のいずれかにあてはまる場合は、当該処理業者は処理困難通知を出す必要があります。

処理困難通知の対象

処理困難通知

産業廃棄物処理施設に損傷が無く、稼働が可能な状態であるならば、
処理困難通知を出す必要がありません。

また、事故の発生が即、処理困難通知の対象になるわけでもなく、
未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達しない限り、処理困難通知を出す必要はありません。

しかし、休止届を提出した場合は、自動的に処理困難通知を出す必要があります。

処理困難通知を出す対象となる排出事業者は、
委託契約をしている全排出事業者ではなく、
処理できない産業廃棄物に係る排出事業者のみとなります。

具体的には、マニフェストのD票を返送できていない排出事業者になりますね。

必要な対応

処理困難通知を受けた後に必要な対応は次のとおりです。
処理困難通知後に必要な対応

排出事業者には、「措置内容等報告書」を提出しなければならないという煩雑な義務が課されますので、
できればそのような鬱陶しい通知は出さないでほしいところですが、
法律で対象となる要件が決められている以上、該当した処理業者は必ず通知をしなければなりません。

契約解除が必要な場合もあり

その他、「必要な措置」の具体例としては、契約解除や再委託をしてもらうなどの手段を検討する必要があります。
必要な対応の具体例

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(環廃対発第110204005号・環廃産発第110204002号、都道府県・政令市廃棄物主管部(局)長宛 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長/産業廃棄物課長通知) p19より抜粋。

処理業者にとっても、契約解除に結びつく大変不名誉な通知ですので、
急な操業停止を強制されることのないよう、法律に適合した操業を徹底する必要がありますね。

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テナントビルのビル管理会社への契約委任の可否

排出事業者と処理業者の双方のクライアントから頻繁にいただく質問なのですが、
「行政刷新会議資料に、『テナントは産業廃棄物処理委託契約をビル管理会社に委任できる』と書いてありますので、ビル管理会社が排出事業者として契約できるんですよね」というものがあります。

個人的には、私もその方が社会効率性が高いと思うし、問題もないと思いたいです。

しかし、廃棄物処理法を忠実に解釈・運用すると、上記の方法には問題があります。

その理由を解説する前に、まずは行政刷新会議資料そのものを見ておきましょう。

行政刷新会議グリーンイノベーションWG資料 p79 

行政刷新会議事務局からの問題提起

 テナントビル、ショッピングモール、商店街など、複数の事業者が共同して3Rを推進することが適切かつ可能な場合がある。このような場合、マニフェストはビルの管理会社等が自らの名義で交付等の事務を行ってもよいとされているが、委託契約は個々の事業者が締結する必要がある。しかし、個々のテナントが処理委託契約を締結することは現実的ではなく、かつ複数の排出事業者の連携による3Rを阻害している。
 したがって、当事者間の契約に基づき、これらのグループを代表するものが排出事業者となることで、全体の廃棄物の3R促進および適正な処理委託を可能とするべきである。

環境省の回答

・契約締結に関し、委任状を交付し委任するのであれば、各テナント会社はその排出事業者責任までをも転嫁しうるものではないが、ビル維持管理会社等が一括して委託契約を締結することは可能である。
・なお、廃棄物処理法上、産業廃棄物の処理を委託する場合には、当該産業廃棄物の処分の場所や、受託者の許可の範囲等を記載した委託契約書により行うことを義務付け、委託者である排出事業者に、受託者が適切に当該産業廃棄物の処理の事業を行えるかどうかを確認させ、排出事業者責任の徹底を図っているところであり、この趣旨からは、委託者である排出事業者が受託者と自ら直接契約を締結することが望ましい。

環境省の回答を斜め読みすると、「委任状を交付したらOKなのね」と解釈する人が多いと思います。

しかし、本質的に重要な部分は、赤字の部分「各テナント会社はその排出事業者責任までをも転嫁しうるものではない
ここなんです。

「委任状交付したらOK」と解釈する人は、
「ビル管理会社と処理業者の2者契約で良いのだ」と考えていると思いますが、

それだと、各テナントの排出事業者責任を、全面的にビル管理会社に転嫁していることになります。

環境省の解釈を正確に理解するためには、「委任」の定義を理解する必要があります。

法律的には、委任とは、「ある事務の処理を自分以外の他人に任せること」になります。

私の業務で言うと、許認可申請事務の委任を受け、行政庁に申請書を提出する行為が委任にあたります。

で、このケースを例にしてお話しすると、
100社から産業廃棄物収集運搬業の許可申請事務の委任を私が受けたとします。

私は100通りの許可申請書を作ることになりますが、
その時、許可を受けようとするそれぞれの申請者は100通とも「尾上雅典」になるのでしょうか?

違いますね。依頼者の100社の名称をそれぞれ書くことになります。

私は、あくまでも申請書提出の委任を受けただけであり、尾上雅典名義の許可を受けることを頼まれたわけではありません。

環境省が念押ししている、「排出事業者責任の転嫁」というのは、尾上雅典名義で100個の許可を取ることを指します。
※現実的には、同一行政の許可を同一人物が同内容で取るのは不可能ですが、たとえ話ですので(笑)。

おそらく、環境省が言いたいのは、
「委任状」をビル管理会社に交付すれば、ビル管理会社にテナントと処理業者の契約代理をしてもらうことは可能
ということだと思われます。

具体的にはこういうイメージですね。

甲 テナント
乙 甲代理人 ビル管理会社
丙 処理業者

上記の場合、ビル管理会社に委任状を交付しているので、
「乙 甲代理人 ビル管理会社」という表記は無くても良いと思います。

甲 テナント
乙 処理業者 という形式でも可という意味です。

逆に、こういうのはダメよというイメージはこうなります。

甲 ビル管理会社
乙 処理業者

「現実と乖離している」という批判や意見があることは重々承知しておりますし、私も実務的には、ビル管理会社と処理業者の直接契約でも問題は発生しないだろうと思います。

しかし、法律で委託契約書の作成が排出事業者に義務付けられている以上、やはり勝手な解釈は危険だと言えます。

もっとも、現状では、テナントが廃棄物処理費を個別に負担しているケースは少なそうですから、
上記の方針を徹底した場合でも、実質的にはテナントは契約書にハンコを押すだけとなります。

本当に大変なのは、テナントごとの委託契約書を用意するビル管理会社だけですね。

通常の賃貸借契約時に一緒に準備しておけば、それほど大変な手間でもありませんが。

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乗馬学校に罰金400万円の言い渡し

産経ニュース 不法投棄の乗馬学校運営会社に罰金刑 千葉地裁 から記事を転載します。

 乗馬施設の解体工事で生じた廃材約27トンの処分を無許可業者に委託するするなどし、不法に投棄したとして、廃棄物処理法違反の罪に問われた乗馬学校運営会社「宝馬グラウンド」(東京都)などの判決公判が24日、千葉地裁で開かれた。赤松亨太裁判官は、同社に罰金400万円(求刑罰金500万円)を言い渡した。業者に処理を委託した同社アルバイト従業員の男(66)については執行猶予付きの有罪判決とした。

 赤松裁判官は「同社は十分な指導、監督をせずに廃棄物処理を従業員に任せており、適正に処分する姿勢が不十分だった」とした。

 同社が運営している乗馬学校は、日本中央競馬会(JRA)所属の三浦皇成騎手らを輩出している。

解体工事を乗馬学校が自らしたのかどうかが疑問なのですが、
排出事業者に対する罰金としては、400万円というのはかなり高い罰金です。

無許可業者への委託は、
廃棄物処理法第25条により、「5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金」という、廃棄物処理法で一番重い刑事罰の対象となります。

委託契約書を作らずに委託をすると「委託基準違反」となりますが、
この場合は廃棄物処理法第26条により、「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金」と、一等軽い刑事罰です。

無許可業者への委託は、不法投棄と同視されるほどの犯罪になります。

業態のいかんを問わず、産業廃棄物の処理委託をする際には、必ず相手の処理業の許可の内容を調べるのが基本です。

違う言い方をすると、
適切な許可を持った処理業者に、委託基準に則った委託をしておけば、
万が一委託先が不法投棄をした場合でも、排出事業者は刑事罰の適用対象にはなりません。
(※措置命令という行政処分の対象になる場合はあります)

委託先の許可内容の確認は、必ずやらねばならない行動ではありますが、
その目的や効能がハッキリすれば、やろうと思うようになりませんか?

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再委託の可否

10月14日に配信したメールマガジンを転載します。

 基本的に廃棄物処理業者が再委託をしてはならないということは、広く知られているところですが、

 産業廃棄物の場合は、
 再委託をする前に、委託者(排出事業者)から書面で再委託することの承諾書を取れば、例外的に再委託が認められています。
 (廃棄物処理法第14条第16項)

 ※関連ブログ記事
 事前の再委託承諾契約は合法か?
 

 しかし、一般廃棄物については、
 産業廃棄物のような再委託を認める規定がないため、一般廃棄物処理業者や市町村から一般廃棄物の処理を委託された事業者は、いかなる事情があろうとも、再委託することができません。
 (廃棄物処理法第7条第14項)

 ただし、東日本大震災によって発生した震災廃棄物については、
 被災地復興のための例外措置として、
 被災した市町村から一般廃棄物廃棄物処理を委託された事業者に、
 平成26年3月31日までという期間限定で再委託することが認められています。

※被災市町村が災害廃棄物処理を委託する場合における処理の再委託の特例について
 http://www.env.go.jp/jishin/attach/go23_215a.pdf

 上述したように、この特例は、東日本大震災の被災地限定の例外措置ですので、震災被害がない地域においては、従前どおり、一般廃棄物処理の再委託をすることはできません。

 一般廃棄物処理に携わっている事業者の方にとっては、非常に重要、かつ基本的な規制内容となりますので、くれぐれも間違えて理解しないようにお願いします!

 実務では、再委託の承諾書などを取ることなく、中間処理業者が未処理の産業廃棄物を平気で横流ししていることが多いのですが、これは「再委託」に該当しますので、完全に違法行為です。

「中間処理の許可を取ったら、積替え保管を自由にできるんだろ?」と真面目に質問する方が大変多いのですが、「中間処理」と「積替え保管」はまったく別物の許可ですので、未処理の産業廃棄物をそのまま搬出したい場合は、積替え保管の許可が必要となります。

 もっとも、積替え保管の許可を取ったからといって、積替え保管業者が廃棄物を自由に横流し(?)できるわけではありません。

 積替え保管業者は、委託者(排出事業者)が指定した場所まで廃棄物を運搬する義務があります。

 積替え保管業者が行えるのは、廃棄物と有価物の選別と、選別した有価物の売却の2つです。

 積替え保管業者が自由に産業廃棄物の行先を決めることはできません。

 余談が少し長くなりましたが、実務上非常に重要な条文になりますので、処理業者の方にとっては、最重要チェック条文と言えます。

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多量排出事業者の産業廃棄物処理計画の公表

2010年改正で、まだ施行されていなかった最後の部分、「多量排出事業者の産業廃棄物処理計画の公表」が、10月1日より施行されました。

当ブログ関連記事 2010年廃棄物処理法改正の解説(7) 多量排出事業者

10月1日より施行された改正法の内容は、
「都道府県知事による『インターネット』での公表」についてです。

全部の自治体はチェックしていませんが、10月1日(土)は休日であるため、前日の9月30日(金)付で公表を始めた真面目な自治体がありました。

例:福井県
ざっと見たところ、福井県のように、法律改正の施行日に合わせて公表しているところは少数派のようです。

計画の公表自体は、従前より行政の窓口を訪問し、閲覧をすることが可能でした。

しかし、それではやはり不便ですので、今回のような情報公開の方向で進む改正がなされたことは喜ばしいものです。

もっとも、多量排出事業者の産業廃棄物処理計画や、前年度の計画の実施状況は、どちらもその排出事業者の全体的な概要を公表するものですので、
これを見るだけで、その企業の活動実態などを理解できるわけではありません。

ただ、マクドナルド創業者のレイ・クロックの自伝にもあるとおり

成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者

企業の活動実態は、ゴミ箱の中にこそよく現れるものですので、
今後「実施状況」をベンチマークし、その企業の廃棄物処理量の経年変化などを調べてみると面白そうです。

多量排出事業者は、年間1,000t以上の産業廃棄物を発生させる事業者ですので、建設会社や電力会社などが多数含まれています。

多量排出事業者にしても、インターネットで全世界中に公表される事実を正確に認識し、
安易な前例踏襲で適当に提出をするのではなく、思わぬところで批判や非難の対象になるかもしれないと考えながら、
正確なデータと予測に基づき、書類を提出する必要があるでしょう。

「千丈の堤も蟻の一穴」という故事があるように、
大したことがないと思っていた油断が積み重なると、組織崩壊のきっかけになることもあります。

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