委託基準のアーカイブ

現在の廃棄物処理法違反のトレンド

 廃棄物処理法違反というと、真っ先に思い浮かぶのが「不法投棄」だと思います。

 しかし、実際には、排出事業者が不法投棄に巻き込まれる可能性は、それほど高くありません。

 最近では、不法投棄をしても、誰が捨てたのかがすぐ判明し、警察に逮捕されてしまうなどの、「ハイリスク・ローリターン」な犯罪になってしまったからです。

 そのような誰の目にも明らかな廃棄物処理法違反は、10年前と比べると随分減った印象がありますが、その代わりに、現在の廃棄物処理法違反は、10年前の手口よりも数段巧妙化しています。

 委託契約書やマニフェストを斜め読みするだけでは気づけない不正行為が増えているのです。

 残念なことに、廃棄物処理法上は、委託に関する基準に違背してしまうと、排出事業者自身が罪に問われることになります。

 
 次回から、具体的な事例を元に、普通の読み方では見落としがちな委託基準のポイントを解説します。

委託契約締結後の注意点

委託契約を結んだ後も、以下に示すポイントを常にチェックし、間違った方法で処理委託をしないよう、気をつけてください。

  1. 産業廃棄物処理委託契約書の内容
    契約で決めた処理料金は、一般的な料金と比較して、著しく高くない(または安くない)か、委託先は許可の取消しなどを受けていないか、などを常にチェックしておきましょう。
  2. 産業廃棄物の引渡し時
    産業廃棄物を引き渡す際は、「引き渡す産業廃棄物は、契約書に記載したとおりか」「産業廃棄物に危険な物質を混入させていないか」「契約の相手方の収集運搬業者が引き取りに来たか」「契約書に記載した数量を大幅に超える量の産業廃棄物を処理させていないか」などをよく確認し、産業廃棄物をマニフェストとともに、処理業者に引き渡します。また、そのときには、マニフェストの控え(A票)を忘れずに受け取らねばなりません。
  3. 収集運搬の委託の際の注意点
    収集運搬業者に産業廃棄物を引き渡すときは、過積載の原因となるような大量の産業廃棄物を、一度に運ばせないよう気をつけてください。
  4. マニフェストの返送があったとき
    マニフェストの返送を受けたときは、「期限内に運搬終了の報告(B2票)が返ってきたか」、「指定した処分先に持ち込まれたか」、「期限内に処分終了の報告(D票)が返ってきたか」、「期限内に最終処分終了の報告(E票)が返ってきたか」、「マニフェストの記載にもれはないか」、「マニフェストの記載は、委託契約書のとおりか」、などを必ず確認するようにします。
  5. 委託契約書とマニフェストの保存
    委託契約書とマニフェストを5年間保存しなければなりません。しかし、不法投棄などが発生した場合には、6年以上前の委託状況を質問してくる行政庁が増えていますので、5年間といわず、可能な限り保存しておくのが安全です。

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マニフェスト(委託基準3)

マニフェスト(manifest)とは、「積荷目録」や「乗客名簿」を意味する英語です。

廃棄物管理の現場で使用するマニフェストは、正式な名称を「産業廃棄物管理票」と言います。

「産業廃棄物管理票」は、アメリカの有害廃棄物管理制度を参考にして、その仕組みを日本に導入したものですので、アメリカでの用語名「manifest」を日本でも俗称として採用しています。

マニフェストは、「収集運搬」や「中間処理」といった産業廃棄物処理の各プロセスごとに、産業廃棄物を処理した記録を残すための伝票です。

マニフェストは、産業廃棄物の排出事業者が発行しなければなりません。

また、原則的には、産業廃棄物の引渡し時に発行・交付することが必要です。

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委託契約書(委託基準2)

委託契約書とは、排出事業者が産業廃棄物の処理を産業廃棄物処理業者に委託する際に締結する契約書のことです。

通常の契約行為は、当事者間の意思の合致だけで成立し、契約書という書類があるかどうかは、契約の効力に関係がありません。

しかし、産業廃棄物の処理委託契約の場合は、排出事業者(委託者)と産業廃棄物処理業者(受託者)間で委託契約書を作成しないと、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という刑事罰の適用対象となります。

「罰則が怖いから」契約書を作成するのではなく、契約書の本来の目的である、「書面によって両当事者の意思を明確にする」ことを念頭に置けば、懲役刑や罰金刑を恐れる必要はまったくありません。

確かに、廃棄物処理法では、契約書の細かな記載事項を規定していますが、それはすべて産業廃棄物の適切な処理のために必要な内容であり、よく考えると、合点がいくものばかりです。

排出事業者と処理業者の別を問わず、「相手や行政がうるさいから」ということではなく、「自社の権利を守る」ためにも、契約書の内容をよく理解しておくことが大切です。

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委託先(委託基準1)

産業廃棄物の処理を委託するときは、産業廃棄物処理業の許可を持った事業者等に委託しなければなりません。

また、当然のことですが、「産業廃棄物処理業の許可を持っているならば、どんな許可でも良い」ということはなく、委託しようとしている産業廃棄物そのもの(「紙くず」「木くず」など)を処理できる許可でなければなりません。

例えば、産業廃棄物の「木くず」の運搬を依頼する場合は、「木くず」の収集運搬許可を有している産業廃棄物処理業者に運搬を委託しなければなりません)

ちなみに、産業廃棄物処理業の許可を持っている事業者以外にも、適法に産業廃棄物の処理委託をすることが可能な場合があります。

現行法で認められているケースを、具体的に以下列挙します。(廃棄物処理法第12条第3項、同施行規則第8条の2、第8条の3)

収集運搬を委託できる者(収集運搬業者以外を列挙)

  • 市町村または都道府県
  • 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集または運搬を業として行う者
  • 「海洋汚染防止法」の許可を受けて廃油処理事業を行う者または国土交通大臣に届け出て廃油処理事業を行う港湾管理者もしくは漁港管理者
  • 再生利用されることが確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者であって、都道府県知事の指定を受けた者
  • 広域的に収集運搬することが適当であるものとして環境大臣が指定した産業廃棄物を適正に収集又は運搬することが確実であるとして環境大臣の指定を受けた者(当該産業廃棄物のみの収集又は運搬を営利を目的とせず業として行う場合に限る。)
  • 広域臨海環境整備センター法に基づいて設立された広域臨海環境整備センター
  • 日本下水道事業団
  • 産業廃棄物の輸入に係る運搬を行う者(自ら輸入の相手国から本邦までの運搬を行う場合に限る。)
  • 産業廃棄物の輸出に係る運搬を行う者(自ら本邦から輸出の相手国までの運搬を行う場合に限る。)
  • 食料品製造業において原料として使用した動物に係る固形状の不要物(事業活動に伴って生じたものであって、牛の脊柱に限る。)のみの収集又は運搬を業として行う者
  • と畜場においてとさつし、又は解体した獣畜及び食鳥処理場において食鳥処理をした食鳥に係る固形状の不要物(事業活動に伴つて生じたものに限る。)のみの収集又は運搬を業として行う者
  • 動物の死体(事業活動に伴つて生じたものであつて、畜産農業に係る牛の死体に限る。)のみの収集又は運搬を業として行う者
  • 環境大臣又は都道府県知事が自ら生活環境の保全上の支障の除去等の措置を講ずる場合において、環境大臣又は都道府県知事の委託を受けて当該委託に係る産業廃棄物のみの収集又は運搬を行う者
  • 再生利用認定を受けた者(当該認定に係る運搬限定)
  • 広域認定を受けた者(当該認定に係る運搬限定)
  • 無害化処理の認定を受けた者(当該認定に係る運搬限定)

処分を委託できる者(処分業者以外を列挙)

  • 市町村または都道府県
  • 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者
  • 「海洋汚染防止法」の許可を受けて廃油処理事業を行う者または国土交通大臣に届け出て廃油処理事業を行う港湾管理者もしくは漁港管理者
  • 再生利用されることが確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物のみの処分を業として行う者であって、都道府県知事の指定を受けた者
  • 広域的に処分することが適当であるものとして環境大臣が指定した産業廃棄物を適正に収集又は運搬することが確実であるとして環境大臣の指定を受けた者(当該産業廃棄物のみの処分を営利を目的とせず業として行う場合に限る。)
  • 広域臨海環境整備センター法に基づいて設立された広域臨海環境整備センター
  • 日本下水道事業団
  • 動物の死体(事業活動に伴つて生じたものであつて、畜産農業に係る牛の死体に限る。)のみの処分を業として行う者
  • 環境大臣又は都道府県知事が自ら生活環境の保全上の支障の除去等の措置を講ずる場合において、環境大臣又は都道府県知事の委託を受けて当該委託に係る産業廃棄物のみの処分を行う者
  • 再生利用認定を受けた者(当該認定に係る処分限定)
  • 広域認定を受けた者(当該認定に係る処分限定)
  • 無害化処理の認定を受けた者(当該認定に係る処分限定)

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産業廃棄物委託基準とは

産業廃棄物の処理責任は誰に?では、産業廃棄物の排出事業者の処理責任について書きました。

委託

自分で産業廃棄物を処理できない排出事業者は、産業廃棄物処理業者などに「私の代わりにこの産業廃棄物を処理してください」とお願いしなくてはならないわけですが、廃棄物処理法では、そのお願いの方法が決められています。

産業廃棄物処理業者へのお願いの方法(=委託基準)

法第12条 1項から3項は略
4  事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。


委託基準の具体的な内容

廃棄物処理法施行令第6条2
法第12条第4項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条及び次条において同じ。)の運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
二 産業廃棄物の処分又は再生にあつては、法第十五条の四の五第一項 の許可を受けて輸入された廃棄物以外の廃棄物に限り委託することができることとし、かつ、他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
三 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量

ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地

ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力

ニ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第三項 に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力

ホ その他環境省令で定める事項(委託契約に含まれるべき事項)

四 前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること。
五 第六条の十二第一号の規定による承諾をしたときは、同号に規定する書面の写しをその承諾をした日から環境省令で定める期間保存すること。

これらの基準をわかりやすく整理すると、排出事業者が守るべき委託基準とは、

  • 許可業者への適法な委託
  • 委託契約書の作成
  • マニフェストの運用

の3点にまとめることが可能です。

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