法改正

2010年廃棄物処理法改正 建設廃棄物の取扱い(2)

(新)廃棄物処理法第21条の3第1項


 第2回目は、「建設廃棄物の排出事業者」についてです。
  
 今回は、「第21条の3第1項」の条文の内容を詳しく解説します。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3 土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第3条第2及項及び第3項、第4条第4項、第6条の3第2項及び第3項、第13条の12、第13条の13、第13条の15並びに第15条の7を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負った建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。


 法律の条文のままだと大変読みにくいので、括弧書きされた部分を無視して、エッセンスのみを大胆に抽出してみましょう。

 第21条の3第1項のエッセンスを抽出すると、次のような意味になります。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3 土木建築に関する工事が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律の規定の適用については、当該建設工事の注文者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。


 こうなると、文章の意味がかなりわかりやすくなります。

 第21条の3第1項は、「建設工事によって発生した廃棄物については、『元請業者』を排出事業者とする」と定めています。

 この条文だけを見ると、従来の行政運用を改めて明文化しただけのように思えますが、実際には、次回以降で解説する「例外」規定の取扱いに注意していく必要がありそうです。


 まずは基本原則として、「建設廃棄物の排出事業者は元請業者になる」ということを覚えておきましょう。

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廃棄物処理法改正案が閣議決定される

 廃棄物処理法改正の予定については、既に当ブログでもご紹介してきたところです。

 3月5日(金)に、正式に廃棄物処理法改正が閣議決定され、第174回国会に改正案が提出されることになりました。

 平成22年3月5日 環境省報道発表資料

 これから国会で審議されることになるわけですが、民主党政権が国会で過半数超の勢力を保持している以上、ほぼ原案通り可決されるものと思われます。

 今回は閣議決定のお知らせのみのショートバージョンですが、次回から、法律改正案の骨子の解説に戻ります。

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2010年廃棄物処理法改正 建設廃棄物の取扱い(1)

 ※関連記事 平成22年廃棄物処理法改正案が公開されました

 第1回目は、「建設廃棄物の取扱い」についてです。

 ※廃棄物処理法改正(案)は、下記の環境省政策会議のURLから入手できます。
 http://www.env.go.jp/council/seisaku_kaigi/epc012.html


 今回の改正では、それまで曖昧であった、建設工事から発生する産業廃棄物の取扱いについて、初めて廃棄物処理法に明記されることになります。

 しかも、「第21条の3」という、一つの条文として独立した規定がされそうです。

 さきほどご案内した、環境省政策会議資料から、該当する条文を抜粋します。
(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第二十一条の三 土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄異物の処理についてのこの法律(第三条第二及項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負った建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

2 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について当該建設工事を他の者から請け負った建設業を営むものから当該建設工事の全部又は一部を請け負った建設業を営む者(以下「下請負人」という。)が行う保管に関しては、当該下請負人もまた事業者とみなして、第十二条第二項、第十二条の二第二項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定を適用する。

3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(当該廃棄物が産業廃棄物であり、かつ、当該下請負人が産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者である場合において、元請業者から委託を受けた当該廃棄物の運搬又は処分を他人に委託するときを除く。)には、第六条の二第六項及び第七項、第十二条第五項から第七項まで、第十二条の二第五項から第七項まで、第十二条の三並びに第十二条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

 カッコ書きが多く、大変読みづらい文章かと思いますが、曖昧模糊としていた法律の運用を、この機会に一新しようとする環境省の思いが伝わってくる条文です。
 原則である第1項よりも、第2項から第4項までの、下請業者に関する規定が大変重要となります。

 今回は条文のご紹介だけで解説を終えますが、今回の廃棄物処理法改正は、平成3年の改正に匹敵するくらいの重要なきっかけとなるものだと考えています。

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平成22年廃棄物処理法改正案が公開されました

 環境省が2月19日に開催した「政策会議」で示した廃棄物処理法改正(案)が公開されました。

 廃棄物処理法改正(案)は、下記のURLから入手できます。
 http://www.env.go.jp/council/seisaku_kaigi/epc012.html

 改正案を全部印刷すると、A4用紙で158ページにもなり、忙しい皆さんが全文を読みこなす時間は無いと思いますので、今回は改正案の概要のみを速報いたします。

 改正案の詳細は、後日改正の全容が判明した時点で、再度解説してまいります。


 主な改正ポイント
1.事業所の「外」で産業廃棄物を保管する際に事前届出が義務化される
 届け出を怠った場合には、「6月以下の懲役、若しくは50万円以下の罰金」という刑罰が予定されています。

2.建設廃棄物の処理責任を、元請業者に一元化
 ここだけ読むと、元請業者のみが排出事業者に一元化されるように思えますが、改正案を精読すると、下請業者が排出事業者として独自に委託契約をしたり、運搬・保管をする方法が制定されそうです。

3.不適正処理された廃棄物を発見した「土地所有者」に対して、行政への通報が努力義務となる

4.従業員が不法投棄をした場合に、事業者である法人に対し、最高で3億円の罰金に(現在は1億円以下の罰金であった)

5.廃棄物処理施設の設置者に対し、行政から定期的な検査を受けることを義務付け

6.排出事業者に対し、委託先処理業者の処理状況を確認することを努力義務として求める

7.優良処理業者に対して、許可の更新期間が伸びるというインセンティブが付与される模様
 具体的な条件は、今回の法改正ではなく、環境省令などで決定される予定

8.許可の連鎖取消が起こる条件が、廃棄物処理法上特に悪質な違法行為に限定される模様

9.措置命令の対象が拡大
 具体的には、収集運搬や保管行為などが新たに措置命令の対象となる

10.廃棄物熱回収事業者の登録制度の創設
 具体的な内容はまだ不明

 実務上大きな影響がありそうなのは、上記の10項目です。
 それ以外にもたくさんの改正内容があるのですが、主な点だけをピックアップすると、上記の10項目になろうかと思います。

 改正案を見て驚いたのは、処理業界が熱望していた「収集運搬業許可申請手続きの簡素化」がスッパリ抜け落ちていたことです。

 現在、全国で109の自治体が収集運搬業に関する許可権限を持っているのですが、それではあまりにも多いということで、廃棄物処理制度専門委員会報告書では、事実上都道府県に一本化する提言がされていました。

 しかし、改正案のどこを見ても、その簡素化に触れた個所がありませんでした。

 その他にも、専門委員会報告書では触れられていない改正事項がたくさんありますので、「急に現れた規制」や「消された提言」などの背景を読み解くと、環境省や政権の意向が手に取るようにわかるものと思います。

 3月4日の東京セミナーでは、そのあたりの社会的背景を少し解説してみたいと思っています。

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廃棄物処理制度専門委員会報告書へのパブリックコメントの結果

 正式に記者発表されてはいませんが、「廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)」に対するパブリックコメントの結果と、それに対する環境省の見解が、第12回廃棄物処理制度専門委員会において審議されました。

 http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0320-12b.html

 当ブログの関連記事
 廃棄物処理制度専門委員会報告書へのパブリックコメント募集中


 環境省によると、83者から、合計457件のパブリックコメントが寄せられたそうです。

 パブリックコメントの詳細が公表されていますので、その詳細を読んでみましたが、概ね「意見」と言うよりは、「主張」に近いものばかりでした。

 中には、報告書の表現を若干変えさせるのに成功した論理的な指摘もあったのですが、大部分のコメントは、報告書の内容を読み込まずに勢いで提出されたものが多いように感じました。


 パブリックコメントを受けて、報告書の内容がどうなるのかを現時点で断定することはできませんが、少なくとも、パブリックコメントを見る限りでは、報告書(案)の方向性が大きく変わることはなさそうです。

 今後は、報告書の内容を踏まえて廃棄物処理法の改正作業に入ることになりますが、報告書では抽象的にしか触れられていない分野が多く、具体的にどのような改正がなされていくのかを、今後も注視する必要がありそうです。

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平成22年度廃棄物処理法改正の方向性

 このたびの廃棄物処理法改正は、従来型の川下(処理業者)規制という前例を踏襲せず、川上(排出事業者)対策に思い切ったシフトチェンジを図ろうとしているようです。

 廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)から該当する部分を抜粋・要約します。
 

1.排出事業者責任の強化・徹底
・小規模施設(=設置許可不要)で自社処理をしている排出事業者にも、帳簿の作成と保存を義務付けるべき
・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・委託先の処理業者のところを定期的に訪問し、委託契約どおりに処理されているかどうかを、排出事業者に確認させるべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき


 排出事業者に対しては、これだけの規制が追加される可能性があります。

 専門委員会で特に議論が紛糾した個所としては、「委託先処理業者に対する実地確認」を義務化するかどうかについてでした。

 結論としては、実地確認が罰則付きの義務とされることはなさそうですが、契約締結時の努力義務化される可能性は高そうです。

 専門委員会では、実地確認の義務化をした場合の影響について、建設業界を代表する委員がこのように発言していました。

 第10回専門委員会 塚田委員(日本建設業団体連合会環境委員会地球環境部会長)の意見

 実際問題としましては、例えば私日建連の企業などは、これは自主的に実地確認はやっております。
 やっているんですが、自分が出した廃棄物のトレーサビリティーを全部して、それを確認しなさいというのは、前から申し上げているように、これは無理だと思います。
 それで、こういう実地確認ということと、それから私この文言に資料3の2ページで出させていただきましたように、実は適正なサービスを委託しているという委託側、つまり中間処理業者とか処分業者の情報の公開とかその辺を義務づけて、それから、後ほど出てくる優良業者とは何かという定義の中で、遵法性、情報公開、環境保全云々とあるわけで、この辺のところがきちんと情報公開されれば、つまり、優良な業者とは何かということになれば、入ってくるほうと特に出のほうの収支がはっきりしている会社というのが優良な業者ということになりますので、優良な処理業者の情報とこの辺をセットにして、私がここに書きましたように、その辺の情報提供あるいは公開を義務づけて、むしろ排出事業者がその辺の開示情報に基づいて処理の確認ができる。
 これをセットでやってもらわないと、これは恐らく無理だと思いますので、ぜひその話は、優良業者とは何かということともつながってくる話だというふうに思っております。

 私個人としても、塚田委員の主張が正しいと考えます。

 排出事業者による実地確認は、排出事業者自身の法的リスク(委託先が適切な処理業者かどうか)に対処するために行うものであり、廃棄物の日々の流れをトレースするために行うものではないからです。

 現実的な問題として、廃棄物の流れを、リアルタイムでトレースするのは、ICタグなどを用いないかぎり不可能です。
 また、ICタグをすべての廃棄物にくっつけるのは、資源と労力の無駄遣いです。

 
 環境省としても、「排出事業者は、日々の廃棄物の動きをトレースせよ」と言っているわけではないため、そんな思惑はないものと考えられますが、排出事業者責任が年々強化される様子を見て、産業界を中心に、実地確認を受けれいれる側の処理業界も、実地確認の義務化には強い拒絶姿勢を示しています。

 しかしながら、企業の法的リスクに対処するためには、担当者自身が現場を訪れ、実際に廃棄物が処理される様子を見学することが絶対に必要です。

 実地確認を義務化するか、しないか
 実地確認をするか、しないか
 という二者択一ではなく、冷静に法的リスクを把握し、それに対処するためにはどういう行動が必要なのかを、もっと冷静に議論されても良かっただろうと思います。


 その他の排出事業者責任の強化・徹底についても解説しておきます。


小規模施設(=設置許可不要)で自社処理をしている排出事業者にも、帳簿の作成と保存を義務付けるべき

 現行制度では帳簿の整備が求められていない排出事業者であっても、自社で中間処理や最終処分を行っている場合は、廃棄物の処理に関する帳簿を作成する義務が追加されそうです。
 排出事業者の規模や、帳簿の記載項目などの詳細は、これから検討されるようです。


排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき

 建設系廃棄物の場合、誰が排出事業者なのかわかりにくいことがよくあるため、保管の段階から、行政にその事実を届出させるようになるかもしれません。
 これも、保管面積や届出内容の詳細などは未定です。


建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき

 上記の内容とも重なる項目ですが、元請会社と下請会社が混在するような場合、廃棄物の排出事業者は元請会社に統一してはどうかという提言がされています。

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2009年11月 9日|コメント (0)トラックバック (0)

カテゴリー:法改正

法改正のための検討項目(2)-2(経理的基礎ってなに?)

 「経理的基礎がある」とは、「産業廃棄物処理業を的確に、かつ継続して行うに足りる財政的基盤があること」と定義できます。

 「経理的基礎の有無」は、産業廃棄物処理業の許可条件の一つです。

 言いかえると、都道府県知事は、経理的基礎が「無い」業者に対しては、産業廃棄物処理業の許可を出してはならないということになります。

 では、「経理的基礎がある」とは、具体的に資金がいくらあれば良いのでしょうか?

 100万円?

 それとも1億円?

 その答えは、廃棄物処理企業の事業規模や、事業の内容によって異なります。

 最終処分業の場合は、維持管理費用や用地取得費として、数億から10億円程度の資金が必要になることが大半です。

 収集運搬業の場合は、極端な話、車1台を用意できれば、事業自体はすぐ行えます。

 このように、具体的な金額で、経理的基礎を明示するのは困難ですので、廃棄物処理法にも詳しくその内容は定義されていません。

 法律には明示されていませんが、産業廃棄物処理業の許可を出す際に、都道府県知事は、その事業者の「経理的基礎の有無」を審査しなければなりません。

 実務においては、事業者に具体的な現預金の額や負債の有無などを申告させ、その内容を審査するケースがほとんどです。

 場合によっては、申告内容の裏付けとして、預金通帳のコピーや残高証明書をつけさせることもありますが、大半は自己申告の内容のみに基づいて判断します。


 行政としては、法律や施行規則に具体的な審査基準が書いていない以上、上記のような方法で審査せざるを得ず、その結果「経理的基礎がある」と判断できる案件に対しては、許可をしなければなりません。

 近年、最終処分場をめぐる住民訴訟が増加しており、経理的基礎の有無に関して、「行政の判断が適切ではなかった」という判決が出た実例があります。

 上述したように、行政としては、「法律に則って審査をしている以上、これ以上つっこんだ内容の審査は無理だ」という悩みがあります。

 経理的基礎を十分に有する企業に操業させ、近隣住民の生活環境を守ることが何よりも優先されます。

 「行政の悩み」と「住民の不安」の両方を解消するためには、まず、「経理的基礎を確かめるための具体的な基準」を明確にして行く必要があります。


 ちなみに、環境省が設置した「経理的基礎の審査等に係る経理専門委員会」で検討されている、経理的基礎の具体的な審査項目案は以下のとおりです。
1. ア及びイの条件をともに満たしている場合、経理的基礎を有するものとする。
ア.過去3年間の損益平均値から判断して利益を計上できていること 又は 自己資本比率が1割を超えていること
イ.申請事業にかかる事業計画に沿った収支計画(事業収支計画書)において、少なくとも収支相償していること 申請事業にかかる収支計画が収支相償していない場合は、廃棄物処理部門あるいは企業全体としては、少なくとも収支相償していること
2.経理的基礎の有無の判断に当たっての、主な留意事項は以下の通り。
ア.申請者が上記1.アの条件を満たさない場合であっても、「直前期が黒字であること」又は「債務超過でないこと」が確認できる場合、申請者から事業改善計画書(赤字計上等の要因、事業改善方策、改善スケジュール、実施管理体制と実施責任者等を記載したもの)を徴し、審査の結果、容認される余地があるものとする。
イ.申請事業にかかる事業収支の審査にあたっては、必要な資金の総額の妥当性やその資金を調達できるか否かに留意する。
ウ.許可権者は、経理的基礎を有さないと判断するにあたっては、金融機関からの融資の状況を証明する書類等を必要に応じて提出させ、また、商工部局、労働経済部局など他部局の協力を求めるほか、補完的に中小企業診断士、公認会計士等専門家から意見を求めるなどして、慎重に判断するものとする。
3.廃棄物処理法施行規則の見直し
 <現行>  貸借対照表、損益計算書
 <修正案> 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
4.現行運用通知の見直し(主なもの)
ア.「事業の開始に要する資金の総額」の例示に「事業の用に供する不動産に抵当権等が設定されている場合はこれを抹消するために必要な費用」を追加(不動産登記簿謄本で確認。許可直前に最新版で再度確認することを推奨)
イ.「事業を的確かつ継続して行える経理的基礎」の有無の判断基準及び留意事項について

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法改正のための検討項目(2)(廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進)

 廃棄物処理業は、「不要な廃棄物を安全に処理する」という、社会にとって必要不可欠な産業です。

 しかし、その重要性とは裏腹に、不法投棄などの印象から、「廃棄物処理業=得体のしれない業界」という、間違ったステレオタイプのイメージがはびこっています。

 排出事業者責任の強化・徹底でご説明したとおり、不法投棄の大半は、「排出事業者」や「無許可業者」が行ったものです。

 しかしながら、現在の法体系下では、不法投棄の責任は廃棄物処理業者にあるかのように、廃棄物処理業を厳格に規制してきたのはまぎれもない事実です。 

 「廃棄物の適正処理」を達成するという本来の目的とはかけ離れた、行き過ぎた規制が許可制度を中心に横行しているとも言えます。


 この行き過ぎた規制を是正し、信頼できる処理業者を増やすための課題として、「廃棄物処理制度専門委員会」において、下記の内容が具体的に検討されました。 

 「廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進」

・「経理的基礎」などの許可基準を明確にするべき
・行政は不適正処理への取締りをもっと徹底するべき
・欠格要件の見直しや、産業廃棄物収集運搬業許可手続の簡素化等、一定の合理化をするべき
・信頼できる産業廃棄物処理業者を育成する観点から、優良性評価制度を拡充していくべき


 次回は、上記の検討課題を具体的に解説していきます。

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法改正のための検討項目(1)-4(まだまだ不十分なマニフェスト制度の浸透)

 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、「廃棄物処理法」改正のための具体的な論点整理が図られています。

 排出事業者責任に関する検討項目としては、下記の内容が挙げられています。

・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
・マニフェストをもっと適切に運用させるべき
・委託先の現地確認を義務付けよ!
・電子マニフェスト使用を義務付けよ!


 今回は、「マニフェストをもっと適切に運用させるべき」について解説します。


まだまだ不十分なマニフェスト制度の浸透


 マニフェストは、平成3年度から特別管理産業廃棄物に、平成9年度からすべての産業廃棄物に対して運用することが義務付けられました。

 誤解している方が多いのですが、マニフェストの発行義務は産業廃棄物の排出事業者にあり、処理業者が発行すべき書類ではありません。

 このことからも、マニフェスト本来の趣旨が浸透していないことがよくわかりますが、マニフェストは、産業廃棄物の処理状況を記録するための伝票ですので、適切に運用されないことには存在意義がなくなってしまいます。

 近年、マニフェストの運用に関する締め付けは強化される一方です。

 平成18年の政令改正により、2008年4月1日からは、マニフェストの交付実績(枚数や相手方など)を都道府県知事に報告する義務が発生しました。

 ただし、この報告義務は「紙のマニフェスト」の発行者のみにかかり、「電子マニフェスト」の場合は、電子マニフェストの電子情報を管理している情報処理センターが、各都道府県知事に報告してくれるので、改めて報告する必要はありません。


 産業廃棄物の適切な処理を進めるためには、「電子マニフェストの義務化が不可欠!」と考えている有識者や政府関係者は多いのですが、今回の専門委員会でも、少しその論調が表に現れていました。

 電子マニフェストを義務化したところで、それを運用する当事者が不正に運用してしまうと、紙マニフェストと同じ結果になるだけですので、安易に義務化をするのは反対ですが

 電子マニフェストには、「保存スペースが不要」「マニフェストの返送が不要」「処理終了後3日以内に報告があがる」など、メリットが多々あるのも事実ですので、今後普及が一層進むのは間違いなさそうです。


 その他「委託先処理業者の現地確認を義務付けよ」という強硬な意見も出ているようですが、電子マニフェストの義務化と同様、法律によって規制すべきものではありません。

 規制よりも、「現地見学をすることによって、委託先とのコミュニケーションが円滑に進む」など、具体的なメリットを得る方法を教えてあげる方が、より望ましい方向に社会は動いていくと思われます。


 今回解説した、「電子マニフェストの義務化」や「現地確認の義務化」が、法律改正によって盛り込まれる可能性はほとんど無いと思われますが、法律の規制の有無に関係なく自社の廃棄物処理責任を果たすためには、少しずつシステムに取り込んでいくのが良さそうです。

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法改正のための検討項目(1)-3(建設廃棄物の排出事業者は誰になる?)


 中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、「廃棄物処理法」改正のための具体的な論点整理が図られています。

 排出事業者責任に関する検討項目としては、下記の内容が挙げられています。

・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
・マニフェストをもっと適切に運用させるべき
・委託先の現地確認を義務付けよ!
・電子マニフェスト使用を義務付けよ!


 今回は、「建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき」について解説します。


建設廃棄物の排出事業者は誰になる?


 保管行為をなぜ規制する必要があるのか?でご説明したとおり、建設系廃棄物は不法投棄などの不適切な処理が行われやすい廃棄物です。


 建設工事の場合は、元請会社と下請会社が協働して施工されることが多いため、廃棄物をどの会社が出したかを特定するのが困難です。

 誰が排出事業者かわからない場合は、廃棄物の処理責任者が定まらないこととなり、廃棄物の不法投棄などが横行しやすくなります。


 「それでは困るので、工事の施工によってもっとも多くの利益を得る、『元請会社』を排出事業者としよう」
 というのが、従来からの行政の運用方針でした。


 「元請会社」が排出事業者となる場合、その現場で発生した産業廃棄物は、すべて元請会社が発生させたものとなります。

 そのため、その廃棄物を下請会社が運搬や処分をしようとする場合、下請会社には産業廃棄物処理業の許可が必要となります。

 下請会社は営業エリアのすべてで、産業廃棄物処理業の許可取得が必要ということになります。
 例:大阪府全域を営業エリアとする下請会社の場合、大阪府の他、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市の合計5ヶ所の許可を取ることが必要となります。


 上記の運用の場合、排出事業者は元請会社に一本化されますので、廃棄物の処理責任や、マニフェストの発行者の問題などは非常に明確になります。

 しかし、下請会社にしてみれば、「下請とは言え自社が施工しているのに、なぜ排出事業者にはなれず、方々の収集運搬業の許可を取らねばならないのだ!」という大きなデメリットがあります。

 過去、廃棄物処理法には明確に書かれていない、上記の排出事業者は誰になるのかという解釈をめぐり、国(旧厚生省)が訴えられた事件があります。

 一審の東京地裁では、「国の法解釈に違法性は無い」と、原告の下請会社が敗訴しましたが、
 二審の東京高裁では、逆に「国の法解釈は違法だった」として、原告の請求が認められました。

 これが有名な「フジコー裁判(平成5年10月28日東京高裁)」です。

 「フジコー裁判」では、原告(下請会社)が建物の解体工事を自ら施工している以上、原告も排出事業者にあたるとされました。

 フジコー裁判の判決を受け、旧厚生省は、平成6年に衛産第82号という通知を出し、


  • 原則は、元請会社が排出事業者となる

  • 当該建設工事のうち他の部分が施工される期間とは明確に段階が画される期間に施工される工事のみを一括して請け負わせる場合であって、元請会社が自ら総合的に企画、調整及び指導を行っていると認められるときは、元請と下請の両方が排出事業者となる


 と、解釈を若干変更しました。

 ただ、この通知を読むだけでは、原則の例外となる工事がどんなものかはよくわかりません。

 どう解釈するかによって、排出事業者が全く異なることになりますので、行政としては判断を慎重に行う必要があります。

 また、例外扱いとなる解釈基準を故意に悪用し、すべて自社施工であると言い張って、他人の廃棄物を無許可で処理する事業者が後を絶ちません。


 そのため、この機会に、建設工事の排出事業者を「廃棄物処理法」に明記し、誤解が生じないようにしてはどうかという機運が高まっています。

 是非、工事の具体的な条件分けをし、誰もがわかる基準を明確にしてもらいたいものです。

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