排出事業者の責任のアーカイブ

保管基準違反で業許可取消→委託者への影響は?

毎日新聞  行政ファイル:産業廃棄物をため込みすぎた業者の処分業許可取り消し /広島

 県は1日、認められた量以上に産業廃棄物をため込んだとして、三次市三良坂町皆瀬の産業廃棄物処分業「三次アクア」に対し、処分業許可の取り消し処分をした。

 産業廃棄物対策課によると、同社は廃プラスチックや木くずなどを破砕する事業の許可を持っており、1日4・9トンの処分が可能だった。しかし同社は、廃棄物処理法に定められた、能力の14日分(約69トン)の上限を大幅に上回る約960トンの廃棄物を昨年5月からため込んでいた。

 県は昨年8月と11月に改善命令を出したが、廃棄物は処理されなかった。同課によると、同社は「破砕した廃棄物の引き取り先が見つからなかった」と話しているという。

改善命令違反で業許可が取消されたわけですが、これから問題となるのが、「残った廃棄物の処理」です。

本来なら、三次アクアが処分をするのが筋なのですが、
「(中間処理残さの)引き取り先が見つからなかった」というのは、「安価な処理先が見つからなかった」ということですので、
三次アクア社には廃棄物処理を完遂するための資力がないものと思われます。

そうなってくると、三次アクア社と契約をしている排出事業者に対し、
「自主撤去のお願い」から始まり、最悪の場合は「措置命令」の対象とされることが考えられます。

これだけ大量に廃棄物を集めても、安価な引き取り先を見つけられなかったということは、
三次アクア社自体が相当安価で処理を受託していたものと考えられます。

そのため、排出事業者側も、「他の業者と比べて著しく安価な料金だと知りながら委託していた」
とみなされれば、措置命令の対象になり得るからです。

こうした事態に陥るのを防ぐためには、やはり現地確認を励行するのが一番です。

廃棄物の大量保管などは、誰でもわかるチェックポイントですが、現地に行かないことにはわからない情報でもあります。

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昨日の講演後にいただいた質問2題

昨日浜松市内で開催された、株式会社ミダックさんの顧客排出事業者をご招待した「新春会」は、大盛況でした。

去年に引き続き基調講演をさせていただきましたが、皆さん非常に熱心に聞いていただきましたので、大変気持ちよくお話を終えることができました。

講演終了後に、参加者の皆さんからご質問をお受けしました。

質問を2ついただきましたが、両方ともシンプルでありながら、奥が深い質問でしたので、今日はその内容をご紹介したいと思います。

Q1:廃棄物の保管場所の届出義務は、排出事業者全般ではなく、建設廃棄物のみにかかる規制という解釈でよろしいか?
A1:そのとおりです。建設業以外には関係してこない届出義務です。

と、その場では、時間がほとんどなかったため、一問一答的にお答えしただけで終わったのですが、
実はこのご質問、今後の法律改正の動きにもからんできそうな深いテーマです。

現時点での廃棄物処理法では、「A1」でお答えした内容のとおりなのですが、
2010年改正内容の検討過程においては、届出義務の対象は建設廃棄物に限定されていませんでした。

パブコメの募集を経て、建設廃棄物限定に落ち着いたわけですが、
万が一、建設廃棄物以外にも不適正処理が目立つようになった場合は、
環境省は、「建設廃棄物以外も事前届出の対象にする可能性がある」と、パブコメへの回答で明言しております。

そのため、建設業者以外の排出事業者も、今後はいっそう適正処理を心掛け、新たな規制を加えられないように注意することが必要ですね。

講演時には触れなかった重要なポイントの補足です。

Q2:マニフェストの交付実績報告を怠った場合、どのようなペナルティがあるのか?
A2:交付実績報告を怠ったとしても、それだけでは直罰の対象にはなりません。
 ただし、現実的にはあまり考えられないケースになりますが、
「マニフェストの交付実績を報告せよ」という行政からの勧告を無視し続けると、措置命令の対象になる可能性はあります。
 措置命令違反は刑事罰の適用対象になりますので、まったく報告しなくても良いとは言えません。

マニフェストの交付実績報告をすること自体は、排出事業者の義務です。
直罰の対象にはなっていませんが、義務である以上は、やはり自ら報告しておきたいところです。

非常にまれなケースであるとは思いますが、
マニフェストが返送されていないにもかかわらず、その状態を漫然と放置した排出事業に対して措置命令が発令された実例があります。

何事も「そんなことあるわけない」と思わず、
まずは義務を果たした上で、自分や自社を守る記録化を励行していただきたいと思っております。

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廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみる Vol.2

12/28 9:36 筆者追記
 記事の全体をお読みいただけば、廃棄物のピックアップを推奨するものではないことをご理解いただけると思いますが、一部分のみを抜粋して解釈されてしまうと、誤解を生む可能性がありますので、追記しておきます。

 下記はあくまでも筆者の個人的見解であり、筆者の想定していない方法や場所で廃棄物のピックアップなどをした場合、窃盗罪や占有離脱物横領罪に問われる可能性がありますので、短絡的に解釈するのではなく、無料回収事業との対比として考えるための材料としていただければ幸いです。

昨日の、廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみるの続きです。

昨日は、

廃棄物処理業の許可を持たずに、廃棄物を有料回収するのは違法。
無料であったとしても、廃棄物の拠出を不特定多数に呼びかけ、回収をするには、やはり廃棄物処理業の許可が必要。

という2点を中心に解説しました。

今日の主題は、昨日使ったチラシに書かれていない内容ではありますが、
最近各地で出没している、駐車場などを利用した廃品の無料回収事業(以降、便宜上「無人回収」と呼びます)は合法か否か、について解説したいと思います。

結論から先に述べると、私は「廃棄物処理業の許可なしに無人回収をするのは違法」と考えています。

昨日の記事では、無人回収と対比させる意味で、「粗大ごみ置き場から有用と思われる廃棄品を回収するのは合法」と書きました。
以降の記事では、このような回収を「ピックアップ」と呼びます。

無人回収とピックアップを対比させると、問題点がわかりやすくなります。

回収方法 回収対象 占有権の状況
ピックアップ 有用物(と思われる物) 無主物先占
無人回収 有価物と無価物が混在 元所有者からの占有移転

このように、無人回収とピックアップでは、物の占有権の状況が大きく異なります。

ピックアップの場合は、廃棄するため(所有権放棄)に一般廃棄物の回収場所に置かれた後の物品(無主物)を占有する行為です。
他方、無人回収の場合は、廃棄前提で廃棄物を回収事業者に引き渡す(占有移転)させる行為です。

ピックアップと無人回収のもっとも大きな違いは、「占有移転が生じるか」どうかです。

ピックアップする対象物は、粗大ごみ(あるいは不燃ごみ)の回収場所という、外形的に廃棄物であることがわかる場所に置かれた物ですので、誰も所有権や占有権を持っていないことが明らかです。

12/28 12:50 追記
 「粗大ごみの回収場所は自治体が管理するものなので、そこから有用物をピックアップするということは、自治体の占有権を侵害するのでは?」というご指摘をいただきました。
 筆者としては、このあたりの明確な判例や、具体的に言及した学説は現在存在しないと思っております。
 ただし、どちらの見解を取るかによって、刑事罰が適用されるかどうかが明確に分かれますので、筆者とは違う見解も成り立ちうることを併記しておきます。

「駅前に自転車が長期間放置されていたので、ごみと思って自転車を頂戴したら、占有離脱物横領罪になった」
というのとはわけが違います。

ごみ置き場に置かれた物品の占有権を問題にしていたら、廃棄物回収が一切できなくなります(笑)。

もっとも、最近では、各地方自治体の条例によって、
資源ごみについては、回収場所に置かれた時点から抜き取りを禁止しているところがあります。

自治体指定の場所に置かれた古紙やくず鉄を抜き取る行為と、上記のピックアップ行為は別物として考える必要があります。

現在のところ、法的には、条例によって資源ごみのみの持ち去りが禁止されているだけで、粗大ごみや不燃ごみのピックアップは禁止されていません。
もちろん、有用品の選別のために、回収場所をごみで散らかす行為までが認められているわけではありません。

廃棄物の処理委託をする場合は、産業廃棄物を例とすると、本来は排出事業者に処理責任があるところを、処理業者に委託をして処理をしてもらうわけですので、廃棄物の引渡しと占有権の移転が同時に発生しています。

無人回収は、名目上の処理費を徴収していないだけで、元所有者が廃棄物の厄介ばらいをするために、自発的に回収事業者に占有移転をする行為ですので、やはり廃棄物の引渡しと占有権の移転が同時に発生しています。

ピックアップの際には、「廃棄物の引渡し」や「占有権の移転」が生じないことがポイントです。
回収される前に、廃棄物置き場に置かれた段階で、所有権が放棄された無主物となっているからですね。

こうして考えると、無償だからと言って、廃棄物処理法の適用を受けないとは言えないことがご理解いただけると思います。

「無償の引渡し(占有権の移転)」と「無主物先占」では、まったく意味が異なることに留意することが必要と考えています。

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産業廃棄物処理場で火災が起こったら

今回の記事は、火災が発生した処理企業に関する考察ではなく、
処理困難通知に関する一般的な解説です。

具体的な状況を思い浮かべていただくために、念のために火災に関する事件報道をリンクしておきます。
asahi.com 東京・国立の工場で火災 延焼続く

このような火災事故が起こった場合、
「当該処理業者は処理困難通知の対象となるのか」というご質問を受けました。

結論から先に書くと、
1.事故の発生により、未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達した場合
2.施設の休止届を出した場合

のいずれかにあてはまる場合は、当該処理業者は処理困難通知を出す必要があります。

処理困難通知の対象

処理困難通知

産業廃棄物処理施設に損傷が無く、稼働が可能な状態であるならば、
処理困難通知を出す必要がありません。

また、事故の発生が即、処理困難通知の対象になるわけでもなく、
未処理の産業廃棄物の保管数量が上限に達しない限り、処理困難通知を出す必要はありません。

しかし、休止届を提出した場合は、自動的に処理困難通知を出す必要があります。

処理困難通知を出す対象となる排出事業者は、
委託契約をしている全排出事業者ではなく、
処理できない産業廃棄物に係る排出事業者のみとなります。

具体的には、マニフェストのD票を返送できていない排出事業者になりますね。

必要な対応

処理困難通知を受けた後に必要な対応は次のとおりです。
処理困難通知後に必要な対応

排出事業者には、「措置内容等報告書」を提出しなければならないという煩雑な義務が課されますので、
できればそのような鬱陶しい通知は出さないでほしいところですが、
法律で対象となる要件が決められている以上、該当した処理業者は必ず通知をしなければなりません。

契約解除が必要な場合もあり

その他、「必要な措置」の具体例としては、契約解除や再委託をしてもらうなどの手段を検討する必要があります。
必要な対応の具体例

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(環廃対発第110204005号・環廃産発第110204002号、都道府県・政令市廃棄物主管部(局)長宛 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長/産業廃棄物課長通知) p19より抜粋。

処理業者にとっても、契約解除に結びつく大変不名誉な通知ですので、
急な操業停止を強制されることのないよう、法律に適合した操業を徹底する必要がありますね。

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多量排出事業者の産業廃棄物処理計画の公表

2010年改正で、まだ施行されていなかった最後の部分、「多量排出事業者の産業廃棄物処理計画の公表」が、10月1日より施行されました。

当ブログ関連記事 2010年廃棄物処理法改正の解説(7) 多量排出事業者

10月1日より施行された改正法の内容は、
「都道府県知事による『インターネット』での公表」についてです。

全部の自治体はチェックしていませんが、10月1日(土)は休日であるため、前日の9月30日(金)付で公表を始めた真面目な自治体がありました。

例:福井県
ざっと見たところ、福井県のように、法律改正の施行日に合わせて公表しているところは少数派のようです。

計画の公表自体は、従前より行政の窓口を訪問し、閲覧をすることが可能でした。

しかし、それではやはり不便ですので、今回のような情報公開の方向で進む改正がなされたことは喜ばしいものです。

もっとも、多量排出事業者の産業廃棄物処理計画や、前年度の計画の実施状況は、どちらもその排出事業者の全体的な概要を公表するものですので、
これを見るだけで、その企業の活動実態などを理解できるわけではありません。

ただ、マクドナルド創業者のレイ・クロックの自伝にもあるとおり

成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者

企業の活動実態は、ゴミ箱の中にこそよく現れるものですので、
今後「実施状況」をベンチマークし、その企業の廃棄物処理量の経年変化などを調べてみると面白そうです。

多量排出事業者は、年間1,000t以上の産業廃棄物を発生させる事業者ですので、建設会社や電力会社などが多数含まれています。

多量排出事業者にしても、インターネットで全世界中に公表される事実を正確に認識し、
安易な前例踏襲で適当に提出をするのではなく、思わぬところで批判や非難の対象になるかもしれないと考えながら、
正確なデータと予測に基づき、書類を提出する必要があるでしょう。

「千丈の堤も蟻の一穴」という故事があるように、
大したことがないと思っていた油断が積み重なると、組織崩壊のきっかけになることもあります。

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行政処分には時効がない

毎日新聞 沼津の産廃不法投棄:「すべて撤去を」 県、業者に措置命令 /静岡
 より記事を転載します。

 沼津市の愛鷹山のふもとに産業廃棄物を不法投棄したとして、県廃棄物リサイクル課は16日、沼津市のスルガ産業(08年倒産)の庄司スエ子元社長と元従業員3人の計4人に対し、廃棄物処理法に基づき、不法投棄したすべての廃棄物を撤去するよう措置命令を出した。

 同課によると、庄司元社長は、2000年1月ごろから04年11月ごろまでの間、愛鷹山のふもとに廃プラスチックなどの産業廃棄物を不法に埋めた。廃棄物は約23万立方メートルに上るとみられ、県内の不法投棄事件の中で最大という。同課は4人に対し、10月17日までに撤去の計画書を県へ提出し、16年11月までにすべて撤去するよう命令している。

 庄司元社長は、この不法投棄に絡み06年1月、東京高裁で、廃棄物処理法違反の罪で懲役2年6月、罰金350万円の実刑判決が確定している。

10年前に実行された不法投棄に関し、行為者に措置命令が発出されました。

タイトルのとおり、行政処分には時効がありませんので、10年前の行為に対しても発出することは可能です。

ただし、現実問題としては、不法投棄実行者が廃棄物の完全撤去をするための資力を有しているとは思えませんので、
おそらく静岡県が行政代執行をせざるを得なくなるはずです。

措置命令は、廃棄物処理法第19条の6で規定されていますが、
「生活環境保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがある」時に発出されるものですので、出しっぱなしで済ますわけにはいかないからです。

静岡県としては、不法投棄実行者の他に、その実行者に産業廃棄物処理を委託した排出事業者にも措置命令を出すことができますが、
そこまでするのか、あるいはできるのか・・・

排出事業者に対して措置命令を出すためには、排出事業者の委託状況を把握する必要がありますが、
マニフェストや委託契約書の保存期間の5年を過ぎたものに関しては、それとは別の方法で証拠収集をしなければなりません。

事件発生後7年を経過した現在からその調査を始めようと思っても、ほとんど無理と言えるでしょう。

ということは、静岡県としては、最初から排出事業者ではなく、実行者のみをターゲットにしているのかもしれません。

もちろん、その方が本筋に違いありませんが、不法投棄実行者が撤去できず行政代執行に至った場合、巨額の税金が費やされることに留意する必要があります。

投棄された廃棄物量からすると、全量を撤去する場合には、数百万円単位では足らず、最低でも数千万円の経費がかかるはずです。

新聞報道を見る限り、静岡県の対応はすべて後手、というよりは明らかに遅すぎる対応ばかりです。

非常に残念なケースとなりました。

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現地確認の際の着目点

6月10日に配信したメールマガジンを転載します。

 今回は、現地確認の際の具体的な着目点を、委託する処理業者ごとに解説します。

 まずは、中間処理業者を訪問した場合から

 中間処理を委託する場合に考えられるリスクは2つあります。

 第1に、中間処理業者自身が不適正処理を行うリスク
 第2に、中間処理後に他の処理業者が不適正処理を行うリスク

 このうち、第1のリスクの場合はそれほど発生頻度は高くありませんでした。
 今までのところは・・・

 最近に入り、中間処理業者による不法投棄の報道が増えているため、現地確認によって、信頼できる中間処理業者かどうかを見極めることが重要になりま
した。

 第2のリスクは、排出事業者と契約関係が無い当事者に関するものですので、漫然と処理現場を見学するだけでは、危険性を見抜くことは困難です。

 第1と第2のリスクに対処するために見るべきポイントはたくさんありますが、比較的わかりやすいポイントを2つだけ挙げるとすると

・廃棄物処理施設の稼働状況
・廃棄物保管場所での廃棄物の滞留状況  となります。

 処理施設が動いていないのに、搬出車両がバンバン出ていっているということは・・・

 委託された中間処理をせずに、廃棄物の横流し(再委託)をしているということです。

 廃棄物の保管状況が危機的になっているということは、これまた不法投棄や再委託につながりやすい状態であり、排出事業者との委託契約を軽視している証拠でもあります。

 上記の2点のどちらか1つでも見受けられれば、その中間処理業者の信頼性はかなり低いと言わざるを得ません。

 1つじゃなく、両方共があてはまったら?

 遅かれ早かれ、廃棄物処理法違反で逮捕されるか、行政処分を受けることになるでしょう。

 次は、収集運搬業者のケースです。

 収集運搬委託契約の大部分は、積替え保管なしの、排出場所から中間処理業者までの直送便となります。

 このような直送便のみをしている収集運搬業者の処理状況を確認するためには、「現地」自体が存在しないため、マニフェストの返送状況を確認しておけば十分です。

 しかしながら、直送便ではなく、積替え保管有りの収集運搬業者の場合には、中間処理業者の場合と同様、現地確認を励行しておきましょう。

 そして、マニフェストの運用手順や管理状況も必ず質問しましょう。

 なぜ、積替え保管有りの収集運搬業者には、マニフェストの運用状況について質問するべきなのか?

 それは、マニフェストの運用手順を誤解している積替え保管業者が多いからです。

 具体的に説明すると
 積替え保管業者は、収集運搬工程の一翼を担っているだけですので、排出事業者として、マニフェストの交付者になることは有り得ません。

 ここを勘違いして、委託された廃棄物の分別などをした後は、積替え保管業者が自由に廃棄物の搬出先を決定できる と誤解をしている企業が本当に多いのです。

 積替え保管業者は、積替え保管の過程で有価物を抜き取ることが認められていますが、有価物抜き取り後に残った廃棄物は、排出事業者との契約に従って指定された中間処理業者まで運搬することが必要です。

 いわば、有価物ではない廃棄物の運搬先については、積替え保管業者の意思を介在させることはできないのです。

 このような誤解をしている積替え保管業者であっても、なぜか排出事業者には、D票やE票がちゃんと返ってくることが多いのです。

 マニフェストの七不思議です(笑)。

 もちろん、これは廃棄物処理法違反(虚偽記載)になりますので、注意深くチェックをしておきたいポイントです。

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最終処分場は現地確認の対象?

6月3日に配信したメールマガジンを転載します。

 5月27日のNEW環境展記念セミナーは無事終了しました。

 会場にお越しいただいた方には、私の新著「ぜーんぶわかる廃棄物処理実務」が無料で配布されましたので、新著を元に講演を2時間半行いました。

「ぜーんぶわかる廃棄物処理実務」 株式会社日報出版 ¥2,200

 5月27日のセミナーでは、非常に重要な質問をいただきました。

 重要と言っても、5月27日に初めて受けた質問ではありません。

 正確には、講演後に毎回いただいているような気がします。

 いつもその場で回答すると、翌日には質問を受けたこと自体をすっかり忘れてしまうのですが、今回は新著のお披露目であったためか、1週間後の今でも質問を受けたことを覚えておりました(笑)。

 講演後に毎回いただく質問であるということは、メルマガ読者の皆さんにも共通の悩みであると思われますので、今回は、その質問の内容「最終処分場は現地確認の対象か?」を解説します。

 まずは、現地確認の正確な定義から

 廃棄物処理法には、「現地確認」という単語は一言も書かれていません。
 廃棄物処理法で「現地確認」について触れられている箇所(第12条第7項)を簡略化すると、次のようになります。

「事業者は、産業廃棄物の処理を委託するときは、(委託先業者の)産業廃棄物の処理状況を確認し、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの間、産業廃棄物の処理が適正に行われるよう必要な措置を講ずるように努力しなければならない。」

 つまり、廃棄物処理法が、事業者に対し「努力しなさい」と言っているのは

・委託先業者の処理状況を確認すること  と

・発生から最終処分されるまでの間、適正処理に必要な措置を講ずること

 の2点です。

 私が、上記の努力義務のことを「現地確認」と言っているのは、
「処理状況の確認」の基本は、実際に処理業者の事業所を訪問し、どんな処理が行われているかを、現地で確認することだからです。

 さて、ここで冒頭の質問に戻ります。
 「最終処分場は現地確認の対象か?」

 廃棄物処理法の努力義務としては、最終処分場についても「処理状況を確認する」ことは必要です。

 しかしながら、中間処理しか委託をしていない排出事業者の場合は、
 中間処理業者の契約先である最終処分場の現地確認をする必要はないと考えています。

 もちろん、時間と費用に余裕がある場合は、直接の契約対象ではなくとも、排出事業者が最終処分場を訪問することも有意義ですが、通常はそこまでやる必要はありません。

 実際問題、排出事業者の「うちの産業廃棄物はどこに埋まっていますか?」という質問には、誰も答えることはできないからです。

 そのため、最終処分状況の確認を行う際は、廃棄物処理法の条文を忠実になぞり、「処理状況の確認」に徹する方が合理的です。

 具体的には、委託先の中間処理業者に対して、

「御社が残さ物の処分を委託している最終処分場の現地確認結果を見せてください」と頼んだり

 もう既に情報公開が義務付けられている、最終処分場の維持管理情報をインターネットで閲覧したりすれば良いでしょう。

 特に、中間処理業者に対して現地確認結果の公開を求めると、中間処理業者自身の意識の高さを知ることができますので、一石二鳥ですね。

 例えば、「いやあ 最終処分場は一回も訪問してないんですよ」という中間処理業者の場合は、違法行為をしているわけではありませんが、危機管理意識が甘いと言わざるを得ませんので、取引先としては信頼性が落ちることになります。

 
 次号では、収集運搬業者や中間処理業者ごとに、どこに注意して現地確認すれば良いかを解説します。

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下取りの無限連鎖は可能か?

製品販売事業者による、新品の販売時の旧製品の無償回収行為は、
「廃棄物処理・リサイクルの進展につながる」ため、廃棄物処理業の許可なしに回収することが認められています。

その根拠は、
平成12年9月29日付衛産79号「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務の取扱いについて」 に簡単に記載されています。

13.その他
(1) 略
(2)新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。

本来、このような例外措置は、立法化をして廃棄物処理法の条文に明示することが必要なのですが、
行政解釈として滞りなく運用されてきた歴史があるため、いまだに法律では規定されていません。

今回は、行政通知で例外措置を認めることの是非についてこれ以上論じません。

本日のテーマは、販売業者が無償引き取りしたものを、さらに製造事業者などに無償で下取りさせることが可能かどうかです。

結論としては、製造事業者に廃棄物処理業の許可や、広域認定、個別リサイクル法に基づく根拠などがあれば可能です。

ただし、この結論をより具体的に言い換えると、
99.999%の製造事業者は、処理業の許可その他を取得していませんので、他者の廃棄物を無償で引き取ることは不可能です。

通知で認められているのは、商習慣の一環で新品の販売と引き換えに無償回収する行為ですので、
商習慣とは異なる、通常の商取引にまで無限に拡大して解釈運用することには無理があります。

たしかに、社会の行き着く先としては、製造事業者が製造から廃棄物処理までをすべて担うシステムになるのかもしれませんが、
現状の社会制度下では、すべての製造事業者にそのような責任を負わせることが著しく不合理であるため、
広域認定や各リサイクル法で、個別に指定をしています。

そもそも、販売事業者が顧客サービスとして下取りをしておきながら、
一切の排出事業者責任を放棄して、他の事業者に無償で廃棄物処理をさせることは、
明確な委託基準違反となります。

下取りの無償回収は、あくまでも製品の販売事業者に、
収集運搬業の許可取得を不要とする例外措置であり、
排出事業者責任を無限に移転させることを認める趣旨ではありません。

非常に実務的な結論付けをすると、
下取りは、ユーザーと直接接している末端の販売事業者のみに認められた例外措置で、
末端販売事業者から、卸しの販売事業者や、そのまた上の製造事業者に対して
「うちがお客から無償で引き取ったので、おたくも無償で引き取ってくれよ」という根拠にはならない
ということです。

下取り回収をしたものは、末端の販売事業者が排出事業者として、適切に処理・リサイクルを実行する必要があります。

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処理業者が倒産した際の排出事業者責任追及例

委託先処理業者が不意に倒産したことで、そこに委託をした排出事業者に対し、残った未処理産業廃棄物の撤去が求められるという事例が出ました。

大阪府 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条の6第2項に係る勧告に従わない者の公表について

リンク先を見ていただくとわかりますが、排出事業者が個人であっても、実名で公表されています。

行政の手腕的には、「この手があったか」とうなる、(まわりくどいですが)堅実な手法です(笑)。

未処理産業廃棄物を大量に留置して倒産した場合は、不適正処理という意味では不法投棄と同視できるので、排出事業者に最初から措置命令をかけることも可能です。

しかし、大阪府はそれをせずに、マニフェストという動かぬ証拠から入り、がんじがらめで逃げ場を無くした状態で責任追及をしたと言えるでしょう。

ただし、この手法を取る場合、「マニフェストの返送がない」→「必要な措置を講じるよう勧告」→「勧告に従わない者の公表」→「勧告に係る措置の命令」という段取りを必ず踏む必要があるため、非常に時間がかかるのが通例です。

前述した、いきなり措置命令をかける場合は、「報告徴収」→「措置命令」とわずか2ステップで済みますので、迅速性ではそちらの方が勝ります。

しかしながら、今回の大阪府のアクションの場合は、
2010年12月7日付で委託した産業廃棄物に関し、2011年2月22日には勧告に従わないとして公表していますので、異常に早いと言えます。

ひょっとすると、2010年の12月中に処理業者が倒産したため、「それ以降マニフェストが返送される可能性なし」として、通常のマニフェストの返送猶予期間(90日)満了を待たずに、2011年1月中にでも勧告をしたのかもしれません。

第12条の6に基づき、マニフェスト関連で勧告という行政手法は、これまであまり見かけたことがありませんでした。

法的には可能だが、最低でもマニフェスト交付後90日間は勧告ができないからです。

しかし、不法投棄とは違い、処理業者の倒産の場合は、交付後90日以降という日付に束縛されることなく、早期に勧告が出せるという解釈が成り立ちます。

今後、処理業者の倒産はますます増えると思いますので、
排出事業者としては、現地確認を徹底して倒産リスクの高い処理業者との取引を忌避するか、行政の勧告に迅速に従う=撤去費用の負担
という二者択一の行動を取る必要がありそうです。

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