基礎知識のアーカイブ

保健所長名でなぜ処理業の許可ができるのか

先日出席したある飲み会で、「知事名ではなく、保健所長名で収集運搬業の許可証を出せるのか」という議論になりました。

行政手続きが話題になるなんて、どんな飲み会なんだ?(笑)

結論を先に書くと、「出せます」。

その根拠は、地方自治法に次のとおり定められているからです。

地方自治法
第153条  普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し、又はこれに臨時に代理させることができる。

たしかに、廃棄物処理法では、都道府県知事に許可権限が付与されていますが、
地方自治法でこの規定があるために、収集運搬業の許可権限を、知事から保健所長に委任することが可能となっているのです。

保健所長などに委任された権限は、知事ではなく、保健所長が自己の名において行使することになります。

委任するかしないかは、各自治体の長の任意ですので、
都道府県知事名で許可証が出るところもあり、保健所長名で出るところもあるのです。

私が所属していた兵庫県では、
収集運搬業の許可は知事
廃棄物処理施設の設置許可については、知事から県民局長に委任がされていました。
即ち、県民局長名で、廃棄物処理施設の設置許可証が発行されるのです。

その他、本来は都道府県知事の権限である「報告徴収」も、県民局長に委任されていますので、
県民局長名で報告徴収を実際にしたことがあります。

ちなみに、知事から職員への権限委任は、
条例ではなく、「規則」や「告示」でなされていることが多いです。

条例で定めてしまうと、新たな事務を委任したい場合に、改めて議会で議決を得る必要があり、機動的に事務が執行できないからです。
規則や告示の場合は、行政に認められた権限の範囲で、自由に改定が行えます。
とはいえ、規則改正だけでも大変な事務手続きが必要なのですが(笑)。

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市町村が合わせ産業廃棄物処理した場合の補助金返還の要否

9月13日にアップした、「合わせ産業廃棄物処理」の意味 に関し、ブログ読者の方から、興味深いコメントをいただきました。

すなわち
「市町村が産業廃棄物を合わせ処理する場合、国庫補助を受けた財産の目的外使用に当たるため、補助金の返還をしなければならない」というご指摘です。

このご指摘は、国庫補助金で整備する事業の基本原則に関するもので、そのとおりです。

恥ずかしながら、私は公務員時代に、このような国庫補助事業に携わる仕事をしたことがないため、
実務ではなく、知識としてしか補助金事業を知りません。

どちらかというと、10年間の勤務期間の中では、広報や規制など、現場に即した仕事ばかりをしていました。

そのような個人的背景があるため、前回の記事を執筆した際、補助金の返還要否については、まったく眼中にありませんでした。

言われてみると、「確かにそのとおり」と思う一方で、
「本当にそのとおりの運用しかできないのであれば、廃棄物処理法第11条第2項の規定が死文化することになるので、国の所業は本末転倒ではないか?」という疑問も湧きました。

そこで、環境省の補助事業に関する通知を、環境省HPで色々と調べてみると、
平成20年10月17日付環廃対発第081017003号 「廃棄物処理施設の財産処分について」という課長通知が出されており、

その中の3p目に、産業廃棄物を一般廃棄物処理施設で合わせ処理する場合、国の承認さえ受ければ、国庫補助金を返還しなくても良い、すなわち自由に合わせ産廃処理できる、
ということが書かれていました。

3 環境大臣が個別に認める財産処分について
 産業廃棄物を一般廃棄物処理施設で処理する際の財産処分(目的外使用)については、承認基準「第2 承認の手続」で定める別紙様式1により申請するものとし、承認基準「第3 国庫納付に関する承認の基準」の、国庫納付に関する条件を付さずに承認するものと同様の取扱とする。
 ただし、産業廃棄物の適正処理の推進に資するため、市町村が一般廃棄物に加え新たに産業廃棄物(上記2(1)(筆者注:災害廃棄物のこと)に該当するものを除く。)を一般廃棄物処理施設で処理する場合であって、次に掲げる全ての要件を満たすものとする。
 なお、承認申請の手続きに当たっては、本通知の様式3を添付することとする。
 ア当該地域において、対象とする産業廃棄物の適正処理が確保できない又はそのおそれがあること。
 イ併せて処理する産業廃棄物は、一般廃棄物と同様の性状であって、一般廃棄物処理施設において処理できるものであること。
 ウ受け入れる産業廃棄物処理量は、一般廃棄物処理量を超えないこと。
 エ産業廃棄物を受け入れる際には、排出事業者責任等を勘案し処理費用として料金を徴収するなど、市町村財政に負担をかけないこと。
 オ産業廃棄物を受け入れる期間は必要最小限のものとし、あらかじめその期間を明示するとともに、受入完了後は速やかに廃棄物処理施設財産処分完了報告書(様式4)を提出すること。

※承認基準というのは、平成20年5月15日付環企発第0 8 0 5 1 5 0 0 6 号「環境省所管の補助金等で取得した財産処分承認基準の整備について」というものですので、上記引用部分にリンクを貼っています。

行政関係者しか参照しない通知であるためか、環境省HPのすごくわかりにくい部分でしか公開されていない通知です(苦笑)。

国が色々と条件を付けすぎという感はいたしますが、税金が出所の補助金である以上、本来の目的とは異なる使い方をしてほしくないという事情を理解する必要があります。

逆に言うと、平成20年以前は、「災害廃棄物」や「鳥インフルエンザの患畜」の処理という緊急事態への対処以外には、目的外使用を認めていなかった
ということにもなります。

産業廃棄物を合わせ処理した場合、市町村に対し有無を言わせず補助金返還請求
という建前になっていたわけですね。

ただし、廃棄物処理法制定当初から合わせ産業廃棄物処理の規定は存在していましたし、
全国の方々の市町村で合わせ産廃処理を昭和時代から公然と行われていました。

旧厚生省も、現環境省も、市町村が細々とやる合わせ産廃処理を問題視することなく、補助金の返還請求などを求めてこなかったのではないかと思います。

「細々ってどのくらいの量なんだ?」という問題がありますが、
このあたりの経緯や実情については、現役の地方公務員の方の方が詳しいと思いますので、知っている方がいらっしゃいましたら、是非情報提供をよろしくお願いします!

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「合わせ産業廃棄物処理」の意味

先日、同じ日に「合わせ産業廃棄物処理」に関するご質問を2人の方からいただきました。

1人は地方自治体の方。もう1人は排出事業者の方でした。

いただいた質問は、「合わせ産業廃棄物処理」の法的な位置づけに関するものでした。

(事業者及び地方公共団体の処理)
第十一条  事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
2  市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる
3  都道府県は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために都道府県が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行うことができる。

廃棄物処理法の正確な定義を解説しておきます。

産業廃棄物は、排出事業者の自ら処理が基本原則です(第11条第1項)。
それができない排出事業者については、処理業者等への処理委託が認められています。

次、市町村は、一般廃棄物と産業廃棄物を「合わせて」処理することが認められています(第11条第2項)。
産業廃棄物処理ができるからといって、市町村がなんでも産業廃棄物を引き受けてくれるわけではなく
少量のプラスチック類や、茶碗などの不燃物などに限定されていることが通例です。

注意が必要なのは、廃棄物処理法第11条第2項は、市町村に対し、
産業廃棄物処理が「できる」と規定しているだけで、
産業廃棄物処理を「しなければならない」とは規定していない ということです。

合わせ産業廃棄物処理は、市町村が任意でやっている事業ですので、
排出事業者が市町村に合わせ産業廃棄物処理を強制することはできません。

ここを勘違いして、「今までやっていた行政サービスを継続せよ!」と、
一方的に主張する業団体がちらほらあるのが現実です。

次に、「合わせ産業廃棄物処理」はあくまでも「産業廃棄物処理」なので、
市町村に処理委託した産業廃棄物が、一般廃棄物に変化することはありません。

法律的には、市町村に処理委託する場合は、マニフェストの交付不要ですが、
市町村の清掃工場まで処理業者に運搬してもらう場合は、運搬に関するマニフェストの運用が必要であるため、
実質的にはマニフェストの運用が必要となります。

「産業廃棄物が一般廃棄物に変化するから、マニフェストの交付必要なし」というのは誤りとなります。

また、産業廃棄物処理を委託する以上、委託先が市町村であっても、委託契約書の作成が必要です。

先日いただいた質問では、市町村自体が産業廃棄物を一般廃棄物扱いしている積極的な(?)事例で、
市町村から「委託契約書とマニフェストの作成不要」と言われたとのことでした。

厳密には、このような運用は、市町村自体が違法行為を推奨していることになります(苦笑)。

もっとも、違法行為を推奨している市町村には、刑事罰が科されることはありません。

なぜなら、無許可営業でもないし、委託契約書の作成義務者でもないからです。

委託契約書の作成と保存は、排出事業者のみに課された義務だからです。

もちろん、そんな自治体ばかりではなく、
キチンとマニフェストの交付を受け、委託契約書を交わしている自治体もたくさんあります。

はっきり申しまして、自治体の規模の大小と、法律の理解度は比例しないようです。
法律を解釈するのが人間である以上、それも当然のことかもしれませんが。

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会計監査人は役員その他の政令使用人ではない

顧問先処理企業からの質問で、
「某自治体から、許可更新の際に会計監査人の住民票の写しなどの提出が求められた。会計監査人は役員または政令で定める使用人ではないため、提出不要と考えるがいかがか?」
というものがありました。

会計監査人を設置した場合、法人登記簿に会計監査人として監査人の氏名などが記載されるため、
役員または政令使用人と同視する自治体担当者がたまにいるようです。

顧問先企業が調べたところによると、
会社法制定当時に、全国産業廃棄物連合会が環境省にこの件を照会した結果、
「会計監査人は役員または政令使用人に該当しない」
という回答があったそうです。

ただし、当時の環境省は
「文書で自治体に通知することはしない」とも回答していたようです。

環境省が「通知する必要もないほど自明の常識」と考えたのか、
「自治体から間違いを指摘されるのが怖い」と考えたのかはわかりませんが、
やはり通知していただきたかったと思います。

会計監査人の法的な権限を明確にしておくと、
会社法では次のように定められています。

    第九節 会計監査人

(会計監査人の権限等)
第三百九十六条  会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。
2 (略)

つまり
会計監査人の権限は、「計算書類等の監査」と「会計監査報告の作成」のみですので、
会社の業務執行権限はありません。

そのため、裏で黒幕として会社の業務を支配したりしていない限り、
許可申請書に住民票の写しを提出する必要もありませんし、
欠格要件の対象者にもならない

ということになります。

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中間処理業者が残さ物の運搬を行う際の収集運搬業許可の要否

9月2日付で配信したメールマガジンの答えです。

平成17年9月30日付け環廃対発第050930004号・環廃産発第050930005号 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知

(3) 中間処理業者が、自ら行った処分に係る中間処理産業廃棄物について処理を行う場合の法第14条第1項又は第6項等の許可の取得について

 平成12年改正法においては、法の適用対象として、「事業者」(排出事業者)及びこれとは異なる「中間処理業者」の定義を置き(法第12条第3項)、事業者のみに係る規定と、中間処理業者及び事業者の双方に係る規定(当該規定の適用対象が事業者に加えて「中間処理業者を含む。」とされている規定)を区別するという条文整備が行われた。

 これは、法第11条第1項の適用対象を事業者のみとし、排出事業者責任の所在を最初に産業廃棄物を排出した者に一元化した一方、法第12条第3項、第4項及び第12条の3第1項の適用対象には、事業者に加えて中間処理業者を含むものとし、中間処理業者が中間処理産業廃棄物の委託を行う場合には、事業者と同様に委託基準が適用され、産業廃棄物管理票の交付義務を負うこととしたものである。

 一方、例えば中間処理業者が焼却後の燃え殻を運搬したり、又は最終処分したりするなど、中間処理業者が処分後に生じた中間処理産業廃棄物に対して更に別の処理を行う場合は、法第14条第1項ただし書及び第6項ただし書等が、事業者のみに係る規定であり中間処理業者は適用対象とならないことから、当該中間処理業者は業の許可が不要となる者には含まれないと解される。これは、産業廃棄物の処理責任はあくまで最初に排出した者にあり、中間処理により処理責任に変更が生ずることはないとする考え方にも沿うものである。

 しかしながら、平成12年改正法の施行に伴う中間処理業者に係る法の適用関係の変更等が条文上必ずしも明確でなかったため、平成12年改正法の施行以前の運用がそのまま継続され、その結果、現時点においても、中間処理産業廃棄物の更なる処理を当該中間処理業者が行う場合は、いわゆる自社処理に該当し、業の許可を要しないとする運用がなされている場合が見受けられる。

 かかる運用がなされている場合にあっては、今般の法の適用関係の明確化の趣旨について積極的に周知徹底を図るとともに、中間処理産業廃棄物の処理施設が既に法第15条第1項の産業廃棄物処理施設設置の許可を有している等、適正処理の実体が明らかな場合であって、改めて詳細な審査を行うまでもなく当該処理に必要な産業廃棄物処理業の許可要件に適合していると判断できるときには、速やかに審査をもって許可証を当該産業廃棄物処理業者に交付することとされたい。また、これ以外の場合にあっても、該当する中間処理業者から、産業廃棄物処理業の許可についての申請があった場合には、可能な限り速やかに適切な処分をされたいこと。ただし、「自社処理」と称して不適正処理を行っている事実が明らかになった場合には、厳正に行政処分等を行われたい。

 なお、上記に伴い変更許可等の手続を開始した業者について、許可を取得するまでの期間等妥当な期間内においては、無許可業者として不利益処分又は告発を行うことは信義則上不適切であると考えられる。一方、今後、当該産業廃棄物処理業者において自身が必要な許可を取得していないとの認識があることが客観的に認められる状況にも関わらず、何ら許可取得の手続を開始しないような場合には、無許可営業として不利益処分又は刑事処分の対象となると考えられる。

つまり、残さ物を中間処理業者自らで運搬する場合、中間処理業者には収集運搬業の許可が必要
ということです。

同様なケースとして、
破砕処理後に出た残さを、同じ敷地で焼却処理する場合は、
中間処理(破砕)のみの許可では違法で、
中間処理(破砕・焼却)という許可が必要になります。

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廃酸と廃アルカリの違い

顧問先の処理企業から「廃酸と廃アルカリの違いを教えてほしい」という質問がありました。

これ、答えは非常に簡単で、pH値が酸性かアルカリ性かのどちらかで自動的に決まります。

廃酸と廃アルカリは、液体状の産業廃棄物ということになります。

pH7.0の水なら、廃酸でも廃アルカリでもないため、産業廃棄物ではないということになりますが、
実際には水そのものを産業廃棄物として処理する必要はないため、
事実上、廃液などの液状の廃棄物は、廃酸か廃アルカリのどちらかに該当します。

もっとも、「動物のふん尿」も場合によっては液状の場合がありますが、
この場合は誰が見ても「ふん尿」にしか見えませんので、廃酸と廃アルカリのどちらかで悩むことはありません。

塩酸などの強酸性の廃液なら、廃酸に該当することは非常に明確です。

しかし、ジュースやお茶そのものについても、pH値によって、廃酸か廃アルカリのどちらかになる
というのが、一般的な常識からすると理解しにくいところだと思います。

産業廃棄物の定義の中でも、廃酸と廃アルカリは数値によって綺麗に判断できますので、
解釈が入り込む余地が無いのですが、

最近聞いた事例では、
行政担当官によっては、pH6.3の廃液を「廃アルカリ」として指導している実例がありました。

言うまでもなく、
pH6.3はアルカリ性ではなく、酸性です。

行政担当官は神ではありませんので、
個人の無知や誤解がそのまま反映されることもある
ということを覚えておいて損はありません。

企業としては、行政の見解を盲信するのではなく、
その見解の根拠となっている法律やデータに遡り、行政の見解の妥当性を自ら判断する努力が必要です。

「お上の言うことに従っておけば問題は起こらない」という時代ではありません。

廃酸を廃アルカリとして処理委託するのは、厳密には委託基準違反です。

WDSを渡している(はず)のに、排出事業者が酸性であることに気付かないことも問題です。

もっとも、廃液の中間処理をする場合、通常は「廃酸」と「廃アルカリ」の両方の許可を取りますので、
どちらにも対応できることがほとんどですが、

上述したように、本来の性状とはまったく逆の情報を処理業者に伝えるということは、
非常にゆゆしき事態です。

ひょっとすると、排出事業者と処理業者双方ともに、WDSなどをまったく運用しておらず、
廃棄物の中身が何だろうとまったく気にしない
というケースが多いのかもしれませんが(苦笑)。

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廃棄物処理業における法務知識の重要性

先週7月29日(金)は、顧問先処理企業で、営業担当者向け法務研修を行いました。

株式上場をしている企業の場合、大体は「法務部」を設置し、そこで契約書の内容をチェックしているわけですが、
産業廃棄物処理委託契約の場合、法務部が契約書の審査に関与しているという事例を、
個人的には聞いたことがありません。

多くの企業では、産業廃棄物処理委託契約を
「法務部の審査不要の継続的な少額取引案件」と定義しているのかもしれません。

または、法務部が審査しようにも、廃棄物処理法の内容を理解していないため、審査ができないのかもしれません。

東証一部上場企業の産業廃棄物処理委託契約書を多数みてきましたが、
完璧に法定記載事項が網羅されている契約書の数がどれくらいだったかというと・・・

実は「皆無」です。

「委託料金」や「産業廃棄物の種類」など、未記載だと大変大きなリスクがあるミスが多数見受けられます。

排出事業者が違法な契約をしようとしているのに、
プロである処理業者はあえて間違いを指摘しないのでしょうか?

もちろん全部の処理企業がそうではありませんが、
大部分の処理企業は、廃棄物処理のプロであるにもかかわらず、排出事業者の間違いに気づいていないことがほとんどです。

ですから、「違法性を知りつつ黙認する」のではなく、「違法とは知らずに契約をしている」というのが正確になります。

「違法とは知らずに契約をしている」わけなので、「越後屋 おぬしも悪よのお~」というような悪意はありませんが、
法律の知・不知とは関係なく、違法な契約のつけはいずれ払わされることになります。

「廃棄物処理法が難しすぎるので、いちいち読みこなす時間が無い」という言い訳が認められる時代ではありません。

「法律の内容を知らずに違反をした」場合でも、「違反をした」という事実自体が変わるわけではなく、
「知らなかった」ことで罪が免責されるわけではありません。

また、このような理念的な理由以上に重要なのは、
廃棄物処理業は、日本国内でも有数の厳しい欠格要件で規制されている産業であり、
役員の個人的な刑事罰が会社全体に波及して、企業生命自体が抹消されるという環境の中にあります。

金融業や証券業の場合も、業法の規制が厳しいことはよく知られていますが、
彼らの免責事項の証拠として、預金者などが膨大な書類を書かされることに、預金者自身も異を唱えません。

しかし、産業廃棄物処理委託契約の場合はどうでしょうか?

マニフェスト1通を用意するだけで、ブーブーと不満を漏らす排出事業者が多いのが現実ですし、
それを異常と思う処理企業もほとんどありません。

もっとも、委託契約などの作成は、「委託」基準ですので、
預金の場合とは異なり、廃棄物処理企業ではなく、「排出事業者」を規制するものです。

そのため、廃棄物処理企業自体が、委託契約書の内容に神経を使う必要性は少ないと言えなくもないですが、顧客が間違った道を歩もうとしているのを、顧客からお金をもらっている処理業者がブロックしてあげるべきではないでしょうか。

「金さえ払ってくれたら、後は顧客がどうなろうが知らん」という処理企業と
「お客様のリスクを考えると、委託契約書の記載はこのようにした方がベターですよ」と提案してくれる処理企業

あなたが排出事業者の担当なら、どちらの処理企業と付き合いたいと思うでしょうか?

「安い業者に横から仕事を取られる」とか
「廃棄物ではなく有価物として買い取ってくれという排出事業者ばかりだ」という愚痴を言う前に、
処理業者自身の足元には、処理業者がやるべきことがたくさん眠っています。

上記のような考え方に基づき、廃棄物処理企業や排出事業者が知っておいた方が良い点を、「週刊循環経済新聞」にて、8月8日から連載します。

関心がある方は、循環経済新聞を是非ご覧ください。

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廃棄物処理企業の事業承継に伴う手続き

最近、新聞報道などで廃棄物処理企業のM&Aに関する記事が増えてきました。

上場企業でなくとも、今後は廃棄物処理企業のM&Aの動きは活発化するものと思われます。

それはなぜか?

理由は2つあります。

第1の理由として、「経営層の高齢化が進んでいるにもかかわらず、後継者不在の企業が多い」ということがあります。

創業者の息子が家業を手伝っているケースも多いのですが、創業者が息子に対し後継者としての帝王学を授けていない企業が大半です。

また、「息子は既にサラリーマンになっているので、廃棄物処理事業は私の一代限り」と、事業承継を諦めている経営者も多いです。

第2の理由としては、「産業廃棄物発生量増加が見込めず、競争環境も激化したため、事業を続けていくこと自体が困難」という状況があります。

現在のところは、第1の理由よりも、第2の理由で会社や事業の売却が進んでいますが、今後は第1の理由の方が切実な問題となりそうです。

実際に事業承継をする場合の手続きは、次のとおりとなります。

1.大阪市内にある中間処理業者A(保有施設:木くず破砕機10t/日)を大阪市外の企業B(大阪市の中間処理業許可なし)が吸収合併する場合

中間処理業の新規許可をBが取得する必要あり
木くずの破砕機に関してBが「合併の認可」を受ける必要あり

2.大阪市内にある中間処理業者A(保有施設:木くず破砕機10t/日)の事業を、大阪市外の企業B(大阪市の中間処理業許可なし)が引き継ぐ場合(合併しない)

中間処理業の新規許可をBが取得する必要あり
木くずの破砕機に関してBが「譲受けの許可」を受ける必要あり

3.業者Aの法人格は存続するが、Bから取締役を送り込む場合(Bが経営を引き継ぐ)

この場合は、業者Aが存続するので、B名義の許可取得や処理施設の譲渡手続きなどは一切不要

事業を始めるスピードだけを考えると、断然「3」が早いわけですが、簿外債務や役員からの貸付金などが多額に上る場合は、経営引き継ぎ後の禍根となります。

廃棄物処理法の場合、業許可を別法人に承継させる手続きはありませんので、
同一市内で中間処理業の許可を持っていない法人は、新規許可を取得する必要があります。

自治体によっては、その新規許可申請の前提として、事業地周辺の住民などに計画の説明をすることを義務付けているところがあります。
法律の原則どおり、説明不要という自治体もたくさんあります。

事業承継をうまく活用すると、事業を開始するスピードを大幅に早めることが可能ですが、
業許可の手続きを見落とすと、思わぬところで計画がとん挫することになりますので、あらかじめ許可申請に必要な期間を見込んでおきたいところです。

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排出事業者の誤解

12月10日に配信したメールマガジンを転載します。

 先週は、1週間で講演を3回行うというなかなかハードな1週間でした。
 でも、講演は嫌いじゃないので、毎日でも大丈夫です!

 セミナー終了後にいただいた質問や、懇親会でお聞きした排出事業者の担当者の生の声には、不思議といくつかの共通点がありました。

 今回は、その生の声の中でも、いますぐ誤解を解いた方が良いと思われる内容についてシェアしたいと思います。

(誤解1)
 無料で業者が回収してくれるものは有価物なので、マニフェストの交付は不要なんですよね。

(尾上のお答え)
 廃棄物処理法では、「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」の場合は、マニフェストの交付は不要ですが、それ以外の産業廃棄物はすべてマニフェストを交付する必要があります。

 確かに、業者に有償で引き取ってもらえる、すなわち「売却できる物」の場合は、廃棄物ではなく有価物になりますが、

 有価売買が成立する条件を、無償引き取りにまで拡大解釈するのは危険です。

 無料回収されたからといって、「売れた」と言う人はいないのですが、なぜか「無償=有価物」と解釈する人が多いのが現実です。

 また、お金を出す価値がないからこその「無償引き取り」であるため、引き取り後に、何らかの原因で不法投棄などをされてしまう可能性が非常に高くなります。

 最近よく見られる「家電の無償回収」などがその典型例です。

 産業廃棄物である以上、無制限に有価物として拡大解釈するのではなく、産業廃棄物として正しい処理委託をする必要があります。

(誤解2)
 工場の増改築で発生した廃棄物は、発注者の廃棄物として、発注者の事業所で保管をした上、発注者が処理しなくてはいけないんですよね。

(尾上のお答え)
 同じ質問を、まったく違う場所で最近もらったところなので、大変驚きました。

 発注者があえてそのような選択をして、発注者の責任で処理(委託)をすることは違法ではありませんが、法律的な排出事業者は、発注者ではなく、「建設工事を発注者から受注した元請業者」です。

 もちろん、発注者には廃棄物処理費用を負担する義務がありますが、それは廃棄物の処理責任とは別の話です。

 発注者が処理費用を負担する義務というのは、「廃棄物処理費」か「施工費」かという名目上の問題ではなく、工事を発注する以上、施工費を負担するのが当然という常識の問題です。

 逆に言うと、発注者が廃棄物処理費を負担しないからと言って、廃棄物処理法その他の法律には、発注者を罰する規定はありません。

 「なぜそのような運用をしているのですか?」とお聞きしたら、

 「行政に質問したらそのように指導されました」とのことでした。

 ひょっとすると、その方の質問の方法がまずかったのかもしれませんが、複数の事業者から同じ相談をいただいたので、不勉強な行政担当官の間で流行している「都市伝説」なのかもしれません!?

 「行政担当官がバカになった」という笑い話ですむことではなく、
 「行政も間違う」というよりは、
 「前に座る担当者によって、知識の量に著しく差がある」という認識を持ち、

 質問者自身が回答の真偽を判断できるよう、基礎的な解釈程度は、事業者自身が身につけたいものです。

 メルマガのタイトルは「排出事業者の誤解」でしたが、
 結末は「行政担当官の誤解」になってしまいました(笑)。

 ただ、今回の内容は誇張ではなく、多くの自治体の窓口現場で起こっている現実です。

 「天は自ら助ける者を助く」ですので、最低限の自助努力が不可欠です。

廃棄物処理の仲介に許可は必要?

最近よく聞かれる質問に
「廃棄物処理業者と排出事業者の取引の仲介に、廃棄物処理業の許可は必要ですか?」
というものがあります。

日本の廃棄物発生量は、今後減ることはあっても、増加することはなさそうですので、廃棄物処理関連ビジネスとして、「仲介ビジネス」に活路を見出す企業が増えています。

仲介ビジネスとは、
排出事業者に最適な処理業者を紹介し、仲介手数料として、一定のマージンをいただくビジネスのことです。

仲介サービスを利用すると、

(排出事業者)

  • 自社で中間処理業者を探しまわる手間が不要となる
  • 直接取引できないような企業でも、仲介会社を通すことによって、委託契約が可能となる

(処理業者)

  • 受け入れ基準に合う廃棄物を安定的に集めることが可能となる

といったメリットが生まれます。

それとは逆に、仲介サービスの使い方を間違えると、次のようなリスクが発生してしまいます。

  • ブローカーまがいの無責任な仲介により、契約とは違うルートで廃棄物を違法に処理されてしまう
  • 不当に高いマージンを請求されてしまう

このように、使い方さえ間違えなければ、仲介サービスを有効に活用することが可能となります。

ここで、今回のメルマガの本題に戻りまして、「仲介に業許可は必要か?」について解説します。

結論から申し上げると、純然たる仲介のみである場合は、廃棄物処理業の許可は不要です。

純然たる仲介は、廃棄物の運搬や処理に携わらず、当事者間の取引をつなぐのみにすぎないからです。

このあたりの解釈は、廃棄物処理法を読んでも明確に書かれていません。
過去、旧厚生省時代に、仲介行為には業許可が不要という通知が出された程度です。
しかし、肝心なこの通知を、環境省は現在HP上で公開しておりません。

どうしても、その通知の内容を読者の方にもお知らせしたかったので、平成10年度の廃棄物六法を古本屋で購入しました(笑)。
平成10年当時は、まだ堂々と?通知の内容を公開していましたので、廃棄物六法にもしっかりとその通知が掲載されていました。

【産業廃棄物の運搬、処分等の委託及び再委託の基準に係る廃棄物の処理及び清掃に関する法律適用上の疑義】

公布日:平成6年2月17日
厚生省衛産20号

各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長宛て 厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長通知

産業廃棄物の運搬、処分等の委託及び再委託の基準については、平成六年二月十七日付け衛産第十九号により指示したところであるが、このたび、標記について、平成四年七月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の改正法の施行前の通知の見直しも含め、別紙のように取りまとめたので、これに基づき委託基準等の適正な運用を図られたい。
なお、(以下略)

別紙
1 委託契約の当事者
(委託のあっ旋)
問1 汚泥の脱水の中間処理業を行っている中小企業等協同組合が二つあるが、この二つが中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に基づいて合体し、一つの連合会を作った。この連合会が汚泥の排出事業者からその処理の委託を受け、その処理をどちらか適当な協同組合に委ねる方法を考えているが、この行為は法第十二条第三項の委託基準違反になるか。なお、連合会は一つの法人格を持つが、連合会自身に処理能力はない。

答 連合会が単に排出事業者と処理業者たる協同組合との間のあっせんを行っているのであれば、法第十二条第三項に違反するものではない。

再び本題に戻ります。
仲介会社は、廃棄物の運搬や積み込み、保管を行うことがまったくできません。

それをしたい場合は、廃棄物処理法の原則どおり、業の許可を取得する必要があります。

ここで、業の許可無しに仲介行為が認められる条件を整理してみます。

(条件1)
仲介会社は、いかなる廃棄物処理にも携わらないこと

(条件2)
廃棄物の処理委託契約は、排出事業者と処理業者が直接契約すること
※先述したように、排出事業者と仲介会社の間で、廃棄物処理委託契約を締結することはできません。

(条件3)
マニフェストは、仲介会社の名義ではなく、排出事業者自身が発行すること
※仲介会社は廃棄物の排出事業者ではありませんので、これも当然の条件です。

(条件4)
排出事業者が処理業者に支払う正味の料金を、廃棄物処理委託契約書に記載すること
※委託料金は、委託契約書の法定記載事項ですので、正確な委託料金を記載する必要があります。

え!それじゃあ 仲介会社を契約書に登場させることはできないのか?

いえいえ 契約書に登場しない相手と取引するのは怖いですよね。
私としては、契約書によって、仲介会社とも契約を結ぶべきと考えています。

これは単なる一例ですが、
例えば、「委託料金の支払い方法については、別途定める」と決めておき、
別途、排出事業者と仲介会社、処理業者の3者によって、料金の支払い方法について契約し、廃棄物処理委託契約と一緒に保存しておくことをお薦めします。

こうしておけば、
廃棄物の委託契約は、廃棄物処理法の原則どおり、排出事業者と処理業者の直接契約
仲介会社に支払うマージンや支払いの流れについては、排出事業者と仲介会社、処理業者の3者契約 という形で、明確に文書化できます。

排出事業者と中間処理業者は、仲介サービスを適切に利用することで、信頼できるビジネスパートナーを確保し

収集運搬業者は、多くの処理企業の情報を有するプロフェッショナルとして、仲介ビジネスにも活路を見出していただければと考えています。

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