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環境省が災害廃棄物の再利用基準を策定

日本経済新聞 汚染廃棄物、3000ベクレル以下なら再利用 環境省が基準 より記事を転載します。

 環境省は25日、東京電力福島第1原子力発電所事故で生じた放射性物質で汚染されたコンクリートくずなど災害廃棄物を巡り、福島県内の廃棄物を同県内で道路や線路などに再利用する場合の基準を決めた。土砂などの遮蔽効果のある資材で地表面から30センチの厚さを確保すれば、放射性セシウムの平均濃度が1キログラム約3千ベクレルまでなら再利用できるとした。

 同日、東日本大震災による災害廃棄物の有識者検討会を開き、方針案を提示し了承を得た。検討会では汚染廃棄物処理のためのガイドライン案も提示した。汚染調査の方法や埋め立て処分の具体的方法などを明記した。

 廃棄物の再利用については、放射線量が年10マイクロシーベルト以下となるように放射性物質濃度を管理することを内閣府の原子力安全委員会が求めている。

 環境省は道路の路盤材への再利用を想定し、コンクリートくずの活用が道路利用者や周辺住民に与える影響をシミュレーションで分析。道路表面から30センチ下に利用し、1キログラム約3千ベクレルまでなら年間の追加被曝(ひばく)量を年10マイクロシーベルト以下にできると評価した。40センチ下で約1万ベクレルまでの資材を再利用した場合でも、年10マイクロシーベルト以下にできるとの評価結果も得たという。

 災害廃棄物の再利用を巡り環境省はこれまで、岩手県や宮城県の廃棄物を他の都道府県が処理する「広域処理」について1キログラム100ベクレル以下ならどの地域に運搬し、どの用途で再利用しても問題がないとの指針を示している。ただ福島県内の廃棄物再利用に関しては基準を示しておらず、処理を加速したい福島県がかねて要望していた。

日経の記事では、決定結果のみが淡々と書かれているため、安全性や基準決定までの経緯がよくわかりません。

そのため、市民団体などの不安がエスカレートし、抗議活動が激化するような気がします。

が、個人的には、政府がこのような基準を設けることは必須の行動だと思っています。

今後必要なのは、この基準の安全性や、必要性を根気強く国民に説くことです。

環境省も、災害廃棄物の広域処理に関するパンフレットを作成しているのですから、今回発表した基準と合わせて、一層の周知努力をしていただきたいものです。

正直に申し上げて、くだらない政策を全国紙で広告アピールするよりは、このような喫緊の課題こそ迅速に広報していかねばなりません。

自治体にチラシを配布したり、こそっとHPに掲載してお茶を濁すのではなく、
環境省自らが旗を振って、泥をかぶる覚悟をしない限り、災害廃棄物の処理の進展は望めそうにありません。

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業許可の更新は恣意的に行えない

日本経済新聞 千葉県、野田市内の産廃施設の継続許可 市は国に申し立てへ から記事を転載します。

 千葉県は20日、野田市内で産廃処理施設を運営する柏廃材処理センター(柏市、伊沢幸雄社長)に処分業者としての営業許可を更新したと発表した。同センターの周辺では健康被害を訴える住民が多いとして、野田市は許可を更新しないよう県に要請していた。今回の決定を受け、同市は国の公害等調整委員会へ申し立てする方針を明らかにした。

 柏廃材処理センターは野田市内の産廃処理施設で汚泥や廃プラ、木くずなどを1日当たり90トン処理している。07年から営業を開始したが、周辺住民から「悪臭がする」「鼻水や目がかゆい」などの苦情が県や市に寄せられていた。

 県は市と共同で、10~11年に工場周辺で揮発性有機化合物(VOC)の有無を調べるなどの環境調査を行ったが、県は「産廃施設が健康被害の原因とは断定できない」(県廃棄物指導課)と判断。5年ごとの更新が必要となる産廃施設の営業許可を認めた。

 県は今回の更新にあたって、来年1月から1年間かけて工場やその周辺でVOC調査をして健康被害の原因を詳しく調べるほか、同施設の運用基準を厳しくした。

 ただ、野田市の根本崇市長は同日「多くの市民が健康被害を感じる中、県は県民の声に応えようとしていない」と県の決定を批判。「県の対応があてにできない」として、被害を訴える市民を通じて、国が環境被害を調べる公害等調整委員会に紛争処理を依頼する方針を示した。

結論から先に書くと、許可要件を満たした申請である以上、必ず更新許可をしなければなりません。

従って、記事を見る限りでは、千葉県がした更新許可は適法適正なものと言わざるを得ません。

逆に、もし千葉県が、「近隣住民に健康被害が出ているので、おたくが原因じゃないかもしれんが、更新許可しない」などと言ってしまうと、それこそ違法な公権力の行使になってしまいます。

焼却炉と健康被害の因果関係がはっきりしない以上、手続き的には更新許可しか考えられません。

柏廃材処理センター の施設や事業内容を承知していないので、住民の訴える健康被害が、柏廃材処理センターに起因するものかは判断できませんが、

※2012.1.21 筆者追記
野田市民の方から、最初掲載していた地図は柏市の本社のものであるとのご指摘をいただきました。
ご指摘のとおり、柏市の地図を勘違いして掲載しておりましたので、野田市内の事業所の方をリンクしておきます。

大変失礼いたしました。ご指摘感謝いたします。

Gooogleマップで、施設と団地との位置関係を見ると、

大きな地図で見る

住宅団地と比較的近い距離にある焼却炉のようです。

富山高専で金抽出の新技術が開発される

12月16日に配信したメールマガジンを転載します。

 富山高等専門学校の河合准教授が、廃棄するPCの基盤から金を抽出する薬剤を開発した という報道がありました。

 NHKニュース
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111213/t10014597413000.html

 この薬剤は、王水のような強酸性ではなく、弱酸性のため、安全かつ廃棄する際の環境負荷を低減させることが可能ということです。

 ※富山高等専門学校 

 河合准教授は、金リサイクルのためにこの技術を研究されたわけではないため、ビジネス面での実用性を論じるのは適切ではないかもしれません。

 が、そこは頭の体操のためということでお許しいただくとして、あえて野暮な話をしたいと思います。

 結論から先に言うと、工程の金の回収率の低さや、回収に要する手間や時間の問題から、この薬剤を用いて金回収を事業としてやるのは難しそうです。

 しかしながら、強酸性の薬品ではなく、弱酸性の薬品でも回収ができるというところが最大の長所です。

 日本よりもむしろ、経済発展中の他国の方に最適な処理技術かもしれません。

 中国におけるE-WASTEの問題で明らかなように、経済発展を優先させる国では、安全性に目をつぶり、効率性を優先させることがしばしばです。

 そのような国では、人件費が日本よりも安い状態ですので、多少の手間や時間が必要だったとしても、安全なリサイクル技術の方が採用される可能性があります。

 ただ、とある国がこぞって安全な薬品処理を導入し、世界中の使用済みPCを一手に集め、金の回収を行うような事態になると・・・

 希少資源である金が一国に集中する事態となりそうです。

 今後の研究によっては、金の回収率が上がったり、回収プロセスの効率化も可能と思われますので、産業界も是非研究に加わってほしいものです。

 大いなるポテンシャルを秘めた新技術だと思うのですが、あなたはどう思いますか?

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昨日の記事の続き 富山高専の金抽出技術

中日新聞 純金2・13グラム エコな“採掘” 廃棄PC100台をリサイクル より記事を転載します。

 富山高専物質化学工学科の河合孝恵准教授が、学校で廃棄されたパソコンから金二・一三グラムを取り出すことに成功した。富山市本郷町の同校本郷キャンパスで十三日、“採掘”された純金を公開した。

 パソコンなどの基板には電気の伝導率を高め、さびを防止するために金メッキが使われている。基板を弱い酸性の液体につけて、金を除く金属を溶かし、金メッキをはがす方法を考案。さらに、ろ過と洗浄を繰り返して取り出す。二〇〇九年からリサイクルを始め、約百台から二・一三グラムの金を集めた。

 企業などが取り組む通常の金リサイクルでは、強い酸性の液体や水銀を使う。河合准教授の方法は手作業で基板を分解するため、時間がかかり、金の量も少ないが、手軽で環境汚染も少ないという。

 身近なものから簡単に高級品の金を取り出すことで、学生らに科学の魅力を知ってもらおうと実験したのがきっかけ。河合准教授は「学校単位での金のリサイクルは世界初の試み」と話し「今後は論文にまとめて、取り組みが多くの学校に広がれば」と意欲を見せている。

中日新聞の記事は、当ブログの 富山高等専門学校が金抽出の新技術を開発 で引用したNHKニュースとは違った角度で掘り下げられている内容でした。

昨日はブログで「採算性がありそう」と書きましたが、
中日新聞の記事では、「ろ過と洗浄を繰り返す」と書かれていますので、かなりの手間と時間がかかることがわかり、このままでは採算性が無さそうです。

とはいえ、王水のような強酸性の薬剤ではなく、弱酸性の薬剤で金の剥離(?)ができるというのは、コロンブスの卵的な新たな発見と言えるのではないでしょうか。

基盤を外すまでが人力で、その後の工程は機械化すれば、集荷力次第ではやはり十分な収益性がありそうです。

ただ、Windows95時代のPCなら金がかなり含まれているそうですが、最近のWindows7あたりになると、かなり金の使用量が少ないそうです。

そのため、時間が経つにつれ、PC内の金の含有量が減っていくことになりますので、事業的に考えると、やはり継続は難しいと言えそうです。

この技術単独では、開発者が言われているとおり「学校内での実験」に止まりますが、
他の技術の開発のきっかけになり得る、非常に重要な実験結果だと思います。

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富山高等専門学校が金抽出の新技術を開発

NHKニュース 廃棄パソコン処理 金を取り出す より記事を転載します。

廃棄されるパソコン100台から電子基板を取り出し、薬品で処理して2グラムの金を取り出すことに、富山高等専門学校の准教授が成功し、金メッキのある廃棄物から手軽に金を取り出す方法として注目されています。

この方法を考案したのは、富山市の富山高等専門学校の河合孝恵准教授です。利用するのは、廃棄されるパソコンの電子基板やインクカートリッジ、それにキャッシュカードなどで、特殊な薬品につけると使われている金メッキと基板などを接着している金属が溶けて、30分ほどで金が浮き出します。河合准教授は、おととしから富山高等専門学校で廃棄されたパソコンおよそ100台から2グラムの金を取り出すことに成功しました。通常のリサイクルと比べると、時間がかかり、取り出せる金の量も少なくなりますが、強い酸や水銀など有害な薬品を使う必要がなく、より手軽に行えるということで、河合准教授は今後、この方法を論文にまとめることにしています。河合准教授は「化学の知識を生かし、子どもたちに夢を与えるようなエコ活動ができないかと考案した。小中学生にも紹介して、化学の楽しさを知るとともに廃棄物問題にも関心を持ってもらいたい」と話しています。

非常に夢が持てる新技術ではないかと思います。

もっと大々的に取り上げても良いくらいです(笑)。

なぜか富山は電気製品のリサイクル技術が発展しやすい地域ですね。

さて、なぜ夢が持てる新技術かを説明いたしますと

薬剤の正確な価格がわかりませんのであくまでも推計ですが、

同じことを、廃棄物処理業者が事業化した場合で試算してみます。

熟練した作業者1人が、使用済みパソコンから基盤を取り出すのに必要な時間を5分とします。

100台のPCなので、全部を解体するのに必要な時間は、
合計100×5=500分(8時間20分)なので、約8時間。

時給800円で計算すると、日給6,400円。

そうして取り出した金2gを市場で売った場合、
1gあたり4,000円としても、2gで8,000円になります。

※価格表は、田中貴金属工業株式会社 金価格推移 から転載

ひょっとすると、熟練工の作業時間は5分よりも短いかもしれません。
その場合は、さらに収益性が増すことになります。

単純な試算では、若干の黒字化が可能です。

実際には、事務所の賃料や、電気代などの光熱費、回収に要する経費、使用後の溶剤の処分費などが必要になりますので、すぐに儲かる事業ではありません。

しかし、データ破壊や廃棄物処分費を受け取りながら、プラスチックや金属なども売却していけば、比較的容易に黒字化できそうです。

ただし、現状では、使用済みPCを有価買取、あるいは無償引取する企業が多いため、
廃棄物処分費を受け取るのは難しいかもしれません。

それでも
データ破壊と分解後の部品の販売などの合わせ技で収益確保は可能だと思います。

関連する事業に取り組んでいる企業は、
富山高専の河合准教授の論文発表に要注目です!

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熱分解装置の実証実験

河北新報 汚染廃棄物大幅に減量 熱分解装置を実証実験 福島・広野
 より記事全文を転載します。

 福島第1原発事故で生じた有機物系の放射性廃棄物を熱分解し、容積を大幅に減らす装置の実証実験が福島県広野町で行われている。廃棄物の減量化につながるとして、町が導入を検討している。
 装置は環境機器製造「オーデン」(東京)が開発した。鉄製で幅、奥行きとも2.5メートル、高さ6メートル。石炭を燃やして内部温度を1000度に上げ、廃棄物を投入。マイナスイオンを吹き込んで熱分解し、粉末のセラミックス状にする。
 1回に投入できる廃棄物は2立方メートルで約24時間で処理できる。実験では放射性物質に汚染され、除染で刈り取った草木を処理。計約22立方メートルを投入し、275分の1の0.08立方メートルに減量できた。減量率は焼却処分の数倍だという。処理前は毎時0.74マイクロシーベルトだった放射線量は3.05マイクロシーベルトに濃縮された。
 処理が想定される廃棄物は除染廃棄物の草木の他、東日本大震災の津波で破壊され、放射能汚染された木造住宅のがれきなど。放射性廃棄物を抱える自治体は保管場所の確保に頭を悩ませており、装置の減量効果が期待されている。
 実験装置は約6000万円。広野町は10倍の処理能力のある大型装置の導入を検討している。黒田耕喜副町長は「高い減量率で評価できる。復興基金を導入費に充てられるかどうかを県と協議する」と話した。

たった2立方メートルの廃棄物処理に24時間もかかるというのでは、通常なら採算が全く合いません。

しかし、震災廃棄物で、事実上地域外に移動ができないというのであれば、話は別。

震災復興もまずは廃棄物を片づけることから始まりますので、コストを度外視してでも、廃棄物処理を進める必要があるのも事実です。

ただし、圧縮率が高くなると、それだけ放射線量も濃縮されることになりますので、
圧縮できる廃棄物の容量にも自ずと上限ができます。

従来なら、廃棄物処理を徹底するだけで、被災地の廃棄物問題は解決できましたが、
今回の東日本大震災では、廃棄物処理を進めると、放射性物質の問題が逆に大きくなるという二律背反に行きつきます。

ターミネーターのようなロボットでもない限り、人は長時間放射性物質のそばで作業ができません。

そう考えると、このような減容化施設は、福島県内で使用するよりも、
宮城県や岩手県などの放射性物質の飛散が少ない地域で使用する方が合理的であるように思えます。

いずれにせよ、実証実験も緒に就いたばかりでしょうから、この実験結果がきっかけとなり
より多様な技術開発が進むことを祈っております。

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量刑の相場

産経ニュース 廃棄物無許可処分の経営者に懲役1年求刑 奈良 より記事を転載します。

 橿原市で9~10月、処分業の許可を受けずに自社の焼却施設で一般廃棄物の紙類を処分したとして、廃棄物処理法違反罪に問われた同市慈明寺町の「関西清掃社」経営の被告(71)の初公判が6日、奈良地裁(今井輝幸裁判官)であり、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側は論告で「安易な犯行で、以前から行われている行政の指導などを意に介さず、悪質」として、懲役1年、罰金100万円を求刑し、弁護側は「今後は処理業を行わないと深く反省している」として寛大な処分を求め即日結審した。

一般廃棄物の無許可営業に当たる罪で裁かれているわけですが、
廃棄物処理業の無許可営業は、廃棄物処理法第25条により、「5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれの併科」となっています。

懲役1年が求刑されていますが、懲役刑についてはおそらく執行猶予になると思われます。

罰金100万円が重いペナルティであることは事実ですが、
無許可営業した場合でも、現実の罰はこの程度です。

不法投棄などの両罰規定の改正で、
法人に対する罰金の上限が3億円にまでなりましたが、
事実上、3億円の罰金を払えるケースはほぼありませんので、
罰則は抑止力を伴わない「抜かずの宝刀」になっている面があります。

今後は行政規制と刑事法制度のすりあわせをし、現実的なペナルティを科す方法を考える必要がありそうです。

それがもっとも難しいんですけどね。

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シップリサイクル条約はビジネスチャンスを生むか?

12月2日に配信したメールマガジンを転載します。

 「シップリサイクル条約」という条約をご存知でしょうか?

 私は最近まで知りませんでした(笑)。

 ただし、日本の各地で、シップリサイクル研究会が立ち上がっていることには、今年の年初から注目しておりました。

 ※ブログ関連記事
 八戸市が船舶解体のメッカになる?
 

 船舶解体リサイクル技術の革新
 

 青森県八戸市、北海道室蘭市、そして愛媛県新居浜市

 大型船舶の解体であるため、自動車のように大量に発生するわけはなく、大規模なドックの保有が不可欠となります。

 それでも、港湾を抱える地域が躍起になって研究を進めている背景には、「シップリサイクル条約」の存在があったようです。

 
 この条約、2011年現在ではまだ発効しておりませんが、2013年中の発効が確実視されています。

 だからこそ、各地域はそれぞれの地域の振興と産業の発展を企図し、いち早くシップリサイクル技術の研究に入ったわけなのですが、シップリサイクル条約とは、何のために存在する条約なのでしょうか?

 国土交通省海事局船舶産業課国際業務室 のHPの内容を少し柔らかくしてみました。
 

 シップリサイクル条約とは、
 船舶の一生を通じ、特定の有害物質の搭載・使用を禁止、または制限し、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述したインベントリ(Inventory of Hazardous Materials)に基づいて、船舶リサイクル施設でリサイクルすること を定めた条約です。

 条約の発効要件は、
 1.15ヶ国以上が締結
 2.それらの国の商船船腹量の合計が世界の商船船腹量の40%以上となり、
 3.それらの国の直近10年における最大の年間解体船腹量の合計がそれらの国の商船船腹量の3%以上となる国が締結した日の24ケ月後に発効する
 とされています。

「船舶リサイクル施設は、安全や環境要件を遵守できることが担保されて初めて締約国であるリサイクル国の政府から承認を受けられる」

「船舶リサイクル施設は各船舶のインベントリに基づき、有害物質をどのように処理処分するかを明記した『船舶リサイクル計画』を作成する必要がある」

「船舶リサイクル施設は本条約に従って『リサイクル準備国際証書』を保持する船舶しか受け入れられない」

 と、条約発効後は、「安かろう」「悪かろう」というシップリサイクルができないということになります。

 すなわち、「安全な解体」と「安全な廃棄物処理」を両立させなければ、シップリサイクルができないわけですので、コストの面はさておき、日本に技術上の優位性があるのは明らかです。

 船舶の解体技術の研究は最近開始されたばかりのようですが、ハイテクではなく、ローテクの組み合わせになりそうです。

 そのため、日本以外の国が研究結果を真似しようと思えば、すぐさま真似できるものになるかもしれませんので、日本としては、一日も早く解体技術を確立し、先行者利益を確保したいところです。

 船舶のリサイクルというと、大部分のメルマガ読者にとっては縁遠い世界かもしれませんが、

 世界的な潮流の中でリサイクル動向を読み解き、ビジネスチャンスとしてどう生かすか という見方をしていただくと、一般的なビジネスマンにも応用できるテーマと思い、ご紹介しました。

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愛媛県新居浜市でもシップリサイクル研究会が始動

日刊工業新聞 えひめ東予シップリサイクル研、「羊蹄丸」の解体・資源再利用-13年度事業化目指す より記事を転載します。

 えひめ東予シップリサイクル研究会(愛媛県新居浜市、日野孝紀座長=新居浜工業高等専門学校講師)が、日本海事科学振興財団「船の科学館」(東京都品川区)から無償譲渡を受ける青函連絡船「羊蹄丸」のリサイクル計画の概要が決まった。
 2011年内にも新居浜東港までえい航され、12年4―6月に新居浜市の市政75周年事業の一環として一般公開される予定。その後、船舶の安全な解体や資源の再利用化を目指すシップリサイクルシステムの研究を目的に4カ月かけて解体する計画。
 同研究会は11年6月に発足し、初年度は組織作りと解体方法などの勉強会を進め、13年度の事業化を目指している。「解体用船舶の購入費用が課題」(日野座長)と、当初から解体用船舶の入手が懸案だったが、今回の譲渡で事業化が早まる見通し。

当ブログでも、これまでシップリサイクルに関して2回取り上げたことがあります。

八戸市が船舶解体のメッカになる?
船舶解体リサイクル技術の革新

シップリサイクル条約が2013年に発効しそうなことを受け、各地でシップリサイクル研究会が立ち上がっています。

最初は国土交通省の支援で研究会が創設されたのかと思っていましたが、
散発的に複数の地域で研究会が発足していることを考慮すると、
国主導ではなく、地域主体で自主的に研究を進めているように見えます。

国土交通省のサイトその他を参照しましたが、具体的な研究支援のメニューがなかったため、そのように判断しました。
その見解が間違いである場合は、コメントでご指摘いただけると幸いです。

以下、地域の自主的な取組という前提で解説を進めると、
国の縛りが無いために、自由に研究ができるというメリットがある一方、
各地域の研究方針を連絡調整する機関が無いと、研究の重複や、各地域間で相乗効果を発揮できないというデメリットがあります。

報道されていないだけで、本当は連絡調整機関(または人)が存在するのかもしれませんが、
各地域の研究会の創設自体が比較的最近のことなので、その必要性が認識されていないのかもしれません。

造船技術の高さや、環境保全への取組状況を考えると、
日本には技術上の優位性があると言えそうです。

課題は人件費の高さになっていますが、低コストで解体する方法の研究が進められているようですので、国際的な競争力を持った産業に成長してほしいものです。

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遺品回収業の問題

11月25日に配信したメールマガジンを転載します。

 「遺品回収業」という事業をご存知でしょうか?

 私自身は事業の名称は知っていましたが、遺品の整理が必要な場面に出くわしたことがなかったため、具体的に意識したことはありませんでした。

 最近では、「アントキノイノチ(←最初はイノキかと思いましたよ)」という映画で、主人公の男性の職業として遺品回収業が描かれているそうです。

 人が亡くなったとしても、遺品を整理する遺族が身近にいれば、遺品回収業者の手を借りる必要はまったくありません。

 しかし、最近では身寄りのない独居老人の孤独死が急増中で、「無縁社会」というキーワードがささやかれることが多くなってきました。

 遺族がまったくいない場合や、遺族があったとしても、遠方で居住しているため遺品の整理が満足にできないというケースも多いため、遺品回収業者の存在意義が高まっているのは事実です。

 ただ、「遺品」の中には、誰もそれを必要としない不要物が必ず含まれています。

 論理的には、遺品の中の不要物は、廃棄物です。

 そのため、廃棄物となる遺品を運んだり、処分したりする場合には、一般廃棄物処理業の許可が必ず必要となります。

 ただし、一般廃棄物処理業の許可を取ろうとしても、各市町村の廃棄物処理計画との兼ね合いで、誰もが許可を取得できるわけではありません。

 そのような状況を背景とし、業界団体が資格を作り、啓発に努め始めたそうです。

 需要高まる遺品整理士 無許可、不法投棄の懸念も 健全化へ業界団体
 http://www.chibanippo.co.jp/c/news/national/65318

 しかしながら、いくら啓発に努めようとも、無許可は無許可
 目的が手段を正当化することはありません。

 とはいえ、高齢化と人口減少が同時に進む日本では、遺品回収事業の必要性が高まっていくのも明らかです。

 既存の一般廃棄物処理業者の中でも、現状に甘んじない企業で遺品回収事業を始めたところがたくさんありますが、今後はそれらの先進的な処理業者のみでは需要をさばききれない可能性が高いです。

 今必要なことは、遺品回収事業の必要性を認め、
 法律的な位置づけをキチンとすることではないでしょうか。

 別に「遺品回収業法」のような法律を作る必要はありません。

 市町村がその気になれば、「故人の遺品の収集運搬のみに限定する」といった、廃棄物処理法の枠内で、遺品回収事業を定義することも可能です。

 対象物を遺品のみに限定すれば、既存の一般廃棄物処理業者との棲み分けが可能ですので、それほど大きな抵抗も発生しないと思われます。

 なにせ、抵抗が生まれるほど旨みがある事業なら、とっくの昔に多くの処理業者が取り組んでいるはずです。

 遺品の運搬だけなら誰でもできますが、遺族の要望に応えつつ、礼を失しないサービスを提供するというのは、従来の処理業者の仕事とは違う内容の仕事になります。

 どこかの自治体が先鞭をつければ、比較的早期に全国に波及していくと思います。

 トップランナーになるのが好きな自治体は是非お試しください!(笑)

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