2010年改正内容の公布
バタバタとしていたため、ブログで触れることはできませんでしたが、
廃棄物処理法の改正が、5月12日の参議院で可決、5月19日に公布されました。
環境省の発表内容 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律の公布のお知らせ
改正される条文は、当ブログでも解説してきたとおりで変更はないのですが、条文の解釈や運用方法については、早くも各地で混乱の声が上がっており、環境省は改正公布の翌日、5月20日に早速ある連絡文書を発送しています。
建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任の元請業者への一元化について(事務連絡)
上記の事務連絡文書には、法律の条文からは読み取れない、環境省の法改正にかけた思惑が説明されているため、法律の条文と同じく重要な解釈資料となりそうです。
次回から、建設廃棄物に関する改正点について、複数回に分けて、最新版の改正情報を解説してまいります。
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2010年5月31日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
廃棄物処理法改正案が閣議決定される
廃棄物処理法改正の予定については、既に当ブログでもご紹介してきたところです。
3月5日(金)に、正式に廃棄物処理法改正が閣議決定され、第174回国会に改正案が提出されることになりました。
これから国会で審議されることになるわけですが、民主党政権が国会で過半数超の勢力を保持している以上、ほぼ原案通り可決されるものと思われます。
今回は閣議決定のお知らせのみのショートバージョンですが、次回から、法律改正案の骨子の解説に戻ります。
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2010年3月8日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
平成22年度廃棄物処理法改正の方向性
このたびの廃棄物処理法改正は、従来型の川下(処理業者)規制という前例を踏襲せず、川上(排出事業者)対策に思い切ったシフトチェンジを図ろうとしているようです。
廃棄物処理制度専門委員会報告書(案)から該当する部分を抜粋・要約します。
1.排出事業者責任の強化・徹底
・小規模施設(=設置許可不要)で自社処理をしている排出事業者にも、帳簿の作成と保存を義務付けるべき
・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・委託先の処理業者のところを定期的に訪問し、委託契約どおりに処理されているかどうかを、排出事業者に確認させるべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
排出事業者に対しては、これだけの規制が追加される可能性があります。
専門委員会で特に議論が紛糾した個所としては、「委託先処理業者に対する実地確認」を義務化するかどうかについてでした。
結論としては、実地確認が罰則付きの義務とされることはなさそうですが、契約締結時の努力義務化される可能性は高そうです。
専門委員会では、実地確認の義務化をした場合の影響について、建設業界を代表する委員がこのように発言していました。
第10回専門委員会 塚田委員(日本建設業団体連合会環境委員会地球環境部会長)の意見
実際問題としましては、例えば私日建連の企業などは、これは自主的に実地確認はやっております。
やっているんですが、自分が出した廃棄物のトレーサビリティーを全部して、それを確認しなさいというのは、前から申し上げているように、これは無理だと思います。
それで、こういう実地確認ということと、それから私この文言に資料3の2ページで出させていただきましたように、実は適正なサービスを委託しているという委託側、つまり中間処理業者とか処分業者の情報の公開とかその辺を義務づけて、それから、後ほど出てくる優良業者とは何かという定義の中で、遵法性、情報公開、環境保全云々とあるわけで、この辺のところがきちんと情報公開されれば、つまり、優良な業者とは何かということになれば、入ってくるほうと特に出のほうの収支がはっきりしている会社というのが優良な業者ということになりますので、優良な処理業者の情報とこの辺をセットにして、私がここに書きましたように、その辺の情報提供あるいは公開を義務づけて、むしろ排出事業者がその辺の開示情報に基づいて処理の確認ができる。
これをセットでやってもらわないと、これは恐らく無理だと思いますので、ぜひその話は、優良業者とは何かということともつながってくる話だというふうに思っております。
私個人としても、塚田委員の主張が正しいと考えます。
排出事業者による実地確認は、排出事業者自身の法的リスク(委託先が適切な処理業者かどうか)に対処するために行うものであり、廃棄物の日々の流れをトレースするために行うものではないからです。
現実的な問題として、廃棄物の流れを、リアルタイムでトレースするのは、ICタグなどを用いないかぎり不可能です。
また、ICタグをすべての廃棄物にくっつけるのは、資源と労力の無駄遣いです。
環境省としても、「排出事業者は、日々の廃棄物の動きをトレースせよ」と言っているわけではないため、そんな思惑はないものと考えられますが、排出事業者責任が年々強化される様子を見て、産業界を中心に、実地確認を受けれいれる側の処理業界も、実地確認の義務化には強い拒絶姿勢を示しています。
しかしながら、企業の法的リスクに対処するためには、担当者自身が現場を訪れ、実際に廃棄物が処理される様子を見学することが絶対に必要です。
実地確認を義務化するか、しないか
実地確認をするか、しないか
という二者択一ではなく、冷静に法的リスクを把握し、それに対処するためにはどういう行動が必要なのかを、もっと冷静に議論されても良かっただろうと思います。
その他の排出事業者責任の強化・徹底についても解説しておきます。
小規模施設(=設置許可不要)で自社処理をしている排出事業者にも、帳簿の作成と保存を義務付けるべき
現行制度では帳簿の整備が求められていない排出事業者であっても、自社で中間処理や最終処分を行っている場合は、廃棄物の処理に関する帳簿を作成する義務が追加されそうです。
排出事業者の規模や、帳簿の記載項目などの詳細は、これから検討されるようです。
排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
建設系廃棄物の場合、誰が排出事業者なのかわかりにくいことがよくあるため、保管の段階から、行政にその事実を届出させるようになるかもしれません。
これも、保管面積や届出内容の詳細などは未定です。
建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
上記の内容とも重なる項目ですが、元請会社と下請会社が混在するような場合、廃棄物の排出事業者は元請会社に統一してはどうかという提言がされています。
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2009年11月9日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
法改正のための検討項目(2)-2(経理的基礎ってなに?)
「経理的基礎がある」とは、「産業廃棄物処理業を的確に、かつ継続して行うに足りる財政的基盤があること」と定義できます。
「経理的基礎の有無」は、産業廃棄物処理業の許可条件の一つです。
言いかえると、都道府県知事は、経理的基礎が「無い」業者に対しては、産業廃棄物処理業の許可を出してはならないということになります。
では、「経理的基礎がある」とは、具体的に資金がいくらあれば良いのでしょうか?
100万円?
それとも1億円?
その答えは、廃棄物処理企業の事業規模や、事業の内容によって異なります。
最終処分業の場合は、維持管理費用や用地取得費として、数億から10億円程度の資金が必要になることが大半です。
収集運搬業の場合は、極端な話、車1台を用意できれば、事業自体はすぐ行えます。
このように、具体的な金額で、経理的基礎を明示するのは困難ですので、廃棄物処理法にも詳しくその内容は定義されていません。
法律には明示されていませんが、産業廃棄物処理業の許可を出す際に、都道府県知事は、その事業者の「経理的基礎の有無」を審査しなければなりません。
実務においては、事業者に具体的な現預金の額や負債の有無などを申告させ、その内容を審査するケースがほとんどです。
場合によっては、申告内容の裏付けとして、預金通帳のコピーや残高証明書をつけさせることもありますが、大半は自己申告の内容のみに基づいて判断します。
行政としては、法律や施行規則に具体的な審査基準が書いていない以上、上記のような方法で審査せざるを得ず、その結果「経理的基礎がある」と判断できる案件に対しては、許可をしなければなりません。
近年、最終処分場をめぐる住民訴訟が増加しており、経理的基礎の有無に関して、「行政の判断が適切ではなかった」という判決が出た実例があります。
上述したように、行政としては、「法律に則って審査をしている以上、これ以上つっこんだ内容の審査は無理だ」という悩みがあります。
経理的基礎を十分に有する企業に操業させ、近隣住民の生活環境を守ることが何よりも優先されます。
「行政の悩み」と「住民の不安」の両方を解消するためには、まず、「経理的基礎を確かめるための具体的な基準」を明確にして行く必要があります。
ちなみに、環境省が設置した「経理的基礎の審査等に係る経理専門委員会」で検討されている、経理的基礎の具体的な審査項目案は以下のとおりです。
1. ア及びイの条件をともに満たしている場合、経理的基礎を有するものとする。
- ア.過去3年間の損益平均値から判断して利益を計上できていること 又は 自己資本比率が1割を超えていること
- イ.申請事業にかかる事業計画に沿った収支計画(事業収支計画書)において、少なくとも収支相償していること申請事業にかかる収支計画が収支相償していない場合は、廃棄物処理部門あるいは企業全体としては、少なくとも収支相償していること
2.経理的基礎の有無の判断に当たっての、主な留意事項は以下の通り。
- ア.申請者が上記1.アの条件を満たさない場合であっても、「直前期が黒字であること」又は「債務超過でないこと」が確認できる場合、申請者から事業改善計画書(赤字計上等の要因、事業改善方策、改善スケジュール、実施管理体制と実施責任者等を記載したもの)を徴し、審査の結果、容認される余地があるものとする。
- イ.申請事業にかかる事業収支の審査にあたっては、必要な資金の総額の妥当性やその資金を調達できるか否かに留意する。
- ウ.許可権者は、経理的基礎を有さないと判断するにあたっては、金融機関からの融資の状況を証明する書類等を必要に応じて提出させ、また、商工部局、労働経済部局など他部局の協力を求めるほか、補完的に中小企業診断士、公認会計士等専門家から意見を求めるなどして、慎重に判断するものとする。
3.廃棄物処理法施行規則の見直し
<現行> 貸借対照表、損益計算書
<修正案> 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表4.現行運用通知の見直し(主なもの)
- ア.「事業の開始に要する資金の総額」の例示に「事業の用に供する不動産に抵当権等が設定されている場合はこれを抹消するために必要な費用」を追加(不動産登記簿謄本で確認。許可直前に最新版で再度確認することを推奨)
- イ.「事業を的確かつ継続して行える経理的基礎」の有無の判断基準及び留意事項について
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2009年10月1日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
法改正のための検討項目(2)(廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進)
廃棄物処理業は、「不要な廃棄物を安全に処理する」という、社会にとって必要不可欠な産業です。
しかし、その重要性とは裏腹に、不法投棄などの印象から、「廃棄物処理業=得体のしれない業界」という、間違ったステレオタイプのイメージがはびこっています。
排出事業者責任の強化・徹底でご説明したとおり、不法投棄の大半は、「排出事業者」や「無許可業者」が行ったものです。
しかしながら、現在の法体系下では、不法投棄の責任は廃棄物処理業者にあるかのように、廃棄物処理業を厳格に規制してきたのはまぎれもない事実です。
「廃棄物の適正処理」を達成するという本来の目的とはかけ離れた、行き過ぎた規制が許可制度を中心に横行しているとも言えます。
この行き過ぎた規制を是正し、信頼できる処理業者を増やすための課題として、「廃棄物処理制度専門委員会」において、下記の内容が具体的に検討されました。
「廃棄物処理業の許可制度の整備と優良化の推進」
・「経理的基礎」などの許可基準を明確にするべき
・行政は不適正処理への取締りをもっと徹底するべき
・欠格要件の見直しや、産業廃棄物収集運搬業許可手続の簡素化等、一定の合理化をするべき
・信頼できる産業廃棄物処理業者を育成する観点から、優良性評価制度を拡充していくべき
次回は、上記の検討課題を具体的に解説していきます。
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2009年9月17日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
法改正のための検討項目(1)-2(排出事業者の産業廃棄物保管行為)
中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 廃棄物処理制度専門員会において、「廃棄物処理法」改正のための具体的な論点整理が図られています。
排出事業者責任に関する検討項目としては、下記の内容が挙げられています。
- 排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
- 建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
- マニフェストをもっと適切に運用させるべき
- 委託先の現地確認を義務付けよ!
- 電子マニフェスト使用を義務付けよ!
今回は、「排出事業者の産業廃棄物保管行為」について解説します。
保管行為をなぜ規制する必要があるのか?
環境省の調査によると、
廃棄物の不法投棄実行者の半分は、排出事業者でした。逆に、産業廃棄物処理業者は約5.5%と非常に低い割合となっています。
さらに、不法投棄された廃棄物の79%は建設廃棄物でしたので、
「建設工事に関連している排出事業者が不法投棄に関与していることが多い」と言わざるを得ません。
実際、私の行政官時代にも、廃棄物の不適切な保管や処理の対象となっていたのは、建設廃棄物ばかりでした。
ターゲットがわかっているなら、速やかに規制できそうにも思えますが、実際はそう簡単に割り切れないケースがほとんどです。
例えば
「ここに置いてある廃棄物は、他人のゴミではなく、自社が施工した工事で発生させたものだ」と言われてしまうと
廃棄物を20mも積み上げたなどの、余程の危険性がない限り、「その場所に廃棄物を置くな」という法的な根拠がないのです。
もちろん、自社の廃棄物ではなく、他人の廃棄物を保管する場合は、産業廃棄物処理業の許可が必要であり、その許可の有無は簡単に判明しますので、取り締まりは厳重に行われます。
しかし、「自社の廃棄物しか保管していない」と主張されてしまうと、他人の廃棄物が混じっているかどうかは行政が立証しなければなりません。
その結果、立証するための証拠収集に時間がかかり、気がついた時には大規模な不法投棄事件に発展
というのが、各地で起こっている不法投棄の生成パターンです。
土を掘って廃棄物をその中に放り込み、廃棄物に土をかぶせている場合は、「無許可の埋立」としてすぐに逮捕することが可能ですが
例えば、自社が管理している土地に廃棄物を放置する行為の場合、それだけでは不法投棄と判断しにくいケースが多々あります。
このような現実に対する改善策として、排出事業者自らが産業廃棄物を保管する場合でも、行政がその情報を把握できるようにするべし、というのが論点のそもそもの発端です。
しかし、情報を把握できたとしても、保管行為に対する規制をできないというのでは意味がありませんので
廃棄物処理法第12条第2項の「保管基準」を満たさないような不適切な保管行為に対して、「措置命令」を発出できるようにするべし、という意見も出ているようです。
廃棄物処理法の改正内容に盛り込まれるかどうかは、今後の状況次第ですが、排出事業者に対する規制が強まっていくのは間違いなさそうです。
今のうちに、保管基準を見直し、法律がいつ改正されても慌てなくても済むよう、準備を整えておくのが良いでしょう。
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2009年8月12日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
法改正のための検討項目(1)(排出事業者責任の強化・徹底)
排出事業者には、産業廃棄物の発生させた者として、廃棄物を適切に処理する責任があります。
自ら産業廃棄物を処理できない場合は、産業廃棄物処理業者などと契約をして、安全に処理してもらう必要があります。
その委託をする際に必要な手続きとしては
1.委託契約書の作成と保存
2.産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行と保存
が必要となっています。
しかし、いまだに多くの排出事業者は、自分に産業廃棄物の処理責任があることを理解しておらず
「お金を払っているのだから、すべて処理業者の責任だ」と、偏った理解をしている企業が多いのではないでしょうか。
産業廃棄物を発生させる企業の認識が改まらないことには、末端の処理企業をいくら締め付けたところで、「見つからなければ良い」、あるいは「他もやっている」という理由で、廃棄物の不適切な処理がなくなることはないでしょう。
平成3年の法律改正以降、廃棄物処理法は徐々に排出事業者に対する規制を強化してきました。
現在、その規制を更に強化、そして実効性があるものにするべく、環境省は専門委員会において活発な議論を始めました。
排出事業者責任に関する検討項目としては、下記の内容が挙げられています。
・排出事業者の産業廃棄物保管行為を行政が把握できるようにするべき
・建設系廃棄物の排出事業者は誰になるかを明確化するべき
・マニフェストをもっと適切に運用させるべき
・委託先の現地確認を義務付けよ!
・電子マニフェスト使用を義務付けよ!
次回の記事では、上記の検討課題を具体的に解説していきます。
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