廃棄物最終処分場経営の要諦
asahi.com 山梨地域ニュース 課題の現場を歩く〈4〉廃棄物最終処分場
山梨県が設置した公営廃棄物最終処分場である、明野最終処分場に関する記事です。
遮水シートの破損や、早くも巨額の赤字を計上するなど、芳しくないニュースばかりですが、
最終処分場が存在しない山梨県では、最終処分場を設置する必要性があるのも事実です。
しかしながら、「私の家の近所には建設しないでくれ」と思うのも当然です。
設置の必要性を理解していただき、住民の不安を解消するための万全の措置を講じるのが最終処分場を設置する際のリスクマネジメントの基本となります。
しかしながら、今回の報道を見る限り、山梨県のリスクマネジメントは非常に稚拙であったと言わざるを得ません。
もっともまずかったのは、埋立に供する期間として、たったの「5.5年」しか予定していなかったことです。
最終処分場は、埋立終了後も排水処理をし続けなくてはならない施設ですので、
本来なら、短期集中で埋立を完了させるのではなく、できるだけ長期にわたり
埋立量を平準化させ、排水処理に完璧を期すとともに、閉鎖後の管理費用を積み立てる
ものだからです。
明野処分場の場合は、その大原則を無視して、
「とにかく設置ありき」で、地元調整をうやむやにした感があります。
5.5年しか供用できないのであれば、最初から最終処分場を設置しないほうがましでした。
山梨県側に
「設置さえしてしまえば、供用期間の延長は容易も可能だろう」という目論見があったとすれば、
それは相当甘い認識であったと言わざるを得ません。
地元を騙しているつもりはなかったと思われますが、住民の側からすれば、「ごまかし」に
他ならない詭弁でしかありません。
進むも地獄、退くも地獄 の様相を呈してきた明野処分場ですが、
どの方向に進むにせよ、事態を打開するためには、行政側の
不退転の決意が必要となります。
関係者全員が満足する解決をするのは不可能と思われますが、
一人でも多くの人が納得できる解決策を探っていただくことを
望みます。
タグ
2011年1月13日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:news
山梨県明野処分場受入単価引き下げへ
YOMIURI ONLINE 明野処分場受け入れ単価引き下げ来月から廃棄物18種類すべて
関連記事
山梨県明野処分場建設差し止め訴訟の結果
山梨県知事明野処分場の稼働延長を表明
当初計画の1割以下しか搬入量が無いため、売上高を少しでも増やすべく、単価を引き下げることにしたようです。
しかし、単価を引き下げたとはいえ、一般的な受入単価と比べると、まだ高い気がします。
それと、公共設置施設でありながら、安全性の観点から、「燃えがら」の受入をしないという点も少し解せません。
ひょっとすると、地元からダイオキシンの問題で、「燃えがら」を受け入れることには強硬に反対されているのかもしれません。
以前もブログに書きましたが、公共設置の最終処分場である以上、本来は「燃えがら」を受け入れる役割があります。
そのような処分場にできなかったのは、山梨県が地元関係者に対し、施設の安全性と必要性をしっかりと説明できなかったためと思われます。
問題の根源から逃げることなく、今からでも理解が得られるよう説明を重ねる必要がありそうです。
タグ
2010年2月25日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:news
山梨県知事明野処分場の稼働延長を表明
読売オンライン 処分場稼働延長を表明:山梨
当ブログ関連記事
赤字35億円というのは、現在発生している赤字ではなく、最終処分場を予定通り5年半で閉鎖した場合に見込まれる赤字です。
現在の搬入量は、当初計画の10%以下とのことですので、当初計画がずさんすぎたと言わざるを得ないようです。
産業廃棄物は日々発生し続けるものであるため、山梨県内で発生した廃棄物の受け皿として明野処分場を設置する以上、5年半という短期間ではなく、10~20年といった長期的な供用をするのが本来のあるべき姿です。
そこを無視して、「とにかく操業したい」という一念で、地元と無理な合意をしてしまった県側の責任を無視することはできませんが
山梨県は、一度最終処分場のあるべき原点に立ち返り、あえて「火中の栗を拾う」決断をして、供用期間延長のお願いをしていくべきだと思います。
タグ
2010年2月3日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:news
山梨県明野処分場建設差し止め訴訟の結果
毎日.jp 県環境整備センター:建設差し止め請求など、住民側主張退ける--地裁 /山梨から記事を抜粋・転載します。
関連記事 山梨県明野処分場の問題
北杜市明野町浅尾の廃棄物最終処分場「県環境整備センター」の周辺住民が、県に対して同センターの設置許可取り消しを求めた訴訟と、事業主体の県環境整備事業団に建設・操業の差し止めを求めた仮処分申請について甲府地裁(太田武聖裁判長)は26日、住民側の請求を棄却・却下した。
仮処分決定によると住民側は、廃棄物には有害物質が含まれ、飲料水や大気、土壌を通じて健康を害すると主張したが、地裁は「健康を害するとは認められない」と判断した。
また、訴訟で住民側は「県は設置許可を出した際に地元住民の同意を得ておらず違法」などと主張したが、判決は「住民同意は設置許可の要件としていない」などとして住民側の主張を退けた。
横内正明知事は「廃棄物処理法に基づき適正な手続きを行ってきた。処分場設置の正当性を認めていただいたと考えている」とのコメントを発表した。
裁判という、法律に則って白黒をつける場面では、どうしてもこのような判決になってしまいます。
最終処分場を設置することで、それまでは何もなかった環境に、何らかの環境負荷を与えるようになることは間違いありません。
具体的な環境負荷としては、搬入車両の通行に伴う騒音・振動・粉じん、浸透水の発生など様々なものがあります。
このような環境負荷を、周辺の生活環境に害を及ぼさないようなレベルにまで低減することによって、産業廃棄物最終処分場の設置が認められることになります。
明野処分場は、山梨県が主体となって設置した処分場ですので、上記の最低限の基準は問題なくクリアしているはずです。
法律的に白黒をつけるならば、「白」と言わざるを得ないレベルです。
しかしながら、「最低限の基準を満たしていること」と「周辺住民の安心感」とは、全く異質の評価軸にあるため、最低限の基準を満たしているからと言って、住民が安心して今までどおりの生活を続けていけるという保証にはなりません。
住民側のもっとも大きな懸念は、「廃棄物処理技術の安全性云々」といったことではなく、「この先どうなるのか・・・」という漠然とした不安にあると思われます。
その意味では、山梨県知事の「正当な施設として認めてもらった」という発言は、住民側の怒りを増幅させるだけで、不安の解消には役立っていません。
行政側は、裁判の結果と関わりなく、粘り強く事業の必要性と安全性を繰り返し説明していく必要があるでしょう。
タグ
2010年1月28日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:news
山梨県明野処分場の問題
山梨県が今年設置したばかりの廃棄物最終処分場が、早くも経営危機に陥っています。
YOMIURI ONLINE
明野処分場赤字45億円県試算搬入打ち切りなら
このニュース、「行政には経営感覚がないからだ」という簡単なコメントでは済ませられない根深い問題です。
確かに、行政側の当初の事業計画の前提がおかしかったのも事実ですが、山梨県には「管理型最終処分場」が一ヶ所もなく、甲府市以外は一般廃棄物処分場が無い、つまり山梨県で出た廃棄物のほとんどは、山梨県外で最終処分されているという現実があります。
出典 山梨県「公共関与による廃棄物最終処分場整備の必要性について」
公営の最終処分場が巨額の赤字を出してしまうと、その穴埋めをするために、巨額の税金を投入しなければなりません。
従って、行政の財政規律の面から考えると、公営施設が45億円の赤字を出すという試算は、到底看過できるものではありません。
しかし、だからといって、「最終処分場など最初からいらなかったのだ」と言うのも早計です。
人や企業が活動をし続ける以上、廃棄物は絶対に発生し続けます。
ゴミを発生させ続けながら、ゴミの処理は他の地域に押し付け、自分は「消費による繁栄だけを享受したい」とは、誰も言う権利がありません。(実態は別として・・・)
「根深い」と表現したのは、まさにこのためであり、「地域にとって必要な施設だけど、自分の近所には建てないでほしい」という気持ちを、否定する権利がある人もいません。
突き詰めれば、「施設の必要性」と「地域住民の安心」を両立させることは大変困難です。
地域の当事者にできる事といえば、長い時間をかけてじっくりと話し合いを行い、その場所で生活する人に施設の必要性と安全性を納得してもらうしかありません。
山梨県の明野処分場の場合も、長い期間をかけて住民達と話し合いを進めてきていたようですが、「埋立期間が5.5年」という、異常に短い事業期間で突っ走るしかなかったことは、「拙速」と言わざるを得ません。
毎日.jp から、明野処分場の収支計画を再検討してきた経営審査委員会報告書の骨子を抜粋。
出典 県環境整備センター:赤字35億円を想定 経営審査委が報告書 /山梨
報告書では、赤字の要因として
(1)経済状況が厳しい
(2)埋め立て期間(5年半)が短い
(3)焼却灰など一般廃棄物を受け入れていない
(4)民間処分場との価格競争が想定より厳しかった--ことを挙げた。
上記の4要因は、どれか1つだけでも致命的な赤字要因となるものばかりですが、特に(2)の「埋立期間が5年半」という制約が、今後の経営改善の大きな支障となりそうです。
廃棄物最終処分場は、そこを閉鎖した後も排水管理をしなければなりません。
埋立事業終了後も、巨額の管理コストがかかる施設です。
そのため、本来なら埋立期間をできるだけ長期化し、少しでも多くの廃棄物の埋立を行いながら、土中に埋めた廃棄物の安定化を同時に図っていくのが本来のあるべき姿です。
通常の最終処分場の場合、埋立期間を15年以上取るのが基本です。
そこを、「とにかく操業したい!」という一点で、「5.5年」という有り得ない短期間で収支計画を立ててしまったことが、悲劇の始まりです。
巨額の赤字を垂れ流し続けることだけは避ける必要がありますので、山梨県は、再度、事業計画の前提から住民側と話し合いをやり直す必要があると思います。
タグ
2009年12月11日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:news



