「監査」じゃなくて「確認」です
顧問先の処理企業から、
排出事業者から廃棄物「監査」の一環として質問されている内容への対応方法について相談を受けました。
相手企業が事前に送ってきたチェック表を拝見しましたが、
「よくぞ これだけ審査項目を書き出した!」と言いたくなるほどの圧倒的な量でした。
しかし
残念ながらその審査項目の大部分は
廃棄物処理法に基づかない、無意味で実現不可能な要求事項ばかりでした・・・
行政の立入検査以上に厳しい基準で「監査」をしても、正直意味がありません。
もちろん、処理業者の信頼性や評判などは、行政の立入検査ではノーマークですので、
そこを具体的に調査する意義ならあります。
しかし、廃棄物処理基準以上の厳しさで、しかも実行できない要求をつきつけ
「監査をするぞ」というのは、本当の監査と言えるのでしょうか?
私は常々、機会があるごとにセミナーでお話しているのですが、
重要なのは、委託先処理業者の現場を訪問し、処理状況を確認する ことであって、
上から目線で作った机上の空論で「監査」をしては絶対にダメなのです。
「廃棄物監査」という言葉自体が、非常に不適切な言葉です。
「監査する」以上は、少なくとも、監査する者に法律に関する十分な知識が無ければいけません。
その知識無しに、「お金を払っている顧客だから」という理由だけで、一方的に「監査」ができるのでしょうか?
必要なことは、「要求事項」の背後に隠れることではなく、排出事業者と処理業者が対等の立場でパートナーシップを構築し、廃棄物リサイクルをより良く行っていくことです。
「廃棄物監査」という用語を使っている排出事業者の方には、この記事をきっかけにして、自社の責任に対する意識変革を図っていただきたいと思います。
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2010年11月22日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
2010年改正の逐条解説 第12条第7項(委託先業者の現地確認)
(事業者の処理)
第12条
7 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
赤字で記載した部分が、今回の法律改正によって追加された部分です。
「産業廃棄物の処理の状況に関する確認」とは、若干不明確な定義ですが、法律改正の内容を検討していた「廃棄物処理制度専門委員会」での議論から判断すると、「処理業者の廃棄物処理現場を実際に訪問し、委託契約のとおりに処理されているかどうかを確認すること」のようです。
処理業者の現場に張り付き、逐一その状況を確認することは不可能ですので、
「排出事業者が自分の目で処理業者の適格性を判断し、その判断に基づいて、適切な委託契約を行いなさい」
という意味合いになります。
ちなみに、本条の最後で、「努めなければならない」とあるように、仮に一切確認を行わなかったとしても、刑事罰に処せられることはありません。すなわち、本条は「努力義務」です。
しかし、排出事業者責任を全うし、廃棄物の処理を適切に進めていくためには、排出事業者自身の目で、委託先業者の適格性を判断することが絶対に必要です。
それに、現場を見ずに委託契約をすると、許可証の記載からは気づかない大きなミスをよくしてしまうものです。
「努力義務だから対応の必要なし」ではなく、あえて努力義務として条文に追加した政府の思いをくみ取り、自社への社会的要請に自発的に応えていくことが重要だと思います。
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2010年6月10日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
2010 年廃棄物処理法改正 委託先業者の現地確認(4)
前回は、現地確認の具体的なポイントを解説しましたが、そもそもの現地確認の目的は、
「委託契約を適切に行う」ことと、
「不法投棄に巻き込まれない」こと でしたね。
今回は、その目的を達成するための最終仕上げの方法について解説します。
まず、現地確認から会社に戻ってやるべきことは、確認できた情報を書面として記録することです。
廃棄物の保管方法に問題は無かったか
従業員の教育はキチンとできていたか
マニフェストや契約書の管理も万全だったか
廃棄物処理の方法は適切だったか
などを、しっかりと具体的に書面化することが大切です。
チェックシート方式か、穴埋め式にするのかは自由ですが、書類作成が「目的化」しないよう、機械的に書くのではなく、なぜ書面化する必要があるのかを忘れない程度に、頭を使わせることが肝要です。
訪問先の雰囲気や、事業場周辺の様子など、単なる事実ではなく、肌で感じとった「印象」を、誰もが読める「情報」に変換する作業をさせることがポイントです。
次にやるべきことは、どの処理企業に仕事を任せれば良いかという、具体的な選定作業です。
点数を付けて、業者の優劣を判断する方法が主流となるかと思いますが、その場合は、評価ポイントを一律にするのではなく、
例えば、「明らかに保管容量超過の場合は20点減点
マニフェストがすぐ出てこなかった場合は10点減点」など
具体的な確認項目ごとに、評価ポイントの配分を変えるのが良いです。
そうして、社内で意思決定を図り、委託先の処理企業の選定が終わった状態で満足してはいけません!
最後にやるべきことは、現地確認結果の記録から、意思決定までに至る過程を、これまた記録として作成し、保管しておくことが必要です。
記録や書面と繰り返し言っておりますが、書類の一字一句にこだわる必要はありません。
必要なことは、企業がどのような努力を払って、排出事業者責任を全うしたかを後世明らかにできるよう、経緯がわかる証拠をしっかり作っておくことです。
現地確認が努力義務化される以上、義務を果たしている証拠を残しておくことが、これまで以上に重要になります。
正当な努力を、正当に主張することは、企業として当然の権利です。
コストをかけて現地確認をする以上、成果物(意思決定の記録)をキチンと残しておきましょう!
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2010年4月30日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
2010 年廃棄物処理法改正 委託先業者の現地確認(3)
現地確認のポイント(現場編)
今回は、現地確認のポイント(現場編)について解説します。
前回は、現地確認をするために必要な心構えを解説しました。
現地確認を行うあなたの目的は、
「委託契約を適切に行う」ことと、
「不法投棄に巻き込まれない」ことにあります。
そのため、行政がマニュアルに基づいて行う立入検査のような厳格さは必要ありません。
「認められた保管容量を10立方メートル超過している!」などと、細かい数値を計測する必要はありません。
しかし、そもそもの現地確認の目的を達成するためには、行政が着目しないポイントにも注意をはらう必要があります。
以下、見るべきポイントとその理由を解説していきます。
1.現地確認の際は、廃棄物の保管方法の確認が基本
・保管場所の管理は適切か
・飛散流出・地下浸透していないか、ヤードの壁は安全か
・大量に貯まりすぎていないか
行政処分にもっとも直結しやすいのが、廃棄物の大量保管です。
その他、後述しますが、廃棄物の大量保管は、不法投棄などの不適正処理に結びつくことが多く、その現場で働いている労働者が事故に遭遇する危険性も増えるため、恒常的に大量保管を続けている処理企業は信頼しにくいと言えます。
2.廃棄物の「入」と「出」の比較
廃棄物処理業の場合は、「廃棄物の引取り=売上」という部分が大きいため、「仕入れ」の後に「売上」が成立するという、一般的なお金の流れとは異なる商流となっています。
具体的には、「売上」を計上した後に、「仕入れ=処分」を行うことになりますので、「売上」と「仕入れ」のバランスが非常に重要なビジネスです。
利益を手っ取り早く増やすためには、廃棄物の引取り量を増やすと同時に、他社に支払う処分費を極力抑えることで、簡単に達成できます。
真っ当な商売を続けるためには、そのような手法を続けることは不可能なのですが、悪意を持った企業が、一時的にこのような手法で売上を増やした後、未処理の廃棄物が大量に残ったまま倒産 という実例が最近増えています。
そのような危険な取引先を見抜くポイントとしては、
・見た目の廃棄物保管量の多さ
・事業場に出入りする車の搬入と搬出の台数
などが、具体的な指標となります。
3.その他
・契約書とマニフェストの保管状況 は当然として
・従業員の態度や服装 も 実は重要な指標となります。
従業員が来客に対して挨拶をしない企業は、従業員が自分の仕事に誇りをもって取り組んでいないことがほとんどです。
または、経営者が、従業員の給料を著しく抑えているのかもしれません。
いずれにせよ、現場の従業員のモラルが低いと、廃棄物の不適正処理はそれだけ発生しやすくなるため、そのような企業は取引先としてやはり信頼性に欠けます。
たとえ、経営者や営業担当者が口をそろえて「我が社は法令順守がモットーです」と言っているとしても、それだけでは単なる「スローガン」です。
現地確認のポイントを大きく3つに分けて解説してみました。
「百聞は一見にしかず」ですので、この機会に、まずは現地確認を体験してみて、そこで浮かび上がった問題点に改善を加えていってみてください。
処理企業の場合は、他人からはこのような目でチェックされるのだという視点で、もう一度今回の内容を振り返っていただき、自社の改善に役立てていただければと思います。
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2010年4月26日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
2010年廃棄物処理法改正 委託先業者の現地確認(2)
現地確認のポイント(事前準備)
今回は、現地確認のポイント(事前準備)について解説します。
1.まずは、現地確認に行く目的をはっきりさせます。
「そんなの 委託先の業者の処理状況を確認する以外にないじゃないか」と思われた方が多いと思いますが、あくまでも、現地確認は「手段」であって、「目的」ではありません!
法律で(努力)義務化されると、「義務」の部分だけに目が行ってしまい、そもそもの「目的」が忘れられがちとなってしまいます。
では、再び最初の問題提起に戻り、
現地確認は何のために行うのでしょうか?
法的リスクと経済的リスク対策としては、
「委託契約を適切に行うため」と「不法投棄に巻き込まれないため」の情報収集に尽きると思います。
こうして考えると、単なる「見学」や一方的な「監査」では、現地確認に行っても大した効果は得られないことがわかります。
あなたの目的は、処理業者の格付けをすることではなく、
委託先として適切なパートナーかどうかを一回で見極めることです。
格付けというお高くとまった目線ではなく、自社と処理企業の関わり方を主体的に考えることが重要となります。
これで、現地確認を行う目的ははっきりしました。
しかし、まだ必要な事前準備が残っています。
それは
2.自社の廃棄物の性状の理解 と
3.どのように処理してもらいたいのかを明らかにすること です
自社が出す廃棄物が、「廃プラスチック類」なのか「ゴムくず」なのかを理解せずに、適切な委託契約をすることは不可能です。
「業者さんが『廃プラ』と言っているから」と、重要な判断行為を他人任せにしていませんか?
その他、「引火しやすい」など、取扱いに注意が必要な廃棄物の場合は、事前に排出事業者が情報提供を行う義務もあります。
他人の領域で情報収集をする前に、まずは自社の情報を整理し、どのような廃棄物を、どのように処理してもらいたいかを、最低限、事前に把握しておく必要があります。
当り前のことを書きましたが、現地確認が「目的」化してしまい、現地確認の場が、一方的な「格付け審査会場」となっている現場がよくあります。
単なる「格付け」なら、極端な話、確認先をすべて0点にしてしまえば、評価者の過失が問われることはありません。
委託を一切しないなら、事故や不祥事が発生する確率もゼロですので。
しかし、実際には、排出事業者が自力で廃棄物を処理できない以上、どこかの処理業者に廃棄物を処理してもらう必要があります。
そのためには、排出事業者自身がよく廃棄物のことを勉強し、適切な情報開示を行いつつ、処理業者と強固なパートナーシップを結ぶことが不可欠となります。
くれぐれも、「目的」と「手段」を混同しないようにお願いします。
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2010年4月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
2010年廃棄物処理法改正 委託先業者の現地確認(1)
今回は、2010年の廃棄物処理法改正で予定されている、「現地確認の義務化」について解説します。
第12条第7項
「事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、『当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、』当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」
『 』で囲った部分が、今回の法改正で追加される部分です。
条文を読むと、どこにも「現地確認」とは書いてありませんが、廃棄物処理制度専門委員会での議論の状況や、マニフェストの存在を考え合わせると、書面による確認ではなく、実際に処理現場に赴いて確認をすることが求められている、と考える必要があります。
今でも、委託した産業廃棄物が処理された日付けについては、マニフェストで確認していますので、処理日のような単なる事実ではなく、その場所で確実な処理が行われているかという、抽象度の高いレベルの確認が要求されることになります。
義務化されるといっても、懲役や罰金が伴うような義務ではありません。
委託先業者の現地確認は、罰則無しの努力義務に近い位置づけです。
しかし、努力義務だからといって、現地確認を一切行わないというのも危険です。
努力義務を怠っても直接的な刑事罰には結びつきませんが、万が一、不法投棄などに巻き込まれた場合に、委託先の処理業者の処理状況を確認した形跡が無ければ、行政や警察に無責任な企業という悪い印象を与え、事情聴取をより厳重に行われることになるかもしれません。
今までは、委託契約書とマニフェストという、目に見える形で義務を果たしておけば良かったところに、「確認」という抽象的な義務が入ってくるわけです。
「罰則が無いから対応する必要なし」では済まないリスク要因と言えます。
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2010年4月19日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
現地確認は排出事業者の義務か
最近、愛知県をはじめとする地方自治体が、産業廃棄物の排出事業者に対し、「委託先の処理業者の施設を実際に確認すること」を義務付ける条例を制定し始めました。
愛知県「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例」 第7条
事業者は、県内に設置する事業場において生ずる産業廃棄物 (略)の運搬又は処分を 産業廃棄物処理業者に委託しようとするときは、規則で定めるところにより、当該産業廃棄物処理業者が当該委託に係る産業廃棄物を処理する能力を備えていることを確認しなければならない。
2 県内産業廃棄物の運搬又は処分を産業廃棄物処理業者に委託した事業者は、当該委託に係る県内産業廃棄物の 適正な処理を確保するため、当該県内産業廃棄物の処理の状況を定期的に確認しなければならない。
毎年1回すべての委託先を現地確認するとなると、大変大きな手間となります。
現状では、定期的な確認どころか、契約時の見学でさえやっていない企業が多いのではないでしょうか。
「そんなことはない。ちゃんと契約時に見学をした」という反論もあると思いますが、企業としてはそうであっても、担当者としてはどうでしょうか。
廃棄物管理の担当者として、すべての委託先を訪問したことがある人はほとんどいないのではないでしょうか?
愛知県などの条例は、「それでは排出者責任を全うしているとは言えない。毎年確認に行くことを義務付けます」というものです。
しかしながら、現実問題として企業のリソースは有限ですので、毎年委託先を訪問できる企業は少ないと思います。
毎年訪問し、自分の目で現地確認をすることが理想的ですが、それが難しい場合は、少なくとも、契約の締結時と更新時には、必ず現地確認をしておいた方が良いでしょう。
そうしないことには、相手が適切な委託先かどうかわかりませんしね。
ちなみに、愛知県その他の自治体の条例では、「現地確認を行わなかった」というだけでは、罰金などの刑罰を科されることはありません。
罰則無しの、努力目標といった感じです。
しかし、万が一、委託先の処理業者が産業廃棄物を不適切に処理した場合は、現地確認を行わなかったことが大きなマイナスポイントとなり、「廃棄物処理法」に基づく行政処分の対象になる可能性が高くなることに注意しておいてください。
ここまでは、「企業を守る」ための方針ですが
企業価値をアピールする、つまり「攻める」ための方針としては
「我が社が委託先の処理業者の適格性を毎年現地確認しています。」というアピールを、CSRや環境報告の一環として取り上げることも可能です。
各地の条例化を、「余分な手間」や「従う義務の無い規制」として考えるのではなく
「企業価値を高めるためのきっかけにできないか」と、前向きにとらえていただければと思います。
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2009年3月27日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |




