2010年改正の記事一覧

廃棄物処理法施行令改正(2010年)

ブログでは速報しかしていませんでしたが、ようやく落ち着いて執筆できる環境になったため、施行令改正をこつこつと解説していきます。

まずは、
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」等の閣議決定について(お知らせ)から、改正された施行令の内容を全文転載します。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱

第一 熱回収施設設置者認定制度の手続等

一 認定熱回収施設設置者が熱回収施設において行う処分の基準を定めること。(第五条の四及び第七条の三関係)
二 認定熱回収施設設置者は、当該認定に係る熱回収施設において熱回収を行わなくなったとき、当該熱回収施設を廃止し、若しくは休止し、若しくは休止した当該熱回収施設を再開したとき、又は当該熱回収施設における熱回収に必要な設備の変更をしたときは、その旨を都道府県知事に届け出なければならないこととすること。(第五条の五及び第七条の四関係)
三 二により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は指定都市の長等が行うこととし、二の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長等に関する規定として指定都市の長等に適用があるものとすること。(第二十七条第二項関係)

第二 大臣認定制度の規定の整備
 環境大臣の認定を受けた者が認定に係る事項を変更する場合及び休廃止等をする場合の認定及び届出に係る規定を整備すること。(第五条の七から第五条の十二まで(これらの規定を第七条の五から第七条の十までにおいて準用する場合を含む。)関係)

第三 輸入対象の拡大に伴う委託基準等の変更

一 輸入された廃棄物の処分又は再生を委託するときは、処分又は再生を委託するものとして許可を受けて輸入された廃棄物に限り、処分又は再生を委託することができることとすること。(第六条の二及び第六条の六関係)
二 輸入された廃棄物の処分又は再生を委託するときは、委託契約書にその旨についての条項が含まれていなければならないこととすること。(第六条の二及び第六条の六関係)

第四 帳簿の備え付けを要する事業者の追加
 帳簿の備え付けを要する事業者に、その事業場の外において自ら当該産業廃棄物の処分又は再生を行う事業者等を追加すること。(第六条の四関係)

第五 廃石綿等の埋立処分基準の強化

一 廃石綿等の埋立処分を行う場合には、あらかじめ、固型化、薬剤による安定化その他これらに準ずる措置を講じた後、耐水性の材料で二重にこん包しなければならないこととすること。(第六条の五第一項関係)
二 廃石綿等の埋立処分を行う場合には、埋め立てる廃石綿等が埋立地の外に飛散し、及び流出しないように、その表面を土砂で覆う等必要な措置を講ずることとすること。(第六条の五第一項関係)

第六 産業廃棄物処理業の許可の更新期間
 産業廃棄物処理業の許可の更新期間は、許可の更新を受けた者であって、従前の許可の有効期間において事業の一部又は全部の停止の命令を受けていないことその他の許可に係る事業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者として環境省令で定める基準に適合するものについては七年とし、それ以外の者については五年とすること。(第六条の九及び第六条の十一から第六条の十三まで関係)

第七 産業廃棄物収集運搬業許可の合理化
 産業廃棄物収集運搬業の許可(都道府県内の一の指定都市の長等の管轄区域内のみにおいて業として行おうとする産業廃棄物の収集運搬及び産業廃棄物の積替えを行う区域において業として行おうとする産業廃棄物の収集運搬に係る許可を除く。)に関する事務並びに当該許可に係る変更の許可、届出の受理、命令、許可の取消し及び意見の聴取に関する事務は、都道府県知事から指定都市の長等に権限が委任されない事務とすること。(第二十七条第一項関係)

第八 施行期日等

一 この政令の施行期日について定めること。(附則第一条関係)
二 所要の経過措置を設けること。(附則第二条から第六条まで関係)
三 関係政令について所要の改正を行うこと。(附則第七条から第十一条まで関係)

実務的、というよりは世の中の流れ的に大きな影響がある項目としては、第7の「産業廃棄物収集運搬業許可の合理化」について触れる必要があります。

それぞれの改正項目に関する解説は、次回以降一項目ずつ取り上げていきます。

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2010年廃棄物処理法改正の解説(6) 廃棄物処理施設に関する情報公開

10月15日に発行したメールマガジンを転載します。

 メルマガでお伝えするのが遅れましたが、10月7日から、政省令改正に関するパブリックコメントの募集が始まりました。

 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13007

 新たに追加された内容もありますが、概ね、それまでに公開されていた素案とほぼ同様です。

 パブリックコメントの募集は11月8日(月)までですので、意見を提出したい方はお早めに環境省まで!

 ここからメルマガ本文を開始します。

 第6回目は、廃棄物処理施設に関する情報公開について解説します。

 タイトルは「廃棄物処理施設」でしたが、今回解説する法律改正の対象は、廃棄物処理施設全般ではなく、非常に狭く限定されることになります。

 具体的には、
 一般廃棄物処理施設の場合は、「焼却施設」と「最終処分場」
 産業廃棄物処理施設の場合は、「焼却施設」と「石綿溶融施設」と「PCB処理施設」、「最終処分場」 のみが対象となる改正です。

 一言で言うと、焼却や埋立処分場など、環境負荷が大きい施設に対する規制が強化されることになります。

 今回の法律改正によって、上記の6つの施設を設置した事業者には、

 「行政から定期的に施設の検査を受ける義務」と

 「『廃棄物処理施設の維持管理計画』と『廃棄物処理施設の維持管理状況』
  を、インターネット等で公表する義務」

 という2つの義務が加わります。

 逆に言うと、上記の6つにあてはまらない施設、例えば日量10トンの木くず破砕機などの場合は、検査を受ける義務や維持管理状況を公表する義務が無いということになります。

 2つの義務を具体的に解説します。

 「定期的な検査の受診義務」については、読んで字のごとく、施設の設置者に、行政に対して、5年に1回は「ウチの施設を検査をしてください」と申し出ることを義務付けるものです。

 事業者に「検査してください」と言わせるのも少し変な気がいたしますが、この改正の狙いは、行政に管轄内の廃棄物処理施設の操業状態を把握させることにありそうです。

 それなら、行政の義務として規定をすれば良さそうなものですが、そうなると国会で審議が必要な法律改正事項になりますので、政府内で簡単に変更できる政省令改正に盛り込んだのでは?と邪推しています(笑)

 環境省の思惑がどうあれ、事業者の正式な義務として規定がされる以上、今まで以上に、維持管理記録や帳簿の管理を徹底して行う必要があります。

 次は、「維持管理状況などの情報公開」についてです。

 具体的な公開するべき情報としては、

「処分した廃棄物の月ごとの種類及び数量等、法第8条の4に基づき記録し、処理施設に備え置かなければならない事項(過去3年分のもの)」となりそうです。

 情報の具体例を挙げると、焼却施設における「排ガスの燃焼温度」など、施設の日々の運転記録をそのまま公開することになりそうです。

 情報公開は、インターネットその他の方法で行うことになりますので、

 「情報の取りまとめ」「公開できる形に情報を加工(ねつ造ではなく)」
 「情報のアップロード」

 という、非常に煩雑な事務作業が必要となりそうです。
 
 逆に、システム会社は大儲けできるかもしれませんね(笑)。

 もっとも、インターネットでいちいち公開してられないという企業の場合は、直接会社に来ていただいて、直接記録を見ていただく方法でも良くなりそうです。

 いずれにせよ、廃棄物処理施設を設置した事業者にとっては、「外からの目」を常に意識した操業が、ますます必要となります。

 情報をねつ造して、嘘の情報を公開したとしても、直接刑事罰に問われることはありませんが、そうした場合、企業としての信頼は地に堕ちることになります。

 今まで以上に、「社会からどう思われたいか」が、企業の重要な行動指針となりそうです。

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2010年廃棄物処理法改正の解説(1) 帳簿の備え付け

今回から、政省令の改正案を踏まえながら、改めて2010年廃棄物処理法改正の内容を一つずつおさらいしていきます。

第1回目は、政省令の改正のみで実現した、帳簿の備え付け義務の拡大についてです。

2010年4月1日から、下記に当てはまる事業者にも、産業廃棄物処理に関する記録を帳簿に記載することが求められることになります。

  1. 産業廃棄物が発生する事業所の「外」で、自らその産業廃棄物の処分を行う(排出)事業者
  2. 産業廃棄物が発生する事業所「内」に、小規模(=設置許可の対象とならない規模)の焼却施設を設置し、自ら焼却を行う事業者

「1」は、自社の拠点から排出される廃棄物を、別の拠点に移動させて自社処分している排出事業者のことです。

「2」は、自社の拠点に、事前の設置許可が必要ない小規模な「焼却施設」を設置し、それで自社処理している排出事業者のことです。

法律改正に先立つ「廃棄物処理制度専門委員会」で示された環境省の原案では、「すべての」小規模処理施設を置く(排出)事業者に対して、帳簿の作成を義務付けたいとされていましたが、

政省令改正案が公開される段になると、「事業所外で処分」あるいは「焼却施設を置く」(排出)事業者のみが対象と、かなりトーンダウンした感があります。

法律上は、産業廃棄物処理施設というのは、廃棄物処理法第15条の条件に該当する施設のみですので、小さな能力しか発揮できない設備の場合は、産業廃棄物処理施設に該当しないことになり、事前に設置許可を取る必要がありません。

最近は、排出事業者が自ら簡易な圧縮機械を導入するなど、廃棄物の削減(減量)の流れが強くなリ始めています。

環境省は、その流れをもっと強めたいと思っているのかいないのか

帳簿の備え付けという煩雑な手続きをいたずらに拡大するのは止めた模様です(笑)。

ちなみに、現在既に帳簿を作成していなければならない事業者は、下記のとおりです。

・産業廃棄物収集運搬業者
・産業廃棄物処分業者
・産業廃棄物処理施設(←第15条の対象になる規模の施設)設置事業者
・特別管理産業廃棄物排出事業者

上記の4つにあてはまりながら、帳簿なんて書いたことが無いという企業の方は、いますぐ帳簿の備え付けを始めてください!

今回の改正では、「焼却施設」がキーワードとして現れることが多いため、環境省は、(廃案にはなりましたが)「地球温暖化対策基本法」の復活を意図し、廃棄物処理法にも布石を打ったのかもしれませんね。

最後に、帳簿に記載すべき内容を記しておきます。

上記の「1」の事業者の場合は、処分する産業廃棄物の種類ごとに、

『運搬』:産業廃棄物が発生した事業場、運搬年月日、運搬方法、運搬先ごとの運搬量、(積替え・保管を行う場合は)積替え・保管の場所ごとの搬出量
『処分』:産業廃棄物の処分を行った場所、処分年月日、処分方法ごとの処分量、処分後の廃棄物の持出先ごとの持出量

上記の「2」の事業者の場合は、焼却する産業廃棄物の種類ごとに、
『処分』:処分年月日、処分方法ごとの処分量、処分後の廃棄物の持出先ごとの持出量

となっています。

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2010年改正の逐条解説 第12条の3第8項(委託者のマニフェスト返送状況把握義務)

(産業廃棄物管理票)
第12条の3
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第3項から第5項まで若しくは第12条の5第5項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第14条第13項(処理業者の通知義務)若しくは第14条の4第13項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。

赤字で書いた部分が、今回の法律改正で追加された部分です。
第12条の3第8項は、従前の第12条の3第7項に赤字の部分を追加したものになっています。

第14条第13項及び第14条の4第13項(処理業者の通知義務)というのは、これまた今回の法律改正によって追加された条文です。
詳細は後日解説しますが、処理業者が事業停止処分等の行政処分を受けると、処理業者は委託された廃棄物の処理ができなくなります。
第14条第13項などは、そのような場合に、処理業者に対して、委託者(排出事業者)に「行政処分を受けたたため、委託された廃棄物の処理ができません」と通知をすることを義務付けています。

第12条の3第8項の内容を改めて全部解説すると、

  1. マニフェストが返ってこない場合
  2. マニフェストに虚偽記載がある場合
  3. 行政処分を受けたため廃棄物処理ができない旨の通知を受けた場合

には、委託者(排出事業者)は、まずマニフェストがどの段階で止まっているかを確認するとともに、処理業者のところで不適切な処理が行われていないかを調査することが必要になります。

また、委託者(排出事業者)は、生活環境保全上の支障の発生防止の他、実際に支障が発生している場合は、支障の除去に必要な措置を取らねばなりません。

最後に、委託者(排出事業者)は、上記の一連の行動の結果を都道府県知事に届出ることが必要です。

今回の法律改正によって、上記の「3」の場合にも、一連の調査と生活環境保全上の支障の発生防止義務が発生することになりました。

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2010年改正の逐条解説 第12条の2(特別管理産業廃棄物に係る処理)

(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第12条の2
3 事業者は、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該特別管理産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

4 前項の環境省令で定める場合において、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場の外において同項に規定する保管を行つた事業者は、当該保管をした日から起算して14日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

7 事業者は、前2項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該特別管理産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該特別産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

保管場所の事前届出

災害発生時の保管場所届出

委託先の現地確認

で解説した内容は、特別管理産業廃棄物ではない産業廃棄物に関するものでしたが、特別管理産業廃棄物にもまったく同じ規定が置かれ、「保管場所の事前届出」と「委託先の現地確認」などが、排出事業者の責任として科されることになっています。

特別管理産業廃棄物に関する規制の内容は、産業廃棄物に関する規制とまったく同様ですので、再度の解説は省略します。

上記の個別記事をご参照ください。

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2010年改正の逐条解説 第12条第3項(保管場所の事前届出)

(事業者の処理)
第12条
3 事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

本条のポイントは、

  • 環境省令でこれから定める内容にあてはまる産業廃棄物を
  • それが発生する事業場の外で
  • 自ら産業廃棄物の保管(環境省令でこれから定める内容にあてはまるものに限定される)をする

事業者に対し、「事前に」その保管行為の内容を、都道府県知事に届出ることを義務付けていることです。

環境省としては、不法投棄の温床となる、廃棄物の大量保管を行政に捕捉させるため、あるいは、行政に大量保管行為者を追及しやすくさせるために、本条を改正で盛り込んだものと思われます。

そのため、すべての産業廃棄物の事業場外保管を一つずつ報告させるものではなく、ある程度の量を超えた場合、あるいは、長期間保管し続けると危険な廃棄物のみを、事前届出の対象とするものと考えられます。

具体的な届出対象の範囲は、9月頃に予定されている、廃棄物処理法施行令の改正によって明らかにされるはずです。

建設業や大規模製造事業者で、事業場外で廃棄物を保管しているような場合は、大きく実務に影響を受けることになりますので、環境省令の内容を今後も注視することが必要です。

施行令が改正され次第、当ブログでも詳細を分析する予定です。

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2010年改正の逐条解説 第21条の3第4項

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(当該廃棄物が産業廃棄物であり、かつ、当該下請負人が産業廃棄物収 集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者である場合において、元請業者から委託を受 けた当該廃棄物の運搬又は処分を他人に委託するときを除く。)には、第六条の二第六項及び第七項、第十二条第五項から第七項まで、第十二条の二第五項から 第七項まで、第十二条の三並びに第十二条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業 者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

第21条の3第4項のエッセンスを抽出すると、次のような意味になります。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(再委託を除く。)には、当該下請負人を排出事業者とみなし、下請人 に対し、委託基準の遵守と、マニフェストの運用を義務付ける。

2010年5月20日付の事務連絡 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任の元請業者への一元化について(事務連絡) では、21条の3第4項の趣旨を次のように解説しています。

(4) 改正法第21条の3第4項について
本項は、下請負人が廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、下請負人に委託基準及びマニフェストを交付等する義務を適用し、廃棄物処理法の規定に基づく適正な処理が確保されるよう措置することとするものである。

下請負人が元請業者から受託した産業廃棄物の処理を再委託する場合には、従前どおり、当該元請業者には委託基準等が、当該下請負人には再委託基準等が適用されるものであり、本規定の適用は除外されることとなる。

改正法第21条の3第1項の規定によって元請業者が排出事業者となることにより、下請負人が廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する際には、下請負人が元請業者から受託した廃棄物の処理を再委託する場合を除き、何ら廃棄物処理法に基づく規定の適用がないこととなる。本項は、そのような場合であっても下請負人が不適正な委託を行わないように委託に関する諸規制を下請負人に課すものであり、下請負人が請け負った建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理を委託することを推奨する趣旨ではない。

なお、下請負人が廃棄物の運搬又は処分を他人に委託した場合であっても、それが元請業者の指示又は示唆により行われた場合には、元請業者から下請負人に対して当該運搬又は処分の委託があったと考えられ、元請業者に委託基準等が適用されることとなる。

本条は、識者の間でも、解釈がわかりにくいという悪評が高い条文です(笑)。

第1項で、「元請が排出事業者である」と言っているのに、第4項で、「下請に委託基準遵守とマニフェストの発行を義務付ける」と書いているため、余計に混乱してしまいます。

本条のキモは、上掲の事務連絡文書の赤字部分、「下請負人が不適正な委託を行わないように委託に関する諸規制を下請負人に課すもの」にあります。

具体的に言い換えると、第4項を規定することによって、下請業者の不適切な委託行為をあらかじめ防止したことになります。

このような事例を元に考えるとわかりやすいと思います。

「元請」と「下請」が一体となって施工している工事現場で、「下請」が独断に懇意の処理業者Xに廃棄物処理を委託し、処理業者Xが廃棄物を不法投棄してしまった!
このようなケースでは、誰を排出事業者として責任追及すれば良いのだろうか?
という場合です。

法律改正前でも、「元請」が建設廃棄物の排出事業者であることには違いがありませんが、今回のケースでは、「下請」が「元請」の意思とは関係なく委託行為をしました。

こうなると、「下請」は排出事業者ではないため、直接下請に排出事業者責任を問うことはできそうにありません。
また、「元請」は排出事業者ですが、言わば、現場で保管していた廃棄物を第三者によって持ち出され、勝手に不法投棄されたと言えなくもありませんので、「元請」に対して、直接排出事業者責任を問うのも難しそうです(委託行為や不法投棄に一切関与していないという前提でが)。

環境省としてみれば、「せっかく法律上で、元請に排出事業者責任を規定したのに、下請を間に挟むことによって、自由に脱法行為をされてはたまらない!」ということになりますので、あえて、第4項を規定し、下請に対しても法律の網の目をかぶせたということです。

常識的に考えると、上記の事例のような言い訳は、単なる屁理屈でしかありませんが、不適正処理が起こっている現場では、日々そのような屁理屈が横行し、行政がそれに反論するための証拠集めが必要となっています。

その意味では、今回解説した第4項は、行政にとっては大変使い勝手の良い条文ということが可能です。

環境省担当者のインタビュー記事を拝見していると、第4項の適用対象となるケースとして、

  • 元請が排出事業者責任を全く果たさないため、下請が元請の代わりに当事者として、委託契約を結ぶ必要がある現場

という、少し現実離れした事態を想定しているようです。

杞憂ではないかと笑うことも可能ですが、現実問題として、屁理屈が猛威をふるっているのも事実ですので、行政には、せっかく加えた条文を有効に活用し、今まで以上に迅速な取締りを期待したいと思います。

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2010年改正の逐条解説 第21条の3第3項

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を 含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

第21条の3第3項のエッセンスを抽出すると、次のような意味になります。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について下請負人が自らその運搬を行う場合には、第7条第1項(一般廃棄物の収集運搬許可)、第12条第1項(産業廃棄物 処理基準)、第12条の2第1項(特別管理産業廃棄物処理基準)、第14条第1項(産業廃棄物の収集運搬許可)、第14条の4第1項(特別管理産業廃棄物 の収集運搬許可)及び第19条の3(改善命令)の規定の適用については、(第21条の3)第1項の規定にかかわらず、当該下請負人を(排出)事業者とみな し、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。

2010年5月20日付の事務連絡 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任の元請業者への一元化について(事務連絡) では、21条の3第3項の趣旨を次のように解説しています。

(3) 改正法第21条の3第3項について
本項は、今後環境省令で定めることとなる少量の一定の廃棄物の運搬については、処理基準を遵守した上で自ら運搬(運搬に当たって行う保管を除く。)することを例外的に許容することとするものである。

下請負人が本項により排出事業者とみなされるのは、本項の規定に基づいて下請負人が運搬を行う場合のみであり、かつ、本項の規定により適用されることとなる各規定に関する限りである。

すなわち、下請負人が自ら廃棄物の運搬を行う旨を含む請負契約が書面で確認できない場合は下請負人は運搬を行うに当たり許可が必要となり、本規定に基づき運搬を行えることとはならない。また、当該廃棄物が生じた建設工事の下請負人以外の者が運搬を行う場合には、改正法第21条の3第1項に基づき元請業者が排出事業者となる。

なお、当該規定により下請負人が行えることとなるのは運搬のみであり、処分や他人への委託(委託時のマニフェストに関する事務を含む。)については元請業者が行わなければならない。

また、本項の規定に基づいて下請負人が請負契約で定めるところにより運搬を行う場合は、元請業者から委託を受けて行うのではなく自ら運搬を行っているものと整理されることとなる。

本条のキモは、条文の中で赤字で囲った部分、「(環境省令で定めるものに限る。)」です。

6月3日現在、まだその環境省令の内容が明らかになっていませんが、環境省の担当者のインタビューなどを読む限り、対象となる廃棄物の範囲が非常に狭く限定されそうです。

そのため、下請業者が許可なしに広く建設廃棄物の運搬が認められるようになるわけではなく、

  1. ごく少量の廃棄物で
  2. かつ特定の範囲にあてはまるもので
  3. 「請負契約」で下請が運搬することが明示されている

場合に限り、下請の自ら運搬(=収集運搬業の許可不要)が認められることになりそうです。

環境省は、本条文の適用ケースとして

  • 廃棄物を保管するのに十分なスペースが無い建設現場から
  • 「請負契約」で、「元請」が指定した廃棄物保管場所まで
  • 環境省令にあてはまる内容の廃棄物を「下請」が運搬する

ような、超具体的な事例しかあてはまらないと考えているようです。

今後注視すべきポイントは、「環境省令の内容」と「請負契約での定め方」です。

恐らく、これまでの実績を考えると、今年の9月か10月頃に、政省令の改正に関する通知が出されるはずです。

条文からは素直に読み取れない運用になりそうですので、規制の詳細が明らかになるのは当分先になりそうです。

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2010年改正の逐条解説 第21条の3第2項

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
2 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について当該建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者から当該建設工事の全部又は一部を請け負つた建設業を営む者 (以下「下請負人」という。)が行う保管に関しては、当該下請負人もまた事業者とみなして、第十二条第二項、第十二条の二第二項及び第十九条の三(同条の 規定に係る罰則を含む。)の規定を適用する。

第21条の3第2項のエッセンスを抽出すると、次のような意味になります。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3
2 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について、元請から当該建設工事の全部又は一部を請け負った下請が行う保管に関しては、当該下請もまた(排出)事業者とみ なして、第12条第2項(保管基準)、第12条の2第2項(保管基準)及び第19条の3(改善命令の対象)の規定を適用する。

2010年5月20日付の事務連絡 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任の元請業者への一元化について(事務連絡) では、21条の3第2項の趣旨を次のように解説しています。

(2) 改正法第21条の3第2項について
本項は、下請負人が産業廃棄物が排出された建設工事現場内で運搬されるまでの間産業廃棄物の保管を行う場合の保管基準及び改善命令の規定の適用を定めるものであり、当該保管行為について元請業者及び下請負人の双方に産業廃棄物保管基準が適用されることとなる。

第21条の3第1項では、「元請が建設廃棄物の排出事業者である」と規定しているのに、第2項でいきなり「下請も排出事業者とみなす」という規定が出てきたことに混乱する人が多いと思います。

環境省の思いとしては、下請に対して無制限に保管行為の自由を認めるものではなく、あくまでも、「建設現場での適切な保管を徹底させたい」ということに、本条の設置理由があるようです。

そのため、本条を実務的に分析すると、建設現場で工事を行っている下請業者にも、廃棄物の保管に関する現場の管理責任を求めるもので、下請け業者にとっては、規制強化と言わざるを得ません。

保管基準違反をすると、従来とは違い、措置命令の対象にもなりますので、基本的な保管基準をおさらいしておくことが重要です。

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2010年改正の逐条解説 第21条の3第1項

※関連記事 2010年廃棄物処理法改正 建設廃棄物の取扱い(2)

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3 土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄異物の処理についてのこの法律(第三条第二及項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負った建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

第21条の3第1項のエッセンスを抽出すると、次のような意味になります。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3 土木建築に関する工事が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律の規定の適用については、当該建設工事の注文者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

2010年5月20日付の事務連絡 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任の元請業者への一元化について(事務連絡) では、21条の3第1項の趣旨を次のように解説しています。

2 各規定の趣旨
(1) 改正法第21条の3第1項について
本項は、廃棄物処理法上、建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する排出事業者に係る規定の適用については、建設工事の元請業者を「事業者」とするものである。
これにより、元請業者は、発注者から請け負った建設工事(下請負人に行わせるものを含む。)に伴い生ずる廃棄物の処理について排出事業者として自ら適正に処理を行い、又は廃棄物処理業者等に適正に処理を委託しなければならないこととなる。
また、下請負人は廃棄物処理業の許可がなければ廃棄物の運搬又は処分を行うことはできないこととなり、許可を取得した下請負人に対する都道府県知事等による適時適切な指導監督や無許可の下請負人による建設系廃棄物の不適正処理に対する厳正な取締りが可能となる。
なお、建設工事とは、土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を含む概念である。解体工事については含まれることを入念的に明らかにしている。

第21条の3第1項は、建設廃棄物の排出事業者は、「元請事業者」であると定めています。

「これが廃棄物処理法の原則である」と宣言しています。

第1項だけは、従来の法律解釈・行政運用とも整合性が取れています。

ではなぜ、第21条の3第2項から第4項までは、その原則とは異なる例外を規定しているのかというと

上掲の事務連絡文書の

これにより、元請業者は、発注者から請け負った建設工事(下請負人に行わせるものを含む。)に伴い生ずる廃棄物の処理について排出事業者として自ら適正に 処理を行い、又は廃棄物処理業者等に適正に処理を委託しなければならないこととなる。
また、下請負人は廃棄物処理業の許可がなければ廃棄物の運搬又は処分を行うことはできないこととなり、許可を取得した下請負人に対する都道府県知事等による適時適切な指導監督や無許可の下請負人による建設系廃棄物の不適正処理に対する厳正な取締りが可能となる。

に、全ての答えが集約されています。

つまり、環境省としては、相次ぐ建設廃棄物の不法投棄を重大視し、条文が複雑化することをいとわず、「あるときは元請」、「またあるときは下請」という、不法投棄実行者の二枚舌を封殺するため、下請にも複雑怪奇な網の目をかぶせることにした

ということです。

実際の不法投棄現場では、「これは元請として施工した工事で発生した廃棄物なので、すべて自社物なのだ」と主張されてしまうと、それ以上行政が強力な指導をすることができず、二の足を踏むことが多かったのですが、今回の法律改正により、元請=排出事業者には、「保管基準」や「保管場所の事前届出」の遵守が新たに科せられることになり、行政にとっては、指導する根拠=武器が充実したことになります。

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