今後の規制改革(4)-森林バイオマス資源の利用促進-
今後の規制改革推進計画の続きです。
今回は、「今後すぐ取りかかれる規制改革テーマ」として、重要取組課題で取り上げられている、「森林バイオマス資源の利用促進のための規制緩和」について解説します。
【規制改革事項】
森林バイオマス利用の支障となる行政手続(廃棄物処理法の「再生利用指定制度」等)の簡素化
【現状の問題点】
- 木くずや林地残材等の森林バイオマスは、その性状や取引価値の有無等にもよるがその多くは「廃棄物」とみなされる場合が多く、収集
運搬及び加工するためには廃棄物処理法における収集運搬業及び処分業の許可を取得する必要がある。さらに、事業者への業の許可においては、過剰な規制を課
す自治体もあるなど判断基準にバラツキがあることから、許可取得が円滑に進んでいない。- 有害物質を含まない木質ペレット等の燃焼灰は、肥料としての活用が期待されるところではあるが、現在、リサイクルの仕組みが不十分であるため、その多くは「廃棄物」として処分されている。
【期待される実現効果】
- 化石燃料の代替品、チップ化された林地残材が紙パルプやクッション材として利用されるなど、森林バイオマス資源の活用が増大
- 有害物質を含まない木質ペレット等の燃焼灰を肥料として活用することで、リサイクル化を促進
上記の提言は、一見すると正論のように見えますが、少し説得力に欠ける論調だと思われます。
その理由は、提言では
各自治体によって許可手続きの基準に差があるため、森林バイオマスの有効利用が進まない
↓
だから、許可申請手続きをもっと簡素化するべきだ
としか述べておらず、規制緩和を実施しなければならない理由を、もっと丁寧に説明する必要があるからです。
現在、すべての廃棄物処理で同様の問題が起こっている以上、その構造的な問題を解決するのではなく、森林バイオマスのみに限定して規制緩和をしなければならない決定的な理由はありません。
それに、林地残材のリサイクルが進まないのは、許可手続きが複雑なためではなく、むしろ、山林からバイオマス資源を運び出すコストの問題や、それを運ぶ道が整備されていないためです。
許可申請手続きを若干緩和したところで、森林バイオマス資源の利用が促進されるとは思えません。
「規制」をスケープゴートにするのではなく、将来の日本にとって必要なことをよく見極めたうえで、「労働力」や「インフラ」などの社会基盤の整備を図っていかねばなりません。
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2010年1月6日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
今後の規制改革推進計画(3)―一廃・産廃区分の再定義―
今後の規制改革推進計画の続きです。
「更なる規制改革の推進に向けて~今後の改革課題~」では、廃棄物処理・リサイクルに関する規制改革内容として、「廃棄物の定義の見直し」と「一廃・産廃区分の再定義」が議題にあがっていました。
今回は、「一廃・産廃区分の再定義」について解説します。
②一廃・産廃区分の再定義
【課題】
同一性状の廃棄物であっても排出元によって一般廃棄物・産業廃棄物と異なった区分に分けられ、それぞれ別々に処理する必要があるため、効率的処理が妨げられている。
【具体的施策】
一
般廃棄物と産業廃棄物の区分を、①拡大生産者責任にて処理を行う製品廃棄物、②家庭から排出される塵芥・厨芥、③一般家庭から排出される自治体の処理困難
物も含めたその他廃棄物に再分類し、②についてのみ自治体責任とする等、処理効率が高く、明確に判断が可能な状態とする。
現状の問題認識については、規制改革会議報告書の指摘に賛同します。
ただし、規制改革会議の提言は、どちらかというと「(生活系)一般廃棄物」を中心とした廃棄物の定義のようです。
現行法上は、「産業廃棄物」をまず定義し、産業廃棄物の定義に当てはまらない廃棄物を「一般廃棄物」と定義する構成となっています。
規制改革会議は、この論理構成を逆にし、まず「生活系一般廃棄物」を定義し、それ以外は「製造業事業者が回収する廃棄物」と、「その他廃棄物」という、非常に雑多なくくり方をしています。
現状では、一般廃棄物約1億トンに対し、産業廃棄物は約4億トン毎年発生しています。
そのため、5分の1しか発生していない一般廃棄物のみを定義し、残りの5分の4を「その他廃棄物」という乱暴な整理をしてしまうと、多くの産業廃棄物が不適切に処理される可能性が非常に高くなってしまいます。
今までは、「廃プラスチック類」や「廃酸」などと、具体的な廃棄物の種類ごとに処理方法が決められていたものを、「その他廃棄物」扱いで一緒くたにまとめて処理するというのは危険極まりありません。
元々、生活系一般廃棄物は現状でも市町村の焼却炉で適切に処理されているわけですから、ここを厳格に改めて定義する必要はほとんどありません。
それよりも、同じ性状の廃棄物であっても、その発生場所がどこかによって「一般廃棄物」か「産業廃棄物」かがわかれるもの、例えば、「木くず」や「紙くず」などの産業廃棄物の定義を緩和する方が重要です。
現行法では、事業活動によって発生した紙くずなどは、製紙業や新聞業、建設工事などから発生したものを除くと、産業廃棄物ではなく一般廃棄物になってしまい、産業廃棄物業者が処理することはできないからです。(注:一般廃棄物処理業と産業廃棄物処理業の両方の許可を取れば可能)
産業廃棄物の定義を現在の社会制度に適合したものに改正し、少なくとも、事業活動によって発生した廃棄物については、すべて産業廃棄物扱いとし、適切な許可を持った産業廃棄物業者が処理できるようにする方が、社会資本の効率的な活用にもなります。
このように、方向性は良いものの、具体的な手法については疑問を感じる規制改革の提言です。
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2010年1月4日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
今後の規制改革推進計画(2)―廃棄物の定義の見直し―
今後の規制改革推進計画の続きです。
「更なる規制改革の推進に向けて~今後の改革課題~」では、廃棄物処理・リサイクルに関する規制改革内容として、「廃棄物の定義の見直し」と「一廃・産廃区分の再定義」が議題にあがっていました。
今回は、「廃棄物の定義の見直し」をするのが妥当か否かについて考えます。
①廃棄物の定義の見直し
【課題】
排出された物のうち、無価物・逆有償物のすべてを一旦「廃棄物」と定義し、廃棄物処理法における厳しい規制を課すため、再資源化が妨げられている。
【具体的施策】
リサイクル可能である場合には、無価物・逆有償物であっても廃棄物処理法の規制を適用除外とし、廃棄物を再生資源として最大限活用する。
確かに、「廃棄物」に厳しい規制がかけられているため、場合によっては、規制が再資源化の妨げになっているのも事実です。
しかし、それは理由なく硬直的に制度を運用しているわけではなく、ちゃんとした理由があります。
「廃棄物」とは、「不要物(廃棄物処理法第2条)」であるため、その物を所持していた人がもはや必要としない物です。
もし、「不要物」に対する規制(罰則や処分方法のルール)が無ければ、野放図に道にポイ捨てされることが多くなるであろうことは、火を見るより明らかです。
だからこそ、廃棄物がみだりに投棄されないよう、法律で厳しく規制することが必要なのです。
よく混同されますが、「義務があるからこそ、人間は自由に振舞える」のです。
現状では、「これはお金をつけて買い取ってもらえる物だから、不要物ではないのだ」と主張をし、不当に廃棄物処理法の規制を免れながら、不法投棄や不法埋立といった、安価なテキトー処理をしている輩がたくさんいます。
そのような逸脱者の存在を無視しながら、規制をなし崩しで緩和していくことは危険極まりありません。
規制が厳しい現在でも、法の抜け道を探す勢力があるにもかかわらず、規制緩和だけを先に進めてしまうのは、社会的にも望ましいことではないでしょう。
また、「リサイクル可能かどうか」だけをもって、廃棄物処理法の規制対象から外してしまうのも危険です。
技術上は、大部分の廃棄物は何らかの形でリサイクルが可能です。
例えば、再利用できない品質のものであっても、焼却した時に発生する熱を利用する=サーマルリカバリーという整理が可能だからです。
そのため、「リサイクル可能かどうか」だけでは、廃棄物の要・不要を見極めることは不可能です。
ここは
一律に法律解釈で乗り切るのではなく、ドイツの廃棄物処理制度のように、具体的な廃棄物の種類ごとに、リサイクル技術やリサイクル後の市場性の有無を判断し、個別具体の処理方法を決定する方が妥当と考えられます。
そうすれば、本当にリサイクルが求められている物の有効活用を進めながら、リサイクルと称した脱法行為を厳しく取り締まることが可能となります。
規制緩和も重要なことですが、その規制がなぜ存在するのかを考え、必要な規制については残していくことも重要です。
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2009年12月21日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
今後の規制改革推進計画
12月4日に開催された第5回規制改革会議において、「更なる規制改革の推進に向けて~今後の改革課題~」や「重要取組課題」がまとめられ、その内容が公表されました。
更なる規制改革の推進に向けて~今後の改革課題~
重要取組課題
このタイミングで上記の内容が出された経緯については、規制改革会議の草刈議長から下記のとおり説明されています。
※議長会見録から抜粋
○草刈議長 今、説明のあったとおりですけれども、政権が変わってしまって困ったことというの
は2~3、その前からありまして、本来であれば8月に中間とりまとめをやることになっていて、そこで我々の問題意識を整理して、それから、それに対するお役所の反論というものをアタッチして読み取るという作業をして、その後で年末答申という形になるのが今までの自民党政権下のやり
方だったんですが、まず中間とりまとめを出そうと思ったら相手が消えてしまったということです。それで10 月以降、政権が変わって、向こうの新しい政権の御担当等が決まってきたので、どういうふうに進めるかということだったんですけれども、我々の任期は来年の3月までですので、どういうふうにしようかといろいろ御相談をしたんですが、要するに新政権になってからは、やはり方法論的にも少し今までのやり方と変えたいという御意向もあって、それと同時に、そういう規制改革会議あるいは規制改革の取り組みということについて、余り民主党側にはまとまった形での知見といいますか、そういうものもない。
したがって、仙谷大臣からの御指示で、今までずっとやってきたこと、できなかったこと、それから、やらなければいけないこと。そういうものを全部まとめて、総括という形で出してくださいという御指示がまいりました。それでは、11 月の末にまとめて12 月の頭にそれを出しましょうと
いうことだったんですが、その中で、いわゆる今後、すぐにでも取りかかれるテーマを数件選んで、
それも出してくれというお話になりました。数件と言われても、やり出すとふくらんで13 件にな
ってしまいましたというのが、この「チャレンジテーマ候補(案)」というものです。それで、中間とりまとめというものも、その後の状況変化も踏まえて、この「規制改革の課題(案)」
という最後の分厚いものにとりまとめて、今日、それもアタッチして、お出ししたということであ
ります。
結論としては、「中間とりまとめ」を発表したということになりそうです。
「更なる規制改革の推進に向けて~今後の改革課題~」では、廃棄物処理・リサイクルに関する内容として、「廃棄物の定義の見直し」と「一廃・産廃区分の再定義」が議題にあがっています。
①廃棄物の定義の見直し
【課題】
排出された物のうち、無価物・逆有償物のすべてを一旦「廃棄物」と定義し、廃棄物処理法における厳しい規制を課すため、再資源化が妨げられている。
【具体的施策】
リサイクル可能である場合には、無価物・逆有償物であっても廃棄物処理法の規制を適用除外とし、廃棄物を再生資源として最大限活用する。②一廃・産廃区分の再定義
【課題】
同一性状の廃棄物であっても排出元によって一般廃棄物・産業廃棄物と異なった区分に分けられ、それぞれ別々に処理する必要があるため、効率的処理が妨げられている。
【具体的施策】
一般廃棄物と産業廃棄物の区分を、①拡大生産者責任にて処理を行う製品廃棄物、②家庭から排出される塵芥・厨芥、③一般家庭から排出される自治体の処理困難物も含めたその他廃棄物に再分類し、②についてのみ自治体責任とする等、処理効率が高く、明確に判断が可能な状態とする。
議長の説明にもあった、「今後すぐとりかかれるテーマ」として、廃棄物処理リサイクル関連では、「木くずなどのバイオマス資源の利用に関する規制緩和」が掲げられています。
【規制改革事項】
森林バイオマス利用の支障となる行政手続(廃棄物処理法の「再生利用指定制度」等)の簡素化
【現状の問題点】
- 木くずや林地残材等の森林バイオマスは、その性状や取引価値の有無等にもよるがその多くは「廃棄物」とみなされる場合が多く、収集運搬及び加工するためには廃棄物処理法における収集運搬業及び処分業の許可を取得する必要がある。さらに、事業者への業の許可においては、過剰な規制を課す自治体もあるなど判断基準にバラツキがあることから、許可取得が円滑に進んでいない。
- 有害物質を含まない木質ペレット等の燃焼灰は、肥料としての活用が期待されるところではあるが、現在、リサイクルの仕組みが不十分であるため、その多くは「廃棄物」として処分されている。
【期待される実現効果】
- 化石燃料の代替品、チップ化された林地残材が紙パルプやクッション材として利用されるなど、森林バイオマス資源の活用が増大
- 有害物質を含まない木質ペレット等の燃焼灰を肥料として活用することで、リサイクル化を促進
今回は、発表資料からの引用のみにとどめ、次回以降、「本当に改革する必要がある事項なのか」「規制緩和の実現可能性」などについて、解説いたします。
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2009年12月17日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
規制改革推進計画の再改定
平成21年3月31日、「規制改革推進のための3か年計画」の再改定が閣議決定されました。
改定された計画は 内閣府規制改革会議のHPからご覧になれます。
規制改革推進のための「措置事項」として、非常に多くの分野が挙げられておりますが、その中に「環境」というテーマがあります。
「環境」のテーマのうち、「リサイクル・廃棄物」が大部分を占めています(39個中25個)ので、廃棄物関連の規制改革が待ち望まれていることがよくわかります。
25個の「リサイクル・廃棄物」関連のうち、産業廃棄物に関するテーマを挙げてみます。
・家電リサイクル法で規制される製品群に係る、廃棄物処理法上の保管数量制限の緩和
・廃棄物収集・運搬・処理業の許認可に係る地方公共団体の申請書式の統一化
・廃棄物処理法上の行政手続及び書類の電子化・電子マニフェスト普及率50%達成策の明確化
・廃棄物のエネルギー利用の推進
・木くずの運用の明確化
・産業廃棄物の搬入・搬出の円滑化
・地方公共団体ごとの産業廃棄物処理規制の見直し・中間処理前における廃棄物の選別
・広域認定制度における他社製品の回収について
・(既に措置済み)事業系一般廃棄物である木くずの一般廃棄物と産業廃棄物の区分の検討
・使用済衣料品・繊維等のリサイクルに係る店頭回収・運搬・処分について
・電子機器等、同一性状の他社製品を含む下取り・運搬・処分について
・産業廃棄物優良性評価制度の見直し
次回から、「リサイクル・廃棄物」に関する規制改革推進のための「重点計画事項」や「措置事項」を解説してまいります。
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2009年4月2日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |



