契約書の「委託料金」欄を「別途見積」とすることの可否

昨日は長野県庁の講堂において、産業環境管理協会主催のセミナーで講演をしておりました。

私はカリキュラムの1コマとして「産業廃棄物処理委託実務」を担当し、他の全カリキュラムは長岡文明先生が講義を行いました。

講演終了後に、「契約書の委託料金欄に『別途見積』と記載するのは違法ですか」という質問をいただきました。

実のところ、最近特にこの質問をいただくことが増えていますので、改めてブログの方で整理をしておきたいと思います。

筆者の個人的見解としては、それを「否定的」にとらえています。

理由1 見積書は一方的に送付された文書である

廃棄物処理法は、産業廃棄物処理委託に関して合意をした証拠として、契約書を作成・保存することを義務付けています。

「契約書」+「覚書」という合わせ技の運用とは異なり、見積書を保存するだけでは、委託料金について合意をしたという証拠にはなりません。

最低限、見積金額に基づく発注をした証拠となる「発注書」や「注文書」が必要と思われます。

ただし、ご注意いただきたいのは、「見積書」と「発注書」があれば「契約書」は要らないということにはなりません。

それだけだと法定記載事項を書き洩らす可能性が高くなるからです。

例えば、「契約解除後に残された産業廃棄物の処理」は法定記載事項ですが、見積書や発注書にその内容を記載することは普通考えられませんし、記載をしたとしても、これまた排出事業者から処理業者へ一方的に送り付けた文書にしかなりません。

結局のところ、法的記載事項を網羅するためには、ストレートに契約書を作成保存する方が合理的です。

口約束に基づく合意を排除するために、委託契約書の作成と保存が義務として定めれられている以上、契約書として厳格に運用する方が安全です。

理由2 見積書を紛失する可能性が高い

常識的な感覚からすると、見積書は単に金額を見積もった文書に過ぎず、発注や支払いに先立つ「仮の文書」という位置づけになります。

筆者だけかもしれませんが、自分に送られてきた見積書は、取引終了後に破棄してしまうことがほとんどです。

取引が終わっている以上、見積書を保存しておく意味がないからです。

そのような経験則から考えると、
産業廃棄物管理責任者はさておき、管理責任を負わない他の従業員の場合、軽い気持ちで見積書を破棄してしまう確率は非常に高い、と言わざるを得ません。

現場や支店が複数にわたる排出事業者の場合は、よりその危険性が増すと考えられます。

結論

このように、法的及び実質的リスクから考えると、「契約書」+「見積書」という運用は非常に危険と言えます。

処理業者に見積書の記載を工夫させる、あるいは発注書の内容を頑張って工夫する、という実りの少ない努力をするよりは、素直に法定記載事項を網羅した契約書を運用する方が合理的ですね。

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