2010年改正の逐条解説 第12条第4項(保管場所の届出 災害発生時等の特別の場合)

(事業者の処理)
第12条
4 前項の環境省令で定める場合において、その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業場の外において同項に規定する保管を行つた事業者は、当該保管をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

本条は、前回解説した、第12条第3項の保管場所の事前届出義務の例外規定です。

(事業者の処理)
第12条
3 事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

台風、地震その他の災害が発生した場合、大量の廃棄物が一挙に発生し、それが処理しきれない状況に陥ります。

そのような場合には、「事前に」天災の発生を予測するのはほぼ不可能ですので、事前届出を強制することは合理的ではありません。

そのための規定として、本条の第12条第4項が存在し、災害に由来するような廃棄物を、一時的に事業場の外で保管する場合は、「事前に」ではなく、「保管をした日から14日以内」という合理的な手続き期間を設けています。

どんな場合が第12条第4項の適用対象となるのかは、今後出される環境省令の内容によって決まります。
少なくとも、非常災害については、法律上で規定されているため、「事前」ではなく、「事後」の届出対象となるのは間違いありません。

ちなみに、第12条第3項にあてはまる「事前」届出を怠ると、「6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金(第29条)」に処せられることがありますが、
第12条第4項の「事後」届出を怠った場合は、「20万円以下の過料(第33条)」と、刑事罰の適用対象とはなっていません。

今回の法律改正は、「事前届出」を、刑事罰をもってしてでも必ず取り締まるという、環境省の意思表示と考えることも可能です。

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コメント

  1. たかや より:

    初めてメールします。改正廃掃法を読んでいましたら、「非常災害のために必要な応急措置として保管したとき」の対応が記載されています。先生のご説明に、「台風、地震その他の災害が発生した場合、大量の廃棄物が一挙に発生し、それが処理しきれない」とありますが、①非常災害の定義は法令等に定まっているのでしょうか、②大量の廃棄物とありますが、改正廃掃法には量は記載されていませんが、大量に発生した場合に、届け出るのでしょうか、③更に、「大量」とは、どの程度なのでしょうか?
    小生は、田舎の民間企業で廃棄物管理を行なっております。地震で建物が倒壊した場合、台風で工場内の大木が数十本、倒木した場合等を考えているのですが、そもそもそれらは、事業活動から発生した訳ではありませんので、「産業廃棄物」ではないのではないかとか、よく判りません。
    更に、都道府県に届け出る「様式」はあるのでしょうか?
    コメントでなく、質問になってしまいましたが、何卒、ご教授賜りたく、宜しくお願い申し上げます。以上

  2. 尾上雅典 より:

    たかや様

    廃棄物保管場所の事前届出義務は、まだ政省令が改正されていないため確定ではありませんが、現在公開されている政省令素案では、「建設廃棄物を工事現場以外の場所で、300平方メートル以上の広さで保管する」場合のみが対象となるようです。

    そのため、ご質問にある、非常災害時の保管をした場合も、建設廃棄物が対象となるため、製品の工場などには、届出の義務が一切かからない予定です。

    その詳細は、9月21日付のブログで記事を書きましたので、よろしければ、そちらもご参照ください。
    2010年廃棄物処理法改正の解説(4) 建設廃棄物の取扱い

    また、台風で発生した倒木などは、たかや様がお書きになっているとおり、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物になります。

    しかしながら、災害の発生時には市町村の清掃工場で、倒木などを受け入れる余地は無く、緊急避難的措置として、倒木を産業廃棄物処理せざるを得ないのが、多くの被災地で起こった現実です。

    最後に、建設廃棄物の保管場所を届出るための様式は、まだ政省令の改正が実施されていないためお示しできませんが、2011年の4月1日には出来上がっているはずです。

    いずれにせよ、たかや様の会社の事業の場合は、届出の対象とはならないと思われますので、建設工事か否かに注意いただければよろしいかと思います。


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