2010年廃棄物処理法改正の解説(7) 多量排出事業者

10月22日に配信したメールマガジンを転載します。

 第7回目は、多量排出事業者に関する改正内容について解説します。

 多量排出事業者とは、産業廃棄物を年間1,000トン以上発生させている事業者のことですね。(特別管理産業廃棄物の場合は、年間50トン以上)

 従来より、多量排出事業者に該当した場合は、

 その年の「産業廃棄物処理計画」と
 前年度の「産業廃棄物処理計画実施状況報告」を

 6月30日までに、都道府県知事まで提出しなければなりませんでした。

 従来は、仮に産業廃棄物処理計画の提出を怠った場合でも、それに対してペナルティが科されることはありませんでした。

 しかし、2010年の廃棄物処理法改正により、

 「産業廃棄物処理計画」と「産業廃棄物処理計画実施状況報告」を提出しない多量排出事業者には、「20万円以下の過料」が科されることになりました。(第33条 新設)。

 これは、2011年の4月1日から施行される改正ですので、来年度の産業廃棄物処理計画の提出時期には、既に過料の適用が始まっていることになります。

 その他、政省令の改正によって、
 「産業廃棄物処理計画」の様式や、記載事項が若干変更される予定です。

 具体的な変更内容としては、

 産業廃棄物処理計画などをわかりやすく公表するために、

 委託した処分が、「再生利用」「熱回収」「処分」なのかを具体的に記載することになるようです。
 
 また、委託先の業者が、「認定熱回収施設設置者」や「特例優良許可業者(優良基準に適合した事業者のこと)」に該当する場合は、その旨を記載することになりそうです。

 最後に、次の産業廃棄物処理計画を提出するときからは、EメールやCD-ROMによって行うことが可能となり、

 それを受けた都道府県知事は、インターネットで情報公開をすることになります。

 実は、パブリックコメントの募集に入る前の政省令改正素案では、「インターネットその他適切な方法」により情報公開、となっていたのですが、パブリックコメントの募集が始まった段階で、「その他適切な方法」が抜け、「インターネットにより情報公開」となった経緯があります。

 このように、

 排出事業者に対しては、社会に向けた情報公開をさせるため、過料によって処理計画などの提出を強制し、

 それを受けた行政には、インターネットで情報公開をさせる という

 非常に細やかな配慮が行き届いた改正となりそうです。

 このことからも、今回の法律改正では、排出事業者に対する接し方が明らかに厳しくなったことがわかると思います。

 まずは社会に向けて情報公開をさせ、排出事業者責任を強く意識させるための措置の一環です。

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