これは良い協働事例です

千葉県船橋市が回収した小型家電の解体を全国で初めて障害者団体に委託するというニュースです。

2014年2月10日 船橋経済新聞 船橋市が小型家電リサイクル回収ボックス設置-県内初、障がい者参画事業

 船橋市役所に2月5日、使用済み小型家電の回収ボックスが設置された。

 小型家電の回収事業で、自治体と障がい者団体の連携が実現するのは県内初。今回、船橋市役所の他、FACEビル5階の船橋駅前総合窓口センター(船橋市本町1)、北部清掃工場(大神保町)、東図書館1階(習志野台5)の計4カ所に設置した。
 
 同事業は2012年4月に小型家電リサイクル法が施行されたことに始まる。同リサイクル法とは、使用済みのデジタルカメラ・ビデオカメラ・HDDレコーダー・ヘアアイロン・カーナビなどの小型電子機器を収集し解体分解を行い、有用な資源を再度活用するという取り組み。いずれも15センチ×30センチ以下のものが対象となる。分解・分別を行ったリサイクル品は国が認定した事業者に障がい者団体が売却し、収入にする。

 これまで使用済みの小型家電は、鉄とアルミニウムのみの回収にとどまり、その他は不燃ごみとして収集され、リサイクルできる資源を活用できずにいた。法律が施行されたことから、「小型家電を収集すること」と「解体し有用資源を分別すること」は義務化され、これら一連の作業は地方自治体に任されることになった。

 同リサイクル法を聞き、事業参加へと手を上げたのが県障害者福祉事業リサイクルネット事業ネットワーク協議会の理事と障がい者福祉サービス事業所であるNPO法人「1to1(わさび)」(前原東3)。

 回収ボックスへの招集(筆者注:「回収」か?)と小型家電の解体分別を行うのはNPO法人「1to1」と「光風みどり園」(大神保町)を利用する20代~40代のメンバー。

 両施設は就労継続支援(B型)として運営しており、就労経験のある障がい者に就労と生産活動などの提供を行い、知識や能力の向上のために必要な訓練を指導している。「障害を持つ方は誰かにお世話されているというイメージが多いかもしれない。社会に貢献していて働いている姿も見てほしい。それが彼らの誇りにつながるはず」と、1to1代表の武井さん。

 NPO法人「1to1」では、近隣の草むしり、希望者宅のアパートの掃除、船橋のタブロイド新聞「Funaco.」配布など地域に関わる数多くの仕事に取り組んでいる。しかし屋外での作業が、体力的に難しい人たちも出てきたという。部屋の中で作業できるうえ、納期に縛られずできる仕事をと、考えていたところ、同事業の取り組みを知り、協議会で提案。何度も会議を重ね船橋市に働きかけた。後の市がこれを承諾、2月5日より正式に事業へと参加する運びとなった。

 窓口となっている船橋市クリーン推進課課長の長尾さんは「有用資源をリサイクルすることで、資源ごみは減り、その上障害を持つ方たちの安定収入も期待できるこの取り組みは素晴らしいことだと思っている。まずは船橋市で実績を作り、他の市町村へ広げていけたら」と話す。

「個人情報保護策」「委託先業者選定の公平性の確保」などを考えると、他の市町村が船橋市と同様の取組みをすぐに実行するのは難しそうです。

しかしながら、よほどの大都市でない限り、障害者支援団体が乱立しているとも思えませんので、ほとんどの自治体においては、委託先として適切な障害者支援団体は一つか二つしかなさそうですので、随意契約で委託することも可能かもしれません。

船橋市のHPにはリサイクルフローの詳細が書かれていないため推測でしかありませんが、
回収ボックスで回収した小型家電を、NPO等が無償で回収し、無償で解体ということであれば、
船橋市の懐は痛みませんので、行政にとってはありがたい仕組みと言えます(上記の法的な手続き面の適正化が若干気になりますが)。

障害者支援団体としても、小型家電の解体作業で障害者の方の誇りを満たせ、売却益(残念ながら高くはなさそうですが)も見込めるというメリットがあります。

解体後の小型家電部品を買い取る認定事業者には、
障害者団体が分別解体してくれることによって、不適切な廃棄物の混入防止や、手作業による丁寧な部品選別が期待でき、そのことでレアメタルの回収効率アップが望めそうです。

場合によっては、認定事業者側の処理コストが低減できそうですので、その分を買取価格に上乗せすることもできるかもしれません。

回収した小型家電に含まれる個人情報保護策の徹底と、行政から障害者支援団体に委託する手続きの適正化が重要なポイントになります。

それぞれの課題解決策を徐々にレベルアップさせながら、全国の市町村に“船橋方式”が広まると良いですね。

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