昭和63年5月30日付衛環76号 「廃棄物の処理・再利用に関する行政監察結果に基づく勧告について」

【廃棄物の処理・再利用に関する行政監察結果に基づく勧告について】

公布日:昭和63年5月30日
衛環76号

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局水道環境部長通知)

廃棄物処理行政の推進については、かねてより御尽力をお願いしているところであるが、先般、別添のとおり総務庁長官から厚生大臣あて標記勧告が出されたところであるので、左記事項に留意の上、貴管下市町村等関係機関に対する指導方よろしくお願いする。

1 一般廃棄物処理基本計画に基づくごみ処理の適正化等について
 一般廃棄物処理基本計画については、昭和五二年一一月四日付け環整第九四号本職通知及び同通知に基づく昭和六一年三月二○日付け衛環第六○号環境整備課長通知によりその策定方お願いしているところであるが、同計画の策定に当たつて、特にごみ収集・運搬業務の合理化・効率化、ごみ焼却施設の整備規模の適正化、最終処分場の計画的かつ広域的な確保に留意し、長期的視点に立つたごみの適正な処理に努めること。また、首都圏の関係都県にあつては、すでに昭和六二年四月二八日付け衛地第五号生活衛生局長通知により東京湾フェニックス計画に係る基本構想について御検討いただいているところであるが、同構想の管下市町村への周知など引き続きその早期実現を図るため御尽力願いたいこと。

2 ごみ処理施設の維持管理の徹底について

(1) 一般廃棄物処理施設の維持管理については、昭和五二年一一月四日付け環整第九四号本職通知及び同日付け環整第九五号環境整備課長通知により示してきたところであるが、引き続き両通知の趣旨の徹底を図ること。
(2) 廃棄物処理におけるダイオキシン等の有害物質問題については、現在厚生省において各種調査研究を進めているところであるが、厚生省と連絡をとりつつ知見の集積に努めるとともに、管下市町村に対し必要に応じて指導助言を行うこと。

3 事業者に対する指導の強化について
 事業者に対し、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督を徹底するとともに、廃棄物担当部局と事業者の営業規制所管部局等関係部局(機関)との連携を緊密にすること。

4 産業廃棄物処理業者に対する指導の強化について

(1) 産業廃棄物処理業者に対する行政処分を一層徹底するとともに、被処分者に対する処分後の指導監督の強化等、より適正な運用に努めること。
(2) 産業廃棄物処理業者団体の設立及び育成、業者団体への加入促進等の指導を一層強化すること。

別表

※解説
昭和63年5月30日付衛産37号 「廃棄物の処理・再利用に関する行政監察結果に基づく勧告について」の元になった通知です。

後にとん挫することになる東京湾フェニックスに言及しているところに、当時の社会的状況が垣間見られます。

その他、「産業廃棄物処理業者への行政指導を強化せよ」とも書いてありますが、法的根拠の乏しい行政指導では、問題の解決にはなりませんでした。

歴史的な教訓といえるでしょう。

処理業者の方には大変評判の悪い話ですが、欠格要件に該当した場合の許可取消を義務付けた2003年度の法改正は、悪質業者を一掃するのに大いに役立ちました。

いまだに散発的に小規模な不適正処理は続いていますが、●●富士というように、大量の廃棄物を不法投棄されるような事案は、この改正以降激減しました。

もっとも、善商不法投棄事件のような事件が引き続き起こっていますので、皆無になったわけではありませんが、それでも行政指導ではなく、行政に一定の措置を義務付けることは非常に有効でした。

ちょうど、上記の通知から15年後に起こった変化です。

行政を変化させるためには、それくらい長いスパンで考える必要がありそうです。

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