山梨県明野処分場建設差し止め訴訟の結果

毎日.jp  県環境整備センター:建設差し止め請求など、住民側主張退ける--地裁 /山梨から記事を抜粋・転載します。

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北杜市明野町浅尾の廃棄物最終処分場「県環境整備センター」の周辺住民が、県に対して同センターの設置許可取り消しを求めた訴訟と、事業主体の県環境整備事業団に建設・操業の差し止めを求めた仮処分申請について甲府地裁(太田武聖裁判長)は26日、住民側の請求を棄却・却下した。

仮処分決定によると住民側は、廃棄物には有害物質が含まれ、飲料水や大気、土壌を通じて健康を害すると主張したが、地裁は「健康を害するとは認められない」と判断した。

また、訴訟で住民側は「県は設置許可を出した際に地元住民の同意を得ておらず違法」などと主張したが、判決は「住民同意は設置許可の要件としていない」などとして住民側の主張を退けた。

横内正明知事は「廃棄物処理法に基づき適正な手続きを行ってきた。処分場設置の正当性を認めていただいたと考えている」とのコメントを発表した。

裁判という、法律に則って白黒をつける場面では、どうしてもこのような判決になってしまいます。

最終処分場を設置することで、それまでは何もなかった環境に、何らかの環境負荷を与えるようになることは間違いありません。

具体的な環境負荷としては、搬入車両の通行に伴う騒音・振動・粉じん、浸透水の発生など様々なものがあります。

このような環境負荷を、周辺の生活環境に害を及ぼさないようなレベルにまで低減することによって、産業廃棄物最終処分場の設置が認められることになります。

明野処分場は、山梨県が主体となって設置した処分場ですので、上記の最低限の基準は問題なくクリアしているはずです。

法律的に白黒をつけるならば、「白」と言わざるを得ないレベルです。

しかしながら、「最低限の基準を満たしていること」と「周辺住民の安心感」とは、全く異質の評価軸にあるため、最低限の基準を満たしているからと言って、住民が安心して今までどおりの生活を続けていけるという保証にはなりません。

住民側のもっとも大きな懸念は、「廃棄物処理技術の安全性云々」といったことではなく、「この先どうなるのか・・・」という漠然とした不安にあると思われます。

その意味では、山梨県知事の「正当な施設として認めてもらった」という発言は、住民側の怒りを増幅させるだけで、不安の解消には役立っていません。

行政側は、裁判の結果と関わりなく、粘り強く事業の必要性と安全性を繰り返し説明していく必要があるでしょう。

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