「暴力団と社会的に非難されるべき関係を有している」とは?
岐阜県で、「暴力団と社会的に非難されるべき関係を有している」という理由だけに基づき、業許可と施設の設置許可が取消されるというケースが出ました。
岐阜県 産業廃棄物処理業者に対する業及び施設設置の許可取消処分を行いました
5 取消しの理由
岐阜県警察本部長から、被処分者の役員が暴力団員に対し、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなると知りながら、利益供与を行った旨、情報提供があった。
このことは、法第14条の3の2第1項第1号、法第14条の6及び法第15条の3第1項第1号に規定する法第14条第5項第2号イにおいて定める法第7条第5項第4号トに該当する。
どの程度暴力団と密接に関係していたかがわかりませんので、岐阜県の処分が妥当かどうかは判断できませんが、手続的には「これだけでよく取消に踏み切ったな」と、手法に危うさを感じているのが正直なところです。
廃棄物処理法違反やその他の法律違反の場合は、刑事罰の確定によって、欠格要件に該当したことが外形的に明らかになりますから、事務的に行政処分を進めることが可能です。
しかし、今回のケースの場合は、「暴力団と付き合いがあるから」という、外形的に証明しにくい事情のみに基づいた処分ですから、
被処分者が「いや、社会的に非難されるほどの深い付き合いはなかった」と裁判で主張した場合、行政側が敗訴する可能性があります。
もっとも、岐阜県はそんな可能性は百も承知でしょうから、岐阜県警との連携の上、取消をしないといけない理由や証拠固めをしているものと思います。
廃棄物処理業許可の取消に先立ち、「入札参加資格の停止」という手を、2月27日に打っているからです。
物品調達等の契約に係る入札参加資格停止の措置について
こうなってくると、
暴力団との「社会的に非難される関係」とはどんなものを指すのかが問題となります。
警視庁のHPで、具体的にQ&A形式で示されています。
「東京都暴力団排除条例」Q&A
Q 「暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している」とは、どのような場合をいうのですか?
A 例えば、次のような場合が挙げられます。
相手方が暴力団員であることを分かっていながら、その主催するゴルフ・コンペに参加している場合
相手方が暴力団員であることを分かっていながら、頻繁に飲食を共にしている場合
誕生会、結婚式、還暦祝いなどの名目で多数の暴力団員が集まる行事に出席している場合
暴力団員が関与する賭博等に参加している場合
頻繁に飲食を共にするだけで「アウト」のようですので、ランチの相手も慎重に選ばないといけないようですね(笑)。
というのは冗談で、おそらく、暴力団のフロント企業を企業取引から排除するための基準、ということなのでしょう。
ちなみに、産業廃棄物処理業の欠格要件は、下記の一般廃棄物処理業の欠格要件をベースにしたものと
産業廃棄物処理業特有の条件として、暴力団関係者を排除するための要件の2種類があります。
今回のケースでは、「一般廃棄物処理業の欠格要件」を準用した、「第7条第5項第四号ト」の「その業務に関し不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当したことが理由とされています。
暴力団関係者を排除するのは時代の流れですが、
あまりにこのような抽象的な理由だけで許可取消をしすぎると、「えん罪」や「行政の事実誤認」の可能性も高くなります。
やり方の詳細は書きませんが、情報を悪用すれば、暴力団と無関係の善良な処理業者の許可を消してしまうことも可能です。
個人的には、それを非常に危惧しております。
« 廃棄物処理・リサイクル事業のグローバル展開 問題は需要の量 »
タグ
2012年3月30日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
カテゴリー:news
トラックバック&コメント
トラックバック
コメント
指定暴力団稲川会傘下組織の組長に、高級乗用車を無償貸与したとの事です。
こちら↓
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20120328ddlk21010081000c.html
なぜただで貸したのかはわかりませんが………。
残された社員が可哀そうです。
くりん様 情報提供いただき、ありがとうございました。
車を貸しただけで取消をされたのでは、本当に社員さんが可哀想ですね。
HPを見ましたが、そこそこの実績と施設を持つまっとうな企業に見えましたが、なぜこんな失敗をしてしまったのか不思議に思いました。
ありがとうございます。