滋賀県高島市での木くず不法投棄事件

2014年4月4日　東京新聞　滋賀・汚染木くず不法投棄　東電、関与業者に４億円

　滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが不法投棄された事件で、東京電力が、投棄に関与したとされる東京都内の会社代表に処理費用として計約四億円の賠償金を支払った疑いのあることが、滋賀県警捜査関係者への取材で分かった。木くずは福島県本宮市から排出され、福島原発事故の責任を負う東電が賠償して適正に処理されることになっていた。東電のずさんなチェック体制が問われそうだ。　

　市民団体や滋賀県の告発を受けた県警が三月上旬、廃棄物処理法違反などの疑いで、東京都千代田区のコンサルティング会社代表ら三人の関係先を家宅捜索。これに先立つ調べで、この代表が、東電に木くずの処分費用を請求し、計約四億円が複数回にわたり支払われていたことを示す資料を入手していた。

　木くずは福島県本宮市の製材会社が裁断したものとみられる。代表らは、製材会社と契約を結んで処理業務を代行。昨年三月ごろから、木くずを適正に処理せずに運搬し、高島市の琵琶湖近くの鴨川河川敷に計二、三百トンを不法投棄した疑いがもたれている。

　代表らは東電に対し、汚染木くずを破砕、他の木くずと混ぜるなどしてセシウム濃度を低下させ、適正に最終処分するとした書類を提出していたが、実際には処理していなかったという。当初、鹿児島市の肥料業者に搬出していたが、間もなく拒否され、滋賀県のほか、山梨県富士河口湖町などに運ばれた。

　本紙は、約四億円の支払いについて、代表の自宅などで取材を依頼したが、拒否された。東電の広報担当者は「個別の賠償の状況は、あるとも、ないとも言えない」とコメントした。

まず、「東電が４億円の賠償金を支払った」というのが意味不明な表現です。

東京都千代田区のコンサルティング会社は東電の事故の被害者ではないため、損害賠償の相手方とはなりません。

ここは、「４億円の処理委託費用を支払った」と書くべきです。

※2014.4.8筆者追記　滋賀県高島市での木くず不法投棄事件（補足）　で訂正したとおり、東電がコンサル会社に処理委託をしたのではなく、コンサル会社が製材会社からセシウム汚染木くず処理費の請求代行を東電に行っていたため、新聞記事の表現が間違っているわけではありません。ただし、重要な前提条件が抜けているとは思いますが。

さて、ここから重大な廃棄物処理法違反のお話となりますが、
東京新聞の記事からは、東電は無許可業者に処理委託をしているように読めます。

廃棄物処理業の許可を持たないコンサル会社に処理を委託していたように見えるためです。

もしそうなら、廃棄物処理法第２５条という最も重い罰則の対象になりえます。

※2014.4.8筆者追記　上述したとおり、委託基準違反は東電ではなく、製材業者に該当しそうです。

コンサル会社は東電と処理業者との間の仲介しか行っていない、という可能性もありますが、
滋賀県の告発に関する新聞報道を見る限り、実際に不法投棄をしたのはコンサル会社のようですので、
コンサル会社は仲介にとどまらず、廃棄物処理を積極的に請負っていたとみる方が合理的です。

また、コンサル会社が木くずの裁断を委託した福島県本宮市の製材会社についても、木くずの破砕という中間処理業の許可を所持していないのであれば、無許可営業に該当する可能性があります。

※2014.4.8筆者追記　製材会社は他者が発生させた木くずの裁断を行っていない限り、単なる木くずの排出事業者でしかありません。その場合、製材によって木くずを発生させることに中間処理業の許可は必要ではありません。

こうして考えると、東電が支払った処理委託費用が４億円でも４万円でも、無許可業者に委託をしていた事実に違いはありませんので、大企業にあるまじき重大な法律違反を犯しているということになります。

マスコミ各社には、「４億円の支払いがあったかどうか」という下世話な質問ではなく、「無許可業者に不法投棄を委託したんじゃないですか？」という直球ど真ん中の質問をしていただきたいものです。

※2014.4.8筆者追記　東電が木くずの排出事業者になるわけではありませんので、今回の不法投棄事件に関しては、東電に廃棄物処理法上の責任は無いと考えられるため、上記の文章は削除します。

1. 古賀 より:

   2014年4月4日 8:56 AM

   まさに驚天動地の法律違反の可能性がありますね。国策会社(？)の東電、うやむやでの幕引きがないよう、監視が必要ですね。

2. 尾上雅典 より:

   2014年4月4日 8:58 AM

   古賀　様　早速コメントいただき、ありがとうございました。

   事実が東京新聞の報道のとおりであるならば、東電は被害者ではなく、法律違反の当事者となりますね。

   これほどわかりやすい構図はありませんので、マスコミ各社はここで責任追及をしないでどこでするのだ？と思います。