回収を最速で行う方法

ファミマの店舗で携帯端末を千円のクーポンと交換してくれると聞き、10年以上死蔵しているiPhone3Gの持ち込みをしようかと考えていましたが、東京都内の25店舗限定の実証実験でした。

2022年2月9日付 伊藤忠商事 家庭で使用されていない携帯電話端末(トレジャー端末)の回収事業の実証開始について

伊藤忠商事は、トレジャー端末の回収事業の実証を開始いたします。まず、ファミリーマートと協業し、都内25店舗のファミリーマート店頭でのトレジャー端末回収の実証を開始いたします。端末を店頭にお持ち頂いたお客様には、特典として1台につき、ファミリーマートで利用できる1,000円相当のクーポンをお渡しいたします。

しかし、交換希望者が急に殺到したためか、プレスリリース後3日間で引き取り停止になったようです。
2022年2月14日付 JCASTニュース 「伊藤忠「ファミマでスマホ回収」事業、利用者殺到で一時停止に クーポンの転売被害も…再開未定」

 都内25店で実施し、3月31日までを予定していた。2月9日にプレスリリースが出ると、日テレ、フジ、TBS、テレ朝と民放各局が取り上げるなど話題を呼んだ。しかし、端末が想定以上に集まり、12日までに受付停止が発表された。

 オークションサイトでは、転売とみられるクーポンの出品が複数見つかる。13万5000円分のクーポンが約9万円で落札されているケースもあった。

 伊藤忠商事は14日、J-CASTニュースの取材に「反響が非常に大きく、店舗オペレーションに支障が出てしまい一時停止となりました」と話す。端末は「万単位」で集まったという。

単純な「金銭」、あるいは「容易に換価可能なクーポン」と引き換えに有価物を回収しようという目論見は成功したのでしょうか?それとも失敗だったのでしょうか?

この答を出すためには、それに関わる当事者ごとに成否を判断する必要があります。

事業企画者である「伊藤忠商事」は、
「たったの千円」で「万単位」の携帯端末を短期間に仕入れることができましたので、言うまでもなく「大成功」です。

買取りをしている以上、集めた携帯端末を転売するもリサイクルするも、すべて伊藤忠商事の思うがままであるため、はっきり言って「ぼろ儲け」です。

企画者が大成功をしている反面で、この携帯端末取引で損をした人が必ず存在します。

その損をした人とは、「ファミマに携帯端末を持ち込んだ人」です。

その理由は、骨董品に近い私のiPhone3Gとは異なり、比較的最近の世代のiPhone端末なら、ほぼ確実に千円以上で売却可能だからです。

まぁ、ファミマに持ち込まれた携帯端末にはガラケーも相当数含まれていたと思いますので、すべての引取り品に高い価値があるわけではないと思いますが。

JCASTの記事にある「13万5千円のクーポン」を手に入れようとすると、携帯端末135台をファミマ店舗に持ち込む必要があります。

おそらくは、個人で135台も携帯端末を所持している人はいないと思いますので、一族郎党、知人友人のすべての伝手を使ってかき集めた135枚のクーポンと思われます。

あるいは、ファミマの出入り口に陣取り、千円のクーポンを入手した人すべてに「現金500円で買い取りますよ」と声をかけて集めたのかもしれません。

いずれにせよ、本来なら買取業者がもっと高額で買い取ってくれる価値が高い物を、千円で伊藤忠商事に叩き売ったことに他なりません。

クーポンを転売サイトで転売できたとしても、直接売却以上に金銭が増えることはありません。

記事の見出しには「クーポンの転売被害」とありますが、上述したとおり、大量仕入れの目論見が大成功した伊藤忠商事にとっては、大した問題ではありませんし、「被害」という言葉が適切かどうかも疑問です。

回収数を増やすことだけが目的であれば、「即金買取り」が非常に有効と証明された実証実験でした。

とはいえ、実際に回収を行っていたファミマ店舗については、通常業務に大幅な支障が発生したと思われますので、永続的に実行可能な戦術でもありませんね。

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