自販機リサイクルボックスへの異物混入防止策に関する実証事業結果

2023年4月28日付で、環境省から「自動販売機横リサイクルボックスへの効果的な異物混入防止に関する実証事業の結果について」の公表がありました。

  1. 令和4年4月1日に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、製造・販売事業者による使用済プラスチック使用製品の自主回収・再資源化の取組を促進しています。
  2. 自動販売機のオペレーター事業者が自動販売機横リサイクルボックスを設置し、ペットボトル等の清涼飲料空容器を回収・再資源化する取組を進めていますが、リサイクルボックスに清涼飲料空容器以外のごみ(異物)が投棄されることで、再資源化の品質や量に悪影響を与えています。
  3. このため、令和4年10月31日(月)から同年12月24日(土)に請負事業者である一般社団法人日本自動販売協会において、新機能リサイクルボックスの先行設置を含む異物混入防止に関する実証事業を東京都調布市及び神奈川県川崎市において実施しました。今般実証事業の結果をとりまとめましたのでお知らせします。

実証期間が年末の約2カ月限定という、「やっつけ仕事感」が拭えないところが残念です。

廃棄する飲料容器が急増する夏季のデータが取れていないため、率直に申し上げると、このデータだけではあまり意味がありません。

「事業費がそれほど掛からない」ことが大前提ではありますが、
改めて夏季の状況を実証していただきたいところです。

肝心の実証事業の内容は

■ 実証事業の内容
(1) 異物混入防止のメッセージの内容を変化させることによる効果の検証
 不法投棄禁止や御協力願い等のメッセージの内容や強度を変えた複数のPOP・ポスター・ステッカー・立看板等を制作・設置することで、市民の行動変容が起き設置前後における異物混入率の低減が実現するか調査の実施及びその効果の検証を行った。

(2) リサイクルボックスを撤去することによるごみの散乱状況の変化の検証
 リサイクルボックスを撤去した上で、ごみの散乱を防ぐPOP・ポスター・ステッカー・立看板等を制作・設置し、周辺のごみの散乱状況の変化について検証を行った。

(3) 新機能リサイクルボックスの先行設置による検証
 投入口を下向きにするなどの新機能リサイクルボックスの先行設置に伴う、異物混入にかかる調査の実施及び効果の検証を行った。

の3点で、大人の仕事としてギリギリの及第点は、「(3) 新機能リサイクルボックスの先行設置による検証」の調査対象92基だけで、(1)と(2)はそれぞれ調査対象が10基しかありませんので、「小学生の自由研究」並みと言ったら失礼でしょうか?

税金を投じた実証事業である以上、環境省と事業受託者の双方には、もう少し真剣に取り組んでいただきたいものです。

個人的に苦笑するしかなかった内容は、「(1) 異物混入防止のメッセージの内容を変化させることによる効果の検証」

調査対象が10基しかないのに、

川崎市における啓発メッセージの強・弱による結果を比較すると、弱メッセージで、より異物混入率の低減への効果がみられた。

と断言されています。

感覚的には理解できなくもありませんが、たったの10基を見ただけで(しかも、具体的な低減率や低減量が挙げられていないのに)「効果がみられた」と断言することは、こじつけであり、論理の飛躍もあることから、不適切と言わざるを得ません。

先ほどは「小学生の自由研究」を引き合いに出しましたが、真面目な小学生には失礼な表現であったかもしれません。

人生経験を積み、対価をもらうという責任を伴った大人の仕事が、このような体たらくで良いのでしょうか?

弱メッセージではなく、「仕事の手抜きはダメ!ゼッタイ!」という強メッセージをお送りしたいと思います。

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