「後は野となれ山となれ」で良いのだろうか

新年明けましておめでとうございます。今年も当ブログを御愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

昨年はブログの更新頻度がめっきり下がってしまいましたので、年初に当たり、本年はもっと更新頻度を上げるという目標を設定しました(笑)。

ブログを開設した2009年当時は毎日更新していた気がしますので、無名の弱者としては、その当時の気概を思い出し、修行のためにも更新頻度を上げるべきと、現段階では固く誓っております。

2025年最初の記事は、20世紀の負の遺産の一つであるPCB廃棄物の処理問題について。

2025年1月25日付 NHK 「室蘭の施設 PCB廃棄物6月から搬入 年内に処理終了の予定

西日本で新たに見つかった高濃度PCB廃棄物について、国はことし6月から7月ごろに室蘭市の施設に搬入し年内に処理を終える見通しを示しました。

国は全国5か所の施設で有害物質のPCB=ポリ塩化ビフェニルを含む廃棄物の無害化を進めてきましたが、北九州市など3か所での事業が終了し西日本で新たに見つかった廃棄物については室蘭市にある施設で処理することになりました。

国内最後の高濃度PCB廃棄物処分施設がある室蘭市。

2026年3月末で完全に処分を終え、処分場は解体後に更地に戻されるようです。

市外の厄介者を受入れていただいた室蘭市の皆様には感謝しかありません。

ただ、2026年以降に日本のどこかで高濃度PCB廃棄物が絶対に発生しないとは言い切れない点が少し気になります。

もちろん、現段階でPCB特措法に基づく届出が出されている廃棄物については、法律の規定どおりに処分される予定であるとは思います。

しかしながら、存在すら認識されていなかったトランスやコンデンサが倉庫の一角から急に出現するという事態は、実はよくある話です。

最後に残った室蘭の施設が撤去された後は、急に出現した高濃度PCB廃棄物の処分をどうやって行うのでしょうか?

そのような事態は絶対に起きます。

「戦略は大胆に 戦術は緻密に」とよく言われます。

大胆な戦略目標を掲げること自体は悪くはありませんが、必ず発生することが予測できる事態を想定していない戦略は、「大胆」を通り越して「無謀」でしかありません。

最低でも、日本のどこか1箇所には高濃度PCB廃棄物処分施設を残しておく必要があったと考えますが、JESCOが設置したそれらの処分施設は、期限後に撤去することが最初からの規定方針でした。

やはりPCB廃棄物の処分戦略は、当初から「法律の想定外の事態は絶対に起きない」という前提の下、謀無しのものだったようです。

しかし、戦略目標が「国内で安全にPCB廃棄物処分をし続ける」ではなく、「とにかく法律の規定どおりに高濃度PCB廃棄物の処分を進めるのだ」であったのであれば、その目標自体は達成したと言えるかもしれません。

はたして、それがPCB特措法の基本理念に合致するのかどうかには疑問の余地がありますが、「一日も早く地元関係者に施設設置を納得させる」ことだけを目標にすると、「処分期限終了後は更地に戻します」という空手形を切ることに躊躇が無くなります。

実際には、国としては空手形にするわけにはいきませんので、高濃度PCB廃棄物処分施設を約束どおりに順番に解体し、それによって生じた歪みを室蘭市の施設に押しつけることになったわけですが。

昨今の年金改革や税制改正を見ていると、日本の政治には、「後は野となれ山となれ」がはびこっている気がしてなりません・・・

考えてみれば、千年以上前の昔から、政治上の意思決定の大部分がそうでしたね(苦笑)。

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