事例集1 ブルーシートの無料回収(萩原工業株式会社)
世の中には様々なリサイクルビジネススキームが存在します。
誰でも再現可能、かつ法律に抵触しない物ばかりなら良いのですが、
中には、というよりは、世に喧伝されているビジネススキームの大部分は、廃棄物処理法違反となる可能性が高いものばかりです。
そこで、今回から、「誰でも再現可能、かつ法律に抵触しないスキームを収集・分類し、みんなの仕事に役立てましょう!」という企画を始めます。
栄えある第1番目の事例は、ブルーシートの国内最大手企業である萩原工業株式会社の「ブルーシート無料回収イベント」です。
念のため、このコーナーで取り上げる企業は私のお客様ではありませんので、いわゆるステルスマーケティングの類ではありません(笑)。
今回の回収イベント自体は既に終了していますが、回収の模様を報じたテレビニュースによると、
「使用済みシートから新品のシートを製造する技術開発を目指している」と、紹介されていました。
テレビニュースでは具体的な回収スキームが紹介されていなかったため、「無料」という文言が気になってしまいました。
無料ということは、不用物を不特定多数の人から回収することに該当し、廃棄物処理業許可の有無が問題となる可能性が高いからです。
しかしながら、同社のプレスリリースを見て、その疑問は払しょくされました。
【 イベント概要 】
1. 開催日時 2021年2月5日(金)~2021年2月7日(日)までの3日間
8:00~17:002.開催場所 ホームセンターナンバ備中高松店 駐車場
(岡山県岡山市北区小山531)3.概 要 「国産ブルーシート無料回収キャンペーン」
ご家庭、会社にある使用済みブルーシートをイベント会場にて無料回収します。
使用済みブルーシートの回収と簡単なアンケートにご協力いただいた方には以下の特典を準備しております。【特典】萩原工業製商品限定500円値引き券
※イベント開催期間のみ有効です。
※ホームセンターナンバ備中高松店のみでご使用いただけます。
ここでいう「無料回収」はキャチコピーのようなもので、
回収スキームとしては、「500円値引き券」という金銭価値のある物を対価として付与する以上、無料回収というよりも、ブルーシートの仕入れと同視できる余地があります。
この「500円値引き券」という対価の付与が無ければ、「廃棄物の無許可回収」という法律上の問題をクリアすることは困難でした。
さらに、この値引き券が「萩原工業製商品限定」という点も素晴らしい。
自社の販売促進策の一環として、ブルーシートの回収(仕入れ)を位置づけることも可能となっています。
もっとも、消費者側からすると、そのように対象商品が限定される値引き券は使い勝手が良くありませんが(笑)。
また、「ホームセンターナンバ備中高松店」1カ所限定で、しかも3日間だけという短期間の試行から始めた点も好印象です。
鼻息荒く「全国の〇〇系列店で一斉スタート!」などと、風呂敷を最初から広げすぎると、慣れない回収作業がうまくいくはずがないからです。
「廃棄物処理業」ではない「リサイクルビジネス」においては、廃棄物の処理費を排出者(占有者)から徴収することはできませんので、逆に「仕入れの対価」を排出者に支払えるかどうかが非常に重要なポイントとなります。
なお、以下はお決まりの口上となりますが、
「当ブログの記事は、筆者の個人的意見を表明したものとなりますので、記事を読んだ方の事業の正当性を、この記事によって私が直接的に保証することは不可能です。実際に事業を進めていく際には、最寄りの管轄行政庁と真摯に協議することを強く推奨します。」
皆様の事業ヒントを考えるきっかけとして、本記事を活用していただけると幸いです。
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2021年2月8日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:リサイクルスキーム事例集