混ぜるな危険

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溶剤のラベルには混ぜてはいけない溶剤の種類が明示されるようになりましたが、行政手続きにおいても、絶対に混同してはいけない性質のものがあります。

「改善命令」と「措置命令」は、根拠条文からして違う別々の手続きですが、混ぜてはいけない溶剤同士を混ぜ合わせるがごとく、熟慮の末、“なんちゃって”行政処分を発出する自治体が増えています。

正確には、増えているのではなく、昔からそのようななんちゃって処分が多かったのかもしれませんが・・・

なんちゃって行政処分の例を具体的に説明すると、
「措置命令」の対象となる「不法投棄」に「改善命令」というのが、その最たる事例と言えるでしょう。

逆に、改善命令の対象となる法律違反に対し、措置命令を発出する自治体はほぼ無いため、措置命令の趣旨は広く正確に理解されているのかもしれません。

ただし、2010年改正で、保管基準違反にも措置命令を発出できる条文構成になりましたので、生活環境保全上の支障がある場合、改善命令ではなく措置命令を最初から発出する自治体が出てもおかしくはありません。

違法行為に対し自治体が「何もしない」ことを視野に入れるのであれば、地方自治体がやってはいけない行動は、次の3パターンに分類できそうです。

パターン1 「改善命令」の対象に「措置命令」
これについては、上述したとおり、そこまで愚かな行政官はさすがにいないようです。

パターン2 「許可取消」の対象となり得る違法行為に対し「何もしない」
自治体がわざわざ「違法行為に対し何もしないことにしました」などと記者発表することは有り得ませんので、これが一番表に出にくい行動です。

パターン3 「措置命令」の対象に「改善命令」
ここで再度、措置命令と改善命令の違いを詳しく述べておきます。

端的に言うと、それぞれの命令の違いは、

・既に起きた法律違反により、「環境汚染が起こっている」または「これから環境汚染を起こす可能性がある」場合は「措置命令」
・廃棄物処理基準違反があり、「将来に向けて廃棄物処理基準違反を是正させるため」に出すのが「改善命令」

となります。

重要なことは、
改善命令は、廃棄物処理基準を是正させるために発出するものであり、
不法投棄や無許可営業等の、そのまま直罰の対象となる法律違反状態を是正させるために出すものではない、ということです。

“なんちゃって行政処分”は、そこを誤解した行政官及びその人が属する自治体によって生み出される、「奇跡の結晶」と言えます。さほど多く見ることができないという意味では・・・

その奇跡の結晶が生み出される場面を間近で見たことはなく、目にすることができるのは、奇跡的な“恥”という結果でしかないのですが、その結晶が生み出されるまでの過程を憶測すると

「ありゃあ不法投棄されちゃったよ。行政として何かしておかないと不作為と責められるから、何かしておかないと・・・」

「でも、許可取消はしたくないんだよな。色々と面倒だし、行政訴訟を起こされるのも嫌だし」

「だったら、改善を促したという意味で、『改善命令』を出しとけば良いんじゃね?」
という思索の結果、各地で同じような奇跡が起きているものと思われます。

不法投棄や無許可営業に、廃棄物処理基準違反の側面があるのは事実ですが、「廃棄物処理基準を遵守して不法投棄しなさい」という日本語が成立しないことを考えていただくと、改善命令には馴染まないことをご理解いただけると思います。

「ヒップホップ」には、「サンプリング」という、他の楽曲のフレーズをそのまま取り込むという制作手法がありますが、

「改善」という言葉の語感だけを自由自在に取り込み、本来なら存在してはいけない改善命令を作りだす、「サンプリング行政処分」とも言うべき作法が密かに流行し始めているのかもしれません。

←「とんかつDJアゲ太郎
※画像と本文に直接の関係はありません(笑)。

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