福井市の福井市による福井市のための損害賠償請求

5月29日付 産経ニュース 福井市のため池に不法投棄 3億1千万円損賠請求へ

 福井市下市町にある同市所有のため池に廃棄物などが不法投棄されたとして、同市は27日、投棄した建設業者などに対し約3億1千万円の損害賠償請求の訴えを起こす方針を発表した。

 また、市が汚染状況をボーリング調査(6地点)した結果、有害物質の鉛やヒ素、水銀などの4項目で法定基準を上回る地点があった。このため市は、早期撤去が必要として6月補正予算案で撤去費用2億7千万円を計上し、6月議会(同月3日開会)の議決を得て、8月にも撤去を開始し、今年度内に完了する方針。訴訟では撤去費用に調査費などを含めて請求するとしている。

 市によると、平成21年10月に地元住民から埋め立ての情報があり、市が調査したところ、17~19年の間にため池の約40%にあたる約1700平方メートルに約3600立方メートル(約6400トン)のがれき類を含む土砂が廃棄され、埋め立てられていた。住民が市と建設業者を相手に撤去を求める調停を申し立てを福井簡裁に行い、建設業者は埋め立てしたことを認めたという。

 市は、有害物質について今のところ付近の地下水への汚染はないとしている。

調査費を含めた不法投棄物撤去費用総額が3億1千万円ですので、1立方メートルあたり8.6万円の撤去費用がかかる計算になります。

廃棄物が捨てられた場所がため池であり、環境基準を上回るヒ素や水銀などが検出されたことを考慮に入れると、この撤去費用は非常に現実的な数字と言えるでしょう。

2009(平成21)年に事件発覚後、福井市民が福井市と不法投棄実行者を法廷に引っ張り出すまで、福井市が重い腰を上げなかったことが残念に思われます。

昨年の9月に、当ブログでも本件を一度取り上げています。

当ブログ 2012年9月26日付記事
撤去費用の負担は誰が行うべきか

福井市は当初、撤去費用の一部の負担をため池の管理者(土地所有者は福井市)である自治会に求めるなど、かなり迷走した行政対応をしていました。

福井市は、土地所有者の責務を十分に認識していなかったようです。

事件発生後8年を経て、ようやく廃棄物撤去に着手し、行為者にその費用請求を行う段階に入ります。

記事にもあるとおり、行為者に費用負担を請求するのが大原則ですが、
8年前から経営不振であった行為者に3億1千万円という巨額の損害賠償請求をしたところで、請求額の1割でさえ回収することは困難と思います。

問題をここまで放置し続けた、土地所有者の福井市の責任は非常に重いと考えねばなりません。

今回の福井市の一連の対応は、
問題が小さなうちに摘み取るという、簡単そうに見える行動がいかに難しいかを教える教訓の一つになってしまいました。

後付けで道義的、あるいは法律的責任をこじつけるのは簡単ですが、
当時の担当者が問題を先送りした心理的メカニズムを直視し、それを極力防ぐシステムを作らないことには、他の自治体や組織においても同様の反応をすることになります。

貴重な失敗実例として、福井市の一連の反応パターンを他山の石としたいところです。

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