撤去費用の負担は誰が行うべきか

福井新聞 産廃撤去調査着手も費用めぐり争い 一部負担求める市に自治会反発

 「ようやく調査が始まった。でもまだ撤去じゃないんだよな…」。福井市下市町の自治会長越間(えつま)康雄さん(63)は18日、区内のため池で行われたボーリング調査を眺めてつぶやいた。ため池に産業廃棄物などが不法投棄されているのが表面化してから3年。一部住民が、所有者である市と埋め立てたとされる地元建設業者に対し撤去を求めている。撤去の第一段階となる調査に着手したものの、費用負担などをめぐり、その道筋は見えていない。

 2009年10月、市農村整備課に「ため池が埋め立てられている」と通報があった。市担当者が確認したところ、ため池(4850平方メートル)の約4割が産業廃棄物などで埋め立てられていた。複数の住民によると、05年6月ごろから不法投棄が始まったという。かつて農業用水や釣り場として住民に親しまれたため池の姿は、数年で大きく様変わりしていた。

 越間さんら住民の一部は昨年1月、撤去を求め市と地元建設業者に対し調停を申し立てた。調停で市は、土壌調査を行う方針を示した。廃土やコンクリートなど計11トンが掘り出され、土壌の一部からは基準値の1・7倍となるヒ素を検出。同8月の住民説明会で、市担当者は「住民の健康や農作物の安全を守るため撤去を検討する」と述べた。

 市は本年度当初予算に撤去費用を見積もるためのボーリング調査費などとして1900万円を計上。9月18日から3日間かけて、埋め立て場所の深さの測定や土壌採取などを行った。土壌の分析などを経て来年2月末には、撤去に必要な費用や作業行程などを示す予定だ。

 同課は昨年8月以降、2カ月ごとにため池の水質調査を実施しているが、現在までに有害物質は検出されていない。「じっくり検討し作業を進めていく」と市は慎重な姿勢を見せている。

   ■    ■

 昨年3月に始まった調停はこれまでに8回を数えた。しかし撤去費用の負担者などをめぐり、いまだ解決への糸口は見つかっていない。住民側は、市が撤去し、費用は埋め立てたとされる地元建設業者が全額負担するよう求めている。一方、市はため池の管理者として自治会にも一部負担を打診。住民側は「埋め立てた業者が払うのが当然。自治会負担はあり得ない」と不信感を募らせる。市は「弁護士と相談し決めていきたい」と、自治会の具体的な負担については明言を避けている。

 この問題で市は、昨年度からの2年で既に2千万円余りを予算計上している。撤去するとなればさらに多額の予算が費やされることになる。市は「責任の所在を明確にし、費用を責任者に求められないと撤去は難しい」と調停での解決を目指す考えだ。

 市が「撤去を検討する」と住民に説明してから既に1年余りが経過している。越間さんは「市の姿勢には感謝したい」としつつ「撤去についてはまだ第一歩を踏み出したばかり」。長期化を懸念し、もどかしさを募らせる住民の気持ちを代弁した。

■ ため池の所有と管理

 市農村整備課によると、ため池は明治時代の市町村編成に伴い「東安居村(現下市町)」と登記され、所有者は自治体(現在は福井市)になった。正式な書類は交わしていないが、市は「昔からの慣例」として、ため池は自治会の管理下にあるとしている。市所有地でも墓地や農道など実質的に地元自治会が管理している例は珍しくない。

事件の構造自体は、
1.建設業者がため池に廃棄物を不法投棄
2.ため池は福井市の所有で、管理は地元自治会
3.住民側が廃棄物の撤去を福井市と建設業者に求めているところ
と、わかりやすいものですが

不法投棄実行者になぜ撤去をまず求めないのかを不思議に思いました。

そこでニュースを検索してみると、
7月2日付の中日新聞では、 不法投棄「逃げ得」懸念 福井のため池問題

 下市町の越間康雄自治会長(63)は「撤去費用は捨てた業者に求めるのが筋のはず。不法投棄を通報して費用を求められるなら誰も通報しなくなる」と、市からの費用負担の打診を一蹴。市単独で業者を特定できないなら、捜査機関へ告発するべきだと主張する。しかし、市は「証拠固めしないと受けてもらえないと弁護士から聞いている」として及び腰だ。

 当初から投棄業者の特定に消極的だった市の姿勢は、“逃げ得”の印象を周囲に与えた上に、大規模な不法投棄の後始末に多額の税金を投じる前例をつくりつつある。「しかるべき相手」を求めるならば、「しかるべき態度」を市がまず示すべきではないのか。問題の表面化から、既に一年半が経過しようとしている。

とあり、福井市は実行者特定のための動きを取れない状況のようです。

福井市には産業廃棄物の規制権限がありませんので、実行者の特定に及び腰になるのは無理有りませんし、今までそんなことをした経験もないのでしょう。

本来なら、規制権者である福井県と連携し、また福井県警に被害届を出したうえで捜査をしてもらう必要がある事案です。

福井市所有のため池ということで、他の機関のお世話になるのがためらわれているのでしょうか?

また、いくら不法に投棄されたとはいえ、
ため池の約4割(約1,600平方メートル)を埋めた犯人がまったくわからないという点もミステリーです。

夜な夜な埋められたにせよ、山の中というわけではありませんから、ダンプの目撃者が1人くらいいてもおかしくない状況です。

新聞報道を見る限り、ミステリーサークルのように、いきなり埋立が発覚したような印象を受けましたが、一夜にしてこんな大量の不法投棄ができるわけではありませんので、誰か一人くらいは不法投棄を見ていたと思われるのですが・・・

色々と不思議な点や行動が見られる事件でした。

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