(第5回)321通知の分析(規制権限の及ばない第三者について)

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第5回目は、「2.規制権限の及ばない第三者について」の分析です。
末尾の「周知願いたい」の段落は省略します。

(第1段落)
2.規制権限の及ばない第三者について
 排出事業者による処理業者への廃棄物処理委託に際し、地方公共団体(一般廃棄物にあっては市町村、産業廃棄物にあっては都道府県又は政令市)の規制権限の及ばない第三者が排出事業者と処理業者との間の契約に介在し、あっせん、仲介、代理等の行為(以下「第三者によるあっせん等」という。)を行う事例が見受けられる。

※注釈
この通知の最大の間違いである「規制権限の及ばない第三者」については、当ブログで繰り返し問題点を指摘してきたところですが、再度指摘します。

この単語は極めて不適切な用語です。

その理由は、「規制権限の及ばない第三者」という者は、論理的には存在しないからです。

いわゆる管理会社を、そうしたアウトローになぞらえたつもりのようですが、既に廃棄物処理法では、ブローカーによる無許可受託を禁止しているため、規制権限は昔から及んでいます。

一部、「321通知は管理業務を禁止した天晴な通知だ」と考えている方がおられますが、後述するように、本通知では「禁止」ではなく、「べきではない」という曖昧な言い方しかしていません。

論理的には、「べきではない」と「禁止」ではまったく意味が変わります。

また、そもそも、旧厚生省は、平成6年2月17日付で「第三者によるあっせん自体は違法ではない」という通知を出しています。

詳細は、当ブログ2009年1月6日付記事 「廃棄物処理の仲介に許可は必要?」をご覧ください。

(第2段落)
 一般廃棄物については、平成11年に通知「一般廃棄物の適正な処理の確保について」(平成11年8月30日付け衛環第72 号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)を発出し、第三者によるあっせん等は、一般廃棄物の処理責任が不明確になる等の理由から、市町村の処理責任の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがある旨周知してきたところである。

※注釈
ここで触れられている平成11年の通知こそが諸悪の根源かもしれません(苦笑)。

この平成11年通知で、「市町村の規制権限の及ばない第三者」という間違った日本語が初めて使われだしました。

また、関係者が有難く奉る平成11年通知には重大な間違いがあります。

それは、「規制権限が及ばない第三者が行うあっせん等は、再委託に該当する場合がある」という結論の部分です。

再委託は、一般廃棄物処理を受託した処理業者が他者に委託することですので、無許可業者たる第三者が再委託を行うことは不可能だからです。

そのような行為は、無許可受託として刑事罰の対象にはなりますが、再委託に該当しないことは明らかです。

念のために、現行法で一般廃棄物の再委託を禁止する条文を掲載しておきます。

廃棄物処理法第7条第14項
 一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。

「一般廃棄物収集運搬業者」「一般廃棄物処分業者」と明確に主語が置かれていますね。

(第3段落)
 1.で述べたように、排出事業者は、排出事業者責任を有しており、排出事業者が廃棄物の処理を他人に委託する場合は、廃棄物処理法に規定する処理業者に委託しなければならないなど、排出事業者の義務を遵守しなければならない。

※注釈
これもお決まりの単なる条文の引用です。

(第4段落)
 その場合、排出事業者としての責任を果たすため、排出事業者は、委託する処理業者を自らの責任で決定すべきものであり、また、処理業者との間の委託契約に際して、処理委託の根幹的内容(委託する廃棄物の種類・数量、委託者が受託者に支払う料金、委託契約の有効期間等)は、排出事業者と処理業者の間で決定するものである。排出事業者は、排出事業者としての自らの責任を果たす観点から、これらの決定を第三者に委ねるべきではない。

※注釈
「根幹的内容」の定義には疑問の余地がありますが、それについては後日改めて触れることとします。

「決定を第三者に委ねるべきではない」という趣旨自体には異論がありませんが、通知としては曖昧な表現ですので、もう少し表現を工夫していただきたかったところです。

(第5段落)
 これらの内容の決定を第三者に委ねることにより、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になるのみならず、あっせん等を行った第三者に対する仲介料等が発生し、処理業者に適正な処理費用が支払われなくなるといった状況が生じ、委託基準違反や処理基準違反、ひいては不法投棄等の不適正処理につながるおそれがある。

※注釈
ここは論理が飛躍しています。

「処理業者に適正な処理費用が支払われなくなる」は良いとして、
「第三者を挟むことで処理基準違反や不法投棄につながる(おそれがある)」というのは明らかに言い過ぎです。

(第6段落)
 以上のように、廃棄物処理における排出事業者の責任は極めて重いものであり、排出事業者においては、上記の点を十分認識した上で、自らの事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理することが強く求められる。

※注釈
ここも常識しか書かれていませんので、通知で改めて取り上げるほどの意味は無い部分です。

まとめ

以上のように、この部分は、「日本語として間違っている部分」と「常識」が混在しています。

通知を読む者のリテラシーが問われる内容となっていますが、そもそも通知というものは、誰が読んでも同じ理解状況に達するものでなければいけないはずなのですが・・・

読む人の力量を試すための罠なのでしょうか?

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