積水ハウス自社処理の流れを加速

 とれまがニュース 積水ハウス、「栗東資源循環センター」の稼動で資源循環を加速

 記事で紹介されている、積水ハウスの自社処理の取組みの経緯を抜粋。

 2002年 生産工場でのゼロエミッションを達成
 2004年 新築施工分野において廃棄物処理法の「広域認定」を取得
 2005年 広域認定の対象を新築施工現場に拡大
 2006年 広域認定の対象をアフターメンテナンス部門にも拡大
 2007年 広域認定の対象をリフォーム施工現場にも拡大

 非常に順調な自社処理の体制強化です。

 新築主体のハウスメーカーだからできた面が大きいですが、それでも、ここまでやりきる姿勢を堅持することは、並大抵の決意ではできません。

 ICタグを活用して、廃棄物の重量や種類などを緻密に分析するとのことで、完全にそれができるようになれば、非常に有効な廃棄物関連のデータとなりそうです。

 しかしながら、この取組みを、建設業界全体に広げられるかとなると、それはかなり難しいと言わざるを得ません。
 その理由は3つあります。

 第1に、解体工事を対象にする場合は、「施工現場で27分別」などという、ここまで緻密な分別は不可能だからです。
 逆に、新築専門のハウスメーカーだからこそ、一点集中で突破できた最大の要因とも言えます。

 第2に、他の建設関連企業には、積水ハウスのように、ここまで高いリサイクル率を追求する必要性が無いからです。
 高いリサイクル率を実現するためには、分別や処理にかけるコストが高くなるのは当然だからです。
 他の多くの建設関連企業にとっては、そこまでコストをかける必然性が見いだせない以上、業界全体にこの流れを波及させるのは困難と言えます。
 もっとも、積水ハウスは、自社の企業価値を高めるためにやっているのであり、そんな野暮なことを考えるのは外野にしかいないのかもしれません(笑)。

 最後の第3の理由は、リサイクルした物の売り先が無いこと です。
 これが一番大きな理由になりますが、積水ハウスが製造しているグランド用白線は、需要としてはそれほど大きいものではなく、バージン原料で作るよりも、リサイクル材を使った方が環境負荷が低い、という程度でしょう。

 もちろん、先ほども触れたように、企業価値を高めるために、そのような製品を販売するのも大変有効な取組みなのですが、

 ビジネスの目的を「継続」と定義すると、グランド用白線では、継続的に事業としてリサイクルを行うことはできません。

 積水ハウスには、業界先行ランナーとして、もっと汎用性の高いリサイクル材を是非開発していただきたいと期待しています。

 ただ、汎用性があれば良いというものでもなく、1円以下の単位でコスト削減の努力が求められている市場でもありますので、それを現実化するには大きな課題があるのも事実です。

 新築や修繕工事に限定すれば、建設廃棄物の発生抑制を図っていくのは十分可能と思いますので、そこだけでも、他の企業に追随してもらいたいものです。

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