最新情報
典型的なリサイクル事業失敗事例
地方自治体が出資したれっきとした第三セクターであるにもかかわらず「許可証偽造」をした結果、許可取消された「豊前開発環境エネルギー」。
※許可証偽造から許可取消の経緯については、当ブログ2022年3月25日付記事 「無許可変更による業許可の取消(福岡県)」をご参照ください。
許可が取消された現在になっても、いまだに地元関係者に大迷惑をかけているようです。
2023年9月12日付 朝日新聞 「大量のリサイクル材が県の港湾用地を「占拠」 豊前の三セク産廃会社」
福岡県豊前市の第三セクターの産業廃棄物処理会社が、市内の宇島港にある県の港湾用地を「不法占拠」する状態になっている。大量のリサイクル材を野積みしているが、土地使用料の支払いが滞って県から撤去を求められている。だが、会社は営業停止中で撤去のめどが立っていない。関係者は対応に苦慮している。
(中略)
県京築県土整備事務所によると、同社は周防灘に面した港湾用地3区画(計約1万1千平方メートル)を19年以降に借り、出荷に向けてリサイクル材を野積みしていた。だが、行政処分後の22年度の土地使用料の一部が支払われなかったため、県は23年度の使用更新を認めず、リサイクル材を撤去して原状回復するよう指導した。だが、5カ月が過ぎた現在も放置が続いている。
産業廃棄物処分業の許可が取消されたとはいえ、法人自体は存続しているわけですから、行政財産使用料の支払いを年度途中で“バックレる”というのは、お役所的企業である第三セクターとしては考えにくい荒業です。
借りた土地にリサイクル材という不良在庫を大量放置とは、第三セクターとしては有り得ないレベルのお行儀の悪さです。
同社によると、野積みしたものは全て加工済みの製品で「約2万5千立方メートルあり、撤去には億単位の費用がかかる」。県に対して、営業停止に伴う資金難で撤去費を出せないが、引き取り先を探していると説明しているという。
福岡県が出していた許可内容は、「燃え殻」と「ばいじん」を「路盤材」または「覆砂材」へと造粒固化するというものでしたが、これだけ大量の不良在庫が積みあがっている様子を見ると、最初から事業全体では採算性が取れていなかったように思われます。
「現在引き取り先を探している」とのことですが、「買い取ってくれる事業者」しか探していないのであれば、全量撤去までの道のりは非常に長い、というよりは達成不可能かもしれません。
「無料であげます」と募った場合でも、路盤材等は造成工事でしか使いませんので、肝心の工事が発生しない限り、需要も発生しません。
引く手あまたの人気製品であれば、製品を作った途端に購入先へ納入となりますが、
これまで失敗してきたリサイクル事業の多くが、不良在庫を積み上げることを一切気にせず、リサイクル品製造のみにまい進するという、「狂気に駆られた」と言わざるを得ない行動を続けた結果、不良在庫を残したままあえなく倒産という末路をたどっています。
残念ながら、上記の第三セクターも、その末期の様相を呈し始めたようです。
タグ
2023年9月14日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
トラックの荷役作業に関する規則改正
今回は廃棄物処理法関連の改正情報ではありませんが、
2トン以上の積載量がある「平ボディ車」や「ウイング車」を用いる収集運搬業者にとっては、追加の労働安全対策が必要となる、実務的に影響が大きい改正ですので、ご紹介します。
規則改正のポイントは、厚生労働省がリーフレット「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」でまとめてくれていますので、適宜その内容を抜粋して転載させていただきます。
まずは、規則改正の概要について
労働安全衛生規則(以下「安衛則」といいます)が改正され「昇降設備の設置」「保護帽の着用」「テールゲートリフターの操作に係る特別教育」が義務付けられました。
特別教育については令和6年2月から、それ以外の規定は令和5年10月から施行されます。
令和5(2023)年10月1日から施行されるもの
「昇降設備の設置及び保護帽の着用」「運転位置から離れる場合の措置」に関する改正については、令和5(2023)年10月1日から施行ですので、今すぐ準備と対応が必要ですね。
令和6(2024)年2月1日から施行されるもの
「テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育義務化」については、令和6(2024)年2月1日施行ですが、こちらもそれほど遠い将来ではないので、今から入念な準備が必要と言えます。
いずれも新たな設備投資が必要ではありますが、どれも労働災害低減に役立つことは間違いありません。
安くはない投資金額となるかもしれませんが、会社で働いてくれている大切な従業員を怪我や退職で失わないためには不可欠、かつ効果の高い投資と言えるのではないでしょうか。
タグ
2023年9月11日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:法令改正
迷セリフ
産業廃棄物処理業者の役員が、一般廃棄物収集運搬業の無許可営業容疑で逮捕されました。
2023年9月3日付 テレビ高知 「許可なく一般廃棄物を運搬・収集の疑いで40代会社役員を逮捕「間違いだらけです」と否認」
許可なく一般廃棄物の収集・運搬事業を行った廃棄物処理法違反の疑いで40代の会社役員の男が逮捕されました。
逮捕されたのは高知市城山町の49歳の会社役員の男です。警察の調べによりますと男は3月31日、従業員と共謀の上、高知市長の許可なく、マンションの引っ越しに伴う冷蔵庫や洗濯機などのゴミを収集。男が勤める会社の倉庫に運搬して、6万6千円の代金を受け取った廃棄物処理法違反の疑いが持たれています。
引っ越しを行っていた依頼主が、男が無許可で収集・運搬を行っていると気づき、警察に通報したため事件が発覚しました。
常識的に考えると、産業廃棄物専従の処理業者の役員が、従業員を誘って引越業を営む確率はゼロに近いため、実際には、書類申請だけで許可を取得した「ペーパー産業廃棄物処理業者」だったような気がします。
それにしても、無許可業者であることを看破し、即座に警察に通報した依頼主の方は、なかなかの剛の者です(笑)。
一般廃棄物を業として運搬するためには、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要と、日常生活で意識している人は非常に少ないと思いますので、その方は「その筋の人」だったのかもしれません。
念のため、ここで言う「その筋の人」とは、「行政官」や「一般廃棄物処理事業者の役員」等の、「廃棄物処理業に関する法的に正確な知識を持った人」を指します。
7月には男が勤める会社の代表取締役の男が5月に行った一般廃棄物の収集、運搬について同様の容疑で逮捕されていました。その取り調べの中で今回の件について男が関与していた疑いが強まったということです。
今回逮捕された役員とは別に、代表取締役も一般廃棄物収集運搬業の無許可営業で逮捕されていたそうです。
この点からも、真面目な専従の廃棄物処理業者ではなく、「不用品回収」その他の「ペーパー産業廃棄物処理業者」だったのではないかという疑念を強くしました。
警察の調べに対し男は、「間違いだらけです」と容疑を否認する供述をしていて、警察は裏付け捜査を進めています。
今回ご紹介したニュースで、私がもっともときめいた部分は、この「間違いだらけです」となります。
一体何が間違いなのでしょうか?
「犯罪に関与していないのに不当逮捕された!」という意味なのか
それまでの自分の人生を顧みて、「間違いだらけの人生だった・・・(´・ω・`)」という落ち込んだ気持ちの表明なのか
「逮捕容疑のほとんどが事実ではない」という捜査機関に対する抵抗なのか
いずれにせよ、様々な可能性を想像させる「間違いだらけです」は、2023年の「トップ迷セリフ」になる予感がします。
男が勤める会社は『産業』廃棄物の収集・運搬の許可を得ていますが、『一般』廃棄物については許可を得ておらず、これまでに高知市から複数回、行政指導を受けていました。
メディアとしては珍しく、産業廃棄物収集運搬業と一般廃棄物収集運搬業の違いについて言及していますので、「事実を正確に伝える」という報道機関の根本姿勢を堅持しています。
余談
「間違いだらけ」と聞いて真っ先に思い浮かべたのは、「間違いだらけのクルマ選び」という本でした(しかし、実際に読んだことは無い 笑)。
ひげを生やした「徳大寺有恒さん」が著者と記憶しておりましたが、2016年以降、執筆者が島下泰久さんに変わっていたのですね。
タグ
2023年9月4日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
リサイクル関連の制度新設か?
2023年8月28日付 時事通信 「使用済み、同じ製品に再生産 「水平リサイクル」調査へ―メーカーと産廃業の連携促進・環境省」
環境省は2024年度、産業廃棄物に含まれるプラスチックや金属などが製造業者によってどのようにリサイクルされているか実態調査に乗り出す。使用済み製品を同じ製品に再生産する「水平リサイクル」を進める一環。メーカーが再生原料を入手するのに産廃処理業者との協力は不可欠で、両者が効率的な資源循環に向けてどう連携しているかを探る。
同省は24年度予算概算要求に調査の関連経費を盛り込む。
(中略)
同省は水平リサイクルを含め、メーカーと産廃業者の連携を促す新制度を検討するため、有識者検討会で7月、議論に着手。早ければ来年の次期通常国会に関連法案を提出する考えだ。
7月に設置された有識者検討会の名称が書かれていないため、探すのに苦労しましたが、
「静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築に係る小委員会」のことのようです。
時事通信では「水平リサイクル」、小委員会の名称は「静脈産業の脱炭素型資源循環システム構築」ですので、報道と正式名称の内容が完璧に一致しているわけではありませんが、「脱炭素」を目指すために、「水平リサイクルを推進する」という目論見なのかもしれません。
「かもしれません」と書いた理由は、
本稿執筆時点では、小委員会の議事録が公開されていないため、会議資料を閲覧することしかできず、あくまでも私の想像でしかないからです。
小委員会での議論の方向性としては、会議資料で次のように示されています。
「御議論いただきたい事項」を見る限り、「水平リサイクル」には直接的に言及されていませんが、会議当日に具体例として「水平リサイクル」が例示されたのかもしれません。
いずれの議案も、社会的に賛同が得られることは間違いないテーマと思います。
言わずもがなですが、重要なことは、制度の「使いやすさ」や「使うメリットがあること」ですので、そこをどう設計するのかがポイントとなります。
2023年度中は廃棄物処理法改正の検討を始める予定は無さそうですので、2024年度以降と考えられるその議論と同時並行で進め、「法案提出は2024年の通常国会(2025年1月招集)」となるものと思われます。
8月28日付の上記の報道に先立ち、時事通信の2023年7月2日付報道で、「産廃から資源回収へ新制度 優良業者を認定―環境省検討」というものがあり、
2023年6月5日付の「中央環境審議会循環型社会部会(第46回)」を受けての報道と思われますが、
環境省は、産業廃棄物に含まれる資源のリサイクルを強化するため、産廃処理業者を対象にした新たな制度を導入する検討に入った。製造業者との連携に積極的な業者を優良業者として認定する仕組みを想定。産廃から回収したプラスチックや金属を再資源化し、メーカーに販売する流れを後押しする。近く有識者による議論を始め、来年度予算概算要求にも反映したい考えだ。
と報道されていました。
循環型社会部会の議事録を読んでも、そのような突っ込んだ話は見当たりませんでしたので、いわゆる「観測気球」という記事なのだろうと思います。
以上、新しい制度像がまだ固まっていない状況ではありますが、法律改正か新法制定かはわかりませんが、環境省が動き始めたことだけは確かですので、速報としてお伝えさせていただきました。
タグ
2023年8月28日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
「家畜伝染病予防法」と「廃棄物処理法」の力関係
昨年の高病原性鳥インフルエンザの大流行に伴う鶏の大量殺処分後に、卵の価格が高騰したことは記憶に新しいところです。
卵を産む鶏の数はかなり回復してきたそうですが、鶏の飼料の価格が従来の7割以上も高騰しているため、卵が以前のような「物価の優等生」としての低価格に戻ることは無さそうです。
卵好きの人間にとっては悲報ではありますが、世界でも希有な生食できる卵を今後も食べさせていただくためには、必要不可欠なコスト負担と覚悟をしています。
今回は、殺処分された鳥の後始末に関する問題を通して、「廃棄物処理法」と「家畜伝染病予防法」の関係について見ていこうと思います。
2023年8月19日付 南日本新聞 「鳥インフル殺処分鶏 埋却地から悪臭液漏れ 埋め替え再び延期「9月以降」 問題発生から8カ月、県が謝罪 出水」
鹿児島県出水市野田の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザで殺処分した鶏の埋却地から、近くのため池に液体が漏出した問題で、鹿児島県は18日、住民説明会を開き、埋却物の埋め替え作業は9月以降になると明らかにした。新しい埋却地の掘削は近日中に始める。作業は台風などを考慮して、11月までに完了したいとした。
県は、5月25日に現在の埋却地を試掘し、8月3日に作業用の仮設道路整備に着工したなどと、これまでの経緯を説明。埋め替え作業に伴う運搬時や新たな埋却地での漏出防止対策、ミスト送風機を使った消臭芳香剤の空間散布など臭気対策を示した。
新旧の埋却地や周辺地域も合わせ計6カ所で、アンモニアと硫化水素の臭気を測定する計画も提示。ため池など3カ所で定期的に実施している水質検査の結果も報告した。
「家畜伝染病予防法」の対象となる家畜の死体は、同法第21条に基づき「死体を焼却、または埋却」するしかありません。
恒久的、かつ安全な方法としては、「焼却」に軍配が上がりますが、「移動制限」や「受入施設の有無」によっては、現場付近で「埋却(すなわち埋立)」されることも多いようです。
私、廃棄物処理法に携わったばかりの時代(20年以上前になります)の話ではありますが、
「最終処分場以外での家畜の埋立は廃棄物処理法違反とならないのか?」と、疑問に思ったことがありました。
そこで、その当時に懇意にしていた兵庫県庁環境整備課の職員に質問をすると、
「家畜伝染病予防法」は特別法なので、同法に基づいて行う殺処分後の家畜の死体処分については、廃棄物処理法の適用を受けないのです。
と教えてもらい、納得をしました。
廃棄物処理法を読めばわかる話ではありましたが、初心者にとってはどこに書かれているか見つけにくい例外規定ですので、このような状況では素直に専門知識を持つ人に質問をした方が効率的と再認識した覚えがあります。
さて、廃棄物処理法の適用を受けないとは言え、埋設現場付近で汚水や悪臭を発生させないことが大前提であることは言うまでもありません。
残念ながら、家畜伝染病予防法に基づく埋設処分は、「伝染病の迅速な封じ込め」に主眼が置かれているため、埋設後の「汚水」や「悪臭」を完全に防げるかどうかはあまり重視されていないように思われます。
農林水産省が公開している資料には、埋設処分事例として、
という画像が掲載されています。
「伝染病の迅速な封じ込め」のためには、このような埋立処分をするしかないことを理解はしていますが、
梱包は厳重に行ってはいるものの、数層のブルーシート(?)では、浸透水対策としてはかなり心許ないことも事実です。
畜産農業が盛んな地域においては、家畜伝染病対策は重要課題の一つであると思いますので、平時から「畜産農家が集中している地域内で、浸透水が流出しにくい、より安全な埋設場所はどこか?」を検討しておくべき時代に入ったのかもしれません。
タグ
2023年8月23日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
罰当たりな不法投棄
映画「リング」の影響が大きいと思いますが、飲み水を提供してきた「井戸」を汚すことに身体的な畏れを持っています。
井戸を敬い、畏れる人間からすると、「石綿含有産業廃棄物を井戸に不法投棄」という荒っぽい犯罪は、人としてやってはいけない行為に思いますが、それを実行した結果、逮捕されたという事例が報道されました。
2023年7月13日付 NHK 「アスベスト含む産業廃棄物を不法投棄か 解体業者2人を逮捕」
警視庁によりますと、去年8月、住宅の解体工事で出たアスベストを含む産業廃棄物を小平市の工事現場に運び込んで井戸の跡地に埋めたなどとして廃棄物処理法違反の疑いが持たれています。
廃棄物は「スレート」と呼ばれる外壁に使われる建築資材などで、アスベストが使われていたため専用の処分場で処理する必要がありましたが、業者は作業にあたって処分場と契約していなかったということです。
調べに対しいずれも容疑を認め、このうち統括工事部長は「アスベストを含む資材の処分に困っていた。別の現場で井戸を埋める作業が入ったので捨てるよう指示した」などと供述しているということです。
現在の東京都小平市において、井戸水だけで暮らしている人はほぼ居ないと思われますので、井戸水を利用する人に危険が及ぶことは少ないのかもしれませんが、「よりにもよって、石綿含有産業廃棄物を井戸に捨てるなよ~」と嘆息してしまいました。
「井戸に不法投棄」というケースは、不法投棄としては珍しい事例かと思います。
そもそも、井戸自体が非常に小さな場所で、私有地内にあることから、不法投棄の対象として選ばれにくい状況にあります。
今回は、
・たまたま井戸の埋立工事も受任していた
・たまたま石綿含有産業廃棄物が手元に残っていた
・そもそも、石綿含有産業廃棄物の処理委託契約をしていなかった
という条件が重なり、井戸にゴミを投げ捨てるという暴挙が起きてしまったものと思われます。
このうち、「そもそも、石綿含有産業廃棄物の処理委託契約をしていなかった」は、排出事業者として絶対にあってはならない法律違反ですので、厳重に処罰することが必要と思います。
現行法のままでは不可能ですが、
「『不法投棄』や『野外焼却』で有罪になった人は、欠格要件者として、一定期間建設業に携われない」くらいの厳しい制裁を科さないと、この手の犯罪はいつまで経っても無くならないようにも思います。
現行法では、役員や代表者でない限り、従業員として働く分には、不法投棄の前科が問題になることはありません。
上記のような措置を取るためには、複数の法律の改正が必要となりますので、実現する可能性は非常に低いと言わざるを得ません。
それにしても、「井戸にゴミを捨てると、何かの罰が当たるのじゃないか?」と、他人事ながらザワザワした気持ちになったことで、自分にそのような迷信的心情があることに初めて気がつきました(笑)。
国際日本文化研究センターが公開している「怪異・妖怪伝承データベース」によると、
「イド(井戸)」では、
池田家に1人の美しい娘がいたが、とある事情により屋敷内の井戸に飛び込んで死に、その頃から同家の没落が始まったという。その後池田家の地は北日本相互銀行の用地となり、同行建設の折に井戸も無くなった。それ以降同行の行員で病弱になるものが少なくないという。遠野地方では井戸を埋めることは不吉の徴とされる。
という、岩手県の伝承事例が掲載されています。
井戸を塞いだり、汚したりすると、周辺にある他の井戸にも悪影響が出る可能性があるので、「タブー」として、井戸の埋立を禁止していたのでしょうか?
岩手県以外でも同様の伝承があると思いますので、ご存知の方がいらっしゃいましたら、是非当記事への「コメント」でご教示くださいませ。
※「怪異・妖怪伝承データベース」は、科学研究費補助金を元に作成された、「怪異」や「妖怪」を切り口にした、真っ当な民間伝承のデータベースなので、時間を忘れて読み耽ってしまいました。
タグ
2023年7月18日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
犯意なき犯罪
事業活動から発生したプラスチック製廃棄物は、「業種」「発生量」と関わりなく、すべて「産業廃棄物」になります。
その産業廃棄物となる廃プラスチック類を、家庭ごみ回収場所に不法投棄した容疑で、訪問看護事業所職員が逮捕されました。
2023年7月11日付 京都新聞 「訪問看護事業所の廃棄物2キロ超、家庭ごみとして投棄 容疑の職員3人逮捕」
3人の逮捕容疑は、共謀し、5月12~26日の3回にわたり、同法人が運営する「ほほえみ」の事業活動で出たプラスチック類など計2・89キロの廃棄物を、家庭用の一般ごみとして東山区の歩道に投棄した疑い。
府警によると、「ほほえみ」では市の家庭ごみ有料指定袋に、新型コロナウイルスの検査キットやゴム手袋、医療用ガウンなどを入れて捨てていたという。
残念ながら、犯罪であることに違いはありませんが、「産業廃棄物の不法投棄に該当する」とは夢にも思わず、適切な処理と信じ切っていたものと思われます。
市の有料ごみ回収袋を購入し、家庭ごみ回収日に堂々と産業廃棄物を出していた様子からは、「安く済ませるために不法投棄してやろう」という悪意は感じられません。
そのため、「いきなり逮捕」ではなく、「まずは、京都市当局が産業廃棄物としての処理委託を行政指導」してあげるのが妥当だったようにも思いますが、犯罪行為である以上、行政指導をすっ飛ばし、いきなり逮捕されたことに驚きはありません。
府警の説明では、新生十全会職員の容疑者は「(不法投棄を)指示した覚えはない」と一部否認している。府警は今後、同法人についても廃棄物処理法違反の容疑で書類送検する方針。
たしかに、「不法投棄しろ!」と、明確な犯罪を指示したことは無かったものと思われますが、産業廃棄物としての正しい処理方法を指示していない以上、結果的には不法投棄を黙認した形にしかなりません。
「ごみ回収場所にごみを置いて何が悪い?」と思っている人、あるいは企業は驚くほど多いもので、
今回の事件のような不法投棄をしていながら、自分が犯罪行為をしているとは考えず、むしろ社会規範に忠実で善良な人間と信じている人は驚くほどたくさんいらっしゃいます。
しかしながら、家庭ごみの個別回収や拠点回収は、住民だけが対象となる行政サービスであり、営利か非営利かを問わず、何らかの事業活動を行うことを目的として活動する組織が「タダ乗り」して利用することは許されていません。
法治国家である以上、「違法とは知らなかったので、許してチョンマゲ(死語)」が通用しないことは、皆様ご存知のとおりです。
とはいえ、小学校等の義務教育で「犯罪とは何か」を懇切丁寧に教育する暇は、社会的にありませんので、
「法律の罰則を知っているかどうかは自己責任」という、なかなか世知辛い現実となっています。
今回の記事が、そんな日の当たりにくい現実を照らし出し、犯意なき犯罪を防止するささやかな灯りとなれば幸甚です。
タグ
2023年7月12日 | コメント/トラックバック(2) |
カテゴリー:news
家電リサイクル実績(令和4年度)
2023年7月6日付で、環境省から、家電リサイクル実績(令和4年度)が発表されました。
環境省発表
「令和4年度における家電リサイクル実績について」
2. 指定引取場所における引取りの状況
令和4年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は約1,495万台(前年度比約2.0%減)であり、内訳を見ると、エアコンが約369万台(構成比約25%)、ブラウン管式テレビが約64万台(同約4%)、液晶・プラズマ式テレビが約309万台(同約21%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約352万台(同約24%)、電気洗濯機・衣類乾燥機が約401万台(同約27%)となっています。
※この表のみ、経済産業省発表資料より転載
昨年の「家電リサイクル実績(令和3年度)」紹介の際に予測したとおり、令和4年6月下旬は観測史上まれに見る暑さでしたので、令和4年度は「エアコン」の引取台数が増加しました。
他の家電はすべて引取台数が減少しています。
3.再商品化の状況
家電メーカー等の家電リサイクルプラントに搬入された廃家電4品目は、リサイクル処理によって鉄、銅、アルミニウム、ガラス、プラスチック等が有価物として回収され、全社において法定基準を上回る再商品化率が引き続き達成されました。
全体では、エアコンで93%(法定基準80%)、ブラウン管式テレビで72%(同55%)、液晶・プラズマ式テレビで86%(同74%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫で80%(同70%)、電気洗濯機・衣類乾燥機で92%(同82%)と、法定基準を上回る再商品化率が引き続き達成されました。
タグ
2023年7月10日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:統計・資料
不法投棄と不適正保管の境目
建設会社が廃材を不法投棄した容疑で、法人と役員が書類送検されました。
2023年7月5日付 チューリップテレビ 「「廃棄物ではない…薪として利用できるから」産業廃棄物処理法違反で書類送検も否定 県議選に出馬していた72歳会社役員 富山・立山町」
通常、産業廃棄物の不法投棄、あるいは不適正保管であれば、富山県が告発を行うところですが、本件は、立山町が告発をしたとのこと。
町役場の業務性格上、刑事告発手続きに精通した職員がいるとは考えにくいので、「富山県との連係プレーか?」等、背後の動きを色々と妄想してしまいました。
さて、被疑者の言い分は、
・不法投棄ではなく、一時保管
・置いていた物は、ゴミではなく、薪木利用可能な木材
・保管量はそれほど大量ではない
という3点のようです。
このうち、「ゴミではなく、薪木利用可能な木材」については、ゴミの占有者の主観でしかありません。
仮に薪木であったとしても、それを「みだりに」捨てた場合は、不法投棄したことになります。
また、「(放置されていた)廃棄物が少量なら不法投棄にならない」わけでもありません。
尿を入れたペットボトルを捨てた容疑で逮捕された実例があることからも、量の多寡が問題ではないことがわかります。
実務的には、「一時保管か否か」が、このようなケースで論点となるテーマです。
テレビ報道された画像を見ると
※画像は上掲のチューリップテレビサイトより転載させていただきました。
空き地に漫然と放置、というよりは不法投棄された物にしか見えません。
もちろん、この感想は私個人の主観でしかありませんが、「保管」と主張したいのであれば、極めて紛らわしいやり方だったと言わざるを得ません。
こと廃棄物においては、「自社の土地だから、どんな置き方をしても許される」わけでもありません。
今回の報道は、「占有者の主観」と「世間の常識」、「不法投棄」と「不適正保管」の違いを考える上では、非常に興味深い事例と言えます。
そこで、「不法投棄」と指弾されないような「適切な保管」を行うためのポイントを考えてみました。
第1 「周囲に囲いを設置」、あるいは「専用の保管容器内で保管」
第2 「廃棄物の飛散流出防止措置を講じる」
第3 「廃棄物保管場所であることを示す掲示板を掲示」
いわゆる「産業廃棄物の保管基準」を引用しただけのポイントですが、どれも簡単にできる内容です。
具体的には、囲いを設置できないのであれば、「保管コンテナ」を敷地に置き、そのコンテナ内で廃棄物を保管する。
野ざらし、雨ざらしにならないように、ふた、あるいはシート掛けを厳重に行い、廃棄物を飛散流出させない措置を取る。
もちろん、囲いやコンテナ容器の高さを超える量になるまで、廃棄物を滞留させないことも必要です。
報道された画像を見る限り、この画像だけでは、
「不法投棄」と断定することはできませんが、
上記の第1から第3の全てを欠いた「不適正保管」には当てはまるように思えます。
元々、廃棄物の世界では「自分の土地だから、何をしようと自分の自由」ではなく、廃棄物の置き方からして法律で基準が定められています。
他者からの視線を意識するためにも、「保管基準」を意識し、他者から誤解されない保管を行ってください。
タグ
2023年7月7日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news
内部告発
2023年6月20日付 HTB北海道ニュース 「ストライキ決行のバス会社 土の中から“大量の産業廃棄物” バス停の土台まで 千歳相互観光バス」
土の中から出てきたのは大量の産業廃棄物。組合側との対立が続く千歳市のバス会社が、隣接する土地にバスの部品などを不法投棄していたことがわかりました。
(中略)
千歳市で路線バスを運行する「千歳相互観光バス」の本社周辺から出てきた大量の産業廃棄物。
労働組合によりますと2004年に当時の営業所長が、運転手らにバスの修理などで交換した部品などを埋めさせていたという証言があるといいます。
労使の対立が続く中、組合側が交渉カードの一環として、会社側の過去の違法行為を暴露したという形なのでしょうか?
不法投棄が本当に2004年に実行されたのだとしたら、残念ながら、刑事事件としての時効はとっくの昔に成立していますが(苦笑)。
言わずもがなですが、2004年当時このような不法投棄は既に犯罪でしたので、本当に会社側の指示に基づく不法投棄だったのであれば、反社会勢力顔負けの荒っぽい所業と言わざるを得ません。
事実かどうかわかりませんが、
「運転手に」「バスの交換部品を埋めさせた」とありますが、
強制労働まがいの「穴掘り」と「不法投棄」をさせられた運転手は、何の疑問も感じなかったのでしょうか?
誰一人「これは犯罪なのでは?」と声を上げなかったのだとしたら、
「苦言を呈することなど考えられないほどの強権的風土だったのか?」と、
色々な想像が膨らみます。
使用者側に大きな問題があったのは事実かと思いますが、
労働者である運転手が不法投棄に関与していたのであれば、その運転手も犯罪の共犯者となってしまいますので、
労働者側も「犯罪の定義」を自らわきまえる必要があると言えます。
不法投棄は、誰がどう見ても「犯罪」とわかる行為だと思いますので、使用者と労働者の双方から今まで異論が出てこなかった状況を大変残念に思います。
労使問題が解決した暁には、労使共同で不法投棄が実行された背景を真摯に自省していただきたいものです。
タグ
2023年7月4日 | コメント/トラックバック(0) |
カテゴリー:news