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  • 2024年3月18日 · · · 再資源化事業者へのバフがキタァー「再資源化事業高度化法案」
  • 2024年3月6日 · · · 最終かつ究極の解決方法
  • 2024年2月26日 · · · 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の返送期限
  • 2024年2月13日 · · · 技術革新に期待
  • 2024年2月5日 · · · 「無い」ことはなかったはず
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    再資源化事業者へのバフがキタァー「再資源化事業高度化法案」

    2024年3月15日付で、環境省から「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案の閣議決定について」という発表がありました。

    新しい法律案が閣議決定されたため、法律案がようやく国会に提出される運びとなりました。

    「再生材の質と量の確保を通じて資源循環の産業競争力を強化することが重要」と、なるほど、それは確かにそのとおり。

    でも問題は、その競争力を高めるために、どうやって「再資源化の取組を高度化するのか」よね?

    「再資源化の促進(底上げ)」と「再資源化事業等の高度化の促進(引き上げ)」と、「促進」が2回も使われているので、ここに環境省の狙いがありそうだわ!

    特に、「国が一括して認定を行う制度を創設」「許可の手続の特例」は、太字かつ赤字で強調されていることに要注目かも?

    これまで、「プラスチック資源循環促進法」その他リサイクル関連の法律が制定される度に、「許可の手続きの特例」が設けられてきましたが、今回の「再資源化事業高度化法(案)」では、これまでの諸法の弱点をすべて解消し、「対象となる事業者にバフをかけるんや!」という環境省の並々ならぬ意欲が感じられます。

    ここで、「バフってなんだ?」と疑問に思った方が多いかもしれませんので、簡単にご説明しておくと、
    ゲーム界隈で使用されている「能力やステータス値アップをもたらす効果」を示す用語です。

    もっと噛み砕いた言い方をすると、「バフ」によって、一瞬にして能力値や特定のステータス値が急激に上がるため、ゲーム攻略が急激に容易になります。

    ちなみに、「バフ」の反対が「デバフ」となり、「デバフ」されると、一気に弱体化してしまいますので、ゲームプレイヤーにとっては死活問題になりかねない環境変化となります。

    詳細は、これから制定される法律や施行令を見ていくことが当然必要ですが、「再資源化事業高度化法(案)」の段階で、再資源化事業を検討している事業者にとっては「バフ」であり、既存の産業廃棄物処理業者にとっては「デバフ」となり得る条文があります。

    再資源化事業高度化法(案)
    第18条(廃棄物処理法の特例) 認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第7条第6項又は第14条第6項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度分離・回収事業計画に従って行う再資源化に必要な行為(一般廃棄物又は産業廃棄物の処分に該当するものに限る。)を業として実施することができる。
    2~4 (略)
    5 第16条第2項第七号に掲げる事項が記載された高度分離・回収事業計画について同条第一項の認定を受けた認定高度分離・回収事業者は、廃棄物処理法第8条第1項又は第15条第1項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定高度分離・回収事業計画に記載された当該廃棄物処理施設を設置することができる。

    これまでのリサイクル関連の法律では、「処理業許可」については、特別法の規定により、廃棄物処理法に基づく許可を不要とするものが多々ありましたが、「都道府県知事から廃棄物処理施設設置許可を取得すること」までは免除されていませんでした。

    しかし、この「再資源化事業高度化法(案)」では、とうとう、第18条第5項で「廃棄物処理施設の設置許可も不要」となり、いよいよ、国(環境省)の認定一本で、あらゆる「業許可」と「施設設置許可」の取得不要となります。

    近時、多くの地方において、主に最終処分場や焼却施設等の設置で地域住民と事業者間で紛争が生じ、事業化がまったく進まないという状況が起きています。

    「再資源化事業高度化法」が成立し、国一本の認定だけで良いとなると、たとえ地域での紛争があったとしても、住民の意思や地方自治体の思惑とは無関係に、施設の設置と再資源化事業の操業が可能となります。

    考えようによっては、これまで培われてきた国と地方の役割分担や信頼をご破算にしかねない、極めて中央集権的な法律とも言えます。

    もちろん、「再資源化事業高度化法(案)」の対象となる「認定高度分離・回収事業者」は、「あまねく全ての産業廃棄物処理業者」ではなく、「再資源化の実施に伴う温室効果ガスの排出の量の削減の効果が増大する」ような事業を行う者だけとなりますが、既存の産業廃棄物処理業者や、現在紛争状態の事業者にとっては確実に“デバフ(=不利な戦いを強いられる)”となる要因となります。

    バフを受けた認定事業者は、地元説明会や数度に渡る地方自治体との協議をすっ飛ばして、いきなり全国展開も可能。

    かたや、認定の対象事業にあてはまらない既存業者は、これまでと同様に、地元住民との利害調整と地方自治体との協議が不可避となるからです。

    なんだか、明治維新直後の中央集権国家樹立のための諸政策の再来のようにも見えます。

    「政商」のような権力と結託する輩や、外国資本に食い荒らされないような対策が不可欠であると思います。

    その一方で、「再資源化事業高度化法」の対象となる事業を始めよう、あるいは拡大しようと思っている既存企業にとっても、大きなチャンスになります。

    海外資本や怪しい資本に浸食される前に、志のある国内資本企業が速やかに地保を固めるきっかけにしていただくことを望みます。

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    最終かつ究極の解決方法

    1997年に大阪府北部の豊能(とよの)・能勢(のせ)両町で発生した高濃度のダイオキシン類を含む焼却灰の後始末が、ようやく進むことになりそうです。

    2024年3月4日付 NHK 「ダイオキシン廃棄物問題 豊能町に最終処分場つくり埋め立てへ

    大阪・豊能町と能勢町で作る組合が管理するダイオキシンを含む廃棄物の処分をめぐる問題で、大阪・豊能町は町内に最終処分場をつくり廃棄物を埋め立てて処分する方針を固め今月(3月)から現地でボーリング調査を行うことを明らかにしました。

    「豊能町内に焼却灰を埋めるためだけに管理型最終処分場を設置するのですか?そうなるとコストパフォーマンスが悪すぎるけど、町民の理解が得られるのだろうか?」と、部外者ながら勝手に心をざわめかしましたが、NHKの報道を読み進めると、

    豊能町の上浦登 町長は4日の町議会で、仮置きしている場所近くにある老朽化した公共施設の再編工事にあわせて、地下に最終処分場もつくり埋め立てて処分する方針を明らかにしました。
    組合によりますと、最終処分場は地下5メートルの深さにコンクリート製の構造物をつくりそのなかに廃棄物を入れて処理する計画で、来年3月までに完成させたいとしています。

    とありますので、どうやら「遮断型最終処分場」を設置し、そこで焼却灰を永久に保管するという計画のようです。

    過去の報道を検索すると、2021年1月25日付朝日新聞「最終処分場に地元反対 決着遠く 豊能ダイオキシン問題」で、

    19年の豊能町長選で初当選し、現在は組合管理者を務める塩川恒敏氏は鉄筋コンクリートで仕切った遮断型最終処分場を造って処分する方針を示してきた。20年度組合予算にはボーリング調査費など計約2500万円を計上した。

    と、2021年時点から遮断型処分場設置の構想が明らかにされていました。

    遮断型最終処分場であれば、雨水が処分場内に浸透することはありませんので、廃棄物の管理手段としては最高の安全性能を期待できます。

    その代わりに、焼却灰からダイオキシン類が消えたり、焼却灰自体が雲散霧消したりすることは有り得ませんので、文字どおり永久に保管(封じ込め)し続ける必要があります。

    「遮断型最終処分場」は、廃棄物処理法における専門用語ですので、具体的なイメージが湧きにくい方は、
    国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターが公開している「循環・廃棄物の豆知識」の「遮断型最終処分場」を読んでみてください。

    簡潔、かつ平易に要点を解説してくれていますので、遮断型最終処分場の概要がわかると思います。

    さて、これから設置される予定の遮断型最終処分場は、まさに前世紀の負の遺産である「コンクリート固化された焼却灰」を封印し続ける場所となりますので、数十年後には「文化遺産」になっている可能性もあります。

    上述したとおり、遮断型最終処分場はこれから永久にも等しい長期間の管理が必要となりますので、管理型最終処分場ほどではないにしても、それなりの管理コストが掛かります。

    そこで、「記念館」や「記録センター」としても整備をし、見学者から入場料を徴収しつつ、遮断型最終処分場を教育や啓発の場としても活用してはどうでしょうか?

    過去に起きた出来事を無かったことにはできませんが、現実を直視した上で、苦難から学んだ教訓を後世の人に伝えることには大きな意義があります。

    「未来に向けてどのような記録や教訓が残せるか?」という視点に立つと、豊能町及び豊能町民の遮断型最終処分場を設置するという決断(もちろん、町民の総意というわけではないと思いますが)には、歴史的な偉業となる可能性を感じました。

    遮断型最終処分場を「負の遺産」あるいは「負債」ではなく、何らかの「資産」として活用していただくことを期待しております。

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    2024年3月6日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    産業廃棄物管理票(マニフェスト)の返送期限

    基礎中の基礎のお話ですが、意外と誤解をしている方が多いため、詳細を解説したいと思います。

    マニフェストの返送期限だって?
    産廃管理検定3段(通信講座)の僕にとっては愚問。

    答えは、「収集運搬終了後10日以内に、僕の手元にB2票が届かない場合は、即、収集運搬業者の違反」

    よって、その収集運搬業者には始末書を提出してもらう必要があるね!

    収集運搬終了後10日以内に排出事業者に必着ですと!?

    あなたは「廃棄物処理法」の条文を読んだことが無いのですか?

    それとも、「産廃管理検定(筆者注:架空の検定試験です)」の教科書にそう書かれていたのですか?

    正しくは、

    廃棄物処理法第12条の3 第3項
     産業廃棄物の運搬を受託した者(以下「運搬受託者」という。)は、当該運搬を終了したときは、第一項の規定により交付された管理票に環境省令で定める事項を記載し、環境省令で定める期間内に、管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない。この場合において、当該産業廃棄物について処分を委託された者があるときは、当該処分を委託された者に管理票を回付しなければならない。

    (運搬受託者の管理票交付者への送付期限)
    廃棄物処理法施行規則第8条の23
     法第12条の3第3項の環境省令で定める期間は、運搬を終了した日から10日とする。

    とあるように、

    「運搬終了後10日以内に写しを送付しなければならない」であり、「排出事業者に10日内に写しを到達させねばならない」ではありません。

    つまり、収集運搬業者が運搬終了日から10日以内にB2票を送付していさえすれば、排出事業者に運搬終了日から11日後にB2票が到達したとしても、何の問題もありません。

    「送付」と「到達」の定義について、
    「『管理票の交付の日から90日以内』に、産業廃棄物管理票の写しの送付を受けない」場合に必要な「措置内容報告(廃棄物処理法第12条の3第8項)」と混同してしまっている人が多いように思えます。

    「送付」と「写しの送付を受ける(=到達)」とは、意味するところが大きく異なりますので、法律の条文を正しく理解しておきたいところです。

    また、そもそものお話として、
    産業廃棄物管理票の写しの返送日がそんなに気になるのであれば、紙の産業廃棄物管理票ではなく、電子マニフェストを1日でも早く導入すべきだと思います。

    電子マニフェストであれば、
    ・処理業者にとっては、産業廃棄物管理票写しを返送するための「郵送費」が不要
    ・オンラインで即時の処理終了報告が可能
    ・処理終了報告が所定の期間内に未完了の場合は、自動的にアラート通知が来る
    等の大きなメリットがありますので、生産性を向上させるためにも、紙から電子へと切り替えをすべきだと考えます。

    以上、今回は基礎中の基礎のテーマではありましたが、実務上頭を悩ませる方が非常に多い内容でもあるため、皆様の所属先においても改めて確認と活用の機会としていただければ幸いです。

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    技術革新に期待

    人工衛星から地表の変化状況をモニターし、そのデータを不法投棄監視に活用するという取組みを広島県が全国初で開始したそうです。

    2024年2月8日付 毎日新聞 「宇宙から廃棄物の不法投棄を監視へ 広島県が都道府県で初導入

     広島県は8日、2024年度から合成開口レーダー(SAR)を搭載した人工衛星のデータを利用し、山林などへの廃棄物の不法投棄を監視するシステムを国内の自治体で初めて導入すると発表した。これまでは住民からの通報や人力でのパトロールに頼るほかなかったが、春以降は宇宙からの目が力を貸してくれる。

     SAR衛星は、電波を地球に向けて照射し、反射を解析して地表面の様子を調べる。県は費用対効果を考えて無料で得られる地表面の観測データと比較し、不自然な変化から不法投棄の兆しをつかむシステムを作り上げた。10日ほどの周期でデータを更新し、システムが変化を知らせたら、実際に現地へ行って不法投棄を確認する仕組みだ。県の担当者は「夜間でも曇天でも問題なく監視できる。人工衛星で監視していることを広く周知し、不法投棄を未然に防ぎたい」と意気込む。

    思い返すと、約20年前「航空写真で不法投棄現場を発見する!」という取組みが流行していました。

    この当時、航空写真を解析するのは人間の目でしたので、未知の不法投棄現場を航空写真から発見することは至難の業だったと思います。

    なにより、航空機を飛ばして地域全体をくまなく撮影する経費が非常に高いという問題がありましたので、頻繁に撮影ができないという最大の弱点がありました。

    しかし、合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)による観測の場合は、打ち上げ済みの人工衛星が収集するデータであるため、記事で触れられているとおり、比較的頻繁に更新できるという利点があるようです。

    こうなると、県庁舎にいながらにして、県土全体の異変を察知することも十分可能と思われます。

    さらに、SAR画像の活用は、林野庁が「合成開口レーダ(SAR)衛星を活用した山地災害判読ガイドブック」を公開しているように、既にかなり普及をしているという強みもあります。

    行政機関においても人手不足が年々進むことが確実ですので、これがうまく行けば、広島県以外の全国の地方自治体にとっても朗報となりそうです。

    もちろん、人間による監視活動自体は非常に重要ですが、SAR画像を活用することで、現場監視の無駄撃ちを減らすことが可能となりますので、広島県の目論見どおり、より重要な局面へ人手を割くことが可能となることでしょう。

     県は新年度予算にシステムの運用に600万円、改良などに400万円を計上。将来的には監視をシステムに任せ、人的資源は現地確認や指導などに注力させたいという。

    初年度の予算は総額で1千万円となるようです。

    行政用のシステム開発費としては良心的な価格設定かと思いますし、年間1千万円の投資で、おそらく数十人から数百人分の移動コストと労働時間の節約につながる可能性がありますので、大変効率的な投資と言えます。

    そう考える根拠をお示しすると、
    たとえば、片道1時間掛かる山間部に職員2人で出張する場合、ざっと計算すると、出張旅費やガソリン代、高速道路料金等を合算すると、5千円から1万円程度のコストが掛かります。
    週3回、2人ペアで出張する場合、月にすると6~12万円、年にすると72~144万円のコストとなります。

    これは出張コストだけの合算ですので、その他、職員が報告書作成に要する時間給や超過勤務手当の対応も必要となるため、実際にはさらに多額のコストが発生します。

    これらの総コストに、県庁とその地方機関の数を掛け算することになりますので、初年度は別として、システム開発が落ち着く頃には運用費を上回るコスト削減効果が見込めそうです。
     

    広島県の取組みが成功裏に終わり、全国に波及するようになると、不法投棄の監視が一気に効率化できそうです。

    個人的に大いに期待しております!

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    2024年2月13日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    「無い」ことはなかったはず

    2024年1月23日付 NHK 「北杜産廃問題で調査委が再発防止策めぐり意見交換 山梨

    北杜市に運んだ大量の建築廃材を業者が違法に保管している問題で、県の対応を検証する調査委員会が23日開かれ、情報共有や事務対応マニュアルの改善など再発防止策をめぐって意見が交わされました。

    (中略)

    会合では前回、関係職員に行った聞き取りで、情報共有のあり方に課題があったことや、指導や命令を出す明確な基準がないとわかったことを踏まえ、県の対応への評価と再発防止に向けた意見が交わされました。

    「指導や命令を出す明確な基準がないとわかった」というのは、いささか乱暴すぎる総括に思えます。

    と言いますのも、行政機関において、完全に個人の独断と意思に基づいて仕事を行う余地はほぼ無いからです。

    廃棄物処理法に基づく規制を行う場合、その根拠は言うまでもなく廃棄物処理法です。

    少なくとも、命令を出す根拠や基準は、廃棄物処理法で「改善命令」や「措置命令」として明文化されています。

    この委員会で議論されているところの「指導の基準」とは、
    「立入検査を週1回の頻度で行い、2回連続で不適切な状態を認めた場合は、書面で改善すべき点を指導する」といった、懇切丁寧なマニュアル、というよりはスクリプトを指しているのかもしれません。

    たしかに、「何が違法で、何が適法か」といった、具体的な場面と判断基準をマニュアル等で例示することは、実務面では非常に重要です。

    しかし、それが「箸の上げ下ろし」のような枝葉末節まで決めたスクリプトに匹敵する精度が必要かと聞かれると、「そこまでやる必要はない」と、筆者自身は思っています。

    「テレアポ」や「特殊詐欺」のように、ある程度制限された状況下で、自分にとって望ましい選択に相手を誘導するという目的の場合は、精緻なスクリプトを準備することも有効かもしれませんが、海千山千の悪徳業者が相手では、事前に想定したスクリプトが役に立つとは思えないからです。

    もちろん、繰り返しになりますが、悪徳業者の様々な主張や言い訳を例示し、その矛盾点を追求する方法などをマニュアルに例示することは非常に有効です。

    マニュアルとスクリプトの違いは、
    マニュアルには、対人関係において利用者の創意工夫を許容する余地がありますが、
    スクリプトは、利用者に対し指示に従うことだけを求める
    というものがあります。

    もう一つ、「そんな奴おれへんやろ〜」と思ってしまった内容は、

    この中で出席した委員からは県の対応について、違法性があるとは言えないとか不適切な部分もあり反省すべき点はあったなどという評価が示されました。

    の「違法性があるとは言えない」という部分。

    無意味な指摘だと思いました。

    廃棄物処理法に基づく規制で、違法な方法で公務を行う方が難しいからです。

    「痴漢目的で立入検査を行う」とか、「付きまとうために、産業廃棄物処理委託契約書の閲覧を要求する」といった、どれもかなりの変態行為しか想像できません。

    おそらくは、「改善命令を出す時期が遅くなったことに違法性は無かった」くらいのニュアンスだろうとは思いますが。

    ちなみに、私の公務員時代の同僚には、工場の浄化槽に立入検査に行った際、急にもよおしてきたのか、浄化槽の裏手で立小●をしようとし、工場の人から「何をやってるんですか!ここは工場の敷地内ですよ」と注意されるという剛の者がいました。

    この場合は、違法性がありますので、本当にヒヤヒヤしました(汗)。

    あらぬ方向に脱線してしまいましたので、本題のNHKの報道に戻りますが、

    再発防止に向けて関係部署間での情報共有と連携の強化や改善命令などを出す場合の判断基準を具体化するなど事務対応マニュアルを改善すべきだなどといった意見が出されました。

    「事務対応マニュアルを改善すべき」という結論には賛成です。

    山梨県においてこれまで培われてきた知見や方針を、マニュアルとして明文化していただき、これまでよりもさらに高いレベルで業務に取り組むための契機としていただくことを期待しております。

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    2024年2月5日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    需要の平準化

    メディアではほとんど取り上げられていませんが、個人的に興味深く思う広報が国土交通省からありました。

    2024年1月24日付 国土交通省 「引越時期の分散に御協力をお願いします!

    引越は、3月から4月にかけて依頼が集中します。
    ピーク時期の引越を避けるなどの引越時期の分散に御協力をお願いします。

    1.引越時期の分散について
     例年、引越事業においては、3月から4月にかけて依頼が集中しているため、国土交通省では、引越時期の分散に向けて経済団体等を通じて利用者の方々に呼びかけを行っているところです。
     引越時期の分散については、引越サービスの利用者の方々にも大きなメリットがあり、例えば、昨年、引越時期を最繁忙期から避けていただいた利用者の方々から、以下のような声が上がっています。

    【引越サービスの利用者の方々からの声】
     『3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった』
     『会社の従業員の引越に係るコストを抑えることができた』
     『3月の最終週から引越時期をずらすことで、予約が取りやすくなった』

     例年、引越時期の分散にご協力いただいているところですが、依然として3月・4月に依頼が集中しています。
    つきましては、本年の引越におかれましても、ピーク時期の引越を避けるなどのご協力・ご検討をお願い致します。

    引越時期が集中していることの弊害はよくわかりますので、こうした呼びかけを続けることは非常に重要だと思います。

    しかし、一事業者の立場で、現状できることはほとんど無さそうにも思えます。

    やるとするならば、人事異動の時期を大幅に変更するしかありませんが、それを行うと社内のシステム全体に波及する可能性が高いと思われます。

    また、大学等の進学のために引越しをする人の場合、3月末に需要が集中せざるを得ませんので、「引越時期の分散」は「言うは易く行うは難し」という印象です。

    さて、引越業その他の運輸政策を論ずることが当ブログの趣旨ではありませんので、引越時期の分散についてはこれくらいで止めておきます。

    国土交通省の発表を読んでまず思ったことは、「産業廃棄物処理業界でもよく聞く話だなあ」ということです。

    産業廃棄物処理業界の場合は、「3月下旬から4月上旬」という決まった期間ではなく、顧客排出事業者の「決算期」ですので、一応企業ごとに分散する可能性は高いですが、それでも、「9月」や「3月」に処理依頼が急増することが多いと思います。

    引越の場合も、「見積」「契約」「引越作業」と、それなりに長い期間が必要となりますが、
    産業廃棄物処理委託の場合は、「見積」「契約」「収集運搬」「中間処理完了」と、より煩雑な手続きと、より長い期間が必要となることがほとんどです。

    継続取引の場合は、「見積」と「契約」を省くことができますが、
    「決算期となる月末までに回収、処分、そして支払いまで終わらせたい!」と、通常よりも短いスパンで処理することが求められることも多いため、急激に増える需要への対応に大わらわ、という処理企業が多そうです。

    こうした状況下では、不適正処理を擁護するわけではありませんが、不法投棄や産業廃棄物管理票の虚偽報告に走ってしまう業者が出てしまう可能性があります。

    「在庫品」や「サンプル品」等、排出事業者が市場に絶対に流出させたくない産業廃棄物の処理を急ぐ場合、これが現実のリスクとなり、オークションサイトで転売されたという事例が多々あります。

    このように、決算期を前にした無理な産業廃棄物処理委託は、排出事業者にとっても、産業廃棄物処理業者にとっても、決して望ましいものではありません。

    排出事業者側としては、「引越分散」と同じく、「計画的な産業廃棄物処理委託を心掛ける」しかなさそうですので、
    受注をする側の産業廃棄物処理企業の工夫がキモとなりそうです。

    「早めに依頼していただければ、料金をお安くしておきます」では、芸がありませんし、何より委託契約書記載事項の変更手続きが必要となりますので、委託料金だけは変更しないように死守したいところです(笑)。

    その代わりに、「中間処理ライン投入の瞬間から、処分完了までの動画や写真をまとめた処分完了報告書を提供します」とか、「事前の日程調整は必要ですが、排出事業者立会いの下で処分します」といった、安全・確実な処分を可視化して提供する方法もあります。

    最近では、「立ち会い」の代わりに、「遠隔地でもオンラインで視聴」してもらうことも可能かと思います。

    ただし、筆者個人としては、単なる会社案内ではなく、産業廃棄物が確実に処分された状態までを確認する場合は、オンラインで一部始終を見届けることは困難であるため、現地での立ち会いを推奨いたしますが。

    上記は、記事を書きながら思いついた一例でしかありませんので、顧客にヒアリングをする過程で、もっと良い提案がたくさん見つかることと思います。

    産業廃棄物処理企業にとっては、適切な人員配置や安定的な利益確保のためにも、需要の平準化が年々重要性を増すはずです。

    自社と従業員の両方に大きなメリットが発生する取組みだと思いますので、今すぐ取り組んでみてください。

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    2024年1月29日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    火が付くまで対応できないという人の性(さが)

    2024年1月19日付 産廃処分めぐる行政代執行、求償未済額75.8億円 三重県

     産業廃棄物の不法投棄や不適切処理に対処するため、三重県が業者に代わって行った行政代執行について、業者に復旧費用の返還を命じる求償の未済額が昨年度末で、6事案で計75億8千万円にのぼることが県の債権処理計画からわかった。しかし業者の資力不足でほとんど回収できないのが現状で、今年度の回収目標額はわずか100万円程度にとどまる。

    「産廃特措法」に基づく不適正処理事案の原状回復は、行政が原因者の代わりに行政代執行を行うことになりますが、工事費その他の総経費が往々にして天文学的な数字になりがちです。

    行政側が回収できていない債権額として、朝日新聞では三重県の事例が掲載されていますが、三重県以外の多くの地方自治体も同様の苦境に陥っています。

    しかし、今回の記事では具体的な債権回収努力について触れられていませんが、巨額の未回収債権を抱える各自治体の担当職員の方が、1円でも多く求償しようと日々奮闘していることもまた事実です。

    記事の

    (三重)県は業者が所有する山林やゴルフ会員権を差し押さえるなどして強制徴収しているが、回収できたのは6400万円程度にとどまる。

    という部分に、法的に認められる債権回収(租税徴収)のあらゆる手段を駆使している姿が目に浮かびました。

    朝日新聞では、「6400万円にとどまる」と書かれていますが、

    6つの不適正処理事案の合計金額とはいえ、これは決して低い回収額ではありません。

    「三重県は債権回収を頑張ったのだなあ」としか思いませんでした。

    と言いますのも、不適正処理事案実行者の多くは、犯罪収益で悠々自適の生活を送っているわけではなく、現金や預金をほとんど持っていないことがほとんどだからです。

    中には、債権回収逃れのためだと思いますが、所有地に抵当権や根抵当権が複数設定されているケースが多々あります。

    私、公務員時代から、数多くの不適正処理実行者の末路を見る機会がありましたが、
    彼らの末路は、「不適正処理をする前から切羽詰まっていた」か、「不適正処理を続ける過程で切羽詰まった」かの2種類しかありません。

    「他人に迷惑をかけてでも、目先の現金が欲しい」という動機で、正規料金の半額以下といった持続不可能な価格設定で不適正処理に励んだ結果、何も得ることなく「ジ・エンド」という末路しかないのです。

    不適正処理を実行した人間が一番悪いことは言うまでもありませんが、事態が制御不可能になるまで悪化した局面では、実行者から債権回収することは、物理的な意味において非常に困難となります。

    私がエラそうに申し上げるまでもなく、不適正処理事案に対しては早期対応が最善であることは衆目の一致するところだと思います。

    しかし、事態が悪化する可能性を予期し、早めに手を打つことに成功した事例は非常に少ないのが現実でありましょう。

    事態がのっぴきならない状況になるまで手をこまねき、「これ以上放置することが許されない」状態に至った段階で、初めて収拾に乗り出すことがほとんどではないでしょうか。

    もはやこれは人、というよりはホモサピエンスとしての性(さが)ととらえるべき、生物としての本質的な行動パターンに思えます。

    最近の日本や世界の社会情勢を見ていると、全地球的にこのホモサピエンスとしての性(≒現実逃避)に陥っている気がします。

    お役所の場合、人事評価システムとして、「何を成し遂げたか」よりも「いかに平穏無事に勤め上げたか」の方が重視されますので、積極的な対応をして訴訟や抗議活動を起こされることを嫌う性質があります。

    そのため、目の前に転がっている時限爆弾が爆発しないことを必死で祈りながら、次の担当者に問題を引き継ぐ(たらい回し)という反応が取られがちとなります。

    お役所のみに関する話ではありませんが、
    ホモサピエンスとしては、ここらで一気に発想の転換を試み、「事態悪化の可能性を早期に摘む」という迅速な対応姿勢をより評価すべきではないかと考えています。

    残念ながら、人口減少著しい日本では、そのような対応は年々難しくなっていくことは間違いありませんので、我々は自分の周囲で火が燃え上がる瞬間まで、事態が悪化することを傍観するしかないのでしょうか?

    話が救いのない方向に行ってしまいましたが、
    勝ち目がほぼ無い状況でも、自己の最善を尽くして行政代執行費の回収を図ることは、ささやかな抵抗かもしれませんが、後世に残す負債を減らすという意味で、尊い自己犠牲、あるいは社会貢献だと思いました。

    もちろん、仕事の一環として取り組まれているわけではありますが、ほとんどの人がやりたくない仕事であり、誰かがやらねばならない仕事でもあるからです。

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    2024年1月23日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    有機ELテレビが家電リサイクル法の対象品目に追加される

    ご紹介するのを忘れていた法令改正ニュースを更新しておきます。

    2023年12月22日付 環境省 「「特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました

    1.「特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令」が、令和5年12月22日(金)に閣議決定されました。

    2.本政令は、昨今出荷台数が増加している有機ELテレビを特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象品目に加えるものです。

    改正の背景・概要
     産業構造審議会・中央環境審議会による「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」(令和4年6月)を踏まえ、有機エレクトロルミネセンス式のテレビジョン受信機(有機ELテレビ)を家電リサイクル法の対象となる対象品目(特定家庭用機器)に追加するものです。

    今後の予定
     公布:令和5年12月27日(水)
     施行:令和6年4月1日(月)

    意見公募の結果について
     令和5年10月24日(火)から同年11月24日(金)まで、本改正案についての意見公募手続を実施しましたが、提出意見はございませんでした。

    家電リサイクル法の回収対象である「テレビジョン受信機」の範囲に、「有機エレクトロルミネセンス式のテレビジョン受信機(有機ELテレビ)」を追加するという内容です。

    施行は令和6(2024)年4月1日からです。

    家電オタクではないので、有機ELテレビと液晶テレビの違いが理解できていませんでしたが、ソニーのHPでは、

    有機ELテレビと液晶テレビの違い

    有機ELテレビと液晶テレビの大きな違いは、発光の仕組みにあります。

    先述したように、有機ELテレビは有機物が自ら発光する現象を利用して画面の明るさを調整しています。バックライトが無く完全な黒を実現できることから、コントラストの高い映像を描き出します。

    一方で、液晶テレビはバックライトから放たれる光で画面の明るさを調整する仕組みになっています。
    自発光の有機ELテレビに比べると、黒の沈みでは差が出てしまいますが、その分明るめの映像を映し出すのに長けています。

    また、有機ELテレビはバックライト不要なため、液晶テレビに比べると薄くて軽量です。薄さは製品によって異なりますが、液晶テレビの半分以下の薄さに設計されているケースも珍しくありません。

    と説明されています。

    なるほど、「薄型軽量」というところに、商品としての最大の利点があるようです。

    ブラウン管テレビでテレビ番組を見ていた日々がつい昨日のように感じられますが、家電リサイクル法施行後の20年ばかりの間に、テレビという電気製品の主流は、「液晶テレビ」を経て「有機ELテレビ」へと目まぐるしく変遷しています。

    技術開発と商品化のスピードがそれだけ早いということになりますが、国の法令改正態勢はそれに追随できていないようです。

    と言いますのも、環境省発表で触れられているとおり、
    令和4年6月には、産業構造審議会・中央環境審議会「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」で、問題点が指摘されていたにもかかわらず、単なる政令改正だけでそこから18カ月間を空費しています。

    利害関係の調整が必要な特殊な業界団体があったのかもしれません(笑)。

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    2024年1月15日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:法令改正

    忠臣の爆誕

    「忠臣」と聞いて真っ先に思い出す人物は、南北朝時代の武将「楠木正成(くすのきまさしげ)」です。

    画像は、大阪府島本町にあるその名も「楠の木公園」に設置されている「楠公父子別れの石像」です。

    西国街道の桜井で湊川の合戦を前にした楠木正成と息子正行(まさつら)が別れた故事にちなみ設置された像となります。

    昭和15年に設置された際には銅像だったそうですが、太平洋戦争時に戦時協力として供出されたため、コンクリート像に代わったとのことです。

    現在の像は、平成16年に地元有志の方々から寄贈されたものです。

    なお、当地の楠の木公園には、画像にもある近衛文麿書の「滅私奉公」と、乃木希典書の「楠公父子訣別之所碑」がありますので、日本史マニアは一度は訪問するべき名所と言えましょう。

    今回ご紹介するニュースは、楠木正成にも匹敵しそうな忠臣が高知県で爆誕した可能性を示す朗報(?)です。

    2024年1月11日付 NHK 「不法投棄の解体工事会社社長に求刑 懲役3年罰金200万円

    土佐清水市の遍路道や南国市の山中に従業員と共謀し、廃材などを不法に捨てたとして、廃棄物処理法違反などの罪に問われている解体工事会社の社長の裁判が11日開かれ、検察は、懲役3年、罰金200万円を求刑しました。

    遍路道に不法投棄するとは、なかなかの罰当たりな犯罪です。

    さて、忠臣爆誕の可能性を見いだしたのは、下記の部分

    一方、弁護側は、土佐清水市での不法投棄については認めたものの、南国市での不法投棄については、「会社への貢献をアピールする目的があった従業員が独断で行った犯行で、被告は全く関知していない」などと無罪を主張し、執行猶予の付いた判決を求めました。

    「会社の利益確保のためならば、犯罪行為もいとわない!」とは、なんと会社思いの従業員なのでしょうか!(涙)。

    そんな会社思いの忠臣を「独断で行った犯行」とアッサリと切り捨てることは、裁判手法としてはアリなのかもしれませんが、自分がそのような立場だったら眠れないほど悩みそうな選択です。

    「単に運ぶのが面倒だから、従業員の独断で不法投棄をした」ならよく耳にする状況です。

    しかしここで、「会社への貢献アピール」という、忠臣あるいは忠犬のような動機を持ち出されてしまうと、漫才師の大木こだま・ひびきさんの「そんな奴おれへんやろ〜」しか思い浮かばない私は、人間としての器がきっと小さすぎるのです。

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    2024年1月12日 | コメント/トラックバック(0) |

    カテゴリー:news

    優良認定業者が措置命令を受けたらどうなる?

    昨年末、福岡県からある行政処分事例が公表されました。

    2023年12月28日付 福岡県発表 「嘉麻市の産業廃棄物中間処理施設に係る排出事業者に対する行政処分について

     嘉麻市の産業廃棄物中間処理業者が事業場内において、産業廃棄物を過剰に保管し、平成29年5月に火災が発生した事案について、これまで当該中間処理業者に対する措置命令や、当該中間処理業者に処理を委託した排出事業者に対する産業廃棄物の撤去要請を行ってきました。

     この度、撤去要請に応じていない排出事業者8者に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第19条の5第1項の規定に基づき措置命令を発出しましたので、お知らせします。

    ※筆者注:企業名と地番については転載省略

    中間処理場の産業廃棄物保管場所から発生した火が27日間にわたって燃え続けたという、悪夢のような不適正処理事案ですが、原因者の中間処理業者は既に廃業していますので、排出事業者に残置物撤去のお鉢が回ってきました。

    通常ならば、排出事業者への残置物撤去の要請は、「行政指導」あるいは「要請」という法的強制力の無いソフトな呼びかけで始まり、大部分の排出事業者はこの時点で何らかの廃棄物撤去や撤去費用の負担を行うことを承諾し、それを履行することで、排出事業者としての責任を法的に全うした状態となります。

    しかしながら、排出事業者の中には、強制力の無い呼びかけに従うことを良しとせず、「残置物撤去の要請には一切応じない」という方針で臨むケースがたまにあります。

    今回の福岡県の発表は、そのような「残置物撤去要請には一切応じない」という排出事業者のうち、「委託基準違反がある」と福岡県が判断した8社に対して発出された措置命令となります。

     被命令者は、委託基準に違反する委託を行った者及び産業廃棄物管理票(以下「管理票」という。)に係る義務について違反がある者と認められる(法第19条の5第1項第2号及び第3号に該当)。
    ・委託基準違反:委託契約書における法定記載事項の不記載
    ・管理票に係る義務違反:管理票の交付者が講ずべき措置違反(虚偽の管理票の送付を受けた等にもかかわらず、適切な措置を講じていない)、管理票法定記載事項の不記載等
    よって、法第19条の5第1項の規定に基づき措置命令を発出するものである。

    さて、福岡県が命令発出先として公表した8社のリストを見てみると、優良認定を取得している産業廃棄物処理業者の名称が挙げられていることに気がつきました。

    ここで、「措置命令を受けた優良認定業者には、どのようなデメリットがあるのだろうか?」という疑問がふと湧きました。

    「優良認定」を受けると、許可の有効期間が5年間から7年間に延びる等のメリットがありますが、それを受けるためには、HP上で情報公開を行う等の一定の対応が必要となっています。

    また、優良認定を受けるための条件としては、「従前の許可の有効期間内に特定不利益処分を受けていないこと」が「遵法性」の基準として設定されています。

    「特定不利益処分」には、「許可取消」や「事業停止命令」の他、「改善命令」や「措置命令」も含まれます。

    また、「特定不利益処分」は、優良認定の申請先の自治体から受けた処分限定ではなく、全国の産業廃棄物所管行政と環境省を含めた「オール行政」から受けた不利益処分すべてが対象となります。

    つまり、「措置命令」を受けた産業廃棄物処理業者は、次の許可更新申請時には、全国の自治体から優良認定を受けられないということになります。

    ここで、「不利益処分を受けたことで、現在取得している優良認定は取消されてしまうのではないか?」と不安に思った方が多いかもしれません。

    安心してください(笑)。

    自動車運転免許のいわゆるゴールド免許と同様に、措置命令を受けただけで、「優良認定」と付記された業許可(証)自体が取消されることはありません。

    ただし、上述したとおり、廃棄物処理法第19条の5に基づく措置命令は、「委託基準違反のある排出事業者」にしか発出されませんので、行政から措置命令の対象者として公表されるという事態は、極めて不名誉な状況と言わざるを得ません。

    会社の規模によっては、顧客である排出事業者から、一定割合で契約解除されるリスクを覚悟しなければならないでしょう。

    また、たとえば環境省の広域認定の「処理を行う者」として認定されている処理企業の場合は、不利益処分を受けてしまうと、環境省から「処理を行う者から当該業者を外すように」という行政指導が行われることもあります。

    このように、産業廃棄物処理業者としては(優良認定業者であればなおさら)、措置命令その他の不利益処分を受けると、会社の売上に直接するダメージを受けることとなりますので、極力そのような行政処分を受けないことが肝要です。

    もちろん、「我が社は法律違反をしていない」という確信がある場合は、それを主張していくことも大切だと思いますが、「委託基準違反」という厳然たる事実があるのであれば、事前の「撤去要請」という行政指導に粛々と協力することが、産業廃棄物処理企業としては最適解と思います。

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    2024年1月9日 | コメント/トラックバック(0) |

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