産業廃棄物処理委託は下請法の適用対象か?

法令順守(←遵守ではなく)に急に目覚めた(?)企業の方がしたり顔で指示を出し始めるテーマとして、
「産業廃棄物処理委託も下請法の適用を受けるので、産業廃棄物処理業者から書面を提出させよ!」という本末転倒なものがあります。

このしたり顔の指示は一度のみならず、複数のお客様からそれぞれ違う時期に相談をいただきましたので、「形だけ法令遵守」が幅を利かせる日本企業の本部の方が罹りやすい病気のようです(苦笑)。

こういう馬鹿げた指示を他人に出す際には、まず自分で法律の条文に当たることが社会人としての最低限のたしなみと思うのですが、皆さんそれをする暇がないほど忙しいと見えます。

基礎的な話ではあるのですが、それだけ普遍的な疑問でもありますので、記事として取りまとめておきます。

結論から言うと、「産業廃棄物処理委託契約は下請法の対象にならない」となります。

経済産業省が作成した「情報通信機器産業における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」に、そのものズバリのQ&Aが掲載されています。

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当たり前の結論ですが、産業廃棄物処理は、排出事業者が他者から請け負った業務ではありませんので、「自ら用いる役務」となり、産業廃棄物処理業者は排出事業者の下請という位置づけにはならないからです。

所有権を放棄せず「破砕後に全量戻してください」という契約の場合は、「役務提供委託」として下請法の対象となる可能性がありますが、通常の「中間処理業者に廃棄物全量の処理をお任せします」という契約の場合は、下請法が適用されることはありません。

下請法の正式名称である「下請代金支払遅延等防止法」においては、法の適用対象を
・製造委託
・修理委託
・情報成果物作成委託
・役務提供委託
の4種類に限定しています。

※実際に同法が適用されるかどうかは、親事業者と下請事業者の資本によって結論が変わりますので、そこは各自で条文をご参照のこと。
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上記のうち、「役務提供委託」の捉え方が重要となりますが、
下請法第2条第4項で、

「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業を営む者が業として請け負う建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。
※一部表現を簡略化

と定められています。

まず、建設工事の下請は建設業法の対象となりますので、下請法の対象とはならないことがわかります。
※ただし、建設業者が建築図面の作成を外注する場合は、「情報成果物作成委託」に該当します。

残りは、「事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供」の意味ですが、
公正取引委員会のパンフレットには、
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という例が挙げられています。

非常に簡易に言い換えると、
「お客様から請け負った仕事の一部、または全部を外注する(←文字通りの下請)」場合が、「役務提供委託」に該当するとなりましょうか。

繰り返しになりますが、「情報成果物作成委託」も下請法の対象になりますので、実務で疑問が湧いた際には、各自で法律の条文に当たって思考を巡らすようにしてください。

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