まったく身に合わない不法投棄

産経ニュース 「安く処分したかった」無許可廃棄物処理業者らを逮捕 処理費高騰が背景か から記事を一部抜粋、転載します。

 廃棄物処理業の許可を受けずに処理を請け負ったなどとして、警視庁生活環境課は30日、廃棄物処理法違反(受託)の疑いで神奈川県大和市福田、土木工事業T容疑者(63)を、また同法違反(委託)の疑いで東京都八王子市追分町、内装工事業、M容疑者(53)ら、計3人を逮捕した。

 同課によると、3人とも容疑を認め、M容疑者は「無許可だと分かっていたが、安く処分したかった」と供述しているという。

 T容疑者の逮捕容疑は、昨年12月~今年4月、無許可にもかかわらず、M容疑者らからラーメン店の新装開店工事の際に出たコンクリートなど計約14立方メートルの処理を5万6千円で請け負い、神奈川県藤沢市内の残土置き場で処理したとしている。

14立方メートルで56,000円なので、1立方メートルあたり4,000円の処理単価となります。

近頃、近畿地方では建設廃棄物の処理単価が下落しており、
正規業者でもこの単価を出せば処理してくれるところがあるようです。

たかだか10万円程度の経費節減のために前科者となるのは割に合いません。

実際のところ、昔と違い現在では、不法投棄で財を成すことは不可能です。

その理由は簡単で、処理業者の数が増えた現状では、処理費の値下げ競争が活発化しました。

正規の処理業者も原価スレスレ、あるいは原価割れをしてでも受託をしようと競争している昨今

モグリ業者が正規業者を上回る安値で受注ができたとしても、そこからガソリン代や人件費を差し引くと、利益が残らないからです。

そのため、最近の不法投棄の傾向としては、
不法投棄を専門に担うモグリ業者による犯行よりも、排出事業者自身による不法投棄の方が圧倒的に多くなっています。

これらの情報を念頭に置くと、
新聞報道の内容が現状と合っていないことがわかります。

 同課は、こうした違法行為の背景には東日本大震災の影響で、処理場が飽和状態となり処理代金が高騰していることがあるとみて、警戒を強めている。

少なくとも、現在のところ、神奈川県に災害廃棄物の埋立が集中しているという事実はありませんので、
かなり的外れな内容です。

処理場が飽和しているというのも誤りです。

ただ、前提となる推論は間違っていますが、推論から導かれた「不法投棄が増えるかも」という結論は間違いではないと思います(笑)。

その理由は、上述したとおり、震災の復興特需により、建設工事の件数が急増すると、処理費を節減しようと安易に不法投棄をしてしまう無知な排出事業者も急増するからです。

建設工事に従事する人は、経済合理性の面からも、不法投棄が割に合わない行為であることをよく理解しておいてください。

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