青森岩手県境不法投棄事件の廃棄物撤去完了が間近に

1月11日付毎日新聞 県境産廃問題:撤去にめど 34万トン掘削作業が終了 残りも3月までに /岩手

 岩手・青森県境に大量の産業廃棄物が不法投棄された問題で、岩手県側の地中に埋められた廃棄物約34万2000トンの掘削作業が先月までに終了したことが分かった。県廃棄物特別対策室によると、現在、現場に残る廃棄物は約2万トンで、3月までにすべて撤去できる見通しという。

 現場は二戸市上斗米(16ヘクタール)と青森県田子町(11ヘクタール)にまたがる原野計27ヘクタール。98年に発覚した当時は、青森県八戸市の産業廃棄物処理業者役員が所有し、首都圏などから受け入れた廃棄物計約109万立方メートルを不法投棄していた。

 岩手県では04年8月から本格的に撤去を始め、地中から掘り出した廃棄物を分別し、県内や秋田県のセメント工場や焼却施設に運び出して処理した。処理にかかった事業費は約220億円で、うち約5億円は法令違反が確認された廃棄物の排出元事業者などが拠出したが、ほとんどは国と県の公費でまかなわれたという。

 また、同時に有害な化学物質で汚染された土壌の浄化作業も実施した。しかし汚染された地下水についてはまだ処理が済んでおらず、13年度から5年間かけてくみ出し、県と国の費用(約20億円)で浄化作業を行う予定という。

 青森県県境再生対策室によると、同県側に廃棄された約114万9000トンについては、先月までに9割近くにあたる約102万トンの処理を終えており、13年度中の完全撤去を目指しているという。

岩手県側の総事業費だけで220億円にも上っているため、排出事業者などから回収した5億円という金額が少なく見えてしまいますが、
これはかなり岩手県が頑張った成果だと言えます。

零細な工務店などではなく、首都圏の製造事業者などが交渉の主な対象であったため、撤去費用負担の余力があったことも大きいと思われます。

その中には、廃棄物の中から包装用紙などが出土し、そこに書かれていた会社名などから委託者責任が追及されたケースもあるそうです。

この事件が発覚した当時は、「処理状況確認」などは委託者の義務とはされていませんでした。

撤去費用の負担が求められた委託者には、委託契約書やマニフェストのなんらかの不備があったものと思います。

逆に言うと、委託基準違反をしていなければ、仮に廃棄物が不法投棄されたとしても、委託者責任が問われることはないとも言えます。

ただし、これは少々哲学的な問題になりますが、
委託基準を完璧に理解し、それを徹底しようとする企業の場合、そもそもこれだけ大規模な不法投棄を起こす処理業者に委託をすることはありません。

委託基準を理解していないために、不誠実な処理業者に契約書の不備を抱えながら委託をし、不法投棄が発生した時点で、委託基準違反として自動的に措置命令の対象となるのが一般的です。

東証一部上場企業だからといって、委託基準がちゃんと守られているわけではありません。

会社がどこかよりも、契約書を運用する担当者の意識や姿勢の方がより重要なファクターです。

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