借地で行う処分業申請の確認(平成5年3月31日付衛産36号より抜粋)

※読者からのご指摘に基づき、赤字のとおり、2021年8月28日に記事の内容を一部修正、追記しました。ご指摘感謝いたします。

(借地での処分業の確認)
問59 借地して埋立処分を行うという内容の処分業の許可申請が出された場合、当該許可申請者と地主との間でかわされた借地契約が正当な者かどうかの確認を行うために地主に対して文書等により法に基づいた確認を行うことができるか。
答 望ましいことではあるが、法を根拠として地主に一定の行為を要求することはできない。

※注釈
通知では「借地での処分業の確認」となっていますが、
正確には「借地で行う処分業申請に関する土地の利用権の確認」となりましょうか。

問の趣旨としては、土地所有者に対し、「あなたの土地を最終処分場の用地として、申請者に貸しているか?」を尋ねたい、というものだと思われます。

答は、「できない」とされていますが、正確には、
「土地所有者に対し、廃棄物処理法に基づいて回答を強制できない」とすべきかと思います。

実際には、行政が土地所有者に質問をすること自体に法的根拠は不要であり、土地所有者が任意でそれに回答してくれた場合は何の問題もありません。

今回ご紹介した通知は平成5年に発出されたものですが、その後の廃棄物処理法改正により、第18条の報告徴収の対象範囲は平成5年時のそれよりも拡大しています。

しかしながら、現行法の報告徴収の規定においても、
「許可申請者が借地をしている相手方」は、報告徴収の対象に入りませんので、「回答しないと刑事罰の対象となるぞ」という報告徴収を行うことはできません。

※2021年8月28日追記
正確には、「処分業申請」の前に、最終処分場の「産業廃棄物処理施設設置許可」の取得が不可欠となりますので、「処分業申請」の段階では、申請者は「産業廃棄物処理施設設置者」となっています。

そのため、「最終処分場の土地所有者」は、下記の現行法第18条の「産業廃棄物処理施設の設置者の関係者」に該当しますので、法的には報告徴収の対象とすることが可能です。

報告徴収の対象は、

(報告の徴収)
第十八条 都道府県知事又は市町村長は、この法律の施行に必要な限度において、事業者、一般廃棄物若しくは産業廃棄物又はこれらであることの疑いのある物の収集、運搬又は処分を業とする者、一般廃棄物処理施設の設置者(市町村が第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために設置した一般廃棄物処理施設にあつては、管理者を含む。)又は産業廃棄物処理施設の設置者、情報処理センター、第十五条の十七第一項の政令で定める土地の所有者若しくは占有者又は指定区域内において土地の形質の変更を行い、若しくは行つた者その他の関係者に対し、廃棄物若しくは廃棄物であることの疑いのある物の保管、収集、運搬若しくは処分、一般廃棄物処理施設若しくは産業廃棄物処理施設の構造若しくは維持管理又は同項の政令で定める土地の状況若しくは指定区域内における土地の形質の変更に関し、必要な報告を求めることができる。

とあるように、
(土地の形質変更関連を除外して)大きく分けると、「廃棄物処理業者」「廃棄物処理施設設置者」「不適正処理を行った者」「不適正処理を自ら行っていないが、実行者に土地を提供した者等(その他の関係者)」となるため、
「現時点では廃棄物を処理していない申請者の関係者(土地所有者)」には、報告徴収に回答する義務が無いからです。
※2021年8月28日追記
上述したとおり、今回の「土地所有者」は「産業廃棄物処理施設設置者の関係者」に該当しますので、報告徴収に回答する義務があります。

現実の許可申請においては、「土地の登記簿」や「土地の賃貸契約書等の使用権限を証する書面」の提出が義務づけられていますので、
改めて行政から土地所有者に対して、賃貸の意思等を確認する必要はありません。

ちなみに、平成5年当時も既にこれらの書類の提出が必要でしたので、
この質疑の背景には、書面審査のみならず、「その書面が真正かどうかを直接土地所有者に聞き出したい」という、行政側のニーズがあったのかもしれません。

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