廃棄物処理制度専門委員会(第6回)の傍聴記

2016年10月28日に東京で開催された、「第6回中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(以下、「専門委」)」を傍聴してきました。

※配布資料は、「中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会(第6回)の開催について」に掲載されています。

最初に結論から述べると、第6回の専門委で個別の論点の検討は終わり、次の第7回では、これまでの取りまとめとしての報告書を検討するそうです。

それを聞き、「え!もう終わり!?論点が全然深まっていないのに大丈夫なのか?」と、激しく心配になりました。

それくらいに、3時間という開催時間にもかかわらず、第6回も実のある議論がほとんど無い空虚な会合でありました。

議題としては、

(1)健全な資源循環の推進
(2)その他の廃棄物処理制度における論点

が挙げられていますが、ほぼ(2)の個別の論点に関する議論に終始していました。

論点は、「廃棄物処理制度における論点の検討 その2」に掲載されていますが、

論点7 「廃棄物等の越境移動の適正化に向けた取組」
論点8 「優良な循環産業の更なる育成」
論点9 「廃棄物等の健全な再生利用・排出抑制等の推進に向けた取組」
論点10 「廃棄物処理分野における地球温暖化対策の強化」
論点11 「廃棄物処理法に基づく各種規制措置等の見直し」
論点12 「地方公共団体の運用」
論点13 「少子高齢化・人口減少社会を見据えた対応」

と、いずれも抽象的なテーマしか挙がっていません。

「一般廃棄物と産業廃棄物の定義の見直し」といった、実務を混乱させている最大の要因には踏み込まず、また屋上屋を数多く積み重ねるつもりのようです。

上記の論点の中でも驚かされたのが、「廃棄物処理法に基づく各種規制措置等の見直し」の中に、経団連から規制改革会議に要望されていた「親子会社間における自ら処理の拡大」が盛り込まれていたことです。

ハロウィンだからかわかりませんが、「亡霊のようにまだ生きていたのか?」という印象です。

たしかに、過去の専門委で経団連の事務方がその要望内容について背景等を説明していましたが、「排出事業者は誰になるのか」「行政処分を誰にかけるのか」という根本的な問題への解決策を議論しないまま、法改正が確定であるかのように再び検討テーマとして復活していたからです。

経団連の所属するようなお行儀の良い(←半分皮肉を含む)企業ばかりなら問題が起こりにくいかもしれませんが(←実際には疑問)、単なる資本関係のみで業許可の取得を不要とすると、許可を持たずに産業廃棄物処理をするアウトローが激増するおそれがあります。

企業規模の大小で法律を適用するかどうか区別するのでしょうか?

もしそうなら、大企業のみを優遇することになり、国自身が不正競争の原因を作ることになります。

産業廃棄物を大量に発生させる大企業グループのみに優遇を与えるということは、大企業グループの産業廃棄物処理コストが確実に低減する一方で、そのようなスケールメリットを得られないその他の大部分の企業群は、今までどおりの産業廃棄物処理コストを負担するしかありません。

見識高い専門委の委員の方は誰一人疑問に思っていないようですが、
「そもそもなぜ、産業廃棄物処理業の許可取得を避ける必要があるのか」がよくわかりません。

「企業活動においてはスピードが大事」という反論が予想されますが、分社化とて一朝一夕にできる手続きではなく、株主総会での承認決議その他が不可欠です。

大企業であればあるほど、分社化には最低でも一年以上の時間を掛けて取り組むのが普通でしょう。

一方、産業廃棄物処理業、特に中間処理業の許可取得の手続きも概ね一年以上掛かるのが普通ですが、自ら処理をしたいという企業である以上、既に産業廃棄物処理施設を保有しているのが当然です。

そうなると、中間処理業許可の取得の際に最大のネックとなる地元住民対策が不要(←既に設置済みなので、住民への説明は終わっているから)となりますので、実質的な手続きとしては、産業廃棄物処理業の許可申請のみとなります。

この場合、許可申請書の作成にはもちろん時間が掛かりますが、行政と綿密に事前調整を行えば、一発で受付審査を通る許可申請書を作成することもそれほど難しくなく、施設の種類にもよりますが、申請受付から最短で3カ月程度で許可を取得できるケースも多々あります。

実務を知る人間からすると、既設の処理施設を有する大企業ほど許可取得が容易な事業者はありませんので、経団連の主張する「自ら処理ができなくなった」という理屈が詭弁としか思えません。

なぜ、正攻法で産業廃棄物処理業許可の申請をしないのか?

大企業さんなら、分社化に要する手間と時間の数分の1で簡単に業許可が取得できるのに、なぜその労を惜しんで、大企業限定の特例措置を要望するのか?

この素朴な疑問に、経団連も環境省も専門委の誰も答えていません。

本来なら、環境省が規制改革会議において、「産業廃棄物処理業の許可を取得していただくことで達成可能」とバシッと答えていれば、それで問題は終わっていたはずです。

その他の論点に関する質疑も紹介しようかと考えましたが、分社化と同様に危険なプロセスカット思考に基づく発言が多く、参考になるどころか、個人的にまったく評価できない意見がほとんどであったため、詳細のご紹介はしないことにしました(苦笑)。

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