注目の公判

2016年10月23日付 日本経済新聞 「廃棄カツ横流し、26日から公判 名古屋地裁で

 カレーチェーン店CoCo壱番屋を展開する壱番屋(愛知県一宮市)が廃棄した冷凍カツが横流しされた事件で、詐欺罪などに問われた産業廃棄物処理業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)会長ら3被告の公判が26日から名古屋地裁で始まる。「食の安全」を揺るがした事件の発覚から約9カ月。3被告を経由し、廃棄物が「食品」として流通したとされ、廃棄物としての認識の有無が主な争点となりそうだ。

 初公判を迎えるのは、ダイコー会長、大西一幸被告(76)のほか、詐欺と食品衛生法違反罪に問われた製麺業者「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)の元実質経営者、岡田正男被告(79)、詐欺罪に問われた食品販売会社元従業員、木村正敏被告(76)の3人。

 起訴状によると、大西被告は昨年8~11月、壱番屋から廃棄委託されたビーフカツを処分したと虚偽報告し、計約5万9000枚の処分委託料約28万円を詐取。食肉販売業の許可なく、岡田被告にカツ約5万枚を販売したとされる。岡田被告と木村被告はカツが廃棄物だと知りながら、別の業者に転売して代金をだまし取ったなどとされる。

 検察側は、大西被告がカツを転売するつもりだったにもかかわらず、壱番屋に対し廃棄処理するように装い、大量のカツを仕入れた経緯などを中心に立証する方針。大西被告は壱番屋から処理費用を得たうえで、さらに岡田被告に転売するなど「二重の利益」を上げていたとされる。

 捜査段階では、大西被告と岡田被告は容疑を認め、木村被告は否認しているとみられる。

詐欺か否かが裁判の争点になるようです。

表示をしていなかった以上、食品衛生法違反は確実と考えられます。

その一方で、廃棄物処理法違反としては、電子マニフェストの虚偽報告が挙げられていますが、これも果たして虚偽だったのかどうか。

当ブログ2016年7月19日記事 「虚偽だったのか、それとも正直だったのか」 でも書いたとおり、ダイコーは壱番屋に対し、虚偽ではなく正直に(?)、「有価物を抜き取りました」と報告していた部分があったようです。

daiko

ややこしいことに、ダイコーは動植物性残さに関し、「収集運搬業(積替保管を含む)」と「中間処理業」の両方の許可を所持していましたので、有価物の抜き取りを合法的に行うことが可能でした。

そうなると、積替保管の一環で、有価物として動植物性残さを抜き取ることが可能ですので、後はその抜き取り量を「有価物拾集量」としてマニフェストで報告しさえすれば、廃棄物処理法違反をしていたことにはなりません。

被告人の肩を持つわけではありませんが、今回の事件に関係する排出事業者の怠慢や無知を明らかにするためにも、「詐欺ではなく、ちゃんと『有価物拾集量』を報告していました」と、頑張っていただきたいものです(笑)。

もっとも、中間処理委託を受けていながら、最初から中間処理を一切する気が無く、廃棄物の全量を転売するつもりであったのならば、「人を欺いて財物(委託料金)を交付させた」ことになりますので、ほぼ確実に詐欺罪(刑法第246条)に該当しそうですが。

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