小型家電リサイクルの市場規模
小型家電リサイクル法が施行されてから3年になりますが、当初から予想されていたとおり、小型家電の回収とリサイクルがあまり進んでいないようです。
2016年12月8日付 NHK 「小型家電製品のリサイクル 約1割にとどまる」
環境省の推計によりますと、昨年度1年間に使われなくなった携帯電話やパソコンなどの小型の家電製品はおよそ60万トンで、この中に含まれる金やレアメタルなどの貴金属はおよそ700億円分に上ります。
この貴金属を再利用するため3年前に施行された「小型家電リサイクル法」では、市町村や国の認定を受けた業者に小型家電の回収などを進めるよう求めていて、環境省はこの制度に基づくリサイクルの状況についてまとめました。
それによりますと、昨年度リサイクルされた小型家電は6万6000トン余りで、使われなくなった小型家電全体のおよそ1割にとどまりました。
一方、自治体が回収しても分別の手間や保管場所の不足などが原因で廃棄されたものがおよそ15万トンあるほか、回収されず家庭などに保管されたままになっているものが5万6000トンあると推計され、法律の施行から3年余りがたった今も、リサイクルが進んでいない現状が明らかになりました。
リサイクルに回された量(6.6万トン)よりも、せっかく回収しながら最終処分場で埋められた量(15万トン)の方が圧倒的に多い状況では、リサイクルが進まないのも当然と言えます。
環境省の試算条件を前提とすると、2015年度の小型家電リサイクル市場は、60~70億円規模というところでしょうか。
実感からすると、これはかなり現実的な数値になっていると思います。
環境省が公表している認定事業者一覧によると、
2016年10月11日現在で、認定事業者は49社です。
単純平均すると、1社あたり年商約1億円程度しかないことになります。
これではまだまだ産業とは呼べない状況です。
また、認定後3年の間に、3社が事業廃止(そのうち少なくとも1社は倒産)していることからも、現状では利潤を確保すること自体が難しい事業とも言えます。
このような状況となる理由は明確で、
「廃棄される小型家電の大部分には価値が無いから」です。
ほとんどがゴミとなる小型家電の山を買い取ろうと思う事業者が現れないのも当たり前です。
市場規模が小さいところに、50社程度の事業者が殺到しているため、事業者間の競争はより激化していきそうです。
既に3社が脱落しているように、今後はより一層の事業者の体力勝負となり、事業継続が困難な企業の脱落がさらに増えることと思われます。
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2016年12月12日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:小型家電リサイクル法