一般的に埋めてはいけません

毎日.jp 廃棄物処理法違反:スイカ500個、斜面に投棄 農家男性を聴取 /山形

山形県尾花沢市で、病気になったスイカなどを川の斜面に投棄したとして、農家の男性が警察の事情聴取を受けているようです。

逮捕ではなく、任意の事情聴取というところと、捨てたものがスイカだった点に牧歌的な雰囲気を感じます。

自主的にスイカを撤去すれば、厳重に説諭して事件終了、という流れになるものと思います。
500個ものスイカを回収するのも大変でしょうけど(笑)。

少し引っかかったのが、記事で引用しているJAのコメント

 JAみちのく村山営農経済部は「処分は、畑に埋めたり、業者に委託するのが一般的。住民への影響を考えると悪質だ」と話した。

廃棄物処理法上は、農業を営むためにやむを得ない範囲で行う焼却については、例外的に違法にはならないと規定していますが、農家が廃棄物(今回の場合はスイカ)を農地に埋めても良いとは規定していません。

肥料として、売れない野菜や果物を土にすきこむこともあるでしょうから、草一本、枝一本でも農地に埋めてはいけない!とまでは申しませんが、
スイカ500個を農地に埋めるというのは、「一般的」とは言えません。

また、今回の事件のスイカは、そもそも産業廃棄物ではなく、一般廃棄物に該当します。
農家が廃棄するスイカは、産業廃棄物の具体的な定義のどれにもあてはまらないため、一般廃棄物になるからです。

そのため、業者に委託する場合は、「一般廃棄物処理業」の許可を持った業者に処理を委託する必要があります。
現在、食品リサイクル法の存在により、徐々に食品リサイクル業者が増えつつありますが、全国のどこでも食品リサイクル業者が存在しているわけではありませんので、これも「一般的」ではないと思われます。

適切な業者が近所にいない場合は、廃棄物処理法の原則どおり、市町村の清掃工場で処理してもらうしかありません。

しかしながら、市町村の清掃工場でも、スイカ500個という、含水率が高く、しかも腐敗しやすい廃棄物は持て余すことになりますので、「緊急避難?」的にチョー法規的な措置として、産業廃棄物業者への委託を勧められることが多いのが現実です。

一般廃棄物を産業廃棄物として処理することは、法律上は違法です。
チョー法規的措置を、合法的な手段として誤解することは大変危険です。

廃棄物処理法は、生きとし生けるもの全てに平等に関係する法律なのに、民間のみならず、行政も正しく法律の趣旨を理解していない現状を残念に思います。
この現状を少しでも良くしていくため、当ブログでは、これからもわかりやすい情報の発信に努めてまいります。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ