ルールと人間の命の優先順位

昨日の 「廃棄物ではなく資源」に引き続き、アルミ缶の抜き取り問題について。

京都新聞 京都市・アルミ缶条例検討、ホームレス危機感

 京都市が資源ごみの集積場からの持ち去り禁止を盛り込んだ市廃棄物条例改正を検討していることについて、路上生活者や支援者が「生きる道を奪われる」と危機感を強めている。アルミ缶の売却が唯一の収入源の人が多く、条例ができると生活費が得られなくなるからだ。「残された最後の道を閉ざさないで」と市に交渉を働きかけている。

 京都市内の路上で暮らす50代のホームレス女性は、週3回、早朝から自転車でアルミ缶を集めている。一度で積める量は30キロ程度。3千円程度だ。回収は音がしないよう細心の注意を払う。もし、住民に苦情を言われたら次が絶たれるからだ。数年前から、トラックで根こそぎ持ち去っていく人が増え、厳しくなった。それでも「これでしか生きていけない」と、必死に走り回っている。

市によって、市民が拠出したアルミ缶は市の所有物と条例化されてしまうと、集積場所からアルミ缶を抜き取る行為は「窃盗罪」になってしまいます。

一方で、それこそ廃棄物処理法が制定される前から、空き缶や空き瓶のリサイクルは民間ベースで地道に行われてきました。

アルミ缶などが奪い合いになるほど価値を持ってきたのは、近年になってからのことです。

しかし、ホームレスの人が一所懸命アルミ缶を集めることで、現金収入の手段としてきたのは、最近の話ではありません。

日商数千円という、この日本で、一人の人が生きていくための最低限の生活手段を奪ってまでも、条例化する必要があるとは思えません。

もちろん、ホームレスの人の生活権を奪うために、市当局は条例化をするわけではありません。

記事にもあるように、通称「アパッチ」と称せられる、組織的、かつゲリラ的に資源を回収して回るモグリ業者を規制することが本当の狙いです。

だからと言って、それしか現金収入の道がない人の生活権を奪っても良いということにはなりません。
「生活権を奪うけど、福祉行政で対応するから問題なし」というのは、論理のすり替えであるようにも思えます。

法律的には、京都市の施策は完全に合法的ですので、条例化を止めさせるのは大変困難だと思われます。

空き缶や空き瓶については、市の集積場所ではなく、各戸の玄関先に置くようにしてはどうなんでしょうか?
京都市内は路地が多いため、奥まった家の空き缶は回収されにくいという問題が起こりそうですが、まとまっていない状態なら、「アパッチ」が効率的に回収することも不可能なので、ホームレスの方が地道に回収することも可能となります。

なんでもかんでも実効性の無いルールで縛るのではなく、不正が起こらないシステム設計の下、できるだけ簡便なシステムを構築するのが最善と考えます。

たかが空き缶回収、されど空き缶回収で、
この問題によって、日本の懐の深さが問われていると思います。

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コメント

  1. 米田 香織 より:

    すごくいいですね♪                         また、みたいと思いました☆


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