松山市レッグ事案の対処策に関する答申

1月10日付愛媛新聞 産廃処分場施設不備問題 市審議会が流出防止策を答申

 ずさんな管理で周辺環境への影響が懸念される愛媛県松山市菅沢町の産業廃棄物処理会社「レッグ」の最終処分場問題で、対策などを検討していた市審議会(会長・島岡隆行九州大教授)は9日、廃棄物や汚水の外部流出防止策などをまとめた答申を、野志克仁市長に提出した。市は3月末期限の産廃特別措置法申請を目指しており、答申を基に月内にも環境省と事前協議を始める。
 これまでの市の調査で、処分場の地底の遮水工(シート)が破損し、廃棄物や汚水の外部流出が判明。埋め立てが禁止されている廃油も見つかっている。
 答申では、破損部分を中心に内外を深さ約20メートルのコンクリートや鉄板などで囲む「鉛直遮水案」が最も望ましい対策で、油を分離する新たな排水設備の建設が必要とした。
 行政の責任にも言及。「(県と市が)最終処分場の状況を適切に把握できなかったことが不適正処理の一因。行政対応の課題を真摯(しんし)に受け止め、二度とこのような事例が生じないよう再発防止策を検討し、効果的に実施する責務がある」とまとめた。

ブログには書いておりませんでしたが、私、松山市の廃棄物処理施設審議会の「制度検討部会」の委員に2012年10月より就任しておりました。

守秘義務がありますので、審議の過程などをブログに書くことはできませんが、審議会での検討結果がようやく松山市長に答申され、報道でも取り上げられましたので、少し触れておきたいと思います。

産業廃棄物特措法の対象に入れてもらうべく、通常よりも大幅に短い期間で諸々の問題を検討せざるを得ませんでしたが、
それに対応した委員の皆さんと、膨大な資料を整理した事務局に感謝をしたいと思います。

もちろん、事務局としては、不適正処理事案を拡大させた行政責任を検証される側ですので、やって当たり前の行動ではありますが、
現在の廃棄物対策課の職員の方が放置したために形成された事案ではありませんので、不平を言わずに黙々と膿み出しをした職員の皆さんの真摯な姿勢をとても評価しています。

さて、答申の内容や今後の予定については概ね記事に書かれているとおりなのですが、
不適正処理事案を拡大させないためには、「行政当局が問題意識を保つこと」と、「迅速な是正要求」と「是正結果の監視」の三位一体が不可欠だと痛感しました。

審議の過程で受けた印象としては、松山市及び愛媛県の過去の対応は、全国的な自治体のレベルと比較して特に杜撰であったわけではないと私は思っています。

それでも、このように大きな問題に発展してしまいました。

上記の3点のどれか一つでも欠ける、あるいは不十分であると、同じような事件がどの自治体で起こってもおかしくありません。

その意味で、今回の事案は、行政のみならず、日本の組織に共通する問題を示唆しているようにも思えます。

それが何かについては、今後松山市が審議会での検討結果の詳細を公表した時点で、改めて解説したいと思っています。

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