家電の不法投棄が増えるとリサイクル料金が前払いになるかもしれない?
今のところ朝日新聞だけの特ダネのようですが、本日(7月4日)に開催される審議会において、経済産業省と環境省が「家電の不法投棄が増えたり、回収率が減少すると、リサイクル料金を後払いから前払いに変更」の検討に入るとのことです。
2014年7月3日21時11分 朝日新聞DIGITAL 家電リサイクル目標設定へ 下回れば購入時支払いも視野
テレビや冷蔵庫などリサイクルが義務づけられている家電4品目について、環境省と経済産業省は、適正な処理を進めるため、回収率の目標を新たに設ける方針を固めた。リサイクル料金は家電を手放す際に払う仕組みだが、不法投棄などにつながっているとの指摘があるため、目標を大幅に下回るようなら「前払い方式」への変更を検討する。
4日、家電リサイクル制度の見直しを検討している中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合で示す。当面は95%を目安として秋にも目標値を決め、不適正処理を取り締まったり、正規ルートでの廃棄を呼びかけたりする。
2001年4月に施行された家電リサイクル法では、テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機の4品目を対象に小売店に収集・運搬の義務、メーカーにリサイクルの義務を課し、消費者は販売店に渡す際に、リサイクル料と収集・運搬料を支払っている。
これらの家電は法律ができる前は廃棄物処分場に埋められていたが、06年ごろにはリサイクルやリユースされた割合(回収率)が8割前後に。12年度の推計では約92%に上る。一方、残りは、不法投棄されていたり違法な回収業者によって不適正に処理されたりして問題になっている。
それでも過去に比べて回収率が下がったり、不法投棄が改善しなかったりする場合は、捨てる際に消費者の負担感の多いリサイクル料金の後払い方式から、購入時にする「前払い方式」に変えることを検討する。
解説の前に記事の表現の問題を指摘しておきますが、「正規ルートでの廃棄」や「捨てる」という表現はかなり乱暴です(苦笑)。
正確な表現としては、「正規ルートでの処分」とするべきです。
スラングとしては「捨てる」でも意味はとおりますが、違法に捨てているわけではないので、文章表現としては「処分する」と書くべきです。
不法投棄防止の観点からすると、リサイクル料金は後払いよりも前払いの方が絶対に効果的なのは間違いありません。
では、なぜ前払いではなく後払いになったのかについては、
家電の場合、製品の種類が雑多であり、モーター等の同じ部品であっても製造年によって解体のしやすさが格段に異なることが多いため、製品販売時に適切なリサイクルコストを見積もることが難しい、という理由がよく説明されます。
しかし、よく考えてみると、後払いであっても、製品の製造年がいつかで料金が変わるわけではないため、この説明にも説得力がありません。
それに、製品を目の前にしてリサイクル料金を一つずつ設定しているわけではなく、
リサイクルコストの概算を前提としてリサイクル料金を設定しているわけですので、
家電リサイクル法のみ後払いとする必然性はほとんどないと言えます。
前払い形式に変え家電の回収率が上がると、リサイクルコストも改善していくことになるので、家電メーカーにとっても長期的には望ましいのではないかと思います。
唯一の問題は、自動車リサイクルと同様に、前払いでもらったリサイクル料金を別会計で保管し続けるコストが掛かるということです。
最終的に家電メーカーが損をするのか得をするのかはわかりませんが、社会便益的には前払いの方が望ましいと言えそうです。
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2014年7月4日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
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コメント
記事中、以下が間違っているように見受けられます。
では、なぜ後払いではなく前払いになったのかについては、
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では、なぜ前払いではなく後払いになったのかについては、
アムネシア 様 コメントいただき、ありがとうございました。
ご指摘のとおり言葉の順序を間違えておりましたので、間違いを修正させていただきます。
大意をくみ取った上でのご指摘を感謝いたします。