分別と圧縮は処分業許可の対象か否か(平成5年3月31日付衛産36号より抜粋)

(分別・圧縮)
問17 他人の産業廃棄物の分別・圧縮は産業廃棄物処分業又は特別管理産業廃棄物処分業(以下「処分業」という。)の許可の対象となるか。
答 中間処理の業の許可の対象となる。ただし、処理業の許可を受けた者が当該許可に係る事業の一環として、簡単な手選別等を行う場合、当該手選別等は当該許可に係る事業の範囲に含まれるものと解する。

※注釈
現在、「分別、あるいは選別」や「圧縮」という工程の場合、「産業廃棄物の形状を変化させるものではないので、処分業許可の対象にはしない」という地方自治体があります。

産業廃棄物に関する法令の解釈権限は個別の都道府県その他に委ねられていますので、その是非をここで議論はしませんが、
少なくとも、平成5年当時の厚生省は、「分別」や「圧縮」を処分業許可の対象と考えていたことがわかります。

質疑自体は簡単ですが、業許可は重要なテーマですので、触れるべき論点は多数あります。

今回は、以下の2点に絞って注釈をしておきます。

論点1 中間処理と認められる「分別・圧縮」とは

言うまでもなく、完全な手作業による分別であれば、中間処理業としてではなく、積替え保管の一環として行うこととなります。

今回は詳しく書きませんが、「中間処理業者には『積替え保管許可』が漏れなく付いてくる」わけではありませんので、上記通知中の「当該許可に係る事業の一環として」という部分が重要です。

中間処理業としての「分別」とは、「選別機」により、各種の産業廃棄物が混合した物から、一定の基準に基づき、産業廃棄物を分別する行為になります。

「選別機」には、「風力選別」の他、「ふるい選別」、「光学選別」等があります。最近ではロボットによる選別技術も徐々に普及しつつあります。

こうした機械を用いた選別を行うからこそ、「処理能力の算定」が可能となり、中間処理業として扱うことが可能となります。

破砕機に産業廃棄物を投入する前に、金属等の異物を磁力選別してより分ける場合は、単なる「破砕の前工程」として考える方が妥当ですので、そうしたケースでは、「選別・破砕」という許可ではなく、単に「破砕」という扱いになります。

論点2 「簡単な手選別」とは

一般的な例としては、そのままの状態では破砕ができない混合廃棄物を、一度特定の場所で展開し、産業廃棄物の種類ごとに大まかに手作業で分別する、という工程が日常的に行われています。

あるいは、産業廃棄物の中から処理不可能な異物を手作業で除去する行為も、この「簡単な手選別」に含まれてきます。

では、パソコンの破砕をする業者が、破砕前にパソコンを手作業で解体し、有価物を事前に抜き取る場合はどうなるのか?

その答えは、「廃棄物処理法の重要通知と法令対応(長岡文明先生との共著)」の中で、過去の通知に基づいて、長岡先生にわかりやすく解説いただいておりますので、そちらを是非ご覧下さい(笑)。

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