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第12回「第12条 高度再資源化事業計画の変更等」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第12条(高度再資源化事業計画の変更等) 前条第一項の認定を受けた者(以下「認定高度再資源化事業者」という。)は、同条第2項第四号から第九号までに掲げる事項を変更しようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、環境省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 認定高度再資源化事業者は、前項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたとき、又は前条第2項第一号から第三号まで若しくは第十号に掲げる事項に変更があったときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
3 環境大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、前条第1項の認定に係る高度再資源化事業計画(第1項の規定による変更又は前項の規定による届出に係る変更があったときは、その変更後のもの。以下「認定高度再資源化事業計画」という。)の変更を指示し、又は同条第1項の認定を取り消すことができる。

一 認定高度再資源化事業者(認定高度再資源化事業計画に前条第2項第六号に規定する者が記載されている場合には、当該者を含む。次号及び次条を除き、以下同じ。)が、正当な理由なく認定高度再資源化事業計画に従って高度再資源化事業を実施していないとき。
二 認定高度再資源化事業者が、認定高度再資源化事業計画に記載された前条第2項第六号に規定する者以外の者に対して、当該認定高度再資源化事業計画に係る再資源化に必要な行為を委託したとき。
三 認定高度再資源化事業者の能力又は認定高度再資源化事業計画に記載された前条第2項第七号に掲げる施設若しくは同項第八号に規定する施設が、同条第4項第三号の環境省令で定める基準に適合しなくなったとき。
四 認定高度再資源化事業計画に前条第2項第九号に掲げる事項が記載されている場合には、当該廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が同条第4項第四号イの環境省令で定める技術上の基準又は当該認定高度再資源化事業計画に記載された同条第2項第九号ニ若しくはホに掲げる計画に適合していないと認めるとき。
五 前号に規定する場合において、認定高度再資源化事業者の能力が前条第4項第四号ハの環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
六 認定高度再資源化事業者が前条第4項第五号イからトまでのいずれかに該当するに至ったとき。
4 前条第3項の規定は同条第2項第九号に掲げる事項の変更をする場合について、同条第4項、第8項及び第9項の規定は第1項の認定について、同条第5項から第7項までの規定は当該事項の変更に係る第1項の認定の申請があった場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第3項中「当該廃棄物処理施設を設置すること」とあるのは「同号に掲げる事項の変更の内容」と、同条第5項中「当該事項」とあるのは「当該事項の変更の内容」と、同条第6項及び第7項中「当該廃棄物処理施設の設置」とあるのは「第2項第九号に掲げる事項の変更の内容」と、同項中「同項」とあるのは「第5項」と読み替えるものとする。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

第12条は長文であるため、各項ごとに注釈を加えていきます。

第1項
認定事業者が下記の事項(再資源化事業高度化法第11条第2項第四号から第九号まで)を変更する場合は、環境大臣に改めて認定を受ける必要があります。

ただし、今後環境省令で定められる「軽微な変更」に属する変更の場合は、改めて認定を受ける必要は無いという整理になる模様です。

・改めて認定を受ける必要がある変更内容
※あくまでも、本稿執筆時点で公開されている法律案の条文に規定された範囲を示しただけですので、今後制定される環境省令で「軽微な変更」として、再認定の対象から除外される可能性が高いものもあります。

  • 再資源化の実施方法、再資源化により得られる再生部品又は再生資源の供給を受ける者、再資源化事業の実施の効率化の程度を示す指標その他高度再資源化事業の内容
  • 高度再資源化事業を実施する区域
  • 廃棄物の収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託しようとする場合には、その者の氏名又は名称及びその者が行う収集、運搬又は処分の別
  • 廃棄物の収集又は運搬の用に供する施設
  • 廃棄物の処分の用に供する施設の所在地、構造及び設備
  • 廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置しようとする場合には、当該廃棄物処理施設に関する次に掲げる事項
    イ 廃棄物処理施設の設置の場所
    ロ 廃棄物処理施設の種類
    ハ 廃棄物処理施設の処理能力
    ニ 廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
    ホ 廃棄物処理施設の維持管理に関する計画

法律案の条文上は、「収集運搬委託先の氏名又は名称」も認定変更の対象となっていますが、収集運搬業者の社名が変わるたびに一々変更認定を受ける必要性は無いと思われます。

おそらく、こうした事業計画の根幹に関わらない変更内容については、環境省令で「軽微な変更」として位置づけられるものと考えています。

第2項
環境省令で定める「軽微な変更」については、変更後に遅滞なく環境大臣に変更届を提出しなければならない、と定められています。

環境省令で定める「軽微な変更」以外に、法律案の条文に列挙された変更届の対象は、再資源化事業高度化法(案)第11条条第2項第一号から第三号まで若しくは第十号に掲げる事項で、

  • 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  • 申請者が法人である場合においては、その役員の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
  • 申請者が個人である場合において、政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
  • その他環境省令で定める事項

となります。

第3項
環境大臣が、事業計画の変更を指示、または認定を取り消すことができるケースを列挙しています。

  • 認定高度再資源化事業者が、正当な理由なく認定高度再資源化事業計画に従って高度再資源化事業を実施していないとき。
  • 認定高度再資源化事業者が、認定高度再資源化事業計画に記載された者以外に対して、当該認定高度再資源化事業計画に係る再資源化に必要な行為を委託したとき。
  • 認定高度再資源化事業者の能力又は認定高度再資源化事業計画に記載された施設が、環境省令で定める基準に適合しなくなったとき。
  • 認定高度再資源化事業計画に廃棄物処理施設に関する事項が記載されている場合には、当該廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が、環境省令で定める技術上の基準又は当該認定高度再資源化事業計画に適合していないと認めるとき。
  • 前号に規定する場合において、認定高度再資源化事業者の能力が環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
  • 認定高度再資源化事業者が欠格要件に該当するに至ったとき。

気になった点は、「欠格要件に該当した場合」の取扱いです。

再資源化事業高度化法案第12条は、「認定を取り消すことができる」という、環境大臣に取消すかどうかの裁量を認める規定となっています。

その一方で、

廃棄物処理法第14条の3の2
 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。

と、産業廃棄物処理業者の場合は、欠格要件に該当した場合は「必ず取消さなければならない」と、都道府県知事に取消すかどうかの裁量を認めない絶対的な規定となっていますので、同一の事業を行っているにもかかわらず、許認可権者が異なるという理由だけで、一方は確実に死刑宣告、一方は変更すれば免罪も有り得るという状況は、著しく不公平であると言わざるを得ません。
※一般廃棄物処理業者が欠格要件に該当した場合も、上記と同様に「必ず許可を取消さなければならない」とされています。

第4項
事業計画に添付した「生活環境影響調査結果」の「廃棄物処理施設の設置場所」その他を変更する場合の読み替え規定です。

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第11回「第11条 高度再資源化事業計画の認定」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法
第二節 高度再資源化事業計画の認定等

第11条(高度再資源化事業計画の認定) 需要に応じた資源循環のために実施する再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業(以下「高度再資源化事業」という。)を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、高度再資源化事業の実施に関する計画(以下「高度再資源化事業計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。
2 高度再資源化事業計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 申請者が法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。第二十四条第一項第二号ロ及びハ、第三十二条、第四十八条並びに第五十一条を除き、以下同じ。)の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
三 申請者が個人である場合において、政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
四 再資源化の実施方法、再資源化により得られる再生部品又は再生資源の供給を受ける者、再資源化事業の実施の効率化の程度を示す指標その他高度再資源化事業の内容
五 高度再資源化事業を実施する区域
六 廃棄物の収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託しようとする場合には、その者の氏名又は名称及びその者が行う収集、運搬又は処分の別
七 廃棄物の収集又は運搬の用に供する施設
八 廃棄物の処分の用に供する施設の所在地、構造及び設備
九 廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置しようとする場合には、当該廃棄物処理施設に関する次に掲げる事項
イ 廃棄物処理施設の設置の場所
ロ 廃棄物処理施設の種類
ハ 廃棄物処理施設の処理能力
ニ 廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
ホ 廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
十 その他環境省令で定める事項
3 高度再資源化事業計画に前項第九号に掲げる事項を記載する場合には、当該高度再資源化事業計画には、環境省令で定めるところにより、当該廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなければならない。
4 環境大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その申請に係る高度再資源化事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 高度再資源化事業の内容が基本方針に照らして適切なものであること。
二 高度再資源化事業の内容が、再資源化により得られる再生部品又は再生資源がその供給を受ける者の需要に適合していると認められること、第二項第四号に規定する指標からみて当該再生部品又は再生資源の大部分が当該者に対して供給されると認められることその他の環境省令で定める基準に適合するものであること。
三 申請者(第二項第六号に規定する者がある場合にあっては、当該者を含む。第五号において同じ。)の能力並びに同項第七号に掲げる施設及び同項第八号に規定する施設が、高度再資源化事業を適確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合すること。
四 高度再資源化事業計画に第二項第九号に掲げる事項が記載されている場合には、次のイからハまでのいずれにも適合するものであること。
イ 第二項第九号ニに掲げる計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
ロ 第二項第九号ニ及びホに掲げる計画が当該廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
ハ 申請者の能力が、第二項第九号ニ及びホに掲げる計画に従って当該廃棄物処理施設の設置及び維持 管理を適確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
五 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ 廃棄物処理法第十四条第五項第二号イ又はロのいずれかに該当する者
ロ この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ハ 次条第三項の規定により認定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該認定を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第 八十八号)第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
ニ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。第十六条第三項第六号ニ及び第二十条第三項第六号ハにおいて同じ。)がイからハまでのいずれかに該当するもの
ホ 法人であって、その役員又は政令で定める使用人のうちにイからハまでのいずれかに該当する者があるもの
ヘ 個人であって、政令で定める使用人のうちにイからハまでのいずれかに該当する者があるもの
ト 廃棄物処理法第十四条第五項第二号ヘに該当する者
5 環境大臣は、第一項の認定の申請があった場合であって、当該申請に係る高度再資源化事業計画に第二項第九号に掲げる事項が記載されているとき(政令で定める場合に限る。)は、遅滞なく、当該事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、当該高度再資源化事業計画及び第三項に規定する書類を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 環境大臣は、前項の規定による告示をしたときは、遅滞なく、その旨を当該廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある都道府県及び市町村の長に通知し、期間を指定して当該都道府県及び市町村の長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
7 第5項の規定による告示があったときは、当該廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに、環境大臣に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
8 環境大臣は、第1項の認定をしようとするときは、第2項第四号に規定する者が再資源化により得られる再生部品又は再生資源を利用して行う事業を所管する大臣に協議しなければならない。
9 環境大臣は、第1項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該認定に係る第2項第五号に掲げる区域を管轄する都道府県知事及び市町村長に通知しなければならない。
10 環境大臣は、第4項第二号の環境省令(再資源化により得られる再生部品又は再生資源がその供給を受ける者の需要に適合していると認められることに係る部分に限る。)を定め、又はこれを変更しようとするときは、経済産業大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

第11条は長文であるため、各項ごとに注釈を加えていきます。

第1項 
「需要に応じた資源循環のために実施する再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業(高度再資源化事業)」計画の認定申請に関する規定です。

第2項
「高度再資源化事業計画」の記載事項です。
第四号で「再資源化の実施方法、再資源化により得られる再生部品又は再生資源の供給を受ける者、再資源化事業の実施の効率化の程度を示す指標その他高度再資源化事業の内容」とされています。

「再資源化事業の実施の効率化の程度を示す指標」については、今後制定される政省令で具体化されることとなりますが、「広域認定」等の先行制度の例から鑑みると、第2項に列挙された記載事項を表形式で書くことになるのだろうと思います。

第3項 
「廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置しようとする場合」には、「生活環境影響調査結果」を認定申請書に添付しなければならないとされています。

第4項 
「高度再資源化事業計画」の認定基準を定めています。

第5項 
認定申請に、「廃棄物の処分の用に供する廃棄物処理施設を設置する」という記載があった場合、環境大臣は、「遅滞なく、当該事項、申請年月日及び縦覧場所を告示」するとともに、「当該高度再資源化事業計画」および「生活環境影響調査結果」が、告示日から1月間公衆の縦覧に供されることとなります。

第6項 
第5項の告示を行った場合、環境大臣は、「生活環境の保全上関係がある都道府県及び市町村の長に通知し、期間を指定して当該都道府県及び市町村の長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない」とされています。

実際には、この意見聴取は形式的なものとなりそうです。

申請書の審査の段階で、生活環境に明確な悪影響を及ぼす事業計画であれば、その時点で環境省から是正及び補正が求められることが確実であり、告示の段階まで、不適切な事業計画のまま放置されることはほぼ有り得ないからです。

第7項 
環境大臣による告示が行われた際には、当該廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者(近隣住民等)は、「縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日まで」に、環境大臣に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができるとされています。

意見書を提出したからといって、環境省の申請に対する審査が必ず止まるわけではありませんが、裁判所以外で利害関係者が意見を言う機会はここしかありませんので、再資源化事業計画に懸念や不満がある利害関係者は、環境大臣に意見書を提出しておきたいところです。

第8項 
環境大臣が認定をする際に、「再生部品又は再生資源の供給を受ける者が再生部品又は再生資源を利用して行う事業」を所管する大臣に協議することを義務付ける規定です。

第9項 
認定後に、環境大臣に「高度再資源化事業を実施する区域を管轄する都道府県知事及び市町村長に通知」することを義務付ける規定です。

第10項 
「高度再資源化事業の内容が、再資源化により得られる再生部品又は再生資源がその供給を受ける者の需要に適合しているかどうか」の基準を定める、または変更する場合に、環境大臣に、「経済産業大臣その他関係行政機関の長」に協議することを義務付ける規定です。

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第10回「第10条 環境大臣の勧告及び命令」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第10条(勧告及び命令) 環境大臣は、産業廃棄物処分業者であって、その処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの(以下「特定産業廃棄物処分業者」という。)の再資源化の実施の状況が、第8条第1項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その判断の根拠を示して、再資源化の実施に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
2 環境大臣は、前項に規定する勧告を受けた特定産業廃棄物処分業者が、正当な理由がなくてその勧告に従わなかった場合において、再資源化の実施の促進を著しく阻害すると認めるときは、中央環境審議会の意見を聴いて、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

「第8条(廃棄物処分業者の判断基準)」で既に触れたとおり、第10条は、「特定産業廃棄物処分業者」に対する勧告と命令を定めた条文です。

「特定産業廃棄物処分業者」とは、
「処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当する産業廃棄物処分業者」となります。

詳細は今後制定される政省令で規定されることとなりますが、「勧告及び命令」の対象となる産業廃棄物処分業者ですので、比較的大規模な産業廃棄物処分業者しか該当しないのではと考えております。

「産業廃棄物の数量」とは、「単純な産業廃棄物処分量の合計」なのか、それとも「再資源化可能な産業廃棄物の処分量」なのかは、現時点ではわかりません。

筆者の個人的な予想は、後者の「再資源化可能な産業廃棄物の処分量」ではないか です。

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第9回「第9条 環境大臣の指導及び助言」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第9条(指導及び助言) 環境大臣は、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施を促進するため必要があると認めるときは、廃棄物処分業者に対し、前条第1項に規定する判断の基準となるべき事項を勘案して、再資源化事業等の高度化について必要な指導及び助言をすることができる。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

「第8条(廃棄物処分業者の判断基準)」で既に見たとおり、第9条は、
環境大臣に、再資源事業高度化のために、廃棄物処分業者に指導及び助言を行うことを認める条文です。

条文の規定上は「廃棄物処分業者」とされていますので、「すべての一般廃棄物処分業者」と「すべての産業廃棄物処分業者」が環境大臣の(行政)指導対象と明記されたことになります。

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第8回「第8条 廃棄物処分業者の判断基準」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法
第三章 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化
第一節 廃棄物処分業者による資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化の促進

第8条(廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項) 環境大臣は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化を促進するため、環境省令で、次に掲げる事項に関し、廃棄物処分業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。

一 物の製造、加工又は販売の事業を行う者の再生部品又は再生資源に対する需要の把握並びに当該需要に応じた質及び量の再生部品又は再生資源の供給に関する事項
二 再資源化の生産性の向上のための技術の向上に関する事項
三 再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量を削減するための当該実施に用いられる廃棄物処理施設(一般廃棄物処理施設(廃棄物処理法第8条第1項に規定する一般廃棄物処理施設をいう。 第20条第2項第五号において同じ。)又は産業廃棄物処理施設(廃棄物処理法第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設をいう。同号において同じ。)をいう。以下同じ。)における設備の改良又はその運用の改善に関する事項
四 処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項
五 その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項
2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、基本方針に即し、かつ、再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の状況、再資源化事業等の高度化に関する技術水準その他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

「逐条注釈」という執筆趣旨のため、法律案の条文番号に従ってご紹介しておりますが、
第8条は、第9条(指導及び助言)と第10条(勧告及び命令)とセットで読む必要がある条文です。

第8条の概要を簡単にまとめると、「『廃棄物処分業者』が再資源化事業高度化のために判断基準とすべき内容」となります。

「認定を受けた再資源化事業者」のみならず、「廃棄物処分業者すべて」に関わりがある条文でもあります。

詳細は第10条の「勧告及び命令」で再び見ることになりますが、
「処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの」は「特定産業廃棄物処分業者」となり、
再資源化実施状況が、第8条の判断基準に照らして「著しく不十分」な場合は、国からの勧告と命令の対象になる可能性があります。

「処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの」の詳細は、今後制定される政省令で定められることとなりますが、おそらくかなり大規模な処分業者しか該当しないように思われます。

判断基準の詳細に戻りますが、

  • 物の製造、加工又は販売の事業を行う者の再生部品又は再生資源に対する需要の把握
  • 需要に応じた質及び量の再生部品又は再生資源の供給に関する事項
  • 再資源化の生産性の向上のための技術の向上に関する事項
  • 再資源化の実施の工程から排出される温室効果ガスの量を削減するための当該実施に用いられる廃棄物処理施設における設備の改良又はその運用の改善に関する事項
  • 処分を行う廃棄物の数量に占める再資源化を実施する量の割合に関する目標の設定及び当該目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項
  • その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項

とありますので、処分業者に「排出事業者からの依頼に基づき廃棄物を処分するだけの事業者」に止まることを許さず、
再生部品または再生資源に対する需要を把握し、それらをいかに供給するかまで考えよ 
と言われているような気がします。

もちろん、罰則付きの義務規定ではありません。

しかし、特定産業廃棄物処分業者限定ではありますが、国から直接勧告や命令を受ける可能性まで出てくるわけですから、再資源化事業高度化法の制定前と制定後では、産業廃棄物処理業界の在り方が大きく変わることになりそうです。

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第7回「第7条 事業者の責務」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第7条(事業者の責務) 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を分別して排出するとともに、その再資源化を実施するよう努めなければならない。
2 事業者は、物の製造、加工等の事業を行うに当たっては、再資源化の実施が困難とならないよう、その製品が廃棄物となった場合における有用なものの分離を容易にする等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 事業者は、その事業に係る製品に再生部品又は再生資源を利用するよう努めるとともに、需要に応じた資源循環を促進するよう努めなければならない。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

再資源化事業高度化法で事業者に期待される取組みが、「努力義務」として規定されています。

第1項では「分別排出」と「再資源化の実施」
第2項では「製品が廃棄物となった際の有用物の分離を容易にする措置」
第3項では「再生部品や再生資源の利用」と「需要に応じた資源循環促進」
が挙げられています。

第3項の「需要に応じた資源循環」の意味するところが不明確ではありますが、法律の制定目的から推測すると、「事業者の(原材料)需要の一定割合を満たす水準で資源循環を促進」という趣旨かと思われます。

個人的には、「前段の『再生部品又は再生資源を利用するよう努める』だけでも同じ意味になるのでは?」と思いましたが、

ダメ押し的に、「事業者に主体性を発揮させ、資源循環のループを各自に構築させる」という政策意図を意識させる狙いがあるのかもしれません。

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第6回「第6条 廃棄物処分業者の責務」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第6条(廃棄物処分業者の責務) 廃棄物処分業者は、その再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、再資源化の実施の状況の開示に努めなければならない。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

「責務」という見出しが付けられてはいますが、第6条自体は、廃棄物処分業者に罰則付きの義務を課すものではなく、「再資源化実施状況の開示に努めてください」という、訓示的に努力義務を定めたものとなります。

開示すべき再資源化実施状況の内容については、再資源化事業高度化法では具体的に規定されていません。
※環境大臣が行う「報告徴収」に応じ、適切に報告する義務については、第44条及び第50条で別途規定されています。

一般的に行われる情報開示内容としては、「再資源化のフロー」や「再資源化後の素材の活用実績」等が中心になろうかと思います。

「顧客情報」や「素材の売却単価」等を、聞かれてもいないのに外部に開示したがる企業は無いと思いますので、自社事業の宣伝になり得る実績をHPその他で開示していくイメージですね。

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第5回「第5条 地方公共団体の責務」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第5条(地方公共団体の責務) 都道府県及び市町村は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化を促進するよう必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

再資源化事業高度化の促進に関する、地方公共団体の「努力義務」が規定されています。

大部分の地方公共団体にとっては、「高度化の促進については、特に何をする予定も無い」というところかと思います。

以下、筆者の単なる妄想と連想の発露でしかありませんが、、

例えば、再資源化事業をある地域で企図した「企業」と「地域住民」の間で紛争が発生したような場合、再資源化事業高度化法で「廃棄物処理施設の設置許可は不要」ではありますが、

第5条に基づき、地方公共団体の責務(努力義務)として、「企業」と「地域住民」の間を取り持ち、リスクコミュニケーションを円滑に行えるように仲介、または斡旋することを地方公共団体に求めていく
という使い方もできそうです。

もちろん、法律の条文趣旨としてはそのような泥臭い話ではなく、地方公共団体に、事業者への「情報提供」や「事業補助」を促す趣旨だと思いますが、

抽象的に書かれている以上、それを解釈する人・場面によって、責務の内容や範囲が広がることもまたよくある話です。

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第4回「第4条 国の責務」再資源化事業高度化法

再資源化事業高度化法

第4条(国の責務) 国は、地方公共団体、廃棄物処分業者(一般廃棄物処分業者(廃棄物処理法第7条第12項に規定する一般廃棄物処分業者をいう。以下同じ。)及び産業廃棄物処分業者(廃棄物処理法第14条第12項 に規定する産業廃棄物処分業者をいう。以下同じ。)並びに事業者であって自らその産業廃棄物(廃棄物処理法第2条第4項に規定する産業廃棄物をいう。以下同じ。)の処分を行うものをいい、埋立処分又は海洋投入処分(廃棄物処理法第12条第5項に規定する海洋投入処分をいう。)を業として行う者を除く。以下同じ。)及び事業者に対し、次条から第7条までに規定するこれらの者の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。
2 国は、地方公共団体、廃棄物処分業者、事業者、研究機関その他の関係者が相互に連携して物の製造、加工又は販売の事業を行う者の需要に応じた再生部品(廃棄物のうち有用なものであって、部品その他製品の一部として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう。以下同じ。)又は再生資源(廃棄物のうち有用なものであって、原材料として利用することができるもの又はその可能性のあるものをいう。以下同じ。)を廃棄物処分業者が供給する資源循環(以下「需要に応じた資源循環」という。)を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

法案の全文は、衆議院「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」に掲載されています。

独断と偏見に基づく注釈

第3条「基本方針」に続き、国の責務に関する規定となります。

一見すると、実務的な価値が低そうに見えるかもしれませんが、「プラスチック資源循環促進法」に見られる、昨今の省庁の(比較的)積極姿勢を思い合わせると、今後取組まれるであろう国の支援策を想像できそうです。

それぞれの条文の括弧書きを外して簡略化すると、
第1項 「国は、地方公共団体、廃棄物処分業者及び事業者に対し、次条から第7条までに規定するこれらの者の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。」
第2項 「国は、地方公共団体、廃棄物処分業者、事業者、研究機関その他の関係者が相互に連携して物の製造、加工又は販売の事業を行う者の需要に応じた再生部品又は再生資源を廃棄物処分業者が供給する資源循環を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」となります。

以下、筆者の完全に独断と偏見に基づく予想でしかありませんが、
上記の第1項に基づき、「何らかの補助金や補助制度の創設」
第2項に基づき、多様な関係者の「コンソーシアムの創設」や「マッチング機会の創出」
が行われるのではないかと考えています。

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令和4年度廃家電の不法投棄等の状況について

2024年3月29日付で、環境省から「令和4年度廃家電の不法投棄等の状況について」の発表がありました。

■ 不法投棄等の状況
(1)不法投棄台数
 不法投棄された廃家電4品目の回収台数(以下「不法投棄回収台数」という。)のデータを取得している1,663市区町村における不法投棄回収台数をもとに、人口カバー率で割り戻して算出した全国の不法投棄回収台数(推計値)は、40,800台で、前年度と比較して減少しました。
(2)品目ごとの割合
 品目ごとの割合は、エアコンが2.0%、ブラウン管式テレビが25.4%、液晶・プラズマ式テレビが35.8%、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が22.0%、電気洗濯機・衣類乾燥機が14.9%でした。

令和4年度の廃家電不法投棄推計回収台数は40,800台と、平成13年度の統計開始以降、最小の数値となりました。

近年の不法投棄回収台数の減少は目覚ましいものがありますが、2001年の家電リサイクル法施行以降20年が経過し、ようやく家電リサイクルのルールが社会全体に広く行き渡った成果かと思います。

もちろん、まだまだ4万台も不法投棄されているわけですので、ここで気を緩めることなく、不法投棄をさせない、許さない方針を堅持し続ける必要がありますが。

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2024年4月3日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:統計・資料

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