道路清掃に伴う産業廃棄物(大阪府Q&Aの注釈)

大阪府が公開している「よくあるご質問」の注釈をします。

Q8 道路清掃に伴う産業廃棄物の排出事業者は、清掃業務を受託した業者か発注した道路管理者か?

A8
 道路管理者が排出事業者となります。
 清掃業務において生ずる産業廃棄物は、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではなく、清掃する前から発生していた産業廃棄物を一定の場所に集積させる行為をしたに過ぎないため、清掃委託をした事業者(道路管理者)が排出事業者となります。
 従って、道路清掃に伴う産業廃棄物を当該道路から離れた場所にある道路管理者の保管選別施設や処分業者の施設まで運搬する場合において、当該清掃業者に運搬を委託する場合には、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。

前段は大阪府独自の解釈ではなく、旧厚生省の時代から連綿と受け継がれている一般的な行政解釈です。

道路の清掃が例として挙げられていますが、「テナントビルの清掃で集めた廃棄物」にも同様にあてはまる解釈です。

後段は若干突っ込んだ解釈が示されています。

個人的に「この解釈だと現実が回らなくなる」と感じた部分は、

道路清掃に伴う産業廃棄物を当該道路から離れた場所にある道路管理者の保管選別施設や処分業者の施設まで運搬する場合において、当該清掃業者に運搬を委託する場合には、廃棄物処理法の委託基準が適用されます。

です。

処分業者の施設に運搬する場合は、産業廃棄物の運搬として委託基準を課すことが当然ですが、
「当該道路から離れた場所にある道路管理者の保管選別施設」に運搬する場合にまで委託基準を課すのは不合理と思われます。

委託基準がかかるということは、委託契約書の作成と保存が必要ということになります。

そうなると、道路上に何が落ちているわからない時点で、落ちていると思われる廃棄物の種類を想像し、契約書に産業廃棄物の種類を特定して契約しなければなりません。

清掃活動には道路上の落下物の回収も含まれてくるため、正確な廃棄物の性状や量を事前に予測することはほぼ不可能です。

また、道路から落下物を回収する時点を産業廃棄物の発生時点とすると、回収現場で毎回マニフェストを交付する必要が生じます。

清掃や回収の現場に直接行かない限り、道路上にある物の量や性状が分からない以上、紙にせよ電子にせよ、マニフェストを正確に運用することもほぼ不可能です。

そして、道路清掃や落下物の回収には、産業廃棄物のみならず、一般廃棄物でしかない物も少なからず発生します。

ここで、道路で回収した瞬間を廃棄物の発生時と捉えると、一般廃棄物収集運搬業の許可を持った事業者しか道路から廃棄物を運び出せないことになります。

現実と廃棄物処理法の整合性を取るためには、廃棄物の発生時点を、
「道路から回収した時点」ではなく、
「道路管理者が指定する場所にその物が置かれた時点から」とするのがもっとも合理的と考えます。

すなわち、道路上から道路管理者が指定する場所まで運ぶ間は、廃棄物扱いをしないという解釈です。

「廃棄物ではなく、落下物を回収しているだけ」と考えないと、道路上の落下物は一般廃棄物と産業廃棄物の両方の許可を持った収集運搬業者しか回収できないことになりますので。

「これは一般廃棄物だから道路上に置いて帰ります」では、重大な道路渋滞や事故を引き起こす可能性もありますので、廃棄物ではなく、単なる落下物の回収と解釈しないと、逆に危険ですよね。

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