廃油が付着したドラム缶の取扱いに関する疑義解釈(平成4年10月15日付衛産69号)

【廃棄物の処理及び清掃に関する法律解釈上の疑義について】

平成4年10月15日
衛産69号

 佐賀県保健環境部長宛

 厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策室長回答

 平成4年9月18日付生衛第901号をもって照会のあった標記の件について、左記のとおり回答する。

1(1)について
 当該行為は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律(平成3年法律第95号)による改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「旧法」という。)第16条第1項の不法投棄に該当する。

2(2)について
 昭和51年11月18日付環水企第181号、環産第17号環境庁水質保全局企画課長及び厚生省環境衛生局水道環境部参事官連名通知「油分を含むでい状物の取扱いについて」は、油分を含むでい状物(以下「油でい」という。)について、油でいが排出された時点における廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の取り扱いを示したものであり、廃油に土砂を混合させることにより生じた混合物の油分が5パーセント未満になったものを土砂として取扱うこととしたものではない。
 したがって、廃油に土砂を混合した物及び廃油が付着したドラム缶について(1)の行為を行った場合、当該行為は旧法第16条第1項の不法投棄に該当する。

3(3)について
 ドラム缶に廃油が付着している場合に係る照会事項について、当該行為は旧法第16条第1項の不法投棄に該当するが、ドラム缶に廃油が付着していない場合は、必ずしも旧法第16条第2項の不法投棄に該当するとはいえない。

4 照会事項(4)について
 当該行為は、旧法第16条第1項の不法投棄に該当する。

5 照会事項(5)について
 産業廃棄物処理業者が、他人から委託を受けて産業廃棄物を処分する事業活動を行うことに伴い排出した当該産業廃棄物の容器である空ドラム缶は、当該産業廃棄物処理業者が排出した産業廃棄物である。
 また、当該ドラム缶を自己の敷地内に埋め立てたことをもって当該行為が、直ちに不法投棄であるとはいえない。なお、当該ドラム缶に廃油が付着している場合の取扱いについては、前記1から4までを参照されたい。

上記の回答の対象となった質問は下記のとおり

平成4年9月18日
生衛901号

厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長宛 佐賀県保健環境部長照会

 標記の法律に関して次の各事項について疑義が生じたので、至急御回答をお願いします。

(1)中間処理施設敷地内の地表下2~3メートルの穴の中に、廃油付着のドラム缶及び前処理した廃油混じりの土砂を入れ(埋め立て)、覆土をせず、その上に同様に前処理した廃油混じりの土砂を野積みの状態にしていた行為は、旧法第16条第1項の不法投棄に該当するか。
(2)(1)の場合、廃油混じり土砂の廃油及びドラム缶付着の廃油の油分が5パーセント未満である場合はどうか。〔昭51・11・18環水企181号、環産17号通知(油分を含むでい状物の取扱いについて)との関係はどうか。〕
(3)最終処分場で流出事故が起きたため、これに対し過剰埋立物の除去及び堰堤の補強を内容とする措置命令をしたが、その履行前に当該業者が同処分場内に廃油付着のドラム缶を埋め立てた場合、旧法第16条第1項の不法投棄に該当するか。
ドラム缶に廃油が付着していなかった場合はどうか。
(4)(3)のとおり最終処分場で流出事故が起きたため、県は業者の願い出により、その付近の場所を、場内の汚でい等の仮置場とすることを承認したが、この仮置場内に当該業者が廃油付着のドラム缶を埋め立てた場合、旧法第16条第1項の不法投棄に該当するか。
(5)産業廃棄物処理業者が中間処理施設で、処分の委託を受けたドラム缶入りの廃棄物を前処理した後の空ドラム缶は、当該産業廃棄物処理業者の排出した産業廃棄物と言えるか。
また、これを自己の敷地内に埋め立てた場合、不法投棄と言えるか。

※注釈
「廃油が付着したドラム缶の取扱い」と、「そのドラム缶を埋め立てることの可否」に関する質疑です。

一部、回答の5については、この通知の後に出た判例や、現在の法規制の趣旨からすると、若干の疑問が生じるところとなっていますが

通知全体としては、古典的な行政解釈とも言える、基礎的な行政見解を示した具体例となっています。

現代にも通じる、と言うよりはいまだに誤解している人がいる内容として、厚生省からの回答にある

昭和51年11月18日付環水企第181号、環産第17号環境庁水質保全局企画課長及び厚生省環境衛生局水道環境部参事官連名通知「油分を含むでい状物の取扱いについて」は、油分を含むでい状物(以下「油でい」という。)について、油でいが排出された時点における廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の取り扱いを示したものであり、廃油に土砂を混合させることにより生じた混合物の油分が5パーセント未満になったものを土砂として取扱うこととしたものではない。

を、字義のとおり誇張せずに理解することが重要と考えます。

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