動物のふん尿(大阪府Q&Aからの抜粋)

大阪府が公開している「よくあるご質問」から、参考になる疑義解釈を一つ抜粋してご紹介します。

Q29 動物園やペットショップ等で発生する動物のふん尿や排水処理汚泥は産業廃棄物か?

A29
 産業廃棄物の「動物のふん尿」には業種限定があり、畜産農業に係るものに限られております。そのため、動物園やペットショップ・動物病院等において動物のふん尿をそのまま排出すれば一般廃棄物となります。(ペットショップ・動物病院等から排出される使用後のペットシーツは、総体として産業廃棄物(「廃プラスチック類」)に該当します。)
 一方、動物園やペットショップ・動物病院等が動物のふん尿や動物舎の洗浄排水を処理するために排水処理施設を設置している場合において、排水処理施設で発生する泥状物は産業廃棄物の汚泥に該当します。

筆者の考え

大阪府の解説にあるとおり、「動物のふん尿」は、「畜産農業に係るものに限る」という限定がありますので、「畜産農業以外」から発生した物はすべて一般廃棄物となります。

今回は、「畜産農業」の定義について深掘りしてみます。

「畜産農業とは」という、法的に絶対無二の定義があるわけではありませんので、日本標準産業分類(平成25年10月改定)の定義を掲載しておきます。

日本標準産業分類では、「畜産農業」は、

012  畜産農業
0121  酪農業
0122  肉用牛生産業
0123  養豚業
0124  養鶏業
0125  畜産類似業
0126  養蚕農業
0129  その他の畜産農業

とされています。

上記の小分類のうち、
「0125 畜産類似業」は、説明及び内容例示では、

主として実験用・愛がん用動物の飼育,農作物・森林の保護及び種族保護を目的とする動物の飼育を行う事業所をいう。
かぶと虫,すず虫などの昆虫類(みつばち,蚕を除く)の飼育及びへびなどの飼育を行う事業所も本分類に含まれる。
○ 実験用動物飼育業(マウス,ラット,モルモット,うさぎなど);愛がん用動物飼育業(カナリア,文鳥,犬など);いたち飼育業;きじ飼育業;昆虫類飼育業(かぶと虫,すず虫など);へび飼育業
× うさぎ養殖業(実験用,愛がん用を除く)[0129];毛皮獣養殖業[0129];へび採捕業[0299];昆虫類採捕業[0299];養ほう(蜂)業[0129];養蚕農業[0126]

と示されています。

「かぶと虫」等の「昆虫」が「動物」に入るかどうかが気になりましたが、一般解釈としては、「昆虫も動物に含まれる」と考えことは可能と思われます。

ただし、市町村の判断により、昆虫類飼育業から発生する昆虫の死体を「一般廃棄物」として処分することが現実的と思います。

その理由は、そもそも、「動物の死体」の処分業者は、牛や豚などの獣畜の死体の処分を想定した設備ですので、「かぶと虫の死体」を既存の「動物の死体」許可業者が処分できるとも思えませんし、発生量自体が昆虫の場合は少量であることが通例と考えるためです。

「犬のブリーダー」の場合は、「愛がん用動物飼育業」に該当しますので、「農業」というイメージとはかけ離れていますが、小分類「0125畜産類似業」に該当し、中分類「畜産農業」に含まれると解釈することが可能です。

この場合も、地域の実情に応じて、市町村が「一般廃棄物と合わせて処理」することは可能ですので、あくまでも論理的な解釈をお示ししただけとなります。

「0129 その他の畜産農業」については、説明及び内容例示では、

主としてその他の畜産物を飼育する事業所をいう。
その他の畜産物とは,馬,めん羊,やぎ,うさぎ(実験用,愛がん用を除く),鶏以外の家きん(うずら,あひる,七面鳥など),毛皮獣などをいう。
○ 養ほう(蜂)業;毛皮獣養殖業(たぬき,きつね,ミンクなど)
× 酪農業[0121];肉用牛生産業[0122];養豚業[0123];養鶏業[0124];養蚕農業[0126]

という具体例が示されています。
「酪農業」から「養蚕農業」までは、既に「畜産農業」の小分類と位置づけられているため、「その他の畜産農業」に含めないということですね。

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