廃品無料回収チラシの違法性を解剖してみる

本日は、とれとれのチラシをネタに、廃品無料回収事業の違法性を解説します。

今日のネタは、昨日私の事務所があるテナントビルのポストに投函されていたチラシです。(電話番号や屋号、住所は一部モザイク処理しました)

近頃環境省でも話題の、家電の無料回収者です。

このチラシの違法性を解説する前に、完全に合法な無料回収事業とはどんなものかを先にお示ししておきます。

完全に合法な無料回収とは、古式ゆかしい(?)、粗大ごみの置き場から有用品のみをピックアップする回収事業です。

この場合は、明確に所有権が放棄された物品(無主物)を、回収者自身の意思と行動で回収し、回収者の占有物とする行為ですので、廃棄物処理には該当しないと考えられます。
このようなケースでは、売れないもの(不用物)が回収されることはありませんので、民法の無主物先占の問題だけになるからです。

仕入れが無料なので、昔はこのような回収方法でもかなり儲かっていたようです。

では、最近流行のガレージなどを流用した、無料回収スペースはどうなのか?

こちらも解説しようと思いましたが、記事が長くなりすぎるので、明日のブログで解説します。

本題の、チラシの違法性に話を戻します。

まずは、もっともわかりやすいところから
チラシ中段の「一部有料の物もあります。」から下は完全に違法です。

「有料で廃棄物処理をしてやる」と言いたいのなら、廃棄物処理業の許可を受けなければいけないからですね。

ひょっとすると、チラシには書いていないだけで、廃棄物処理業の許可を持っている可能性がありますが、それも少し考えにくいですね。

では、上段の「無料回収品目一例(何点でもOK!)」の部分はどうでしょうか。

「無料なら廃棄物じゃないので合法」でしょうか?

どうもこのあたり、上記の「無主物先占」と「廃棄物の無価性」が混同されているような気がします。

排出者に対して働きかけ、廃棄物を拠出させている時点で、「無主物先占」ではなく、
廃棄物処理を前提とした「占有移転」と考える方が合理的です。

「元々の所有者が所有権を放棄した後に回収するのは合法と言ったじゃないか」と指摘をされそうですが、それへの反論は明日のブログで。

今日のところは、「無料で処理してやるから、ドンドン廃棄物を持って来いよ」という行為には、やはり廃棄物処理業の許可が必要という点に納得していただければ十分です。

繰り返しになりますが、その理由は、他人に売れない不用物の処理を、反復継続する業として請け負う行為だからです。

最後に、最下段の「古物商許可」について言及しておきます。

結論から言うと、このチラシでうたっている事業だと、古物商の許可は一切必要ありません。

古物営業とは
古物の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」を行う営業であり、
無償で廃棄物を回収する行為は、この範疇にあてはまらないからです。

廃棄物を有用品として買い付ける場合は、品物によっては、古物営業に該当することがありますが、
チラシでうたっているとおりに、「無料」または「廃棄物処理費の徴収」ということであれば、古物営業には該当しません。

古物営業法は、盗品の売買や流通を規制する法律ですので、
「盗品を無償で譲渡する気前のイイ奴なんていないよ」ということで、無償譲渡は古物営業の範疇に入らないのです。

というわけで、今回ご紹介したチラシは、上から下まで「真っ黒クロスケ」なのでした。

しかし、モグリ業者ながら、「遺品整理」や「店舗整理」に目を付けているところなどは、今後の需要増にマッチしていますので、目が高いと思います。

「ビジネスネタはモグリ業者に学べ」ですね(笑)。

※下記バナーの応援クリック投票をよろしくお願いします。
にほんブログ村 環境ブログ 廃棄物・リサイクルへ

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

トラックバック

コメント

  1. K より:

    この連絡先に掛けたら凄かった、片言で足元見て吹っ掛ける手口。こういう取り締まりないんですかね。選挙より大切。

  2. 尾上雅典 より:

    中国に輸出できなくなったのに、まだ営業してるんですね。


コメントをどうぞ

このページの先頭へ