産業廃棄物処理業者がマニフェストでやってはいけないこと

昨日の記事 「実務で最大の弱点となるものは?」では、マニフェストを疎かに扱うことの危険性を述べました。

排出事業者もマニフェストをきちんと運用しなくてはいけないことは言うまでもありませんし、そのための注意点もいくつかありますが、
今回から、産業廃棄物処理業者が特に気を付けないといけない点に絞って、ブログで解説をしていきます。

産業廃棄物処理業者の場合は、マニフェストの運用ミスで「事業の全部停止処分」の対象になりますし、最悪の場合は、違反がそれほど悪質でない場合であっても、社長が警察に逮捕されることもあります。

警察の捜査に非協力的な場合のみならず、警察の捜査を拒否していない場合でも逮捕されたケースもありますが、
共通しているのは、逮捕されるときにはマスコミが勢揃いしているということ。

マニフェストの運用違反(違反と言うよりは過失と言う方が適切な場合もある)だけで、場合によってはテレビで逮捕シーンが報道されるということが現実に起こっています。

hikimawashi刑事罰が確定していない段階で、犯罪者であるかのように仕立て上げられ、人々の記憶と記録に残る方法で報道させるということは、考えようによっては、江戸時代の「市中引き回し」以上の過酷なペナルティとも言えます。

このあたりの背景や、現在の報道状況のお粗末さについては色々と語りたいことがあるのですが、ブログの主旨と少し乖離しますので、ここで本題に戻ります。

このように、紙切れ1枚の運用ミスで、社長の人格否定にまでつながりかねない重大なリスク要因であるマニフェストですが、「やるべき事」、あるいは「やってはいけない事」は非常にシンプルです。

今回は「やってはいけない事」を取り上げます。

マニフェストで「やってはいけない事」は、廃棄物処理法第29条の罰則で規定されています。
taboo

  • マニフェストが交付されていない産業廃棄物の運搬を引き受ける
  • マニフェストに虚偽の記載をする
  • 運搬先にマニフェストを適切に回付しない(収集運搬業者の場合)
  • 運搬や処分終了後10日以内に、委託者にマニフェストの写しを返送しない
  • マニフェストの写しを5年間保存しない
  • 以上の5点のみです。

    念のため補足しておきますが、上記はすべて「やってはいけない事」ですので、反対の意味に読み替えて実務を行うようにしてください。

    いずれも紙マニフェストで運用する場合を想定しています。
    電子マニフェストで運用する場合は、「10日以内に返送」を「3日以内に情報処理センターへ報告」と読み替えてください。

    マニフェストが交付されていない産業廃棄物の運搬を引き受ける

    2010年改正で直罰の対象となりました。
    電子マニフェストの場合は「交付」という行為がありませんので、この限りではありません。

    マニフェストに虚偽の記載をする

    行政処分の対象となるきっかけは、これが一番多いと思います。
    なにをもって「虚偽」と判断されるかを理解することが重要です。
    詳細は後日記事にします。

    運搬先にマニフェストを適切に回付しない(収集運搬業者の場合)

    これは大部分の収集運搬業者で問題なく実務が行われているでしょうから、解説を省略します。

    処理終了後10日以内に、委託者にマニフェストの写しを返送しない

    処理終了後10日以内に「返送」することが必要なだけで、排出事業者のところに10日以内に「到達」することまでは求められていません。
    正直なところ、処理終了後11日目や12日目に返送したことが発覚しても、その事実だけをもって行政処分を行う自治体は無いと思われます。

    マニフェストの写しを5年間保存しない

    これも解説の必要が無いと思います。電子マニフェストで運用する場合は、保存すべきマニフェスト写しが無いので、この限りではありません。

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