マニフェストに関するドライバーの注意点

2015年8月24日付 「実務で最大の弱点となるものは?
2015年8月25日付 「産業廃棄物処理業者がマニフェストでやってはいけないこと
の続編です。

産業廃棄物処理業者がマニフェストでやってはいけないこと」では、
マニフェストで「やってはいけない事」
taboo

  • マニフェストが交付されていない産業廃棄物の運搬を引き受ける
  • マニフェストに虚偽の記載をする
  • 運搬先にマニフェストを適切に回付しない(収集運搬業者の場合)
  • 運搬や処分終了後10日以内に、委託者にマニフェストの写しを返送しない
  • マニフェストの写しを5年間保存しない
  • の5点と解説しました。

    今回は、実際に産業廃棄物とマニフェストを一番最初に回収する、収集運搬車両のドライバーがやってはいけないことを解説します。

    ドライバーに関わる違反は、

  • マニフェストが交付されていない産業廃棄物の運搬を引き受ける
  • マニフェストに虚偽の記載をする
  • 運搬先にマニフェストを適切に回付しない(収集運搬業者の場合)
  • の3つになります。

    このうち、「運搬先へのマニフェストの回付」については、ドライバーの一存で行われるとは思えない違反ですので、通常の業務手順を指示するだけで十分でしょう。
    会社がドライバーに違法なマニフェストの運用を指示しない限りは。

    問題は、「マニフェストが交付されていない産業廃棄物の引受け」と「マニフェストへの虚偽記載」の2つです。

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    まず、「マニフェストが交付されていない産業廃棄物の引受け」についてです。

    この違反が起こる理由は2つあります。

    1つは、会社がドライバーにマニフェストの正しい運用方法を教育しないため、ドライバーが不適切な運用をしてしまうというもの。

    大部分の違反は、この要因に基づくものと思われます。

    もう1つは、
    「紙マニフェストの準備ができていないので、先に産業廃棄物だけを回収して欲しい。後でマニフェストを郵送するから。」という顧客の要請に対し、「ハイ わかりました」と素直に(?)応じてしまうようなケースで、
    「顧客が困っているので助けてあげたい」「会社のイメージアップのためにも、マニフェストの手続きは後回しで良い」という、ドライバーの「顧客への共感性」や「会社への忠誠心」の高さによって引き起こされる場合です。

    2つ目のケースのように、本来は会社のために良かれと思って行動をしているドライバーを犯罪者にしないためにも、マニフェストの正しい運用方法は必ず教育しておきたいところです。

    次は、「マニフェストへの虚偽記載」についてです。

    こちらも、「紙マニフェストの交付がない産業廃棄物の引受け」と同様に、「教育不足」と「ドライバーの行き過ぎた顧客配慮」の両方の原因があります。

    ドライバーが回収現場でやってはいけない虚偽記載としては、「産業廃棄物の種類の追加」がありますので、その注意点は後で解説します。

    このように、ドライバーが起こすマニフェストに関する違反は、明確な悪意に基づく「犯罪」というよりは、(マニフェスト運用の作法を無視した)「過失」という面の方が大きいと思われます。

    しかしながら、動機としては悪意が少ないとしても、法律で禁止されている以上は、「単なる間違い」では済まないことがほとんどです。

    では、肝心の違反を起こさないための対策ですが、やるべきことは明白です。

    1.産業廃棄物とマニフェストのセットで必ず回収する

    必要なことは、回収現場を去る時に、「回収した産業廃棄物」とそれに対応した「紙マニフェスト」を一緒に運搬車両に載せておくことです。

    「後からマニフェストを郵送するから」という要請があった場合には、

    「会社の方針ですから」
    あるいは「法律の決まりですから」
    と、ドライバーに応えさせ、

    「その場で紙マニフェストの交付を受ける」
    または「ドライバーが持参したマニフェスト用紙に、排出事業者の担当者に記入してもらう」
    という手順をしっかりと教育することが必要です。

    2.マニフェストの記載を修正する場合は、排出事業者の面前で行う

    マニフェストは排出事業者が交付すべき書類ですので、
    産業廃棄物を回収していない時点で、記載を修正する時は、排出事業者がA票以下すべてのマニフェストに修正を加えるべきです。

    やってはいけないのは、A票をその場で返した後で、B1票以下の産業廃棄物の種類を追加するといったことです。

    より正確に言うと、
    「廃プラスチック類と、ついでに木くずを一緒に回収してくれ」と言われた場合は、
    「廃プラスチック類のマニフェスト」と「木くずのマニフェスト」の合計2通が必要ですので、
    当初の依頼分の廃プラスチック類のマニフェストに、「木くず」を追加チェックするというのは、廃棄物処理法違反となります。

    この場合も、回収する産業廃棄物に対応したマニフェストを交付してもらうという原則を守るためには、
    「その場で紙マニフェストの交付を受ける」、または「ドライバーが持参したマニフェスト用紙に、排出事業者の担当者に記入してもらう」という対応が必要となります。

    いずれの場合でも、ドライバーの創意工夫に任せるのではなく、
    会社の側で、「お客様がこういう要請をしてきた時は、このように返答し、最終的にはこういう対応をお願いする」というスクリプトを準備して、全ドライバーに教えることが必要です。

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