一般廃棄物処理は再委託できません

某掲示板に、「一般廃棄物収集運搬業者ですが、これまで他の業者に運搬を再委託していたことが市に発覚したため、市から指弾されています。どう対処すれば良いでしょうか?」という質問が掲載されていました。

どう対処するべきかは、「どう人生を生きるべきか」に通じる哲学的な問題ですので、その会社の価値観に基づいて判断いただくとして、
非常に重要な原則であるにもかかわらず、同じ過ちを悪意なくやっている方がいるかもしれませんので、法律的なポイントを整理します。

産業廃棄物処理の場合も、再委託は原則禁止でありますが、下記のように一定の条件下で再委託が認められています。

廃棄物処理法第14条

16 産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。ただし、事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を政令で定める基準に従つて委託する場合その他環境省令で定める場合は、この限りでない。

 廃棄物処理法施行令第6条の12(産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者の産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分等の再委託の基準)

 法第14条第16項ただし書の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 あらかじめ、事業者に対して当該事業者から受託した産業廃棄物の運搬又は処分若しくは再生を委託しようとする者(以下「再受託者」という。)の氏名又は名称(法人にあつては、その代表者の氏名を含む。)及び当該委託が第六条の二第一号又は第二号に掲げる基準に適合するものであることを明らかにし、当該委託について当該事業者の書面(環境省令で定める事項が記載されたものに限る。)による承諾を受けていること。
二 再受託者に当該産業廃棄物を引き渡す際には、その受託に係る契約書に記載されている第六条の二第四号イからハまで及びホに掲げる事項を記載した文書を再受託者に交付すること。
三 法第十五条の四の五第一項 の許可を受けて輸入された廃棄物の処分又は再生を委託しないこと。
四 前三号に定めるもののほか、第六条の二第一号、第二号、第四号及び第五号の規定の例によること。

しかし、一般廃棄物処理業の場合は、産業廃棄物処理業のような再委託禁止の除外規定がありません。

廃棄物処理法第7条
14 一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。

このように除外規定がない以上、一般廃棄物処理で再委託を行ってしまうと、行政から重いペナルティを科されることを覚悟しておかないといけません。

「知らなかったから」「他の業者も公然とやっているから」という言い訳は、行政処分を免れるための免罪符とはなりません。

くれぐれも安易に再委託をしてしまわないようにお気を付け下さい。

どうしても他社に廃棄物処理を代行してもらう必要がある場合は、
再委託ではなく、その代行してくれる業者と排出事業者との間で直接委託契約を締結する必要があります。

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